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2009.05.23 RUSH・10
「恥かしいけどさ、櫂はセックスだけじゃないんだね」
「はあ?」
 櫂が蓮音の秘部から流れる精を拭き取り、かいがいしくスーツを着せようとするので蓮音は吹き出した。
「体がだるくて動けないだろう?だから俺がしているんだ」
「ありがとう」
 お礼を言いながら蓮音は両頬を手で隠すように覆った。
「もういいよ。服なら自分で着れる」
「そうか?」
 櫂は顔を上げて不満げな表情だ。
これは自分に服を着せたいのだなと蓮音は気持ちを読み「やっぱり着せて」とお願いをした。
すると櫂は楽しそうに鼻歌を歌いながら再びスーツを着せ始めた。
「下着は自分で」
 蓮音が下着を履こうとしたら手首をつかまれた。
「いいじゃん。俺がやるよ。さんざん見たんだし」
「そんな言い方をするなよ!」
 蓮音は顔が熱くなり、思わず櫂の頬を軽く叩いた。
「あはは。女の子とセックスするより充実するなあ」
「比べるなって」
 蓮音がため息をつくと足を上げさせられて下着を履いた。

「ねえ。今度どこに行こうか?」
 櫂が自分のスーツの身支度をしながら元気よく尋ねた。
「まるでデートみたいな言い方」
「そのつもりだけど?」
 蓮音は「本当に付き合っているんだな」と思わず笑みを浮かべた。
「公園でも行く?」
「健全だなー…」
 櫂は気に入らないらしい。
「公園なんて子供と犬の散歩で大賑わいだぞ。そんなところに行く気がない」
「ふうん。じゃあ、買い物でもしようか」
「それならいい。俺も欲しいものがあるから、そろそろ街に行きたかったところだよ」
 櫂は「2人で行くなら楽しいぞ」とまで言う。
「そうだねー」
 蓮音は同調しながら、これからの日々に幸せを感じた。



 翌朝は蓮音がメーカーに商品を引き取りにいくことになっていたので、蓮音は慌しく社用車に乗り込んだ。
 さあ、行こうとしたときに窓を誰かがしきりに叩く。
なにかと思えば後輩だ。
「営業部で取りに行くことになったのか?」
 蓮音が聞くと「同行します!」と、とんでもないことを言い出した。
「おまえ、閑なのか?人手が不足しているからとか忙しいって言うから僕たちが動いているのに」
「その引取りの商品は自分の担当するお客様のものなので、同行したいです」

「それならおまえが行け」
 
 いつのまにか櫂が駐車場に来ていた。
「商品部だって忙しいんだ。じゃあ、蓮音、部署に戻ろう」
「うん。じゃあ、よろしく」
 蓮音は車から降りると鍵を後輩に渡し、櫂の後を追い始めた。
「…どうして2人でいるんですか?」
 後輩の声に「は?」と蓮音が振り返る。
「仲がいいんですね!」
「ありがとう。おまえも早くいい人をみつけろよ。あんなエロ動画を見ていないで」
「えー!」
 後輩がガクリと肩を落として立ちすくむのを見て、蓮音は向き直り櫂の後を追った。

「あいつ、何を叫んでいたんだ?」
 櫂が不思議そうに蓮音に聞く。
「さあねー」
 蓮音ははぐらかして櫂の手首をつかんだ。
「手、つないだら?」
「櫂は人目を気にしないんだな」
 蓮音は吹き出してしまうが、手首をつかんでいた手を離し、改めて互いの手をつなぎ直した。
「会社に着くまでだよ」
「わかっているって」
 櫂は膝を折って蓮音の顔に唇を近づけた。
「こら!」
 蓮音が避けると櫂は口角を上げて微笑んだ。
「部長にでも見られたら首が飛ぶぞ」
「人の恋路を邪魔する奴はいないよ」
 櫂はそう言って指をからめてきた。
しっかりと握られたようで、蓮音は胸の鼓動が高鳴り、顔が熱くなる。
しばらく2人で歩き、いよいよ会社が見えてきた。
「さ、仕事・仕事ー!」
 いつもよりやる気が感じられる声だが、蓮音は焦る。
「櫂、そろそろ…」
「まだ離さないよ?部署に着くまでいいじゃないか」
「無理」
 蓮音が慌てて手を離そうとするが、櫂は面白がって離さない。
「離さないと別れるよ!」
「げ」
 櫂が驚いて手を離すので蓮音はツボに入り、大笑いだ。
「蓮音。笑うところじゃないだろう?」
「笑えるよ。本気で僕のことが好きに思えたから嬉しくて、さ」
 2人は照れながら歩き、会社のドアの前に来ると揃って咳払いをした。
「今日も頑張るか!」
 櫂の声に蓮音はうなづく。
付き合いだした2人は同じ部署で席が近い。
どこに行こうとも、離れることはないのだ。

