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「17になったら許すって言ったよな。糺は先月、17になった。なのに、焦らす理由があるのか?」
大翔が凄むので仰天した。
確かに大翔の15才の誕生日に「キスとか色々したい」と言われて、とち狂ったと引きながら、そう返事をした覚えがある。
そんな話は冗談で、本気にされるとは思わなかった。
思春期の暴走だ、どう切り抜けよう?

「おい、あれは冗談で」
「は?」
大翔が眉間に皺を寄せて俺の顎を指で撫でる。
「どれだけ待たせてんだって話だよ。糺が冗談のつもりでも、オレは本気だ。おまえみたいな美人の側にいたら、彼女なんて出来ないよ。絶対比べるからな、おまえと」
「ちょっと、大翔。落ち着けよ」
「声、だすな。おばさんがまだ下にいる」
壁ドンならぬドアドンしたくせに乱暴だ。こうなると手が付けられないな。
「大翔、話がしたいって言ったよな」
胸倉を掴んでキスして口を封じた。そのはずが唾液を吸われるし舌が絡みつくし、挙句に腰に手を回され、尻をぐいと揉みしだかれた。
やばい。
これ、本気のやつだ。
「……糺、部屋に入れろよ。堪えきれない」
それはさっきから擦られている股間で分かってる。硬いのが当たってる。
どうして俺で起つんだ、発情期か?
「分かるだろ、なあ」と耳を舐めてくる。ぞくぞくした。
「母さんがいるから無茶するな」
これ以上触られてたまるか、いくら何でもおかしいだろう。
「おばさんなら、さっき『30分後には職場仲間と飲みに行く』って話してたぞ。もう、そろそろいないんじゃない?」
げっ。
こいつ油断ならない、用意周到だ。
「いつまで引き戸に張り付いてんだよ。開け方くらい子供でも知ってる、だけど糺の部屋だから、自分で開けろって言ってんの」
容易く片足を持ち上げられて、脇に抱えると腿を撫で上げられた。
それ、反則だ。触られると弱いんだ。
「糺の事なら何でも分かる。なんせ、幼馴染だからな、色んなところ触ってきたもん。それに、おまえを慕う後輩も邪魔だから封じてやったし」
幼い頃にじゃれたのは別の意味だ、親しくなりたいだけだ、今は違うだろ。

あ、振られたの、大翔の暗躍?
怖すぎる。

「それとも、ここでいい? もしも、おばさんいたら気まずくない?」
「大翔、頼むから冷静に、」と言うのに肩に担ぎあげられた。
「糺よりオレのほうが身長あるんだよね。部屋は引き戸だし、鍵ついてないでしょ。いつまでもぐずるなら開けるからな」
ガターンと引き戸を開けられて勝手知ったる態度で照明をつけられた。
「さすが。綺麗に片づけてる」
「おまえなあ、下ろせよ」
「暴れたって無駄だ。おまえが強いのは知ってるけど全部オレの仕込みだからな。勝てると思うなよ」
確かに蹴る・殴るの防御格闘術は大翔から教わった。
『おまえは周りを見ないから、隙がある。身を守る術が必要だ』って言うから、鍛えてくれたと思いきや。程々で抑えていたのか。抵抗されないように。
「大翔!」
「ベッド借りるよ」と放り出された。
自分が安眠するための道具が、今から蹂躙される圧を和らげるクッションになるとは。
「糺、制服脱がなくていいの? 皺になるぞ」
圧し掛かられてベッドが悲鳴を上げる。
「脱がしたいけど、明日も学校あるしな」
「おまえが圧し掛からなければ皺にならないだろ、止せよ」
「限界」
大翔が唇を吸い、胸元をまさぐる。そのままジャケットを開襟されてシャツを乱される。
呼吸が苦しい、一気に体温が上がる。
欲情している大翔の顔を見ていられなくて目を閉じたら「その苦悶する顔つき、そそるんだけど」と逆効果。
「大翔、おまえ、ほんとにッ」
乳首を嬲られ、シャツと擦れて痛い。股間がキツくなってきた。
ポイントを抑えられてる気がする。
身をよじるとボトムを脱がされた。
「この内腹斜筋も綺麗だ、余分な肉が付いていないから滑らか。子供の頃より際立つな」
「もう、触るな」
「ここまでしてるのに抗うとか、おかしいぞ?」
おまえだ、おかしいのは。
「いい匂いがする。そそられる」
茂みに鼻の頭を突っ込んでる、正気じゃない。
「嗅ぐな!」
頭を叩いても怯まない。

