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「体が…セックスが目的だとばかり思っていました」
 大貴がドアを閉めるとすぐ側に隼が立っていた。
壁に寄りかかりながら自分の爪を眺め、大貴とは目を合わせない。
「初めてミスをしたときに『体で返せ』と言われて、それがセックスのことだと思いました」
「隼、それは…」
 大貴としては『働いて返せ』の意味だったのだが、それを隼に言っていなかった。
就業後に隼が現れてトイレに連れ込まれ、さっさとスラックスを脱いだあの日を大貴は忘れられない。
「からかわれているんだなと、ずっとそう思っていたのに。僕を愛しているんですか」
「…正直に言うとセックスをする前は問題児だと思っていたよ」
 大貴は眼鏡を直しながらつぶやいた。
「でもセックスをしてからは独占したくなった。俺は女性は苦手で交際をしたことがない、だから隼にもどう対応していいのかわからなかったよ」
「不器用な人だ。職場も失ってどうする気ですか?」
「なんとかなるさ。バイトでもしながら就活だ」
 すると隼が吹き出した。
「なんだよ?」
「まあ、エレベーターに乗りながら話しましょうか」
 
 隼に誘われてエレベーターに乗り込むと「膝を折ってください」と隼が言う。
なにかわからずに大貴が膝を折ると、隼が顔をつかんでキスをしてきた。
それは挨拶のようなものではなく、互いの舌が絡み合い、吸いあうキスだった。
「は、隼」
 大貴は唇を離して隼の顔を間近で見た。
「近いな、大貴さん」
「おまえが顔をつかんでいるからだろう」
「ふふ。僕はあなたについて行きますよ」
「えっ?」
「社長に対峙してくれた、これだけでもあなたを信じる理由になる」
 そして再びキスをした。
まるで飢えていたかのようにキスを続ける隼に、大貴は面食らってしまう。
「これ、エレチューって言うんですよ。エレベーターでチューをするから」
「あのな、隼。誰かが入ってきたらどうするんだ」
「そうですね、まあでも…いいかな」
 なんと隼は大貴にしがみつき、息がかかる距離で見つめてきた。
「抱けますか?」
「ここで?」
「あなたなら5分もかからずに僕をイかせてくれる」
「…最後の仕事くらいちゃんとさせろよ。就業後にまた会おう」
「真面目だ。そんな人が僕を好きなんて、凄いことですね」
 5階でエレベーターが開き、大貴は下りた。
「隼、また後で」
「はい。そうしましょう」
 隼が手を振るのを見て、大貴はうなづいた。

 大貴が経理部に戻ると、早くも解雇の噂が流れていた。
「南くん、社長に逆らうなんてどうしたんだ。魔が差したのか?」
 部長が心配そうに声をかけるが事情は話せない。
「どこの会社でも社長に追随しないものは落とされる。これから気をつけるんだな」
「はい。お世話になりました」
 ブラウスのボタンを開けている女性社員が泣きそうな顔で大貴を見ていた。
自分に好意を抱いていたのだろうかと大貴は申し訳ない気分になった。
だが、声はかけられない。
女性はやはり苦手なのだ。

