FC2ブログ
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2009.05.30 mellow・13
 健は手繰り寄せていたシーツから手を離して、光の背中に腕をまわした。
「いいよ、動いて」
「うん」
 光がゆっくりと腰を動かして抜き差しを始めると、健は未知なる感覚に体が貫かれると思った。
かなり奥まで茎が入り込んでいるので挿入されるときのタイミングに上体を反らす。

「あ、ああ…体が熱い」
 
 のけぞる胸元を見て、光はいよいよ興奮を抑えきれなくなる。
健の中に茎を入れたまま健のシャツを脱がせ、胸を揉んだ。
「あのさ、女じゃないんだか…」
 言いかけて健は口を抑えた。
光が健の乳首を指で扱いたからだ。
薄茶色のそれは固くなっており、光に愛撫されるたびにきりりと立った。
「可愛い…」
 光は健の乳首を甘噛みして、舌先でちろちろと舐めた。
「やっ!」
「ここも感じるんだ?健、もっとよくしたい」
 光は健の乳首にも興味を持ったようだが、健は自分の中で再度大きくなろうとする茎がじれったい。

「…母さんが帰ってきちゃうよ、光!」
「遅番だろう?」
「もう、焦らさないでくれよ!」
 
 耐え切れない健は光の肩を噛んだ。
「やだ!」
「うん、わかった」
 光は健の腰をつかむと引き寄せて、自分が動くのではなく健を動かして抜き差しを再開した。
これには健も慌てて「つ、貫かれる!」と叫び「やだ、こんな奥まで」と涙を浮かべた。
「することが無茶だ、光は!」
「でもスムーズに入るよ?あ、いい感じ。俺ももうもたないかも」
「じゃあ、出して。楽にさせてよ」
 健が首を振ると腰から手を離した光が「愛しいんだ」とその頬を撫でる。

「このままつながっていたい」
 
 そして光は今までに無い激しい突き上げを始め、健はそれに振り回されてしまう。
「や、やだっ」
「どこがいい?教えて」
「そんな…わかんないよ!」
 同性とのセックスが初めてな健はいつもの勝気さを失い、ただ光に「く、ううん」と甘い声で喘ぐ。
「凄く気持ちがいいよ、健。もっと突かせて」

「…好きにして」
 
 荒い息を吐きながら、健は光に身を委ねた。
すると光はさらにスピードを上げて突き上げ始め、「健が、好きだ」と叫ぶ。
「好きなんだ」
「何度も言うな…」
 健は光の突き上げを受け入れて、蕩けそうな目で光を見た。
「おなかに…出して」
「中じゃダメ?」
「僕を汚してよ」
 健の誘いに光は乗り、茎を抜くと健のおなかに精をかけた。
思いのほか量があり、健の胸までそれは届いてしまった。

「気持ちよかった…」
 光も息を荒くしながらつぶやいた。

「健の中、俺は好きかもしれない」
「中だけかよ」
「い、いや違う。俺は健が好きなんだ。健の全部が欲しいんだ」

 慌てる光に、健は身を起こしてキスをした。
「僕も気持ちよかったよ」
「健、嬉しい!」
 光は健を抱き締めてしばらく何も言えずにいた。
ただ鼻をすすり、健の髪に顔をうずめる。
 しかし健は鼻声が聞こえたので「泣いているの?」と光に聞いた。
「泣くようなことかなー」
「感激したんだ。俺は健を愛している、間違いないと思う」
「…好きからいきなり愛に変わったのか。いい加減だなー」
 健は苦笑しながら挨拶のように光の唇を吸った。
「あのさ。僕は光の特別な存在になれるのかな?」
「当然だよ。俺は健しか見えていないんだ」
 ここまで言うとはと、健は驚いた。
そして恥かしそうに光の手をにぎると「これからも一緒だな」と言ってその手にもキスをした。


「まるで熟れるまえの果実みたいだ」
 光が身支度を整えながら健のことを絶賛する。
「おじさんみたいなことを言うなよ」
「だって、そう思ったんだ」
「熟れるまえの果実なんて固い。食えないじゃないか」
「誰にも食べさせない。そういうつもりなんだけど」
「あ、そうなんだ」
 健はそれを一応誉め言葉と記憶して部屋着に着替えた。