「それにしても、糺の茎が大きいのは意外だな。昔はもっと小さくて触れただけで精通したのに」
「おまえ、恥ずかしい事言うなよ、あれは」
「真冬のこたつの中で悪戯したら精通したもんな。瞬間に立ち会ったの、オレだからな」
すごく恥ずかしい。
確かに、7才くらいの頃に、大翔に引っ張られて熱くなって初めて出したんだ。あの後、掃除が大変だったし、羞恥心が半端じゃなかった。子供心に傷ついた。
「ああ、予想外に大きい茎だな。自慰とかする?」
「するだろう、普通に」
攻めるな、本当に。
「ふうん。誰を思い浮かべたり?」
あ、やばい。
「どこの誰?」
「言わない」
「そんな態度なら手加減しない。右手より、いいはず」と、茎をぐいと握られた。
「ぐっ!」
「もうのけ反るの。自慰してないだろ、それともオレの手の感覚が好みとか」
手加減せずに握るからだ、こいつ、もう。
「まだ萎えてるな、これは時間がかかる」と大翔が口にくわえた。
「いっ! 大翔、止めろって」
「何で?」と茎を舐め上げては、ちゅっと音を立てて吸う。見ていて、はらはらする、感じている自分が空恐ろしい。
「んー!」
大翔がくわえて吸い始めたので、全部持っていかれそうな感覚がした。
膨張しているのも自覚する、やられた。
「糺、出せよ」
唾液だらけの唇が怪しい。
「おまえ、ほんと、」
「知ってるよ、お尻に小さなほくろがあるだろ。あれ、大きくなってたら癌の疑いがあるメラノーマだからな、オレが確認してやる。大きかったらオレのバイト代ぶち込んで削ってつるつるの綺麗な肌にしてやるから」
何だって?
「傷1つ残さないから安心しろ」
「やめ、」
ぐいぐいと容赦なく手で扱かれて先走った。
「へえ。薄いな。誰かと何かした?」
こいつ、本気か?
「してないよ、おまえ、怖いよ」
「怖くない。可愛がるだけだ」
俺の液が付いた指で髪を撫でられた。張り付く感じがまるで蜘蛛に捕らわれた蝶々のよう。もう貪られるしかないのか。
「……大翔。まだ間に合うから。俺、好きな人としかしない。こんな一方的なの傷つくんだけど」
「は? オレは何度も口説いたよな? 好きだ、好きだって」
「子供の頃のそれを持ち出すなよ」
「ずっと、糺しか見てない」
そう言いながら頬を撫でる。
「おまえしか、オレは抱けない。好きだから」
その目にほだされたら、もう止まらないだろう。
「今は少し違うかな」
ん?
「待たされて焦らされて、愛情が詰まり過ぎた」
は?
「えっ?」
体を反転させられてうつ伏せに組み敷かれた。「足、曲げて」と声がするけどかなりまずい。
「やってあげないと、いけないか?」
ボトムをすっかり脱がされて露わになった臀部を撫でながら、腰を持ち上げて膝を折り「もっと突き出して見せてよ、ほくろが見えない」と引き上げられた。
すごく恥ずかしい態勢で、思わず穴を手で覆い隠した。
「無駄な抵抗するなあ、何のつもり?」
「見せられるかよ、大翔。こんな恥ずかしい事させるな」
心臓の鼓動が激しい、逃げるべきだった。
「ひっ?」
隠していた手にキスされて背筋が震えた。
「よかった、誰も触ってないな。守ってきた甲斐がある」
何で満足そうなんだ。
「糺、童貞卒業したけど、こっちはお初でしょ」
何だって? あ、ぐいと広げるな!
「これは見せて貰ってなかったからな、興奮するな」
人の尻の穴を観察するな、狂ってる。
「力、抜けよ。糺」
「馬鹿か、抜けるか」
「ふーん」と気の抜けた声がして、すぐに尻や穴を舐められた。
わざと音を立てているだろ、雨音よりひわいな響きが耳を直撃して煽られる。
体がひくつく、こんな恥ずかしい事されてるのに。
大翔のやつ、舌先が上手すぎるんだ。尖らせて突くの、もう無理。
「やっとか、まあ、初めてだから仕方ないね」
ベルトを緩める音がする。
見返ると大翔が男根をぼろりと取り出していた。大きいじゃないか、ちょっと待て。
「糺、入れるから」
「やめ、」
「止めないよ」
先端を入れられただけで腰が疼く。
「あ、自分で指入れたりしてる? 何か、感じやすくない?」
こいつ、本当に。
「黙るなら、口を割らす」と、強引に突っ込んできた。
「痛い痛い! もう、大翔っ」
「あと少しだから、オレの糺、言う事聞いて」
は? オレの?
「おまえっ」
がくんと体が揺れた。
裂けるような痛みと痺れに襲われ、しかも体の芯が熱い。
「は、ん……。大翔っ、全部、入れたのか」
「何とかね。糺が中をきゅうきゅう締めてくるから、今、オレ、かなりやばい」
そんな事してないっ。
「はー。何かこれだけでトびそう。そうろうかな、そんなかな」
馬鹿なのかよ、放してくれよ。
「すごく温かいな、糺の中」
やめてくれ!
「でも、突かないとな、オレ自身の沽券にかかわるしっ」
「あっ! ちょ、ちょっと、んっ、んん!」
肌のぶつかり合う音が騒がしい。
「やめ、やめて、ひろ」
「聞けない」
「おまえ、」
「どう動いたら、もっといい? 教えてよ」
知るか、そんなの。
「ま、適当に。いいところに来たら合図して。強めに突くから」
「や! も、ほんと、おまえっ」
大翔が容赦なく突き、その攻めに耐えるようにシーツを握りしめた。
「どこ?」
「しらないっ」
「言って」
「わかんないよっ!」
こいつを止めないと。さっきから顔をシーツで擦り続けてひりひりするし。
「それ以上したら嫌いになる!」