 大貴は身の回りの整理を始め、私物を箱に入れると丁度定時の時間になった。
「部長、今までありがとうございました」
「まあ、こういうのもあれだけど、新しい会社でも頑張れよ」
「はい」
 部長たちはぞろぞろと部署を出て行く。
それを見送ったころにエレベーターが開いて、隼が経理部に入ってきた。
「挨拶は済ませたのか?」
「ええ、もちろん」
「営業部でも噂になっていたのか」
「蜂の巣を突いたような騒ぎでした。でも僕は弁解をしませんでした、さっさと退職願を出しましたし」
 大貴は隼の強さを垣間見た。
「ねえ、大貴さん。僕と一緒に住みませんか?」
「おまえも1人暮らしだったのか?」
「いいえ、親元です。だから大貴さんの部屋に行きたい」
「…俺のことを信用してくれるんだな」
「もちろんです」
 隼はようやく笑顔を見せた。
「帰る前に…抱いてくれませんか?ここで」
 大貴が「えっ?」と聞き返すが隼はスラックスのジッパーを下ろした。
「あなたのことを思うと、体がうずくんです」
「…隼!」
 大貴はデスクに隼を押し倒すと、その茎をつかんで扱き始めた。
「あ、あ、ああん…そんなに強くされるともういっちゃいます」
「隼、俺は隼が好きだ。愛している」
「もう、何回も聞きまし…ああん!やだやだ、大貴さん、いつもより凄い!」
 のけぞる隼は早くも爆ぜた。
「大貴さん…」
 指をくわえながら大貴を見るその視線に大貴の理性は飛んだ。
急いで自分の茎をさらけ出すと、隼のスラックスを下着ごと脱がせて荒々しく秘部を指で探った。
「んっ、大貴さん」
「今日は嫌がらないな」
「慣れましたから」
 ふふと笑う隼に、大貴は翻弄されそうだ。
茎を挿入して奥まで到達すると、いつもより力強く抜き差しを始めた。
「あ、あ、くうううん。大貴さん、凄い…」
 隼もいつも以上に甘い声で喘ぐ。
それが大貴を急きたてるのだ。
「隼、隼が欲しい」
「僕もあなたが欲しいです…もっと擦ってください」
 求め合うセックスは長引き、隼の股間は白く濡れていた。
「あっ、ああっ!」
 隼が大貴にしがみつき、腰を大きく揺らした。
それだけでも感じるようで、隼は「ああん」と喘ぐ。
「隼、一緒に住もう。だけどその前に就活だけどな」
「ん、その話は後にしてくださいよ…興ざめだなあ」
 隼が頬を膨らませながら大貴のシャツのボタンを外してしまう。
「凄い胸板。もっと見たいです、脱いでください」
「それは…部屋まで我慢してくれ」
「ふうん。もったいぶりますか。僕には通じませんよ」
 まだ手を伸ばしてくる隼に、大貴は突き上げを始めた。
「あ・あ・あ・いい感じっ。大貴さん、だい…」
 がくんと隼が落ちたとき、大貴も中で爆ぜた。
2人は大きく呼吸をしながら互いの体を見た。
「こんなに汚して…すぐに拭いてやるから」
 大貴は隼の股間を拭きながら、また欲情してくる自分に気付いた。
それを見抜けない隼ではない。
「もっとしてもいいですよ?」
「続きは部屋にしよう。あんまり頑張ると足腰が立たなくなる」
「そうですか?じゃあ、僕もそこまで我慢します」
 
 2人が外に出たのはそれから20分後だった。
見上げる夜空には星が瞬いていて清清しい気分だ。
「本当に一緒に住んでいいんですか?」
 隼の問いかけに大貴はうなづいた。
「ようやく俺のものになった気がするなあ」
「ふふ。初めからあなたのものですよ。これでもひと目ぼれしていたんですからね」
「えっ?」
「大貴さんはクールですよ。だから惹かれていました」
 嬉しい言葉を受けて大貴は隼を抱き締めた。
往来のない歩道でよかったが、急に抱き締められた隼は戸惑っている。
「部屋まで我慢でしょう?」
「そうだったな」
 大貴は苦笑いをして歩き出した。
隣には隼がいる。
「僕も愛していますよ、大貴さん」
「ありがとう」
 照れながら歩く2人は街灯の光をあびて輝いていた。
大貴の部屋はもうすぐそこだ。


終わり

読んでくださってありがとうございました


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 大貴が握った隼の手首は思いのほか細く、力を入れたら砕けそうだった。
この手首を離さない、大貴はそう決めて階段を駆け下りる。
「待ってください、僕には関わらないほうがいいんです!」
 隼が制しても大貴は聞かなかった。
「あなたを巻き込みたくないんです、わかってください」
 その言い方で大貴は隼の変化に気付いた。
自分を意識しているとわかったのだ、これだけでも大貴は社長にケンカを売る勇気が湧く。
「隼のためなら、俺はなんでもする」