 光は「泊まって行けば?」と健に誘われたが「泊まるとまたセックスがしたくなるから」と赤面しながら出て行った。
 あの初心さには程遠い手馴れたセックスだったと健は思うが、先の行為を思い出すと自分も取り乱しそうで、健は頭を振って「はあ」と一息ついた。
 そして冷蔵庫に入れていたお茶を出して一気に半分ほども飲んでしまう。
なんだかやたらと喉が渇くのだ。
 濡れた唇を手で拭うと、光が触れた自分の体を撫でてみる。
自分の手では興奮しないどころか何も感じない。
相手がいないと体は疼かないようだ。
「はー」
 健は長いため息をつき、キッチンの流し台に寄りかかるとその冷たい感触に心地よさを覚えた。



 翌朝、どうも体がだるい健を元気な光が迎えに来た。
「おはよう、健。一緒に行こうよ」
 はつらつとした笑顔に負けた健は上着を着ながら門を出た。
「おはよー…」
「健、あれから体は平気?」
 光はいきなりそんなことを堂々と聞く。
まだ自宅前だ、空気を読めと健は言いたくなるが腰をおさえて光を見上げた。
これで少しは黙るだろうと思ったが、光は「あ、やっぱり腰が痛い?俺もそうなんだ」と、
とんでもないことを言い始めた。
「慣れていないからかなー」
 そして健の前で腰を揺らしては「右に回すと痛い」などと言う。
もはや目も当てられない状況だ。
「それ以上は言うな!」
 健は口をとがらせて光の腕を取った。
「な、なに?」
「学校へ行くに決まっているだろう!急ぐぞ」
 早歩きでも走っても腰に響くが、ここは我慢だと健は耐えた。
光も同じ気持ちなのか文句を言わずについてくる。
 しばらく駆け足で歩道を抜け、駅に着くと2人は呼吸を整えるためにもゆっくりと歩き始めた。

「健、日曜日は空いてる?」
「光に誘われそうだと思ったから空けてある」
 健は熱い頬を手で扇いでいる。
その様を見て、光は嬉しそうに微笑んだ。
「じゃあ、どこかに行こうよ」
「どこだよ」
「一緒に決めようよ」
 やたらと近くに来る光を、健は「近すぎ」と体を押した。
昨日は並んで歩き、しかもセックスをしたのだが、かえって意識してしまうようだ。
 しかし光はひるまない、なにが『近すぎ』なのかとまた近寄っていく。
「どこがいい?」
「光と一緒ならどこでもいいよ」
 健は近寄る光に諦めを感じて、そうつぶやいた。
「この話はここまでだからな。電車の中で言うなよ?」
「え、なんで?まだ場所が決まっていないよ」
 光はこの話がしたくてたまらない様子だ。
まるで遠足前の子供のように目を輝かせている。
身長の高い大きな子供だ、そう思うと健は笑いがこみ上げてきそうだ。
「…あのさ。急ぐ事はないだろう。日曜日まであと2日もあるじゃないか」
「そうだけど決めておきたいよ」
「2人だけのときに、な?」
 健は光のお尻を軽く叩いて、駅のホームに入ってきた電車に2人揃って乗り込んだ。


終わり

読んでくださってありがとうございました!
スポンサーサイト
デリヘルもソープもイメクラも気に入った子がきっと見つかる
超大型リニューアル中の大好評風俗情報サイト!
FC2公認の男性用高額求人サイトが誕生!
稼ぎたい男子はここで仕事を探せ!
2009.05.29 mellow・12
 いつもと同じ帰り道を歩いているのに、健と光はどこかぎこちなかった。
すれ違う人を避けようとして、ふと手が触れると「ご・ごめん」と慌てる始末だ。
相手を意識しないようにと思っても、かえって頭が混乱してしまいさらに意識してしまう。
そのせいで帰り道は途方もなく長く感じたが、背中に汗を感じるころにようやく駅まで来た。
 