あ、止めた?

「嫌いでもいいよ。好きにさせる」
「え、ちょっ! ひろと・まじで・ん、んー!」
さっきより激しく突くな、もう腕が痺れてキツイ。
「やだ、や! う、ううん!」
ばたんと腕を伸ばして体の力を抜いてしまったら、ぐいと奥まで入り込まれて「んん!」と反ったが、大翔が「ぐ、」と喘いで爆ぜたらしい。
穴から何か、滲み出ている感じがして、指で触れた。同時に硬いままの大翔のそれにも触った。あまり人のそれをまじまじと見たことが無いけど、なかなか立派なものを持ってるな。こんな怪物を突っ込んだのか。衝撃だ。

「俺を好きなの、理解したけど、こんなのもう無しにして」
皺だらけのジャケットで指を拭うとで「大翔、抜いて」と呟いた。
「ごめん。オレが」
分かってくれたか。
「下手だった?」
「違う!」
大翔の胸を突き飛ばして、ようやく身を起こせた。
うわ、袖が、ぐしゃぐしゃだ。やってくれたな。
「だってさ、ようやく出来たから1人で楽しくなっちゃって」
「分かってるじゃないか。大翔1人で楽しみなら自慰でもしろよ。俺が好きになるように仕向けろよ。俺は誰の所有物でも無いからな」
これくらい言わないと通じないかな。
言いすぎな気もするけど。

「愛してる」
抱きしめられて、そう囁かれた。
「ずっと、想ってる」
酷な事を言ってしまったかな。

「箍が外れた。いい訳にしかならないけど、でも本気で糺しか見えないんだ」
その橙色の瞳に、俺は昔から弱いんだ。
ずっと俺しか映していないの、知ってたし。
「分かったよ」
そっと腕を回して抱き寄せた。
「でも、無理やりは無しだ。いいな?」
「じゃあ、次は顔を見ながらしたい! 糺のイく顔が見たい」
こいつ、本当にお盛んだな。
誰でもいいんじゃないのか?
「あのなあ、上着とか、クリーニングに出さないとまずいんだぞ? 明日1日どうしてくれるんだ、学校行けないし」
「オレの貸すから」
反省しろよエロガキ。
「少し寝ていい? 添い寝したい」
「好きにしろよ、もう」


「糺、さっき大翔くんが来てね、これ渡してって」
ああ、制服ね。
あいつ母親が帰る前に出て行ったからな。律儀じゃないか。
「それとお菓子をいただいたんだけど」
「へえ? 母さん、甘いもの好きだからよかったじゃない」
手土産かな。昨日のハンバーグのお礼か。
なんだかんだあっても、自慢できる幼馴染だな。礼儀がある。
「それがね。内祝いって熨斗がついてて。何の事かしらね」
はあ?
「ああ、あと今日からしばらく大翔くんの家に泊まるんだって? 勉強合宿?」
追い込まれてる!
「母さん、孫の顔見せられそうに無いけど多分幸せになる……かもしれない」
「糺、あなた頭大丈夫?」

レンタルお兄さんの登録を解除し忘れていて、画面を見たらご指名が10人ほどあった。
面倒くさいな、でも無視したら気の毒か。
もしも真剣に話がしたい人なら。
「うーん」
悩めるな。人の話を聞くのは無駄なだけと思っていたけど、内心を打ち明けられると揺らぐ。
自分と重ねてしまう瞬間がある。
でも、アドバイスできる程、社会経験は無い。
「おう、逢原ー」
げ。友人の頬が腫れてる。
「昨日さ、黄色い悪魔に襲われて」
ああ、大翔、おまえ本当に片づけようとしたんだな。
「レンタルお兄さん、こっちで登録解除しておいたよ。パスワード教えてなかっただろ」
「ああ、そうだな。登録はおまえがしたから」
「そうしないとさ、命の危険を感じるんだよね」
あいつ!
もっと酷い事、言えば良かったか?