「そろそろ父の日の包装資材の注文が入る時期だ。忙しくなりそうだね」
「ああ。でも急ぎの依頼は蹴ってやる」
「またか。櫂が蹴ると僕の仕事が増えるんだけど」
「蓮音も蹴ればいいのに」
 蓮音は「まさか」と笑いながら櫂の隣を歩き、自分の席につくとパソコンを立ち上げた。
櫂はFAXの受信を見ている。
「今日も頑張ろうね」
 蓮音が声をかけると櫂が苦笑いだ。
「どうかした?」
「営業部から急ぎの注文ばかりだよ。これは蹴りがいがある」
 蓮音は「そうかー」と上着を脱いだ。
そして櫂から受信紙を受け取ると「半分は受けろよ?」と櫂に釘をさした。
「3分の1の間違いだろう?」
 口の減らない恋人だが、蓮音は窓からさす日差しのように穏やかな気持になった。

「じゃあ、やりますか」
「今日もよろしく」
 挨拶を交わして2人は業務にとりかかった。
階段を下りてくる足音が響く、また営業部だろう。
今日も忙しくなりそうだが悪くないと蓮音は感じた。


終わり

読んでくださってありがとうございました
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2009.05.23 RUSH・9
 歓楽街では胸の谷間を鮮やかなドレスで強調させたキャバ嬢や、清潔感のないホストなどの客引きが歩道を占拠している。
 更けていく夜でもまるで昼間のように明るいのはいかがわしい照明のせいだろう。
 酒を飲んで上機嫌のサラリーマンを客引きがつかまえては店内に押し込む。
ふらふらとした足取りの女性にホストが声をかける。
 その光景を眺めながら、蓮音は自分たちは場違いではないかと思う。
共にブランドのスーツを着た2人はこの淫猥な雰囲気から浮いていると感じるのだ。
蓮音がふと隣を歩く櫂を見上げると「どうかした?あ、そういえば」とカバンを脇に挟んでポケットを探り始めた。

「今日はプレゼントがあるんだ」
 櫂がポケットから小さな布の袋を取り出した。
「なに?」
 蓮音は受け取りながら不審顔だ。
「プレゼントって言っても、僕の誕生日はまだ先だし」
「いいから、開けてみろって」
「ふーん」
 蓮音が歩きながら袋を開けるとシルバーのピアスが入っていた。
「わ、これ!もしかしてあのブランドの?」
「そう」
 櫂が満足げに微笑んだ。
蓮音の『あのブランド』とは若者に絶大な支持を受けているデザイナーのものだ。
<生と死>をテーマにかかげており、ドクロもあれば十字架・百合の紋章を主に扱っている。
蓮音に渡されたのは百合の紋章だった。
これもなかなか入手困難なアイテムで、しかも値が張る。
「耳に穴を空けなくちゃ」
 蓮音はこのプレゼントに興奮した。
「ありがとう、櫂。凄く嬉しい」
「その笑顔が見たくて奮発しちゃったよ。失くさないでよ?」
「大事にする」
 
 櫂が照れているのを見て、蓮音は『櫂でよかった』と思う。
男同士で付き合うなんて世間からはみ出しているようだが、蓮音は後悔していない。
自分も櫂が好きだからだ。

「お返しは何にしよう」
 ピアスを袋の中に大事そうに戻しながら蓮音がつぶやくと「いらないよ」と櫂は言う。
「付き合えるだけで俺は嬉しいの」
 蓮音は今どきこんな男気を見せる同世代がいるとは思わなかった。
お返しを期待しない懐の深さが、蓮音は気に入った。
「ありがとう。…凄く照れるんだけど」
 蓮音が耳まで赤く染めてうつむくと、櫂がふと立ち止まった。
「え、なに?」
「あはは。素直だね、俺にはもったいない子だけど出会いに感謝したい。あー、告ってよかった」
 そして再び歩き出し、2人はこの先にあるホテルに向かった。