 17時を過ぎた駅の構内は帰りを急ぐOLさんたちが早足で歩いている。
その流れに逆行して改札を抜けてホームに立つと、健はこの重い空気を打開すべく口を開いた。
「あのさ。…たまには家に来ない?」
「あ、いいの?」
「今日は母さんの仕事が遅番なんだ。1人でご飯を食べるより2人のほうがいいんだけど」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
 光があまりにも嬉しそうな笑顔を浮かべるので「子供のころはよく来ていたじゃん」と健は光を見上げながらつぶやいた。
「そうだったね、よくお邪魔していたよ。健のお母さんの作るハンバーグが好きでさ」
 光は「懐かしいなー」と言いながら腕を上げて伸びをした。
緊張感に包まれた空気は消し飛んだようだ。
「でも2人分の食事はないだろう?コンビニに寄ろうか」
「そうしよう」
 2人はようやく来た電車に乗り込み、ドアの近くに並んで立ちながら窓に映る自分たちの姿を見た。
身長差のせいか、なんともアンバランスな2人だ。

「昔は同じ背丈だったのに、僕は背が伸びなかった」
 健がぼやくと光が口角を上げて微笑んだ。
「これから伸びるんだよ」
「もう高3だよ?無理っぽい。はー、一緒にいると差が目立つなー」
 健がぼやくと光はうなづく。
「これからも、ずっと一緒だよ」
「…ここで言うなよ。マジで空気が読めないんだから」
 すると「ごめん」と光が頭を下げる。
「そこまでしなくていいから。もう、困った奴だ」
 健は吹き出しながら幸福感に浸った。
眠れないほど悩んだ時間は長すぎたが、やっと思いを伝えることができ、2人の絆が強くなった気がしたのだ。



 電車を降りると2人はコンビニに立寄ったが、空腹ではないのでペットボトルのお茶を買い、健の家に向かった。
「いつも歩いている道なのに、なんか緊張する」
 光の言葉の意味が健にはわからない。
 家に着くと健は「あがってよ」と光に声をかけ、部屋に入ると上着を脱いでハンガーにかけた。
「光も脱げば?暑いだろう。すぐにエアコンを入れるけどさ」
「健、俺はさあ…」
 口ごもる光に、健は首をかしげた。
「どうかした?」
「あのさ」
 光はつぶやきながら健に歩み寄り「抱きたいんだ」と急に健を抱き締めた。
「はっ」
 健が見上げると光は苦しげな表情を浮かべている。
「どうし…」
 いいかけて健は言葉を呑んだ。
おなかに当たる固いものに気付いたのだ。
「こ…」
「ごめん!」
 光は健を抱き上げるとベッドに運び、そして圧し掛かった。
「わ!」
 髪を乱された健はシーツの上で、ただ光をながめて途惑う。
「ここ、触れる?」
 光は健の手を取って自分の股間に当てた。
健はその固いものに指が触れると感電したかのようにびくりと肩を震わせた。
「恥かしいけど、健を想うとこうなっちゃうんだ」
「僕も、そうだよ」
 光はそれを聞いて思わず健の股間に触れようとして「こら」と健に止められた。
「触るなよ。…零しそうなんだから」
 この声に光の箍が外れた。
「健!」
 名を叫びながら健を抱き締め、股間を擦り寄せていく。
「や、ちょっと!光、当たっているから!」
 健が逃れようと光の背中を叩いても、光は抱き締める力を緩めない。
そればかりか頬を赤くしている健の目をみて穏やかに微笑むと唇を重ねて吸った。
体が触れ合っている、そう感じた健は抗うのを止めてキスを受け入れた。
「…は、光」
 体の芯をくすぐるようなキスに健は焦らされたように熱くてたまらない。
すると自分の股間が苦しくなっていき「はあ、はあ」と息が荒くなる。
「ううん、光」
 火照った健に気付いた光は身を起こして健のベルトを外した。
そしてぐいっと力任せにボトムを下ろすと下着の中をまさぐり、勃起した茎をつかんだ。

「あ、嫌だ!」

 健の脳裏に加賀にされた手コキが浮かぶ。
まるでトラウマのように健は怯え、体が震えた。

「健?大丈夫だよ、俺だから」
「は…」
 光は健が加賀に何をされたのか知らないはずだ。
いつも勝気な健が怯えたので、セックスが怖いことではないと言いたかっただけだろう。
健はそれでも自分の気持ちを察した光に感謝したくなった。
しかし普段は空気すら読めないのにと、健は苦笑した。