「何してんの」
え?
大翔! 何でここに来た! 
それに眉間に皺寄せて不機嫌丸出しの表情、やめろ。
「こいつ、オレのだから近寄るな、話しかけんな」

「わー! 黄色い悪魔!」
友人が減ったじゃないか、馬鹿野郎。
「え? 今、逢原を? はあ?」
世間を胸張って歩けなくなるだろう、恥を知れよ幼馴染!

「大翔、いい加減にしろよ」
「糺、やっぱり少し制服大きいな。おまえ、細すぎるんだよ」
聞いてない。
会話が成立しない。
「ちゃんとおばさんから伝言聞いた?」
「怖い事を企んでるよな」
もうため息しか出ない。
「その細い腰が砕けるまで付き合って貰う。責任は取る。昔から決めてたから」
爽やかに、わいざつな発言をするな。
「大丈夫だ。オレは糺を箱に入れて閉じ込めたいとさえ思うくらい、惚れてるんだ」
監禁だ。
あいつ、昔からそんな歪んだ野望を抱いていたのか。
「その箱の蓋、絶対こじ開けて逃げて見せる」
「は? オレから逃げんの? 何で」
あ、やばい。
「誰か好きな人でもいるの? どこの誰? 始末してやる」
「分かったから! もう、いい。おまえがまともになるまで付き合うよ」

「はあ? 期限なしの、一生のお付き合いだろ。分かってないな」
膝から力が抜けそうだ。
この悪魔と罵ろうとしたら「糺? どこか具合でも悪いのか? 顔色悪い」と片膝ついた。

その目がやばいんだ。負けた。
昔、大好きだった薄い黄色の飴玉。あの味は忘れたけど、この飴玉は調教しよう。
愛情あるなら言う事聞くだろう。
俺も人の言う事聞かないけど、食うか食われるかなら食う方を選ぶ。

「覚悟しろよ、大翔」
「幸せにしての間違いだろ、糺」

おわり
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聞いた話ではコーヒーとケーキ代が出るらしいけど、この子から徴収できないな。
30分のアラームも鳴ったし、帰ろう。
「あの、僕は、増野です。名前を教えてください」
もう会わないだろうに必要かな。
「逢原 糺(ただす)。ユズリハさんじゃないからね」

「また指名していいですか?」
え?
「止めておけば?」

別れた後にスマホを見たら、またご指名。
指定されたカフェに行くと同じ高校の奴がいた。嘘だろ。
「マジで逢原じゃん! すげええ、校内では誰彼構わずガン無視のアイドルが、30分、オレのものとか、マジ神に感謝!」
「……チェンジで」
「えー!」

次は元カノがいた。会いたくない筆頭株。告られて1か月も経たないうちに振った。
カフェで向かい合わせがかなり気まずい。
「別れたけどやっぱり会いたい、やり直したい人がいるの」
「ああ、そう。頑張って告ればいいんじゃない」
「逢原くん!」
「チェンジで。ごちそうさま」

何だよ、このレンタルお兄さん。
俺の身内に情報がばらまかれていないか?

「お、レンタルお兄さん」
は?
背後からいきなり抱きしめられた。
変態かと思いきや「散々、探したぞ。糺」と聞きなれた声がする。
「あ、大翔(ひろと)か」
「クラスの奴に、おまえがハッテン場に向かったって聞いたから、探し回った」
「ああ、悪い」
この腕、いつ解くかな。
幼馴染だから悪くは無いけど、人前でこれはどうなんだ。
しかも頭を擦りつけていないか?
大翔のほうが背が高いのに、何してるんだ。
「無事でよかった。おまえを変なバイトに売った奴は片づけたからな」
はい?
大翔もなかなか腕っぷしが強いから、友人が心配だ。
「家の事で手いっぱいなんだろ。何、人助けしてるんだよ」
「何か流された」
すると腕が解けて「こっち向け」と腰をつかまれて足元がふらつくと「ふらふらするな。おまえはこの世に1人しかいないんだから。もっと自分を大事にしてくれ」とぼやかれた。
ああ、心配させたんだな。
過剰な気もするけど。

