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2006.10.16 流れ星。4
結構、大胆だったりするんだ。
ここにいるのは俺だけじゃないのに。久実もいるのに。
もしかして俺しか見えてないのかな・・?
俺のほうしか見ていない瞳に捕らわれそうなんだけど。

「別に、付き合って欲しいとかじゃないんです。ただ、俺の気持ちを聞いて欲しくて。こまらせるつもりはなかったんです。」
「困ってないよ。驚いたけど。」
俺は思ったままに答えた。
1対1で告られても、同じことを言えたかわからないけれど。
今はとにかく理真を皆の前で、道化者にしたくないから。
「え~・困ってないの?」
「久実は黙ってろよ。」
気持ちを察しろよ。
理真が真剣に告ってるなら、聞いてあげないと。
でも元々はおかしくない?
同性だし。

「あの、杏さん。杏さんにとって、俺はどんな位置にいますか?それを聞かせてください。」
今頃緊張してきたのか、声が震えている。
そんなに真剣なの?
俺のことを?
「理真は・・・バイト仲間で。」
「それだけですか、やっぱり。」
「頼りになりそうだし。ほら、昨日・・・助けてくれたから。」
「あのとき、俺は正直気持ちをぶちまけたかったんです。前から杏さんが好きだったから。
仕事を真面目にこなしている姿が、きらきら輝やいて見えるんです。
靴のこともよく知ってるから頼りになるし。尊敬してるし。
抱き上げたときに、軽くて。いい匂いがして。」
「あの。あのさ、理真?」
久実が頭を抱えてる。
それどころじゃない、不審な動きに他の連中が気づいてこっちを見てる。

「すっごく好きなんです。」

「わかったから、場所を変えて。お願い。」
「俺はかまいません。杏さんの気持ちを聞きたいんです。
言ってくれなきゃ動きません。」

頑固だったのか。
真面目だな~とは思っていたけど。
「あのう・・。バイト先でもいい?ここでは言えない。突然だったから。」
「あ、はい!待っています。」
といいながら、動かない。
やっぱり言わないと動かない・・。
呆れた俺に、

「杏さん。俺のこと、好きになってくださいね。」

自分に自信があるのかな。そんなに言い切れるものなのかな。
俺は、どきどきしてきた。
後輩・しかも同性からの告白かあ。
箱に落ちた俺を助けたあの日から始まったと思ったら、もっと前から俺を見つけていたのか。
どうしよう、すごく嬉しいんだけど。

子供の頃に、流れ星を探して一晩中夜空を眺めた日があった。
何を願おうとしていたのか思い出せないけれど、その日は流れ星がひとつも見えなくて・見つからなくて。
しょんぼりしたことだけ覚えてる。

探そうとするから見えなくて。
探さなくても、気づけばそこにあるキラキラしたもの。
「杏さんの輝いてる姿が、大好きなんです。
俺じゃあ、支えになれませんか?」

理真のまっすぐな気持ちが、俺の欲しかったものなのかな。
ここまで俺を好きと言われたら。
見つけてくれたなら。

「俺は輝いていないけど。理真と、夜空が見たいなあ・・。」

「え、俺でいいんですか!ほんとですか!!いいですよ、夜空ならいくらでも付き合います。」
そんなに嬉しがってくれるんだ。
「実は一昨日。俺、流れ星を見たんです。お願いしたんですよ~。
願は叶うものなんですね!杏さん。
これって、何処にお礼を言えばいいんですか?」

「・・知らないよ!」
顔が赤くなってしまった。
お願いしてくれたんだ、俺なんかのこと。
ああ、きみにお礼を言わなくちゃ。
でも少し待っててね。どきどきが治まらないんだ。
まともに顔が見れないや、昨日みたいに箱に隠してくれないかな。