「なんで笑うの?」
「もう、なんでもないよ。光が優しいからさ、僕なんかでいいのかなって」
「健が、いいんだ」
 そして光は健の茎を扱き「あ・あ…」と健を喘がせる。
「も、嫌。そ、そんなところまでっ…」
「健、もっと早くからこうしたかった」
「光?…あ、ううん!や、やっ、ぐ・ううん!」
 健が体をぐんと反らして爆ぜた。
「は、はあ…」
 手足をだらりと伸ばして息を整えるが、体中が熱い。

「は、キツイ…」
 荒い息を吐きながらシーツを手繰り寄せて少しでも冷えた場所を探す。
光はその仕草を見ながら健の下着を脱がせた。
すっかりあらわになった下半身を恥じて、健が膝を折って股を閉じると光が手で割って入る。
 精を放った茎が力をなくしている様を見ながら、光は健の秘部に指を入れようと試みた。
「は!光、なにを?」 
 冷たい感触と痛みを感じて健が叫ぶと、光は思わず指を抜いた。
「ごめん、入れたいんだ。どうしても1つになりたい」
 そんなことを言われて拒否ができない。
健は「したことがないからわからないんだけど」とぼやくのが精一杯だ。
「俺もそうだよ。でも挿入したいんだ」
 挿入を欲するのは男の性だ。
健は「うん」とつぶやくと開脚して「これでいい?」と聞いた。
「僕も、1つになりたい」
 その声に光はうなづいて秘部に指を入れて徐々にかき回し始める。
健は痛みをこらえてシーツをつかみ、下唇を噛んだ。
「痛かったら俺を噛んで」
 光が片手で上着をずりおろしてシャツ姿になり、肩を健の手が届くように近づけた。
「噛めないよ」

「もっと刺激が欲しいんだ」

 光のつぶやきに健はひるんだ。
そして力の抜けた体を光が撫でて、自分の茎を取り出した。
「は。でかっ…」
 自分のものより大きい茎を見せ付けられて、ますます健がひるむ。
「そんな大きいの、入らないよ!」
「入ると思うけど」
「なにを根拠に…あっ!あ、こら!く・ううん!」
 光は健の秘部に茎を挿入し始めたのだ。
健はなにかが自分の体を裂こうとしているかのような痛みを覚え、シーツを叩いて抗った。
しかし光は腰を揺らしながら茎を進め、「キツッ…」とぼやく。
「健、もっと力を抜いて」
「やだっ、無理だって」
「させてよ、健。もう戻れないんだ」
 光は健の腰をつかんで自分のほうにぐいと押すと「ぐっ!」と健が悲鳴を上げた。
「はあ、入ったよ、健」
「…そう」
 健は額に汗を浮かべている。
その汗を光は手で拭うと「動くよ」と言って微笑んだ。

13話に続きます
2009.05.28 mellow・11
 バスの中でショートカットのJKが5.6人の男に囲まれてスカートをまくられ、股間を撫でられている。
JKが助けを呼ぼうと叫ばないように男が口にハンカチをかませて、慣れた手つきでシャツを脱がす。
そして露出した胸を男たちがこぞって揉みまくる。
いつの間にか外されたブラジャーが足元に落ちていた。

「接写ばかりで、たいしたカメラマンだなー」
 呆れた健が立ち上がった。
「な、いいだろう?この動画」
「どうして僕を誘うんだ!こんなもの昼間から見たくもない!」
 健が怒ると動画を見ていた連中が肩をすくめた。
「直江が元気になるようにと思ったのにー」
「その気持ちだけもらっておくよ。ありがとう。次は本当に猫の動画を見せてくれ」
 
 これで2度も『猫の動画』と嘘をつかれてしまった健がため息をつきながら席につくと、振り向いていた光と目が合った。
 どうしたものかと健は苦笑いで手を振ったが、光はなにもせず、ただ健を見ていた。
責めているのか、それとも健という人間を理解できなくなったのか複雑な表情を浮かべている。
「…はー。困ったな」
 その独り言を聞いた隣の席の女子が「悩み事ー?相談に乗ろうか?」と無責任なことを言う。
ただ閑なんだろうと、健は首を振って相手にしなかった。
 