「なにを言っているんですか。あなたが今まで築いてきた地位も名誉もなくなるんですよ?」
 大貴は隼を見返って口角を上げた。

「男が守るものは自分の地位や名誉だけじゃない。惚れた相手も守るべき対象だ」
「えっ…」
「俺が守るから」
 隼は大貴を見上げながら目を潤ませた。
「止めてください。何度も言いますけど大貴さんの築き上げたものが全部なくなってしまうんですよ?」
「構わないよ。それで隼が俺のものになるのなら」
 大貴の言葉に隼は肩をびくりと震わせた。
しかし返答に困ったのか口を閉ざしている。
「隼は俺に好意はない?」
 大貴は声を落として聞いた。
「あります、だからこうして…」
「それで十分だ。ありがとう、俺のものになればいい」


 大貴はとうとう社長室の前まで隼を連れてきてしまった。
呼吸を整えてノックを2回すると「どうぞ」の声がする。
「失礼します」と言いながらドアを開け、一礼した。

「とうとう来たか。経理部の南大貴くん」
 社長はソファーにもたれたまま、目線だけ向けてきた。
「瀬田隼を異動させたのが不満かな?人事異動は私に権限がある、それを覆そうとするのは実に愚かなことだ。南くんはこの会社を辞めるつもりでもあるのかね?」
 ストレートな言い方に大貴は言葉を詰まらせた。
「出る杭は打たれる・という言葉を知らないのか。出すぎた真似は止めてもらおうか」
 社長はコーヒーを一口飲んで、ふうと息を吐いた。
「きみだって生活がかかっているんだろう?この会社にいたいのなら今すぐここから出て行くんだな」
「社長、お言葉ですが」
 大貴は腹を決めた。
辞職覚悟で挑まなければ勝てない相手だと悟ったのだ。
「正直に申し上げます。瀬田隼との交際を止めてください」
「ほお?率直だね。しかし、人の恋路を邪魔する奴はなんとやらだぞ」
 社長の鋭い目は大貴に向けられた。
こけた頬や骨ばった指を見ると、大貴は自分とは違う生き物と対峙している錯覚を覚える。
「隼は私のお小姓みたいなものさ。しかし私は隼を愛し、隼もまた私を愛している。なあ隼?」
 大貴をにらむ目が穏やかになり隼を見つめた。
「隼?」
 社長は念を押すように隼を呼ぶ。
大貴はここで隼が「そうです」と言ったら自分がどうでるか考えていた。
しかしうまくまとまらない、もしかしたら頬を打ってしまうかもしれないとさえ感じた。
「隼、答えなさい」
 社長は早くも痺れを切らしたようだ。
隼は社長を見ながらも口を閉ざしたままなのだ。

「今までお世話になりました」

「えっ」

 なんと大貴の隣で隼が頭を下げている。
大貴はこの展開は予想をしていなかったので、驚くばかりだ。
「今回の件で僕は責任を取って辞職します」
「な、なにを言い出すんだ!私がせっかく上手くまとめてやったのに!」
 さすがに社長が慌てて立ち上がった。
「債権は回収できる。だから隼が辞める必要はない!」
「それは感謝しています…ですが、ここにいても僕は人間としての成長は見込めないと思いました」
 隼は自分でもわかっていたのだ。
社長の愛人扱いを受ければ確かに順風満帆な生活を送れるだろう、だがしかし、それは長くは続かないものなのだ。
 もしも社長になにかあれば、自分が築いてもらった地位から滑り落ちることも予想したのだ。
人一倍社会的地位にこだわる隼だからこそ、架空の地位は認めたくなかったのだ。

「退職願は部長にだします。それでは失礼します」
 隼が出て行こうとしたその背中に社長が抱きついた。
「行かないでくれ。欲しいものはなんでも与えたじゃないか」
 骨ばった指が愛しそうに隼の腰を撫でている。
「隼が欲しいんだ、わかるだろう?」
 その指を隼が払い除けた。
「どこかの会社で1から出直します。僕だってプライドがあるんですから」
 隼は床に伏せた社長を見向きもせずに社長室を出た。
残された大貴は社長を持上げてソファーに座らせると「上司に反抗した自分も罰を受けます」とだけ言い残して社長室を出ようとした。
「南くん、待ちなさい」
「はい?」
「きみは…隼が好きなのか」
「違います。愛しています、自分は隼を守りたい気持ちでいます」
 すると社長が鼻で笑う。
「きみよりも気が強い隼を守るだと?笑わせてくれる」
 確かに土壇場での隼はたくましかった。
大貴よりも肝が据わっていた。