大翔が今日はバイトを休むと言うので、家に連れて行く事にした。
「糺の作るご飯、久しぶりなんだけど」
「そうか?」
有り合わせになるけど、チーズハンバーグでも作るか。
冷蔵庫からひき肉を取り出すと「はい」と大翔が受け取り、手際よく並べていく。
「おまえも家事、手伝ってるのか?」
「いや? 糺が作るの見てて、こうしたほうがいいかなーとか、考えてはいる」
ふうん。出来た奴だな。
「大翔のお母さん、元気? 昔はよく遊びに行ったけど」
「元気だよ。あまり話さなくなったな」
「仲、悪い?」
「いや、全然。早く彼女連れて来いとか煩いから」
大翔に彼女がいないのは不思議なんだけどな。
容姿が爽やかな少年らしいし、色素の薄い茶色が混じった髪も人目を惹く。
背も、俺より少し高くて面倒見がいいと思うし、いい所だらけなのに。
おかしいな。俺でも一時期、いたのに。
「大翔、彼女とか興味ないのか」
「好きな奴はいる。なかなか、なびかない」
へえ。
「大翔のルックスで、なびかないのがいるなんてな」
「美人で疎いんだ」
挽肉をこねながら話をしていたが、何かひっかかる。
「相当な美人狙いか?」
「そうだな。鏡見たらいいんじゃない?」
は?
ああ、チーズ出しておかないと。
「オレ、今コスメの店でバイトしてるけどさ」
「そうなんだ? 珍しいな、男子を雇うなんて」
「ああ、お姉さんばかりだよ。皆、美人」
その中の誰かを狙ってるって事か。
これはレベルが高い。コスメの店員さんはどこでも美人ぞろいだからな。
え?
大翔が寄りかかって擦りつけてくる。これ、猫がするマーキングみたい。
まさか猫みたいに『オレのもの』扱いしてないよな?
幼馴染だから、じゃれているんだよな?
「ああ、チーズ入れて成形しないとな」
ハンバーグのたねを掌で空気抜きしていると、今度は大翔が凝視している。
「チーズ、嫌いだったか?」
「いや? 爪も綺麗だなと思って。勿体ないから手袋とかして作れば?」
うーん、これは。
距離も近いし。まさかな。ぐいぐい来るけど思い過ごしだろう。
「大翔、焼くから油が跳ねる。少しどいてて」
火をつける前にフライパンにハンバーグを乗せる。低温調理と聞いた、お肉が美味しく焼ける技。
「糺さあ。いい嫁さんになるんだろうな」
どうも、おかしい。
「貰う奴、いないよ。男だし」
「はぐらかして面白いか?」
何が……?
思わず見つめ合ってしまった。
大翔は色素が薄いからか、照明の下だと薄い黄色の瞳。すごく綺麗で、昔からその瞳を誉めていたが、今、それは俺を見てるんだ? 何故に。
「お肉、焦げるよ。糺」
「ああ」
何かがおかしい。
大翔が先に誕生日を迎えて17になってから、どうもネジがかみ合わない。
校内で俺が誰かに告白されたと聞けば、すっ飛んできて相手を追求するし。
まあ、手はさすがに出していないと・思いたい。
俺もすぐに蹴る方だからな、大翔の事は言えないが。
どうも監視されているような感じだ。

俺は人の言う事は大概、聞き流すが、例外はこの大翔だ。幼馴染の存在は大きい。
小さい頃から一緒に育ち、互いの家を行き来して泊まったりした。その頃、大翔は俺を好きだと言って添い寝した事もあった。10才くらいか?

「ただいまー。いい匂い。糺、お母さんの分、少し小さめでお願い」
「胃もたれした?」
「うん、そんな感じ」
母親は夕方までスーパーでお惣菜を作っている。その反動で、家事をこなさなくなった。仕事でおかずを作るのに、家に帰ってまで作りたくないと言う母親の気持ちは理解した。
だから、家のご飯は俺が担当している。

「ごちそうさまでした」
両手を合わせる大翔を見て「立派に育ったわね」と母が誉めている。
「ついこの前まで、うちの糺をお嫁さんに貰うって騒いで、皆を困らせたのにね」
「そんな事がありました? 恥ずかしい」
ああ、確かに。そんな事を言ったな。
いつの話か覚えていないな。
「大翔くん、可愛い顔してるからねえ。そろそろ彼女出来た?」
セクハラだ。
信じられない、俺の母親。デリカシーが無い。
「あー。オレ、彼女が出来なくて」
「あら、理想が高いの?」

「好きな人ならいるんです。でも、箱に入れておきたいくらい大事で」

凄く惚れているんだ。へえ。
母親の前では大人しいし、さっきの圧は気のせいか。

「じゃ、俺の部屋でくつろごう」と大翔を連れ出すと、階段を上がった。
「何か、数年ぶりに来た感じ」
「そうか」
言われてみれば、御無沙汰だな。
「レンタルお兄さん、オレも話がしたいけど、いくら?」
ふざけているな、珍しい。
「大翔は無料だよ。それに、あの仕事は続けない」
「あ、そう」
部屋の引き戸の前に来て開けようとしたら大翔が腕を伸ばして引き戸をバンと叩いた。
は?
「いつまで焦らすかな。他人の話を聞く余裕があるなら、さらうぞ」
「先輩の事が好きだったんですけど、手が届かないから諦めます! ごめんなさい!」
は? 顔も名前も知らない子に、俺は振られたの?