 1人の友人を失ったと健は思った。
しかもそれは大事にしてきた幼なじみだった。

 今日までのことを思うと寂しくて泣けそうだが、意外にも涙が出なかった。
光に告ってふられる覚悟はとうに出来ていたらしい。
強くなったものだと、健はまるで他人事のように落ち着いていた。



 放課後になり、クラスメートが帰りだすと健は光に呼ばれた。
「何の用事?」
 ごく普通に話を振ったつもりだが、光が首をかしげた。
「返事を待っていたんじゃないの?」
「は?返事?」
 健は目を丸くした。
あの告白の返事なんてありえないと思っていたからだ。
しかも振られたと受け止めている、これ以上なんの言葉があるのだろう。
「俺は、健に担任と付き合って欲しくない」
「はー。その話か。それは終ったから気にしないで」
 健が手を振ろうとしたら光が「まだ話がある。俺は返事をしていない」と言い出した。
光は真面目なのだ、返事をしなければ健に対して失礼だと思っているのだ。
「俺は、健が好きだよ」
「…うん。聞いたよ」
「違うんだ。健と同じ感情の『好き』だと思う」
「はあっ?」
 健は途惑って二の句が継げない。
 しかも教室内にはまだ帰り支度途中のクラスメートがいる。
聞かれたらいけないと、健は光を廊下に連れ出した。

「結局エアコンはまだ直らないんだなー」
 健はわざと世間話をして、廊下を歩く子たちに注目されないよう気遣った。
しかし空気を読めない光は「そうじゃなくてさ」と続けようとする。
 ここもダメだと、健は屋上に光を連れて行った。


 屋上に立つと吹き抜ける風が涼しくて、うだうだと悩んでいた心が洗われるようだ。
健は深呼吸をして「光は一時の感情に振り回されているんだよ」と言いはじめた。
「僕が光を好きだと言ったから、混乱しているんだろう?ごめん」
 しかし光は首を振った。
「混乱していないよ。俺は気がついたんだ」
「何に?」
「側に健がいないと困るんだ。また俺の知らないことを1人でフォローしそうで、そんな気遣いはしなくていいのに…そう思いながら頼ってしまう俺自身が情けない」
 光は混乱していると健は確信した。
こうなると言いたいだけ言わせないと、ますます混乱して1人相撲になってしまう。
「健じゃなきゃダメなんだ」
 そう言われても健は腕組をしたまま動けない。
目線は光を見れずに屋上のコンクリートの地面に注いでいる。
 光は自分の思いに気付くような子ではないと思っているからだ。
「俺は、昔から健が好きだった。これは友情だと思っていたけど恥かしいことがあったんだ」
「は?」
「健が出てくる夢を見て…その、夢精したんだ」
 こう言われて言葉をすぐに返すことができる人が果たしているだろうか。
さすがの健もこれには顔が熱くなり、思わず手で扇いだ。
「光、それは…子供じゃないんだから…」
「俺、健が好きだよ」
 光が1歩、また1歩と健に歩み寄る。
「だから健に告られて嬉しいんだ。俺たち、同じ気持ちなんだよ?」
「は、同じ気持ちって…」
 すると光が膝を折って、赤い顔をした健に目線を合わせた。
「キスしたい」
「そんなの、承諾がなくてもいいんだよ」
 健は目を閉じて顎を上げた。
そこに光の唇が重なる。
しかし光は体勢がきついのか・もしくは不慣れなのか舌を入れてこない。
 健は薄目を開けて光を見た。
こんなに近くで光を見たことがない気がするのだ。
見れば見るほど男前で、健は自分を好きだと言うのはにわかに信じられなかった。
「…健」
 ようやく離れた唇が濡れていた。
光も舌を入れたかったのだ、しかし体勢が苦しくて出来なかったのだろう。
健はそれと知ると「ちゃんと立って」と促した。
「じゃあ、健も俺を見てくれよ」
 健は誘われるままに光を見上げると、光が健のお尻をつかみ、つま先立ちにさせた。
「凄く好き」
 光はそう言いながら再び健を抱き締めた。
「誰の誘いにも乗らないで欲しい、俺の側にいてくれたらそれでいいんだ」
 