「2人とも出て行くがいい」
 社長はそう言うと手を払った。

10話に続きます







 帰宅した大貴は隼の体の感触を思い出し、眠れない一夜を過ごす羽目になった。
あの反り返った上半身、挿入するときは必ず嫌がるくせに奥まで誘う腰の動き。
だがセックスの相性がいいだけではなく、隼の会社に殉じる性格にも惹かれていた。
 同じ男だ、出世の道があるのならそれに賭けたい気持ちもわかる。
しかし方法を間違えていないかと、隼のことが心配だった。
 60を過ぎた男に抱かれて出世するなんて、今まで真面目に勤めてきた自分の立場がない。
憎らしいが、愛してしまった。
もはや自分にはなにもできないのかと、大貴は1人で悩んでしまった。


 翌朝、いつものように朝礼が行われ、隼が社訓を読み上げる。
しかし周りの空気がどことなく違う。
違和感を覚えた大貴はなにげなく腕を擦った。
「社訓を読んでいる場合じゃないだろうに、よ」
「まったく、どうするつもりか」
 営業部の集団から声が漏れ聞こえた。
なにごとだろうと耳を澄ますと、例の15日〆の会社が倒産したようなのだ。
大貴は寒気を感じた。
これは隼の落ち度になる、なんとか救える方法はないものかと今までの事例を思い出す。
――今までなら取引先が倒産した場合、部長クラスと総務が駆け回り、情報収集を行い、債権回収のために説明会に赴くことになる。
 こんなにのんびりしていていいのだろうかと大貴はふと思った。
自分は経理部なので直接関わるはずであり、しかしその説明が無いのもおかしいとさえ感じる。
 思案に耽っていると社長の拍手が響いてきた。
「今日も良い読み上げだった」
 いつものように社長はご機嫌だ。
隼を隣に立たせて「今日も1日、よろしく」と朝礼を終らせた。


「あの会社が倒産って本当ですか?」
 経理部に戻った大貴が部長に聞くと「そうらしい」とだけ返ってきた。
「手を打ってあるんでしょうか」
「社長が自ら赴くそうだ。私達は通常業務に励むよう言われている」
「…社長が…そうですか」
 一社員の隼の失態を社長が尻拭いをするなんて普通では考えられないことだが、これが守られているということなのだろう。
 自分は隼に対してなにもしてやれない、この立場の違いに大貴は力を失くした。
 昨日あんなに「社長と別れて欲しい」と言っても隼がうなづかないわけだ、隼は身を差し出して会社での地位を死守しているのだろう。
 しかしこれでは営業部が黙っていないだろう、そう思った大貴は請求書の確認を口実にして営業部に向かった。

 営業部は意外なほどに静かだった。
「瀬田はいませんか?」
「あら、南さん。瀬田くんなら社長に同行して説明会に出かけていますよ」
 一足遅かったようだ。
「もうご存知ですよね?瀬田くんが拾ってきた会社が倒産したって」
 女性社員は自分の手入れされた爪を見ながらつぶやいた。
「ええ、知っています。社長が出られたということは債権は回収できそうですね」
「それならいいんですが」
 債権を回収できなければこの会社の損失になる。
大貴はその会社に対しての請求額を確認し、営業部の部長に進展があれば教えていただきたいと伝えた。
「ああ、勿論だよ。南くんにも迷惑をかけそうで悪いね」
「いいえ、仕事ですから」
 隼に会えないなら長居は無用とばかりに大貴は営業部を後にした。