おわり。いつもありがとうございます。











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2006.10.15 流れ星。3
「あ、でもいいです。またあとで!」
理真が逃げるように走り出した。
なんだよ、あれ・・。
「どうかしたのかな。あ、あれが同じバイトの・・。」
隣の久実に紹介しようと名前を言いかけて、ひきつった。
ずっと理真の後姿を睨んでいる、そのものすごく不細工な顔ときたら・・。
「どうかした?」
「ああいうのが好き?」
「ああいうって・・?」
「今の子、絶対杏のことが好きだ!俺にはわかる。」
なにを言い出すんだ。ふざけるにもほどがある。
「いい加減なことを言うもんじゃないよ。理真は真面目な子なんだよ、そんなわけがあるか。」
「・・・真面目だからこそ危ないよ。」
今度は俺が睨まれた。
「どうして人を睨むの?よくないよ。」
「杏がわかっていないからだよ。いつも一緒にいるのに、なにもわかってくれていないんだ。」
なにをそんなに怒れるんだろう。
「・・・口にコロッケが付いてるよ・・?」
こわごわ注意したら
それを舌で舐めながら、「本当にわかってないんだね。あんな子供に捕られる位なら・・我慢している場合じゃないな。」
「なんのこと?」
「俺・・。」
じわじわと久実がからだを寄せてきた。近い、なんだろうこの嫌な感じ。
嫌な汗をかきそう、コロッケで光る口元が怖い、なんだか・・近付いてるの??
もう突き飛ばさないと、怖い!
手に力をこめたときに、

「杏さん!」

いきなり大声を出されて驚いた。
久実も水をさされたように、呆然としている。
動かないうちにさっと離れた、助かった。
「な、なに?理真、」
俺も大慌てだったけど、理真も・はあはあ息を切らせて、戻ってきた様子。
よくわからない奴がもうひとりだ。
「どうした・・?」
「俺じゃダメですか?」
「なにが?」
「俺では役不足でしょうか?」
「だからなにが??」
「・・俺、杏さんが好きなんです。」

そういうのって、少しは顔が赤くなるものじゃないの?
ふざけてるよね?そうだよね?

「あのさ、理真?」
「はい!」
元気な返事だ。バイトしてるみたい。
「俺、男なんだよね。」
「はい、知っています。」
そうだよね、知ってるよね・・昨日今日の知り合いじゃないもんね。
じゃあ、
「・・どうして?」
「なんでだか・・杏さんがすきなんです・・。気になるんです。
傍にいたくて、あの・・・昨日の件のせいじゃなくて、前から。
前からずっと、そう思っていたんです。俺じゃあ、役不足かもしれませんが、杏さんが困ったときに・・力になりたいし。
その・・なんていうのか・・すごく好きなんです!」


2006.10.13 流れ星。2
たしか年が1つ違うだけだよね。
で、学年が1つ違って俺が2年で理真が1年。
それだけなのに敬語を使われるなんて距離を感じるなあ。

学校でも思い出してため息ついてしまう。
恥かしい所を見られたし、敬語かあ・・馬鹿にされてそう。
水色の空。雲ひとつない秋の空。
くよくよしてしまうのは秋のせいだと言ってくれない?
長袖でないと肌寒い、この風のせいだと教えてよ。
ねえ、お日様・・。
ああ、へこむ・・。
「どうかした?杏。」
友人の久実が、コロッケパンを食べながら聞いてきた。
「なんでもないよ。・それ、油っこくない?」
「あんぱん食べてる杏に言われたくないなあ。」
けらけら笑って、いきなり真顔になった。
「杏さあ。甘いものは苦手じゃなかったっけ?」
「あ、そうだっけ・・?」
「いつから食えるようになったの、菓子パン。」
「バイトの休憩時間におやつでもらってから・・食べてるなあ。」
バイトか~と久実がつぶやいた。
「なんだか楽しそうだなあ。杏をバイトにとられた気分だよ。」
「とられたって・・?」
「俺がすすめたってメロンパンを食べてくれなかったことを、いまだに覚えてるんだよ。1ヶ月くらい前だよね?
メロンパンを食べられないなんて、この甘さを知らないなんてかわいそうなやつだと思ってさ。なのにさ~・・・・バイトであんぱんもらって食べてるなんて・・ショック。」
ぽすっと頭を肩に乗せてきた。
うざい。だけど、そのままにしておいた。
大体、久実が何故ショックなのか・よくわからない。
こうしてお昼は毎日一緒に食べて、帰りも途中まで一緒。
周りに誰もいなければ、今みたいにひっついてくるし。
「バイト先に、誰か知ってるひとでもいる?」
「あ~。1年の子。」
「後輩?だれ?だれ??」
異様に食いついてきたな・・。
なんだろう、この態度・・。
「・・名前忘れた。」
「覚えてこいよ。顔が見たいから・」
調べるつもりだったのか?
ますますわからないな~、こいつ。
もしかして危ないのかな。