 その言葉を健は夢でも聞いたことがなかった。
ランドセルを背負って一緒に通学路を歩いた日々、そして堅苦しい学ランを来てカバンをたすき掛けにしていたあの頃。
それに受験する高校が同じだと知った日、そして今のこの時間が健の脳裏を駆け巡る。

「ずっと好きだった!」

 健は光の背に腕をまわして、思いのたけを口にした。
そしてこの激情にとらわれ、視界が歪んできた。
「は…もう…光が見えないよ」
「ここにいる。側にいる」
 互いの体温を感じながら、しばらく2人は離れようとしなかった。

12話に続きます
2009.05.28 mellow・10
 健は担任という権力を行使して欲望のままに自分を捕まえておこうとする加賀が許せない。
元は自分を好きらしい加賀に交際を申し込まれて興味を持ち、承諾した自分が悪いのだが、
まさか手コキまでされるとは思わず、自らの思慮の甘さが悔しい。
 だからこそセックスは拒んだ。
体の関係を持つつもりは毛頭なかったからだ。
 今では加賀が憎らしい。
光を委員長から降ろすつもりの加賀に、一言いや二言言わなければ気が済まない。
鬼の形相で廊下を走る健を誰も咎められない。
なにごとかと皆は遠巻きに健を見るだけだった。

「失礼します!」
 健は大きな声で挨拶をして職員室に入り、まっすぐに加賀の元に行った。
そこには健の姿を見て驚く光と、椅子に腰掛けた加賀がいた。
「直江!」
 加賀が嬉しそうな声を上げ、椅子を回して体ごと健に向けた。
「体調はもういいのか?心配したぞ」
 加賀が妙に親しげに甘い声で聞いてくる。
「はあ。もう平気です」
 健はこうして会話をするだけでも腹が立つ。
苛立ちを隠せずにいる健に、光が肩を軽く叩いた。

「どうしたんだ、そんなに息を切らして。何をしに来たんだ?」
「光が委員長を降ろされるって聞いたんだ。それの抗議に来た」
 健の言葉に光は「抗議って。先生が決めたことだから」となだめようとする。
「俺は構わないけど、健の負担が増えるからどうだろうと疑問には感じたよ」
「…わかっていない」
 健は光を見上げてつぶやいた。
「僕はいつも側にいるのに、光はわかっていない」
「どうして?どういうこと?」
 光が慌てだすと健は「任せろ」と言って制した。
そして加賀に向き直ると息を深く吸い込んだ。

「委員長は光だ。これは譲れない!」

「それが言いたくてわざわざここに来たのか?私が了解するとでも思うのか?」
「…縛らないといいましたよね!」
 この健の言葉に職員室にいたほかの先生方がにわかにどよめきだした。
「健、それって」
 いくら鈍い光でも、なにかを感じたようだ。
「僕は先生の言うとおりにはなりません。他を当たってください」
 そして健は光を連れて職員室を出ようと、向きを変えた。
そのとき、加賀の手が健をつかまえる。
「離せよ!」
「私の気持ちを知りながら、どうしてそんなに冷たいんだ?」
 加賀はすがりつくような目で健を見る。
「昨日のことが気に障ったなら謝る、少し急ぎすぎた。だから…」
「先生。他を当たってくださいと言いましたよ!」
「じゃあ、どうして付き合ってもいいと言ったんだ!」
 加賀は健の腕を撫でている、この行為だけで健はぞっとした。
しかも光がそれを見て、眉間に皺を寄せ不愉快そうな表情を見せる。
「先生が変態だと知らなかったからですよ」
 健は加賀の腕を振りはらった。
「直江、私が変態だって?」
「とぼけないでください。昨日の行為は暴行です。警察に行ってもいいんですよ?」
 健はそう言い切ると、光を連れて職員室を出た。

 すると後方から「加賀先生、今の話はなんですか?!」「あなた、生徒に手を出したんですか」と、
騒ぎ出す教師の声が聞こえてきた。

「健、まさか担任と…?」
 光が小声で聞いてきた。
「もう終ったことだ」
 健が一言で片付けようとしたら、光が「ちゃんと話してくれ!」と問い質す。
「側にいるのに俺はなにもわかっていないって、健は言ったよね。だけど言ってくれないとわからないことがあるんだ」
 光が珍しく声を荒げた。
「今だって『もう終ったこと』の一言で片付けようとしているけど、話してくれよ!」
「…光は知らなくていいんだよ。僕のミスなんだから」