 昼過ぎに社長と隼が帰社し、すぐに社内会議が開かれた。
大貴もそれに参加して「債権回収が約束された」と報告を受けた。
皆が安堵したとき、社長は隼の人事異動を発表した。
なんと営業部から総務への異動だ。
これでは自分との接点がなくなってしまう、大貴は焦りと苛立ちを覚えた。
「うちの会社は社長のワンマン事業だからなー。助かったな、瀬田の奴」
 営業部の人たちが納得したようでうなづいている。
「普通ならクビだろう?お気に入りは命拾いをしたな」
 大貴は隼がそれを了承したのか疑った。
昨日、確かに社会的地位が欲しいといったのは隼だ。
総務にいても出世は見込めない、それどころか下手をうてば1日中社長の手の中だ。
 
 会議を終えると大貴は皆の前で隼の腕を取って会議室を出た。
「な、なんですか?南さん!」
 隼は嫌がりつつも腕をふり払わずについてくる。
その行動に、大貴は今なら隼は自分の気持ちを受け入れられると信じた。
 大貴は経理部に隼を連れ込むと請求書を見せながら仕事をしているふりをした。
そしてメモに「それでいいのか?」と書いて隼に渡す。
すると隼はメモを握りながら「これは罰です」と小さな声で返事をした。
「罰?」
 大貴が聞き返すと隼はメモになにやら書き込んで大貴に渡す。
それには「あなたのいうことをちゃんと聞かなかったから」と書いてあった。
「これで僕はカゴの鳥です。もう自由はないでしょう」
「隼、今からでも遅くはないぞ」
 大貴は隼を連れて社長室に向かった。
背中越しに「南くん、どこにいくんだ?」と部長の声がしたが、大貴は振り返る余裕がなかった。

「大貴さん、なんのつもりですか?」
 不安げな隼に大貴は「別れてもらう」とはっきり答えた。


9話に続きます




 


 ボタンを外したシャツではうずく体を隠しきれない、隼は懇願するように目を潤ませた。
「会社の鍵は総務から僕が預かっています。確かに誰もいませんがこんなところでするのはちょっと…」

「誰もいないならここで抱きたい」

 大貴は自制ができなかった。
隼のシャツをめくり、隠れていた胸を撫で上げて鎖骨に触れた。
「んっ」
 のけぞる隼を抱き寄せながら首筋も撫でて、そこにキスをした。

「あ、跡が残っちゃいます!」
「残るようにしているんだ」
「そんな…あ、もう、困った人だ」
 隼は大貴に吸われた首筋に手を当てた。
そして頬を膨らませて大貴を見上げる。

「僕はまだあなたのものではありませんよ」
「今日から俺のものにしたいんだ。後でなにが起ころうとも俺は瀬田が欲しい」

「…社長が怖くないんですね?」
 
 隼が思わせぶりなことを言う。
自ら社長とは関係があると告白したようなものだ。
「職を失いますよ」
「おどしたって効かないぞ。俺は本気だ」
「…男らしい。それなら僕を惚れさせてください」
 隼はベルトに手をかけてスラックスをすとんと踵まで落とした。
そして下着を脱ぐと興奮している茎をさらけだした。
「感じていたのか」
 大貴は嬉しさを隠せない、思わず笑みがこぼれてしまう。
こうなるといつものように挿入するだけでは満たされない、愛撫したいと手を伸ばすが隼は片膝をついた。
「南さんの茎を見せてください」
 そしてジッパーを下ろして大貴の茎を取り出すと、何を思ったのか靴を脱いでつま先立ちになり、
両手で互いの茎を合わせて扱き始めた。
「あ、ああん、やっぱり気持ちがいい…」
 大貴は積極的な隼に動揺したが、茎は正直だ。
すぐに勃起して隼の茎とは比較にならない大きさになってしまう。
「すご…気持ちいい、南さんたらもうこんなになっちゃって。そんなに僕が欲しいんですか」
「おまえだって、そうなんだろう?」
 大貴は顔を寄せて隼の唇を奪う。
そして舌を絡めあい、唾液を吸った。
「ん、ん…」
 隼の苦しげな声が時折耳に届くが、大貴はキスを止められなかった。
体を反らず隼を支えながらようやく唇を離すと真面目な顔になった。
「愛しているんだ、それをわかってほしい」
 そしてまた唇を重ねて焦らすように下唇を舐めて唇で挟んだ。
すると大貴の股間に何かが当たる。
キスを止めて下半身を見ると隼の茎が勃起していた。