「おお、逢原(あいはら)。後輩に呼び出されて、何だって?」
友人の笑顔が照明より眩しすぎる。
「よく分からないけど振られたらしい」
「おまえが?!」
俺も判然としないんだけど。この妙なへこみ感は何だろう。
「はー。そう言われてみれば、あの後輩。よく逢原を目で追いかけてたぞ」
「気付かなかったよ」
知るかよ、人の視線なんて。
「おまえは周りを見ないし、気付かないからな」
個人の範囲で精一杯だ。
「17才で、その態度は社会に出た時、激しく後悔するぞ」
先の事が読めていたら、周りも見ていると思うけど。

「今さあ、すごく人参とか野菜をガガガッと、みじん切りしたい気分」
友人には分からないだろうな、この腐れた気分が。
「そんな逢原に、いい情報がある!」
家政婦ならやらないぞ。家事手伝いもやりたくないぞ。
「レンタルお兄さん、やらないか?」
「……は? 何だって?」

俺は興味が無かったので知らなかったが、NPO法人が運営する『レンタルお兄さん』が存在する。対象は引きこもりなどの若年無業者をはじめ、親子関係がこじれた児童で、レンタルお兄さんは社会とつながり自立するために話し合い、親子の関係が修復できるように提案する役。

「報酬はコーヒーとケーキ。30分1本コース」
「おまえ、流暢に話すあたり、もう俺の事を勝手に登録したんだろ?」
「さすがは賢い逢原だ。16時に駅前のロータリーで待ち合わせ。目印は、えーと」とスマホを見ている。
「貸せよ」と奪い、見ると俺の写真が添付されている。正気か。
「隠し撮りか、変態」
「さっきみたいな後輩に売れるんだぜ。待ち受け画面にしてる奴、多いよ」
気持ち悪い。
「まあまあ。人の話を聞く姿勢を持ついい機会だと思うぜ? とりあえず行ってみたら」

人の話ねえ。友人も「本当は18才以上でないと受け付けてくれないんだけど、今、需要が多いんだって」と無責任な発言したし。
学校帰りに立ち寄るか。
どうせ駅前のバス停に用事があるし。

『16才の高校生です。話をしたいです。駅前のロータリーで待っています。目印は紺のスクールバッグに付けた白いウサギです』

男か女か分からないな。
ウサギ。女子か?
どうして俺は写真バラまかれているのに、指名した本人が顔出しNGって、何?
見つけろって事?
向こうは俺の顔を知って指名したんだから、見つけてくれるのが筋じゃないか?

「こんな時間に何してんのかなあ?」
あ、しまった。16時過ぎたら用心しないといけない場所だった。
この駅前は夕方から客引きや、風俗関係者、それに出会いを求めるハッテン場に姿を変える、それは周知の事実なのに油断した。
「待ち合わせです、よそを当たってください」
「かわいいねえ、高校生?」
制服着てるから分かるだろ。低能か。
「おいおいおいおい、待てよ」と腕を掴まれたので肘で応戦して腹を突いた。
「……なんだあ、このガキ」
「触るな、クズが」
こんな場所に長居したくない、やっぱりバスに乗って帰ろうかな。

「ユズリハさん!」
は?
制服を着た男子が駆け寄ってくるぞ?
「本当にそっくりだ、でも、ユズリハさんじゃないんですよね?」
何、言ってるの、この子。
あらら。紺のスクールバッグにウサギが付いてるよ。こいつが?
「ユズリハさんですか?!」
期待をこめて輝く目に圧を感じる。
「ユズリハさん!」
「何、そのユズリハさんて。俺は逢原……」
「あー。別人か」
どさりとスクールバッグを歩道に落とした。
「そうですよねえ、でも、似てるんです」
男子が一礼して「僕、すごくあなたに会いたかったんですよ」と言い始めた。
その勢いに腰が引けた。
「見てください」とかざしたスマホに、え? 俺……じゃないな。でも5年後くらいの俺みたいな感じがする。俺と似てる。何なの、この人。

「僕が会いたい人です。ユズリハさんて言います。雑誌モデルです」

何なの。

「で。似てるから、俺に会いたいと? その人に会いに行けばいいんじゃない」
「もう会えないんです」
あ、まずい事を言ったかな。
「ごめん。気を悪くさせた」
「ユズリハさんはそんな言い方しませんよ」
おいおい。生きてるのか。
「ああ、すみません! 何か、本人に見えて仕方なくて、本当に」
何か、面倒くさい雰囲気だな。
「……で、顔が見たいとか、そのユズリハさんかどうか確認したくて、俺を指名した?」
「そうなんです。誰かにこの話を聞いてほしくても、僕は人見知りで」
え?
「なかなか気を許せる友人が出来なくて」
うわ、長丁場の予感。
「ネットで相談出来る場所を探したらレンタルお兄さんがヒットして、それで見てみたら」
うーん、どうしたらいいのかな。

「おいおいおいおい、お兄ちゃん、さっきはよくも」
あ、しつこいな。
「きみ、ちょっと離れてて」とウサギを押してバス停の陰に追いやると、相手探しのゲスの脇腹に蹴りを入れた。
「また寄って来たら警察呼ぶぞ、社会のクズ」
「このガキ……」
簡単に姿勢を正せないはずだ。

