きみといっしょ。
BL小説を書いております。明るい感じで、読んでくださった方が日々の疲れを癒せるようなお話を書きたいのです♪
プロフィール

柊リンゴ

Author:柊リンゴ
BL小説を書いています。
カワイコちゃん受けメインで、
本店での「真夏と果実。」SSとか、
学園ものとか、おとなしい感じのお話です。

現在、本店はBL極道系「凍結オレンジ。」です。
やんちゃなアヤが走っています。
しかし、停滞中…



音楽はラルク・バンプ・アジカンとか聞きます。
チョコレートとマンゴーと猫が好き。
同じ趣味の人とお知り合いになれたらなあ。



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ご褒美をあげよう。5
「鶴前です。大和さん、お疲れ様です。西店のオーナーから電話が入りまして……」
 ああ、もう電話を掛けているのか。
鶴前さんって凄いな。電話で話している時も笑顔だもの。
相手に見えなくても必ず笑顔で応対するって、なかなか出来ない事だ。

「はい。そうですね。わかりました、一時間で仕上げましょう」
 え? 何か仕事の指示があったのかな。僕にも手伝わせて欲しい。

「大和さん。帰社時間は十七時ですか?」
 
あれ? 気のせいかな。

「はい、わかりました」
 口元に嬉しさが溢れているみたいだ……。
 鶴前さんは電話の相手と話しているのが楽しくてたまらない様子だ。
相手は大和さん、だったな。あの穏やかな声の営業の人か。

「もしかして」
 
思わず独り言を呟いてしまった。
言葉は胸の内にしまっておくべきなのに、僕の間抜け。
 幸い、鶴前さんはまだ話し込んでいるから聞かれていないな。
良かった。……いや良くないぞ。まだ大和さんと話していたのか。

「ああ、そうですね。どう言えば良いでしょうか。……柴犬でしょうかね?」
 ペットの話かな。何気なく鶴前さんを見上げると、視線が合った。
「え」
 飴玉の様な瞳が僕を映している。
こんなに近くに顔があるなんて照れてしまう。
どこを見たら良いのかわからない!

「ふふ。大型犬です」
 ぽんぽんと頭を撫でられた。
そんな事をされたら喜んで飛びついてしまいそう。

「お利口さんです。体が大きくて、頼りがいのある子です。早く帰ってきて、会ってやってください」
 そう言いながら小首を傾げた。
え、もしかして僕の事を話していたのかな。
 

鶴前さんは電話を切ると、デスクから飛び下りた。
上着が捲れてベルトからお尻まで丸見えだ。
気付いたのか両手で上着を引っ張って直している。
その仕草は女子高生みたいで、可愛くて噴出してしまった。

「どうかした?」

「いえ、あの。……飛び下りるから」

「あ、面白い?」
 
あははと笑う前鶴さんは、大人の余裕なのだろうか。それとも鈍いだけか。
「電話はもう鳴らないのですかねえ」
 ネクタイは直さないのかな。襟元ばかり見てしまう。

「波があるからね。夕方まではたまに鳴る程度だよ。
お得意様は営業担当が持って歩く携帯の番号を知っているから、大体はそっちにかけるし」


6話に続くのだ。

ご褒美をあげよう。4
僕の声と電話の呼び出しベルが重なった。
 びくりとして賭け時計を見ると、丁度十時だ。
一斉に鳴り始めた電話を前にして、どれから取って良いのかわからない。
「近い所からで、いいよ」
 鶴前さんはもう受話器を持っていた。
何やら笑顔で応対していて感じが良い。ただ、デスクにお尻を乗せているけど。
 僕も頑張らなくてはいけない。受話器を持ち、鶴前さんのメモを見た。
「はい、一富士商事です」
『……営業の大和です』
 あれっ、いきなりメモには無い応答だぞ。
 どうしよう、この場合は何て応えたら良いのかな?
『きみは誰? ハルは近くにいない?』
「あ、あの。僕は今日からここにバイトに来た犬山です。ハル……鶴前さんは他の電話に出ています」
『そう。じゃあ、西店のオーナーから電話が入ったらすぐに教えてと、メモに書いてハルに渡しておいて』
「あ、はい!」
『元気が良いね。ハルのサポートをしっかりお願いするよ。じゃあ、失礼します』
「はいっ、失礼します」
 穏やかな声の人だな。
言われた通りにメモを前鶴さんに渡そう。
僕も走り書きだけど読めるかな? 鶴前さんの側に駆け寄ると、電話の相手と真剣に話している。