「キスで感じるのか。幼いな」
「南さんのキスが長くて焦らすからですよ?」
 言い返す気の強さも大貴は気に入った。
「先にいかせてやる」
 大貴は自分も我慢の限界を感じているのに、隼の茎を扱いて爆ぜさせた。
そして濡れた指を隼の秘部に突っ込んで広げようと激しく指を動かした。
「あ、あ・あ、や、やだっ!」
 隼は口で抗うが、慣れているのか腰を動かす。
それが大貴には悲しく映る。
場慣れしていることがはっきりしたからだ。
 しかし社長との仲を羨んだりはしない、今日から自分のものになるなら過去は聞く必要がない。
「南さ…」
 隼が股間に擦り寄ってきた。
自分の精を大貴にこすりつけながら「たまんない…」と腰を震わせている。
隼の秘部も締め付けを始めていた。
「隼、愛しているんだ。わかってほしい」
「みな…大貴さん」
 すがるような目をする隼に大貴は「しがみつけ」と言いながらその両足を抱えた。
慌てて大貴の首に両腕をまわす隼に「それでいい」とうなづく。
そして隼の秘部に自分の茎を挿入すると、全身の力を使って突き上げた。
「いっ、痛い!や、やだ、なにこれ」
「バックよりも駅弁のほうがおまえの顔が見れて興奮するんだ」
「あ、いつもより深く入れてる!」
「入りやすいからな」
 大貴は動揺する隼をキスでなだめながら、ぐんぐんと突き上げる。
そのたびに隼が「ああんっ!」と喘ぎ、胸をこすりつける。
薄茶色の乳首が艶かしく大貴の目に映るが、今は挿入して突き上げたい・この欲望のみで動いていた。
「だ、大貴さんっ…」
 隼がまたしても爆ぜたが、大貴は構わずに突き上げる。
「も、もたない。下ろしてくださ…」
 隼ががくりと力を失ったので、さすがの大貴も慌てて茎を抜くと、ゆっくりと床に隼を立たせた。
しかし足元がふらついている。
「あ、もう…凄いんだから困ります…」
 隼は前髪をかきあげて大貴を見上げたが、突然むせて咳をした。
「大丈夫か?」
 大貴が背中をさすると「あなたが奥まで挿入するからですよ」と隼が微笑んだ。
そして力なく壁にもたれると開脚した。
「まだイけていないでしょう?来てください」
「隼…」
 誘われるままに大貴は再び挿入して今度は抜き差しを始めた。
「あ、あ、うんっ。いい、凄くいい」
 隼が喘ぐたびに大貴には力が宿る。
「あ、も・もう僕…」
 感じすぎたのか隼は心太状態で、精を放出した。
「気持ちいい…」
 
 床は精で濡れて月夜の光に怪しく輝いている。
それに構わず大貴は抜き差しを続け、ようやく爆ぜた。

「隼、俺は…」
 大貴が言葉を続けようとしたが隼にキスで口を封じられた。
「僕のことが好きなのはわかりました。セックスが気持ちいいですから」
 だが頬を赤くしながら隼は咳払いをした。
「社長と別れたら僕は仕事ができません。今の僕に社長は必要なんです」
「どうしてなんだ」
「僕が営業部のエースでいられるのも、社長が僕のとってきたどんな小さな取引でもとおしてくれるからです」
 そして隼はため息をついた。
「この関係だけじゃ、ダメですか?毎月末のようにセックスだけ…」
「セックスだけじゃないんだ。隼の全部が欲しい、だから付き合って欲しいんだ」
 隼は目を潤ませて「それは無理です」とうなだれた。
「僕も男ですから社会的地位が欲しいんです」
 その言葉に大貴は絶句した。
「情けないですか?それでもいいです。僕はあなたが好きですが、こればかりは譲れない…」
「隼、愛しているんだ。社長とは別れて欲しい」
 大貴はそれを繰り返すことしかできなかった。