 ホテルは昨日の車内とはうって変わって広い部屋だ。
蓮音は大きなベッドに腰掛けながら戸惑ってしまう。
「場慣れしていないのか」
 櫂が珍しいものを見るかのように蓮音の顔を覗き込むので「悪いか」とその頬に触れた。
「いつもセックスはどこでするの?」
 櫂は蓮音のその手に自分の手を重ねた。
この行為だけでも蓮音の心拍数が上がってしまう。
「いつもって…学生時代は自分の部屋だったよ」
「あ。過去に嫉妬しそうだ」
 櫂がそのまま蓮音に顔を近づけてキスをした。
蓮音は目を閉じてそれを受け入れ、2人は互いの舌を絡ませあい、こぼれそうな唾液を吸った。
「脱げよ」
 櫂に言われて蓮音は指先が震えるのを認めながら上着を脱ぐ。
そしてシャツに手をかけると櫂がそれをまくりあげて、蓮音を押し倒した。
「焦らすのが上手いなー」
「えっ、そんなつもりはないよ!櫂が辛抱強くないからだろう!」
「言うね」
 櫂は蓮音の胸元をゆっくりと撫でて、乳首を指で擦った。
「昨日は陥没していたのに立っているじゃん。これも慣れなのかな」
「変なことを言うな」
 しかし蓮音は早くも息が上がっていた。
乳首をいじられるのも悪くないが、もはや体が疼いて仕方がないのだ。
「そんなところより、あのさあ…」
 苦しげにぼやくと櫂が微笑んだ。
「わかっているって」
 櫂は素早く蓮音のベルトを外し、スラックスを下ろして下着も脱がせてしまう。
「早い…」
「慣れてきたからね」
 櫂は得意げに笑顔を見せ、固くなっている蓮音の茎を手で扱き始める。
「あっ、そ・そこが…」
 蓮音はぐいぐいと扱かれるよりも、先端を攻められると弱いらしい。
「勃起したー。蓮音も慣れたな」
 櫂はその茎をさらに扱いて攻め立て、爆ぜさせた。
「は、はあ…」
 早早に精を放出した蓮音は、昼間のこともあって放心状態になってしまった。
このままでは寝てしまいそうだ。
「う…ん」
 眠そうに目を擦り始め、体がシーツに沈んでいる。
「蓮音、寝るな!」
 櫂が慌てて叫ぶので、蓮音は目を見開いた。
「な、なに?」
「起きていろよー。俺はまだなんだから」
 蓮音は「うん」とうなづきながら、もぞもぞと足を動かしている。
かなり眠いのだろう。

「蓮音!」
 櫂は自分の茎を取り出して蓮音の顔に近づけると「フェラをして」と言ってきた。
「あー、うん」
 蓮音はゆっくりと起き上がると櫂の茎をつかみ、そこでようやく目が覚めた。
自分のものより大きい茎・しかもすでに勃起しているものをつかんで、その熱さに驚いたのだ。
「すご…」
 つぶやきながら蓮音は茎を舐め始め、そして先端を軽く押して放出させようとした。
「あ、そこまででいい!」
 櫂は体勢を変えると蓮音に開脚させて、その秘部に茎を挿入した。
「アッ!ちょ、ちょっと早くない?」
「でも昨日よりスムーズに入るよ?」
「そんな…」
「蓮音が濡らしてくれたからね」
 櫂にそんなことを言われて蓮音は顔が熱くなる。
思わずシーツを引き寄せ、挿入されるこの刺激を甘受しようとするが、櫂の茎は中で暴れた。
ぐんぐんと蓮音の中を進みながら中を突くのだ。
「ぐっ…」
 蓮音はこの衝撃に耐えながら腰をひねる。
すると櫂も感じるらしく一瞬目を閉じて体を反らした。
「いい。凄くいい…」
 櫂は目を開けると蓮音を見つめた。
「虜になりそうだ」
 そして唇を舌で舐めると、腰を動かし始めて蓮音を揺さ振る。
「あ、あ・あ・も。もう!キツイよ!」
 蓮音は腰が揺れるたびに茎が奥へ進むこの感触に悶えた。
「そう?俺はご機嫌だけど」
「櫂!櫂ー!」
「ここにいるよ。何度も呼ぶなって」
 余裕を見せながら櫂が蓮音に突き立てる。
そして中を擦りながら蓮音の膝を曲げさせ、さらに密着すると遠慮無しにぐんぐんと突き上げた。
「わ、あああん!櫂、いい加減にっ…」
「いいだろ?これだけ密着していると凄く感じちゃう」
 それは蓮音も同じだが、抜き差しをされるとたまらない。
体の力が抜けてしまい、櫂にもたれた。
「もうちょっと、させろよ」
「櫂ー。も、無理」
「ねえ。俺のことが好きでしょう?」
「は」
 蓮音が顔を上げるとしたり顔の櫂と目が合う。
「好きだよ」
「やっぱりね」
 櫂は「ふふ」と笑うと、また真面目そうな顔に戻って蓮音を突き上げ、中で爆ぜた。

10話に続きます
2009.05.22 RUSH・8
「まったく盛りのついた子供は手に負えない。エロ動画をみたことを反省しないんだからな」
 部長が呆れ顔で商品部に戻ってきた。
「営業部の三郷(みさと)ですか」
 蓮音が聞くと「ああ」と部長がうなづく。
三郷とは後輩の苗字だ。
「懇々と説教をして、会社のパソコンで動画を見ていたことを確認し『2度としません』と約束させたよ」
「それだけですか?」
「生ぬるいかな?罰則をかける前に注意をしておかないとな」
 部長はそう言うとお茶を一気に飲み干した。
「うちの社員は大貫くんと植田くんをはじめ、優秀で助かるよ。手がかからない子が1番だ」
 蓮音は誉められても三郷に罰がくだらなかったことに意外な気がしたし、櫂は納得しかねる表情だ。
「それからメーカーからの引き取りはしばらく商品部で対応してほしいと言われたよ」
 部長の力のなさに櫂がため息をついた。
これではなんのために営業部に行かせたかわからない・元の木阿弥だ。
「また時期をみて相談するよ」
「はあ…」
 気の抜けた声を出す櫂を見て、これは期待できないなと蓮音も感じた。
部長は楽観しすぎなのだ。
2人の思惑に気付かずに部長は時計を見て「そろそろあがりだぞ」と声をかけて、湯飲みを洗いに給湯室へ行った。
 