「ユズリハさん、すごい! 僕のヒーローだ!」
陰からウサギの男子が恐る恐る歩み寄る。
「だから、違うって」
迷いに迷いましたが、お礼ができない以上コメントの受付をすべきではないと思い至り、
まずはコメント受付を中止しました。

順次、拍手も撤去します。

今までありがとうございました。
いただいたあたたかいお気持ちはすごく励みになりました、
気にされておられる方がみえたので申し訳ないのですが、
負担…ではなくて、
自分は不器用なのでいつも言葉が足りなくて、
果たしてきちんとお礼が伝わるのか甚だ疑問だったのです。

拍手をたくさんいただけて感激し、
コメントまで頂戴して、読んでいただける幸せをしみじみ感じております。
どれだけ言葉を重ねても足りないと思いますが、
すごく幸せです。
ありがとうございます!


このブログは立替して、3年前に書いたものは削除します。
(ほとんどそうなのですが)
もはや…書き方がまるで違うので…
最近のエロから読んでくださった方には「黒歴史?」状態ですし、
あの時代に得たいろいろなことに区切りをつけて、
仕切りなおしたいのです。

あ、このお知らせも続きがUPできたら削除しますので…


二次は今ピクシブの場をお借りしていますが、
きちんとしようと考えています。
話自体も資料集めてきちんとしてあげたい。

もともと極道好きなのでマフィアに染まったのもなにかのご縁だなと思います。



BL続けながら二次もやらせていただきたく、
メリハリつけて頑張りたいと思います。
創作は大好きなのです。

またお時間ございましたら遊んでいただけると嬉しいです。

では近日、UPして……いろいろ整理して仕切りなおします、
今後ともどうかよろしくお願いします。


柊リンゴ
2011.01.17 えにし.4
「困るって言われても止められないんだけど。わかる…?」

穣は戸惑い続ける智梓の唇を塞ぐと舌を這わせた。
それは唾液を蹴散らして智梓の舌を探り当てると、
先刻までのやさしさを感じさせない性急さで絡んでいく。

穣の理性が飛んでいると知り、慌てる智梓だが拒めない。
唇の端から唾液がこぼれ、流れ落ちていくのがわかる、
これすら拭えずぼんやりと麻痺したような自分が恐ろしいのだ。

貪るようなキスだった。
今まで智梓の姿を見かけても眺めるだけでその思いを募らせていたというのは嘘ではない、
我慢していたものは制御不能だった。
やがて穣の手によって智梓のシャツがまくりあげられ、素肌をそっと撫でられる。
「わ…」
いくら手があたたかいとはいえ、人に体をまさぐられるのは初めてだ、
智梓は驚き、そして体を強張らせた。

「…怖い?」
「えっ」
はっきりとそう聞かれると否定しづらいものだが、
智梓は頬を赤らめると「誰か来たら困るし」とやんわり肯定する。
「…そうだね」
意外にも穣が頷いた。
「俺も止められない予感がしてたんだ」
そして絡めていた指をそっと離す。
この瞬間、智梓は自分が大きな間違いを犯したような気がした。
しかし口から出た言葉はもはや回収できない。
吹っ切ろうとかすかに首を振る穣の表情が寂しげで、
智梓は適切な言葉が見出せない。

指に残るあたたかな体温。
触られた肌。
今更どうして名残惜しく思うのだろうか。

「あのさ…」
話題を変えるべきかそれとも迷うこの気持ちを正直に吐露すべきか、
判断できないまま声をかけたが、
穣が再び口を開く前に大勢の靴音が聞こえてきてしまった。







「環境が変われば俺にもチャンスが巡ってくるような気がしてたんだ。
ほら、学校とか教室とかだと互いに仲のいい友人がいるからさ。
それも大事だけど、俺は智梓のこと知りたかったんだ。
だから修学旅行って、チャンスだったんだ」

穣が明るい声でそう智梓に打ち明けたのはそれから1ヶ月も過ぎたあとだった。

「結局、俺ばかりが智梓を気になってたんだけどね」

『そんなことはない』と返したかった智梓だが、
過ぎたことを蒸し返すのはよくないなと諦めてしまい「そうなんだ?」と流してしまう。

「冷たいなあ。手と同じで」
穣はあのときのような寂しげな表情をしない。
むしろ明るく振る舞い、彼も智梓の言葉を明らかに流していた。


互いが相手を気にしつつも踏み込めないものだけを感じ取っていた。
それを受験があるからとか部活が大変といった理由にこじつけて本題から逃げ、
しかし校内でも顔を合わせることが増えていく。

切り出したい言葉を貯めすぎてなにから話していいのかわからない、
そんな中でこぼした穣の言葉を智梓は軽く受け流してはならなかったのだ。
自分も離れたその手を追いかけてつかまえたい衝動にかられたというのに、
迷ったまま決めることができず、自分の気持ちだけで手一杯だったのだ。