8話に続きます
 
 腕を取られた隼は抗うこともなく、大貴を見上げた。
「なんのつもりですか?」
「話がしたい、このままじゃ俺は引き下がれないんだ」
「…今日は先約があります」
 断りつつも頬を染めるので大貴としてはそこにつけこみたい。
自分に対して好意があるとしか思えないのだ。
「社長と約束か?」
「答える必要はないと思います。そろそろ離して下さい、仕事に戻ります」
 大貴の期待を裏切るように隼は答え、そして腕を払った。
階段を下りていく隼を見送りながら、大貴は自分の無力さを思い知らされた。
 相手が社長なら奪う術がない。
しかし60を過ぎた男と愛を育んでいるとは到底思えない。
「…愛人か。それなら俺にも分がある」
 
 大貴はそうぼやくと会社を出てコンビニに向かった。
菓子を買ってくると言って出てきたからだ。
なにか適当なものをと探していると、なんと社長が現われた。
「お、お疲れ様です!」
 大貴は驚きのあまりに声が裏返りそうだった。
「ご苦労様。南くんだったね、経理部の」
「はい」
「きみが…そうか。下の名前は大貴かな?」
 社長が妙なことを確認してきたので大貴は首をかしげた。
「大貴ですが、なにか?」
「私の可愛い子がことの最中にきみの名を呼んだんだ。まったく興ざめだ」
「は…」
 大貴には話が見えない。
しかし社長は大貴から目を離さない。
「奪うつもりかもしれないが、私は譲らんよ」
 そう言うと社長はスポーツ新聞を買って出て行った。
大貴は頭を下げつつ、光が見えた気がした。


「南くん、あんまり遅いから心配したよ」
 部長がケーキを食べながら文句を言う。
「事故にでも遭ったんじゃないかって皆が心配でねえ」
「すみませんでした」
 大貴が素直に謝ると「しかしコンビニのケーキも悪くないね」と許してくれた。
「そういえば瀬田くんから内線があったけど、急用では無いと言っていたよ」
「瀬田からですか?」
 大貴の胸の鼓動が早まる。
少しでもチャンスがあればさらいたい子だからだ。
「どうするー?また伝票の再発行かもしれないぞ?」
「それはいけませんね、すぐにかけてみます」
 大貴は急いで隼に内線をかけた。
するとすぐに隼が出た。
『急ぎの用ではないのですが』
 妙に他人行儀だなと大貴が感じると『今日、空きました』とだけ言う。
「わかった。ありがとう」
 大貴は飛び上がらんばかりに嬉しくなったが部長の面前だ、平静を装い電話を切った。


 定時になり皆が帰る準備を始めた。
「南くん、今日は残業ではないだろうな?」
「すみません、明日の準備だけしておきたいので。30分後には帰ります」
「それならいい。今日、社長が残業をしないようにと言ってきたんだ。遵守しなければな」
「あ、はい」
 部長達を見送りながら、大貴は自分の素行が社長に見破られていると感じた。
隼がらみだ、知らないはずがないだろう。
 デスクに肘をつき、片手でパソコンを操作しながら大貴は自分の出方を考える。
社長から隼を奪えるのだろうか。
もしも奪えたとしたら間違いなく自分は職を失うことだろう。
相手が悪すぎた、とても戦える相手ではない。
 考えがまとまらないうちに経理部のドアが3回ノックされた。
「失礼します」
 入ってきたのは隼だ。
「僕と話したいんですよね?」
「ああ、そこらへんに座ってくれるか。長くなりそうなんだ」
「早く帰らないと社長が怒りますよ?」
 そんなことはわかっている、しかしこの想いをどう告げたら受け入れられるのかがわからない。
「僕を抱いてください。話はそれで聞きましょう」
 隼は手際よく上着を脱いだ。
そしてシャツのボタンに手をかけながら「本当に僕を愛しているのか確認させてください」とまで言う。
「それは…」
 大貴は経理部内で脱ごうとする隼を抱き締めると、いつものようにトイレではなく階段の踊り場に連れ込んだ。