「俺たちの上に立つ人間がこんな甘さでどうするんだ」
 櫂は明らかに不服だった。
「三郷はヤバイものばかり見ていたんだろう?会社の風紀を乱しているんだぜ?」
「…それはあまり僕たちは言えないんじゃないの」
 蓮音が椅子にもたれながらつぶやいた。
「セックスのことなら就業後と休憩中だ。会社に迷惑はかけていない」
 胸を張ってそう言い切る櫂に、蓮音は「まあ、そうだけど」と続けた。
「定時までに片付けなくちゃ」
 蓮音は書類をまとめてファイルをし、机上を片付けた。
櫂も時計を見ながら少々焦り気味に片付けている。

「そんなに慌てなくても」
「1分1秒が惜しいんだ、時間がないから」
 櫂が書類をまとめてクリアケースにしまいこみ、カバンを持つと階段を駆け下りる足音が聞こえてくる。
「あいつか?」
 櫂が階段のほうを見ると、予想とおりに後輩の三郷がやってきた。
そしてまっすぐに蓮音の元に来ると「お願いします」と注文書を差し出す。
「もう定時だぞ?そんなに急ぎの注文なのか?」
 蓮音が注文書を見ると納期が1週間しかない。
「こら、何度言えばわかるんだ。納期1週間なんて無理だ、工場に頼めないよ」
「そこをなんとか!お願いします、大貫さん」
 蓮音が渋っていると櫂が苛立ったのか「早く帰るぞ」と大きな声を出した。
「なにをしているんだ?見せろよ」
 櫂が注文書を取り上げて納期を見ると益々苛立ちを隠せない状況になった。
「こんなものが受けられるか!納期を修正しろ」
「でも急ぎなんです」
「いつも急ぎなんておかしくないか?工場はフル稼働しているんだ。おまえたち営業部のおかげでな。これ以上は会社の人間として無理はとおせない!」
 櫂は三郷に注文書を突き返すと蓮音に「帰るぞ」と声をかける。
蓮音はカバンを持ち「明日の朝、修正してもう1度持っておいで」と三郷に指示すると会社を後にしようとした。

「大貫さん!」
「は、まだ用事?」
 蓮音が見返ると「植田さんと仲がいいんですね」と、妙なことを言い出した。
「まさか、植田さんを好きじゃないですよね?」
「おまえに言うことじゃないよ」
「教えてくださいよ!自分も大貫さんが好きなんですから!」
「またその話かー」
 蓮音は「聞かなかったことにしただろう」と三郷をにらんだ。
普段は怒りの感情を面に出さない蓮音だけあって、三郷は怯んだ。
「おまえとは会社だけのつきあいにしたいんだ。もうこれ以上言わせるなよ」
 蓮音はため息をつきながらドアを開けると、側に櫂が立っていた。

「後輩に好かれているの?」
 櫂には丸聞こえだったらしい。
「蓮音はもてるなあ」
「止めろよ。嬉しくない」
 蓮音は櫂の手首をつかんで「どこに行く?」と聞いた。
「また車じゃ嫌だろう?」
「あんな狭い場所は動けないから辛い」
「じゃあ、歓楽街まで足を伸ばして休憩するか」
 櫂が歩き出したので蓮音もつられた。
しかし人通りの多い道だ。
人目を気にして手首を離すと「なんで?」と櫂が蓮音の顔を覗き込む。
「別にいいじゃん。見る人なんていないよ」
 蓮音は櫂こそ楽観しすぎだと思った。

「そういえば俺は蓮音から『好きだ』って言われたことがない」
 櫂がいきなり話を振るので蓮音は驚いた。
「俺のこと、好き?」
「そんなことをこの往来で聞くなよ」
「じゃあ、後で聞かせろよ」
 櫂は命令調子だが、笑顔を見せている。
嫌われていないと確信があるのだろう。

「後で何度でも言うよ」
 蓮音がつぶやくと櫂が「1回でいいよ」と笑った。

9話に続きます
2009.05.22 RUSH・7
「どこに行っていたんですかー?せっかくJKのハメ動画を見つけたのに」
 櫂と蓮音が会社に戻ると、なんと蓮音の席に後輩が座っていた。
しかも堂々とエロ動画を見たと言っている。
「凄かったんですよ、ブラジャーからはみ出る巨乳が!」
「…部長に聞かれたら首が飛ぶぞ。それに僕はそんな動画を見たくないし聞きたくもない」
 蓮音が穏やかな口調で注意をするが、後輩は頬を膨らませた。
「JKのハメ動画は貴重なんです」
「おまえの言っている事はさっぱりわからない!部署に戻れ!」
 櫂が怒鳴ったので後輩は顔をひきつらせて席を立ち、階段を駆け上がって行った。