「ええ、そのデータを調べるのに時間をいただきたいのですが」

うわ、忙しそうだな。受話器を肩で押さえながらファイルを捲っている鶴前さんにメモを渡すと、慌てて目を通してくれた。

「よ、読めますか?」
小さな声で尋ねると、親指を立ててウインクしてくれた。

その仕草に心臓が飛び跳ねた。
眩暈がしそうだ。
思わず足元がぐらついた僕に、容赦なく聞える電話の呼び出しベル。
慌てて近くの受話器を取ると、今度はメモ通りの受け答えで済んだ。



――応対を数回こなしたら慣れた。
最初はメモ通り出来ず怖気付いたのに、今や言葉も噛まずにすらすらと言える。
早くも順応性が鍛えられたのだろうか?
受話器を取るのも手慣れたもので、さっと取ればすぐに「はい、一富士商事です」と。
まあ、こんなものと得意になってきた。用件をメモしながら決め台詞の様に「それでは」と言いかけたらゴトンと音がした。
「あっ。一番遠い所が!」
 鶴前さんの声にびっくりして顔を上げるとデスクの上を鶴前さんが走っている。当然靴は脱いでいるけど、そんな所を本当に走るとは思わなかった。衝撃的な光景だ。鶴前さんは一番端のデスクの上から電話機を本体ごと持上げると、何食わぬ顔で受話器を取った。
「お待たせしました。一富士商事です」
 凄い笑顔。この人こそ、プロだ。

『……もしもし? ちょっと、きみ?』
「あ、すみませんっ。で、では折り返し……後程折り返しますので」
 ああっ、また噛んでしまった。折角慣れたと思ったのに油断大敵だ。背中に汗をかきながら話し終えて受話器を置いた。

「ようやく、波が引いたね」
 目の前に前鶴さんがいた。デスクに座ったままで、僕が見上げる格好なのだが、その姿勢よりも緩めたネクタイが気になる。
「お疲れ様」
「あっ、はい、お疲れ様です」
 隙間のある襟元に目が釘付けだ。そのネクタイを直してみたい、そんな衝動にかられてしまいそう。
「じゃあ、電話のメモをください」
「はいっ」
 受けた電話のメモを渡すと、「あ」と小さいけど高い声をあげた。
「どうかしましたか?」
「西店のオーナーだ。大和さんに電話をしなくては」
 いきなり、僕の手をぎゅっと握った。
「えっ? つ、鶴前さん?」
「あ、ごめん。……じゃなくて、犬山くんが受話器をつかんだままだからだよー。この電話を借りていい?」
「す、すみません! ど、どうぞ!」
 うわあ、顔が熱い。恥かしいな。
「犬山くんって、さあ」
「は、はい」
「手も、大きいね」
 微笑まないで! 理性が吹き飛びそう。
しかし鶴前さんに手を握られた時、何の不自然さも感じなかった。これは大事だと思う。
 僕は生理的に合わない人だと、指が触れただけでも寒気がする。だらしない格好をしているとか、清潔感が無い人は受付けない。そんな人には元々近寄らないけど、万が一、肌が触れてしまったら鳥肌ものだ。
 鶴前さんはどうだろう。僕に触って嫌だと感じていないだろうか。それが気になるな。

一つ作りたいけどワオンは嫌かも。
二年前にイーバンクで口座を作った記憶があるのですが、
全然使えないうちに期限が切れました。
ネット通販にはまっているので、一つちゃんとした口座を持とうと思って調べたら、
なかなか良さそうなものを見つけたので貼っちゃう。

カード決済も楽だけど、怖いし。
口座はあったほうがいいよね…と悩む今日この頃です。


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テーマ:BL小説書きの日記 - ジャンル:小説・文学

ご褒美をあげよう。3
「ああ、また消さずに出かけたのか」
 鶴前さんがそう呟きながら画面をクリックした。
ひょいと前屈みになった姿を横から見ていてドキドキしてしまう。
落ち着け、自分。
前屈みになった所で相手が女性では無いのだから胸の谷間が見える訳では無い、何も覗けないのに、どうしてこんなにドキドキするのだ。

この調子ではバイトが続かないぞ。

「それは、営業の人のパソコンですか」
 手に汗をかきそうだ。
横顔を見ながら話しているだけで、これだ。
「そう、その人は僕の相方……で。仕事上でコンビを組んでいる営業担当のパソコン。いつも消し忘れて出かけるから、こうして皆に落書きをされるのさ」
 ほら、と見せてくれたデスクトップには黒い猫のイラストが描かれてあった。
「可愛いですね。もしかして鶴前さんが?」
「あはは、僕じゃないよ」
 ふっと噴出してから、妙に落ち着いた表情になった。