「杏さん、」
声に気がついた、あわてて久実が離れた。
「あ、す・すみません・。」
同じ制服を着た理真がいた。
「お取り込み中だったんですか、すみません、失礼します!」
逃げ出そうとするから呼び止めた。
「お取り込みじゃないから。どうした?学校で会うなんて初めてじゃない?」


2006.10.11 流れ星。1
つま先立てて、手をまっすぐに伸ばしても届かない。
もう少しなんだけど・・。指先がようやく・かする。
天井近くに積まれた商品の入った箱を取りたいのに届かない。
しょうがないから床に転がるダンボールを足場にしようと思って、乗ったら  落ちた。

まさに在庫商品に埋もれる。
「いって~。」
いくら靴の大きさが知れてるとはいえ、からだに角が当たると痛い。
ひとに見つかる前に、ダンボールから脱出しなくちゃ。
脚だけが箱から顔を出している状態、なんとも格好悪い。
腰に当たるのは靴の空箱みたい。助かった、中身が無くて・・。
それに誰もいなくてよかった・・と思ったら。

「大丈夫ですか!」

声がした。見上げたら、バイト仲間の理真の顔があった。
ダンボールに落ちた姿なんか見られたくないのになあ。
「あ、大丈夫。落ちただけ。」
手をひらひらと振って笑って見せた。
よいせっと、腰を浮かせたら足場が無いからずるりとまた沈んだ。

「出れますか?」

なんてことを聞くんだ、きみは。

見た目は笑顔を取り繕っているけれど、恥かしくて卒倒しそうなのに。
「杏さん。捕まってください。」
きみが腕を伸ばしてきたから驚いた。
「いいから。大丈夫だよ、」
断ったのに、今度は俺の体を埋める靴の空箱を取り出し始めた。
がさがさと一心不乱に箱を取り出しては床に投げる。
まるで発掘されてる気分なんだけど・・。
「あの、杏くん。大丈夫だから!ありがとうね。」
ようやく体がまともに動けるようになって、恥かしくてまともに顔が見れない。
ああ、とんだ恥さらしだ。
がさっと音を立てながら箱から脱け出そうとしたら、そっと抱き締められた。
「は?」
なんだろう、この感覚。
なんだろう、どうしてだろう。
どきどきしている音が聞こえるんだ・・。

「大丈夫ですか?」
きみの顔が近くて。
「なんとか出れましたね、よかったです。」
抱き上げてくれたのか・・。
「ありがとう・・。」
ちょこんと頭を下げたら、慌ててる。
「そんな。お礼を言われるようなことはしていません、それに、
このことは誰にも言いませんから!」
真面目だなあ。
こんな子が世の中にいたんだ。
恥をかいたのは俺なのに。どうして顔が赤いんだろう、きみは。
その赤いのが伝染しそうなんだけど。


バックヤードで発掘されたのは、俺自身。
きみに見つけられてから、日常が変わる予感がしたんだ。

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