「…蓮音のパソコンで見た・って言うことか。本当に迷惑な奴だな」
 櫂が蓮音のパソコンを操作すると、画面にJKの乱れた姿が映し出された。
後輩が言うようにぐいと上げられたブラジャーから巨乳が飛び出しているが、撮影されているとは知らないのだろう。
喘ぐこともなく、表情はなにをされても変わらない。
しかも体つきからしてどうやら相手は中年の男らしい、これは援助交際だろう。

「こんな画像が出回る世の中なんだなー」
 櫂が呆れて画面を消した。
そして仕事用の画面に切り替える。
「あいつ、こんなものばかり見ていたら痴漢でもしないか?なんか心配だな」
「そうだねー…」
 蓮音は同意しながらも、今朝抱き締められたことを思い出した。
そしてわざわざ自分の席に座っていた事実が恐ろしく、蓮音はまた鳥肌が立つ。
なにを考えながらここに座っていたのだろう。
 側にいる櫂に相談しようかと思ったが、騒がれそうなので止めた。
自分の身は自分で守るしかないと蓮音は感じ、後輩とは距離を置こうと考えた。

 だがしかし、仕事場なので後輩と会う確率は高かった。
仕事開始のチャイムが鳴ると、さっそく後輩が階段を下りてくる。
「足音でわかるなあ」
 櫂がつぶやくと同時に後輩が蓮音の元に駆け込んできた。
「これをお願いします!」
「また急ぎかー?あれっ?これは納期が2週間ある…。やればできるじゃないか!」
 蓮音は素直に喜び「これなら間に合わせられる。工場に手配しておくよ」
「ありがとうございます!あと、これも!」
「まだあるのか。…はあ?」
 2枚目はメモ紙で『今晩空いていませんか』とだけ書かれてある。
「これはいただけない。無理だよ」
「えー!急だからですか?」
 蓮音が珍しく断るのを聞いて、櫂がそのメモ紙を取り上げた。
「あ」
 蓮音が遮る前に櫂は目をとおしてしまう。
「…おまえは仕事中になにを考えているんだ?部署に戻れ!」
「うわ、は・はい!」
 後輩が逃げていくのを見ながら、蓮音が「そんなに怒鳴らなくても」とぼやく。
「僕は断ったんだから」
 しかし櫂は腕を組んだまま怒りがおさまらない様子だ。
「俺がいないと変な虫がつきそうだ。まったくあいつはー。パソコンを取り上げたほうがいいんじゃないのか!」
「無理なことを…」
 蓮音は櫂に「仕事だよ」と言って肩を叩いた。
「あいつのことは部長に任せたらいい。部署が違うんだから」
「蓮音は楽観しすぎじゃないか?」
「そうかな」
 櫂が明らかに疑いの目つきだが、蓮音は知らん顔で注文書をFAKし始めた。

「私語は慎めよ、植田くん」
 部長に注意をされて「すみません」と素直に謝る櫂を見て、蓮音は吹き出した。
自己中心的な考え方や行動をとる櫂だが、素直なところがあって憎めないのだ。
それにこの容姿だ。
見てくれもよくて性格もまあ、許せる範囲のわがままだから蓮音は惹かれたのかもしれない。
「雰囲気を変えましょう。お茶でも入れましょうか?」
 話しかけてくる女性社員に「じゃあ、お願いします」と蓮音は笑顔で頭を下げた。

 
 昼を過ぎると工場から納期の再確認や、仕上がったものの連絡が入るので商品部はいよいよ忙しくなる。
 櫂も蓮音も電話を受けたりメールを送ったりで、定時の17時までに終らせようと必死に業務に打ち込んだ。
「大貫くん、きみの電話の最中にメーカーから『折り返し電話が欲しい』と言ってきたぞ」
「あ、部長、すみません。すぐにかけます!」
「それから植田くん、明日も引き取りしてほしいと営業部から内線があったぞ」
「ええ?すぐに断ります!そんな毎日出かけられませんよ!」
 櫂が商品の資料を片付けながら反論すると、部長が頭を抱えた。
「きみは本当にわがままだなー」
「違います。正当な対応ですよ。引き取りは営業部が行けばいいんです」
 そんなことを討論しても答えはすぐに出ない。
しかも明日の話なら、時間がない。

「僕が行きますよ」
 蓮音が手をあげると部長が安堵した表情だ。
「でも部長。近日中に営業部と話し合ってください。僕たちも閑ではないので」
「わかった、大貫くん。きみがそこまで言うなら私が解決しよう」
 部長はご機嫌になり、自らメールの確認を始めた。
「…大貫くん。おかしなメールが来ているがわかるかい?」
「え?」
 蓮音がパソコンを覗くとエロサイトからのメールが30件も届いていた。
「誰かが変なサイトを見たんだな。そうでなければおかしい」
 後輩の悪行を蓮音が話すと部長はすぐに階段を駆け上がって行った。