並んで歩いていても、穣は智梓の顔を見ようとするが、
智梓はキスを思い出してしまい目を反らす。
そのささいな行き違いでさえ大きな障害に変わってしまう。

互いが、はっきりと気持ちを打ち明けていないからだ。




「俺たちさあ、…なんなんだろうね」
この状態が心地よいはずはない。
焦れてそっと唇の端を噛んだ穣の気持ちも智梓は悟れなかった。


5話へ続きます
2010.12.05 えにし.3
穣は先に靴を脱いで部屋へあがり、片膝をついて智梓の靴を脱がせた。
その間の無言が智梓には気掛かりだったが、
『しゃべらなくていいよ』を反芻して自分に何も言わせないよう気遣っているのかと思いなおす。

しかし靴まで脱がせなくてもと恥かしさは隠せない。

人に靴を脱がせてもらうなど、恐らく幼児の頃以来だ。

それも自分にはかすかな記憶の破片しかない、
こんなにかまわれるのは困惑してしまう。

だがお礼もいえないまま部屋の隅まで抱えて連れられ、
視線を合わせられないまましゃがみこむと、前髪に何かが触れた。

「酔わないよう連れ出したのに、なんかごめん」

「は」

恐る恐る上目遣いで見やると穣が額を合わせていた。
互いの鼻の頭がぶつかりそうで、
智梓はこの距離に面食らう。
あわてて目を反らそうとするが自分の体を抱え込むように穣の両腕がガードしている。
その細腕には筋肉がついているのか、
はりつめた質感を目の当たりにした智梓は言葉を発せない。

「思ってた以上に、か弱いんだ?」

穣の呼吸が智梓の唇にかかる。
体温を思わせるあたたかな息に思わず智梓がぎゅっと目を瞑る。

「まつげ、なが…」

ささやくような小さな声だった。

しかも今までかけられたことのない言葉に『それは僕ー?』と驚き、
その目と唇を開いた智梓だが、
ぬるい体温のなにかが唇に一瞬触れ、
ためらうようにすぐ離れた。

それが穣の唇だと直感でわかった。

顔の角度からしても唇以外にありえない、
智梓は取り乱しそうになり、
右手を伸ばして穣の頬に触れた。

「な、なにして…?」

「…したかったから」

ばつが悪そうに口を尖らす穣に「するのは、話だろ…?」と問いを重ねる。

「かすっただけだし」

「…したかどうかもわからないキスなんて、1番対処に困るよ」

「…経験あるような言い方をする。こわがってたくせに」

穣は自分の頬に遠慮がちに張り付いたままの智梓の手を取ると、
「手、つなぐだけでもよかったのに。ほんと」
「はっ?」
「ずっと見てたって言ったのは、いつか智梓と手をつなげたらなと思ってたから」

ここまで言われたら先刻まで言葉を交わしたことのない相手であろうとも、
口説かれていると理解する。

しかも穣の視線は揺るがない、
デッキで遊んでいた連中もそのうちこの部屋へ戻ってくるだろうに、
その靴音が聞こえてこないか気になり聞き耳を立てる智梓とは対照的に、
智梓だけを見つめているその瞳は光りを帯びていた。


「触れたかった。すごく」


穣が智梓の指の間に自分の指をあわせ、
そしてきゅっと絡ませる。

その指には少しずつ力がこもっていく。
初めは絡ませるだけの指が、
次第に智梓の指を圧していく。


「智梓に触れてみたかったんだ」


募る思いが噴出しそうなのを堪える姿を黙って見続けることはできない、
智梓が手首を軽くひねり、その力に応えた。


「…智梓?」
この反応に驚いたのか、
意外そうな顔をする穣に「誰か来たら困るんだ…」と返事をしつつ徐々に視線をそらしてしまう。

「僕、ど・どうしたらいい」

「…こっち、来て」

穣は指を絡めあったまま、それを突然引いた。
「んっ?」
反射的に左手で穣の胸を抑えたものの、智梓の唇は穣のそれと重なった。

慌てて離れようとする背中を穣が片腕をまわして制し、
舌の先で唇を舐めた。


「…開けて」
『えっ』

「入りたい」

それは消えそうなほど小声なのに智梓の胸を大きく揺らし、
左手を下ろすのに十分な力を持っていた。


早鐘を打つ胸を悟られないよう祈りながら、
智梓は目を閉じる。


『だ・誰か来たら…見られたら』

困惑しつつも唇を開けると穣の舌が潜り込んでいく。
それは歯列をなぞり、明らかに智梓の舌を突こうとしている。

『あ、やっぱり困る!こんなところ見られたら』

智梓が無意識に絡めたままの指に力をこめてしまうと、
穣はちょんと唇を舐め「俺が相手じゃ困る?」と首を傾げた。



4話へ続きます
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