「僕は、あの人にそんな事は出来ないな」
 
 あの人? その言い方だと上司と部下みたいだ。
この営業担当は鶴前さんよりも年上の人なのだろうか。
「どんな人か、早くお会いしたいです」
「うん。……夕方には戻って来るよ」
 カチカチとクリックしてばかりいる。
消えないのだろうかと画面を覗いたら何も無い所をクリックしていた。
ぼんやりして、どうしたのだろう。

「あ、ああ。ごめんね」
 もしかして、僕の事を忘れていたのかな。
「仕事を始めよう。まずは……コピー機の用紙を確認して。補充は隣のキャビネットの中に在庫があるから」
「はい」
 事務の雑用か。この程度ならバイトを雇う事もない気がするけど。
「あ、十時になる。忙しくなるかも」
「え? どうしてですか」
 腕時計を見ていた鶴前さんは僕に頷いて、さっと何かをメモし始めた。
「僕にすべき事を教えてください」
「うん。電話が鳴ったらこの通りに用件を聞いて欲しい」
「電話ですか? いきなり、僕が取っても大丈夫ですか?」
走り書きされたメモを見てにやけてしまった。
角張った癖字が個性的で可愛い。
「……読める?」
 心配そうに僕の顔を覗き込んだので、顔の近さに心臓が止まるかと思った。
「あ、はい、大丈夫です」
「良かった。じゃあ、お願いしますね」
 しかし、お願いされても大丈夫だろうか。
 僕はまだこの会社の取り扱う商品が何かさえ聞いていないのに、このメモには『後程折り返しますので電話番号を教えてください』とか、『具体的な事はわかりかねます』なんて、こんな受け答えで許されるのだろうか。
「不安そうな顔をしないで。この部屋には電話が五台あるからね。それを僕と犬山くんで応対しなくてはいけないのだよ」
「そんな、一斉に鳴ったりしませんよね」
「鳴るから、きみに来てもらったのだよ? 頑張ろうね」
 ぽん、と背中を軽く叩かれた。
わ、触られたとドキドキしたら、何故か前鶴さんも目を丸くして僕を見ている。
「凄い筋肉。見た目ではわからないものだね、びっくりした」
「そ、そうですか?」
「逞しくて、頼りになりそうだ」
「そんな事は……」

あなたが細すぎるのだ。
体にぴったりするスリムなスーツを着て、女性社員に妬まれないだろうか。
腰の位置が高いのが足の動きでわかる。
このすらりと伸びた足が華奢な体を想像させてしまう。
それに袖から覗く手首の細さにも目を奪われそう。
本人は無意識なのか、漂うこの魅惑的なフェロモンは正しく、華だ。
「電話の洪水、一時間は覚悟してください」
僕の心の中での賛辞を他所に、鶴前さんはデスクの隅にちょこんとお尻を乗せた。
横着な姿だけど、手元に電話を引き寄せているから何か考えがあるのだろう。

「このデスクの上を走ったらごめんね」
「はい?」





4話に続きます。エロが無いと更新が確実にできるから嬉しいけど複雑だ…



テーマ:BL小説 - ジャンル:小説・文学

ご褒美をあげよう。2 (BL小説)
「犬山くんは背が高いね。何か、スポーツをやっているの?」
「あ、高校生の時にバスケを……」
「かっこいいね」
「や、全然ですよ。僕は試合に出ても活躍しないし」
「そうかな? きみは男前だから目立ちそうだよ。女の子にモテたでしょう?」
 ニコニコしながら僕を見上げないで欲しい。
 僕と同じ男なのに、鶴前さんはどうしてこんなに可愛らしいのだろう?

「ぜ、全然です。モテませんよ、振られてばかりです」
「若いのに謙遜するのだね。可愛いなあ」
「か、かわ?」

 可愛いのはあなただ。そんなに余裕で微笑まないで。
しかしこれは、脈ありと思って良いかな?

「素直そうだし、良い子だね」
 子供扱いなのか! 少しショックだ!