「お年なんだから無茶はしないといいけど」
 蓮音がつぶやくと櫂は「へーき」と笑っている。
「たまには運動させないと。あ、それよりも蓮音、今日もいいよね?」
 お誘いだなと蓮音は理解した。
「いいよ。早く仕事を片付けよう」
 そう言いながら蓮音は耳まで熱くなった。

8話に続きます



2009.05.22 RUSH・6
「いつもなら後輩が隣で無修正のエロ動画を見ているから、雰囲気が変わっていいなあ」
 櫂がクロワッサンサンドを食べながらしみじみと言う。
「たまにはカフェだよね」
 蓮音が続けると「違う。たまには2人だよ」と櫂が口を尖らせる。
そんなことを面と向かって言われると恥かしいものだ。
蓮音は「うん」と咳払いをして話題を逸らすべく「あいつ、また動画を見ているのかな」とぼやいた。
「あの馬鹿は言ってもきかないから、構わないことだなー」
 櫂は指についたクロワッサンのパンくずを舐めた。
「じゃあ、行こうか」
「え。もう?まだ時間はあるよ」
 昼休みはまだ20分ほどある。
蓮音が驚いていると櫂に急かされた。
「用事があるんだ」
「ふうん」
 
 慌しくレジを済ませた櫂はカフェを出ると会社とは逆の方向に歩き始めた。
「櫂?」
「いいから、ついてきな」
 蓮音がなんの用事だろうと思いながら櫂の隣を歩くと「そっちは車道側だから、俺の右を歩けよ」と腕を取られる。
「僕は女の子じゃないから、そんな気遣いは無用だよ」
「俺は心配なの!いいからこっち」
 
 蓮音は強引に櫂の右隣を歩かされて、挙句に櫂が足を止めたのは入居者募集中の看板が立つ新しいマンションだ。
「ここで、なんの用事だよ?」
 蓮音が櫂を見上げると、櫂は口角を上げて微笑んでいる。
「なんだよ?」

「10分だけ、俺に時間をちょうだい」
「はあ?」
 
 蓮音はわけがわからずに戸惑うが、櫂にまた腕を引っ張られてマンションの中に入り込んだ。
真新しい集合ポストの前を通り過ぎ、エレベーターの前まで来ると、ようやく腕を離された。
「ここは誰も来ないから」
「えっ」
 櫂の意図することに感づいた蓮音は「昼間からなにを考えているんだよ!」と赤面して怒鳴る。
「怒るなよ。俺はお盛んな時期なんだから」
「同じ年だろう!」
 蓮音は抵抗を試みて櫂から遠ざかろうと1歩下がったが、櫂にたやすく抱き締められた。
「もしも誰かが来たらエレベーターに乗っちゃえばいい」
「そういうことじゃない。外でセックスするなんて、おかしいよ」
「時間が無いんだ」
 抵抗もむなしく、蓮音は壁に押し付けられると上着をはだけられ、スラックスのジッパーを下ろされた。
「まだ勃起していないのかー」
 櫂が残念そうに蓮音の股間を下着の上から撫でている。
「時間がないのに」
 そして焦ったのか蓮音にキスをしながら股間を撫でるので、蓮音は身をすくめながらも次第に体が熱くなる。
「あ、固くなってきた」
 櫂が嬉しそうに笑顔を見せるが、その手は蓮音の股間をまさぐり、茎を取り出していた。
「やめろって…誰か来たらどうするんだよっ」
 息が上がる蓮音に「色気づいてきた」と櫂が笑う。
「俺に股間をまさぐられただけで感じちゃうんだ?いいね、そそのかされたみたいで抱きたくなる」
「ばかっ…」
 蓮音は身をよじるが、櫂の手から逃げられない。
「俺のも触っていいよ」
 無理矢理に手を櫂の股間に押し付けられて、蓮音はすでに勃起した茎に指が震えた。
「そのまま出して」
 櫂に指示をされ、まるで操り人形のように蓮音は櫂の茎を出した。
「よし、そのままじっとしてな」
 櫂は蓮音の茎と自分の茎を片手でつかみ、ぐいぐいと擦り始めた。
「わっ!や、嫌だよ!」
 蓮音は腰がひけて自分の足で立っていられない。
目の前の櫂にもたれながら「はあ、はあ」と荒い息を吐く。
「も、少しかな」
 櫂は容赦なく蓮音を急きたてている。
時間がないのはわかるが、配慮がなさすぎる。
蓮音は『誰かに見られたら困る』と思いながらも、この手こきに集中力を奪われたようだ。
誰かに見られる恐怖より、性欲が勝ってしまった。