「こんなところでは誰かに見られますよ」
 隼が珍しく慌てている。
「誰もいないから平気だ」
 大貴は胸にすがるような体勢の隼を愛おしく見つめた。

7話に続きます



 大貴が手をこまねいている頃、隼はソファーにもたれている社長の茎を口にくわえていた。
「無茶な契約を取ったようだな」
 社長は隼の髪を撫でながら満足げだ。
「しかし案ずるな。私がついている」
 隼は社長の茎を舐め上げて唾液で光らせた。
「はい、ありがとうございます」
 隼は礼を言うと、社長の目を見ながら茎をくわえてフェラを始めた。
こぼれる唾液をそのままに、隼は茎を早くも勃起させた。
「うん、いい子だ…上手くなったものだ」
 社長は隼の口から茎を出させて「脱ぎなさい」と言う。
隼は上着を脱ぐとテーブルの上に置き、スラックスを下ろした。
「下着姿も可愛いものだ」
 社長は齢60を過ぎた初老だが、セックスにはかなりの関心があるようだ。
勃起した茎がなによりの証拠になる。
そして隼の下着を自らの手で脱がせるのも楽しみの1つらしく、隼の茎を丹念に撫でた。
「おいで」
 隼は社長の膝に乗り、勃起した茎を秘部にあてがう。
「く、うんっ…」 
 濡れていない秘部は茎を受け付けない、それと知ると社長は秘部に指を入れてかき回した。
「あっ、あ!社長…う、ううん!」
「この中に私が入らなくてはいけないからな…もっと濡れなさい。感じれば濡れるはず」
 隼は自分の茎を扱きながら社長のために自らを興奮させ、挿入をさせた。
荒い呼吸をしながら社長に身を任せると、とてもその年の男とは思えない強さで隼を突き上げた。



『南さんですか?瀬田くんなら社長に呼び出されて今頃はお説教ですよ』
 大貴が思い余って隼のデスクに内線をかけたが、取ったのは女性社員だった。
『相当絞られていますよ、きっと。だってもう30分は顔を見ていませんから』
「そう、ありがとう」
『急用なら折り返しさせますが?』
「いや、いいですよ」
 大貴は胸騒ぎがした。
嫌な予感に心が揺れて、仕事に集中できない。

「疲れたのか?南くん。どうも弱っているね」
 部長が声をかけるのも無理は無い、大貴はうつろな目をしているからだ。
「もうすぐ15時だ。お茶でも飲もうか」
「あ、はい」
 女性社員がいそいそとお茶を入れに給湯室に向かう。
それを見ながら「お茶菓子でも買ってきます」と大貴は部署を出て、階段を下り始めた。
 エレベーターを使わないのは理由がある。
3階に社長室がある、そこに立寄りたい心境にかられていたのだ。
 嫌な予感が当たらなければいい、そう思っても拳が震える。
大貴は焦りを感じながら3階に下り立ち、社長室のドアに一歩ずつ近づいた。

「失礼します」
 急にドアが開いて中から隼が出てきてしまった。
隼は大貴に気付かず、中を向いたまま一礼してドアを閉め、そこで初めて大貴に気付いた。
「わ、びっくりしました。社長に御用ですか?」
「いや、きみに用事があるんだ」
「僕ですか」
 隼はゆっくりと歩きながら大貴に歩み寄った。
「もしかして先のお話の件ですか」
「そうだと言ったら返事をくれるのか?」
「…僕は見てのとおりの立場です。勘のいい南さんならわかるでしょう?もう僕には関わらないほうがいいと思います」
 隼はシャツの袖のボタンをはめ忘れており、それをわざと大貴に見せた。
「俺のものにはならないわけか」
「愛がないから無理です」
 隼はそういって通り過ぎようとした。
「愛ならある。セックスを先にしておいて順番を違えたが、俺は瀬田…隼を愛している」
「えっ」
 大貴の言葉に隼が振り返った。
そして珍しいものでも見るかのように目を見開いた。
「僕を犯しておいて、それは無いんじゃないですか?僕たちの中に愛は生まれませんよ」
 隼は頬を赤くしながらぼやいた。
「あれは南さんの性欲処理だと僕は思っていましたし」
 そういい残すと隼は階段を下り始める。
ここで逃したらいけないとばかりに、大貴は隼の腕を取った。


6話に続きます





 

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