「つ、鶴前さんは、おいくつなのですか?」
「歳? 二十五歳だよ」
「えっ。僕より五つも上なのですか?」
 とてもそうは見えない。童顔なのか。
「犬山くんは二十歳だったね。そうか、五つ上か。そう言われると歳の差を感じるなあ」
 親指を唇に当てて、むう・と考え込んでいる。これは子供の仕草にしか見えない。
 ブランドのスーツを着たお兄さんのする仕草ではないぞ。
鶴前さんは天然なのか、それとも計算か? 
いや、計算が入るはずがないな、元がこんなに可愛らしいのだから小細工は要らないだろう。
動揺を隠せない僕の隣で、鶴前さんは小さなため息をついた。

「年の差なんて関係無いよ」
 
それはどう受け止めたら良いのだろう?
五階に着いて開いたドアから出ると、鶴前さんが僕をまた見上げてきた。
「僕の事は兄だとでも思って、何でも気軽に聞いてね」
「ありがとうございます!」
わからないことは何でも聞いて教えてもらおう。
早く仕事を覚えて、鶴前さんに誉めてもらえる様に人一倍努力しよう!
小さくガッツポーズを決めて、鶴前さんの背中を追う。

案内された営業部は誰もいなくて、がらんとしている。
しかし何故かデスクの上のパソコンが一台起動したままだ。


3話に続くのでありんす。
ご褒美をあげよう。1
大学生をバイトに雇う商社なんて、ありえないと思い込んでいた。
しかしネットでたまたま見つけた商社の求人広告に<学生歓迎>とある。
興味を引かれてアポを取ったら、即採用が決まった。
余程人手不足なのかと不安だけど、社会勉強になるし、この経験が将来の役に立つかもしれない。そう思って自社ビルを持つこの商社のドアを開けたら、いきなり運命の出会いを感じてしまった。
 
それはドアを開けた僕を笑顔で出迎えた。
受付の綺麗なお姉さんが霞む程、アイドル張りの笑顔の男の人に目を奪われた。

「おはようございます。犬山くんですね?
部長から話は聞いています、お待ちしていました」
 
ブランド物のスーツを着た若い男の人だ。
 
僕より頭一つ分背が低いので、見上げる表情に吸い寄せられそう。
飴玉みたいに大きな瞳に、ウルフカットした茶色い髪のせいなのか、一見すると繁華街を歩く今時の若者で、僕とは歳があまり変わらないようだ。

「犬山くん、だよね?」
 
しまった。返事をしていなかった。ぼんやりとこの人を見つめてしまった。

「は、はい。犬山ケンタです、よろしくお願いします」
 
深々と頭を下げると、受付のお姉さんが噴出した。
「可愛い」と呟かれたけど、僕よりもこの人が断然に可愛いだろう。

「あ、そんなに固くならなくてもいいですよ。
僕は鶴前ハルです。きみの教育係を担当するので、よろしくお願いします」
 
この人が僕の……上司になるのか。
これはやっぱり運命だ。
初めてのバイトに挑む僕に神様が用意してくれた最高の贈り物だ。

「つ、鶴前さん。よろしくお願いします」
「こちらこそ」
 
何気なく微笑まれただけで、胸がキュンとする。
小さな顔を引き立てている仕立ての良いスーツ。
きっちり締められたネクタイにもドキドキするなんて、僕は一体どうしたのだろう。
運命の出会いだ。
こんなに可愛らしい鶴前さんと仕事が出来るなんて、きっと毎日が楽しくなる。
そんな予感で胸が高鳴るよ。

「営業部の皆に紹介したいけど、生憎朝から全員出かけていてね。早速だけど僕と事務処理をしてくれるかな?」
 はい、と大きく頷くと、細い背中について歩き、エレベーターに乗り込んだ。

「五階、と」
 まるで蝶々が羽根を休めるよう。
しなやかにボタンを押した長い指を、ドアが閉まりきるまでじっと見てしまった。

「どうかした?」

「あ、いいえ」
「犬山くん、緊張しすぎだよ。顔が赤い」
「え、これは」
 あなたを意識してしまうからだとは、さすがに言えない。
初対面でそんな事を言ったらおかしな奴扱いだし、バイト初日からやる気が無いのか? と思われてしまうだろう。
下手をすれば即クビだ。

「僕しかいないから、気を緩めていいよ」
 
緩められない。
気になる人と二人きりなんて勘弁して欲しい。
狭いエレベーターの中で自然と体が近寄ったせいか、鶴前さんの唇に艶がある事を発見した。
リップクリームでも塗っているのかな。
さりげなく横目でちらちらと見てしまう。
そのプルンとした唇で、好感度は更に上昇だ。
 
隣でドキドキしている僕に気づいたのか、ふいに鶴前さんが見上げてきた。



2話に続くのでありんす。長くてすみません。

テーマ:BL小説 - ジャンル:小説・文学