「櫂、お願い。解放して」
 とぎれそうな声で櫂に頼むが、頬を赤くして目元もとろんとした蓮音を放すはずがない。
「今やめたら苦しいよ?」
 櫂は吹き出しながら蓮音に言う。
もう蓮音の欲情に感づいているのだ。

「いいから俺にしがみつけよ」
 蓮音は櫂の言うとおりに体が動き、櫂にしがみつくとその肩に口元を押さえつけた。
声を出さないよう、これが蓮音の精一杯なところだ。
 しかし櫂は力を抜くことなく茎を扱き、蓮音が苦しげに「あああ!」と叫んだときに2人の茎が爆ぜた。
「…今、何分?」
 思考がぼんやりとした蓮音が聞くと「あと10分で昼休みが終る」と櫂が応えた。
櫂のその声もかすれていて、互いに汗を浮かべていた。

「じゃ、行こう」
 櫂は急いで身支度を整え、蓮音の身支度にも手を貸すと2人並んでマンションを出た。
「誰にも見られなかったかな」
 蓮音はそれだけが心配だった。
「そんな心配は無用だよ。現に誰も来なかったじゃないか」
「まあ、そうなんだけど」
 昼間から手こきをされるとは思いもしなかった蓮音は、やや疲労を感じていた。
このままでは仕事に差し支えると思い、蓮音はコンビニに寄ると缶コーヒーを買った。
これを飲んで精を放出したあとの眠気を解消しようというわけだ。
もちろん、櫂の分も買ってある。
「じゃあ、仕事頑張ろうか」
「ああ、そうだね」
 蓮音は缶コーヒーを頬に当てた。
この冷たさが火照る体を鎮めてくれる気がした。


7話に続きます
2009.05.21 RUSH・5
「またエロ動画を見ているのか。会社では止めろって言っただろう」
 翌朝出勤した蓮音を待ち構えていたのは後輩だった。
階段の踊り場で携帯を片手ににやにやと妖しい微笑を浮かべていたので、
蓮音はまたしてもエロ動画を見ていると思い、すれ違いざまに肩を叩いて注意した。
「だって毎日更新されているんですよー。こまめにチェックしないと追いつかないんですよ」
「追いつかなくていい」
 蓮音が呆れながら振り返ると、後輩が「今朝は植田さんがいませんね」と聞く。
「商品を取りに行くらしいから、朝は不在だよ」
「やった!じゃあ、注文は全部大貫さんに頼めばいいんですね!」
「あのさあ。僕だから全部受けるとは限らないよ」
 喜んでいる後輩にちくりと釘をさすと、蓮音は営業部の部署に入って行った。
営業部の部長に呼びだされていたからだ。

「ああ、大貫くん。わざわざ悪いね」
「いえ。どんな用件でしたでしょうか?」
 すると部長が頭をかきながら「本来はきみに言うべきじゃないんだけど」と断りを入れた上で、
「営業部としては困惑しているんだ」と切り出した。
「なんのことでしょう?」
「ここではまずいな。会議室へ行こう」
 どうも雲行きが怪しい。
蓮音がそう感じながら部長の後について会議室に入ると、すぐに椅子をすすめられた。
腰掛けながら部長の様子を伺うが、思い当たるのは櫂のことだ。
 櫂は営業部の注文をすぐに跳ね除ける。
それが問題になっているのではないかと推測した。
「実は植田くんなんだけど、どうしてああも大きな態度を取るのかな」
 やはりそうかと蓮音はため息をついた。
「我々の仕事が円滑に進まないんだ。だからほうぼうから苦情が来ていてね」
「あの、部長。お言葉ですがそれならうちの・商品部の部長に話していただけませんと。
僕では櫂…植田櫂に対して指導することはできません」
「あまりおおごとにしたくないんだ。大貫くんからちらりと話してもらえないかな」
「話すだけでしたら」
 
 蓮音はこれで解放されたが、営業部の重圧を感じた。
おそらく部署内で櫂のことが取りざたされているのだろう、これはもはや自分の手にあまるので部長に相談しようと思いながら歩いていると後輩が駆けてきた。
「さっそく注文なんですけど!」
「部署で預かるよ」
 蓮音がそっけなく言うと後輩が「じゃあ、ついていきます」と言い出した。
階段を並んで下りながら、後輩は蓮音の横顔ばかり見ている。
蓮音はてっきり自分の顔色を伺っていると思い当たり、踊り場で立ち止まった。
「そんなに急ぎの仕事なのか?」
「ええ、まあ…」
 蓮音が仕方なく注文書を受け取ろうとすると、後輩が急に蓮音の腕を取り、引き寄せて抱きしめた。
「は?なにをしているんだ」
「少しだけでいいんです、このままにさせてください」
「嫌だよ、暑い!」
 蓮音は後輩をふり払うと「なんのつもりだ?」とにらみつけた。
「僕はそんな趣味はないよ」
 腕組をして口を閉じると後輩は赤面しながら「あ、あのですね」と言い始めた。
「あのっ。自分は大貫さんが好きで…」
「はあ?」
「憧れているんです」
 そんなことをエロ動画ばかり見ている後輩に言われても嬉しくない。
そればかりか、もしや自分を性欲解消の対象にしているのではないかと鳥肌が立つ。

「聞かなかったことにする。おまえもそうしろ」
「そんな!大貫さん!」
 
 蓮音はスタスタと階段を下り、商品部に戻ると後ろから後輩が追いかけてきた。
「注文書をもらおうか」
 何もなかったかのように振舞う蓮音の前で、後輩は赤面したまま注文書を差し出した。
「…今週は連休を挟んでいるから、納期1週間なんて厳しすぎるな」
「大貫さん、そこをなんとか!」
「むずかし…」
 言いかけた蓮音の手から注文書を誰かの手が取り上げた。

「無理!こんなものは工場に相談もできない!」
 そして机に注文書をたたきつけた。
「…櫂」
 乱暴を働いたのは櫂だった。
「連休を挟んでいることくらいカレンダーを見ればわかるだろう?それとも営業部にはカレンダーがないのか?」
「す、すみません!」
 先程まで蓮音に甘えようとしていた後輩がしきりに頭を下げている。
「とにかく無理!検討しなおせ!ついでにカレンダーも持って行け」
 怒鳴る櫂の迫力に押されて、後輩は慌てて階段を上がっていった。

「櫂、言い過ぎ」
 蓮音が小声で言うが、櫂はむすっとしていて注意を聞こうとしない雰囲気だ。
「…朝から疲れているのか?」
「商品を取りに行かされたから」
 その程度でイラつくのかと蓮音は呆れた。
しかしよくよく考えると朝1番でメーカーに行かされるのは気分が悪い。
なぜなら商品の引き取りは元々営業部の仕事だったからだ。
営業部が引き取ってそのままお客様に納品に伺えば済むことだからだ。
 それがいつからか『営業部は人手不足だから』と商品部に丸投げされて今や商品部の仕事の1つで、いきさつを知る櫂は納得できないまま引き受けたのだろう。
「仕事は納得した上で引き受けたいよな」
 蓮音がこぼすと、櫂が「そうそう」としきりにうなずく。
「やっぱり蓮音はわかってくれるなあ。だけど次の引き取りはきっと蓮音だぜ?」
「仕事だから構わないけどさ」
 蓮音にとって頭が痛くなるような問題の続出だ。
商品部も人が多いわけではないので、営業部と話をつけなくてはと蓮音は思う。
「それも何とかしなくては」
 ため息混じりに蓮音がぼやくと、櫂が目を丸くした。
「それも? 『それも』ってなんだよ」
「ああ、後で話すよ。今は仕事中だし」
「ふーん」
 櫂は納得していないようで口を尖らせたが「昼休みはカフェに行こう」と蓮音が誘ったので、すぐに笑顔になった。
「たまには、あいつ抜きで昼ごはんだよなー」
「ああ、あいつね」
 まさか告られるとは思わなかったので、カフェに行くのは後輩からも逃げられるし、なんだか櫂の機嫌もよくなったので蓮音は一石二鳥だなと思った。



 慌しく仕事をこなすとじきに昼休みになり、櫂と蓮音は近場のカフェに行った。
しかしそこは女性客ばかりで社内の休憩室かと思うほどだ。
「場所変える?」
「いいよ、時間がもったいない」
 櫂が先に入り、2人でランチを注文すると「苦情がきたんだ」と蓮音は切り出した。
「営業部から?」
「うん、櫂が断りすぎだって」
「そういうことは部長を通すべきじゃないのか?まったく、営業部は蓮音になんでも任せて」
「まあ、確かにね」
 蓮音はこれ以上言う気はまったくなかった。
ただ伝言をしただけで、まるで子供のおつかいだが立場をわきまえていた。

「その件は部長から聞くよ。あと、俺がいない間になにかあった?」
「いや、別に」
「そう、よかった」
 櫂が楽しげに微笑むので、後輩から告られたことは黙っていようと決めた。
「しかし『俺がいない間に』って、心配しすぎじゃないか?」
「それはだって…」
 櫂は言いかけて口を手で隠した。
「なんだよ?」
「気になるからだよ」
 何故か櫂が照れている。
蓮音はその様子を見ながら昨夜の『俺のものにしたい』とか『付き合おう』の声を思い出した。

「櫂にも可愛いところがあるじゃん」
「なにが?」
 わかっていながら問い返すのはどうかなーと蓮音は吹き出した。
「なにを笑うかな」と櫂は不思議そうだが、相変わらず頬が赤いので蓮音は愛しさが募る。
「櫂。忘れないうちに携帯のアドレス教えてよ。何かあったときにメールができないと困る」
「なにかあった?」
「いちいち聞き返すなよ。ウザイぞ」

6話に続きます




 



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