「またそう言ってはぐらかす。距離をとらないでくれ」

 光は言いながら興奮してしまったのか胸を抑えている。
「あのさ、光…」
 健がようやく口を開いたとき「俺たち、幼なじみじゃないか」と光に抱き締められた。
「く、くるしっ…」
 光は力をこめて健を抱き締めていた。
おかげで健は光の胸板に圧迫されたようで呼吸が苦しい。
しかし光はそれに気付かずに顔を伏せ、健の髪の中に顔を埋めた。

「健は俺にとって特別なんだ。健のことなら何でも知りたい。はぐらかされるのはごめんだ」
 その声に健は光の腕の中でもぞもぞと動き、ようやく顔を上げると息苦しさに頬を染めていた。
「なあ、健」
「光。僕が光を好きだと言ったらどうする?」
「え。幼なじみだから好きなのは当然だろう?」
 健は思わず吹き出して「その『好き』じゃないんだ」と苦笑いをしながら言う。
そして光を見上げたまま、腹を決めた。

「僕はずっと光が好きだった。だけどこんなことを言ったら光は困るだろう?
だから…担任と付き合おうかと思ったんだ。光に似たところがあったから。
でも光の代わりなんて、どこにもいないんだ。僕はようやくそれを知ったんだ…」
 
 言い終わると健は「離してくれ」と光に言い、自ら光の胸を押して体を離した。
「ごめんな?僕なんかに好かれちゃって、気分悪いよな」
 健はうつむいたままそんなことを口走り、「教室に戻る」と言って歩き始めた。
その健を光は追えない。
健の告白を受け止めきれずに、ただ呆然としてしまっていた。

11話に続きます
2009.05.27 mellow・9
「JKよりも女子中学生だよなー。胸はないけど初心な顔をしてやることが大胆」
「それを言うならOLさんだろー?制服姿がたまらん」
「やっぱ、ストッキングだよなー」
 おかしな会話が聞こえてきて健が目を開けると見慣れない天井が見えた。

「お。起きたか、直江」
「心配したぞー」
 なんとハメ動画を見ていた連中が、健の寝ているベッドを囲んでいた。
「…どこ?」
「保健室だよ。委員長がここまで運んできたんだぜ?」
「光が?」
 健は飛び起きたが寝ていたせいなのか頭がクラクラする。
「無理すんなー。大丈夫だよ、直江は俺たちが守ってやるからさー」
「は?守る?」
 聞き捨てならない言葉だ。
「本当は委員長が側につきたかったらしいけど、クラスをまとめる役目だからな、俺たちが代わりに来ているってこと」
「…誰にも咎められずにエロ動画を見たいだけだろう」
「それもあるなー」
 連中は「あはは」と笑うが、ふと真顔になる。
「うちの担任、変態みたいだから気をつけろよ?」
「どうして知っているんだ?」
 健が聞き返すと「あ、知ってた?」と皆が目を見開いた。

「直江をここに避難させたのは正解だったな、さすが委員長」
 そうこぼすと「とんだいきさつがあるんだよ」と健の目を見た。

「直江が倒れてからすぐに担任が来てさ、どうしても直江を家まで送り届けるってきかないんだ。
それも委員長から直江を取り上げようとしながらだぜ?
態度が尋常じゃないからさ、いつもはおとなしい委員長も疑ってかかって直江を抱えて守ったんだ」
 そんなことを聞かされて健は頬が熱くなってきた。
「で、委員長が直江を保健室に連れてきて、俺たちに『悪いけどここにいて欲しい』って頼むからさ、
まあ、俺たちも担任の執着ぶりがおかしいと思ったからここで見張りをしていたってわけ」
 
 胸を張る連中に、健は頭を下げた。
「ごめん、ありがとう」
「わー。気の強い直江に謝られると気持ちが悪いなー」
「なんだよ!」
「あはは、そうでなくちゃ」
 連中は手を叩いて喜ぶが「気をつけろよ、マジで」と忠告してきた。
「俺たちは女子を見て喜ぶけどさ、あの担任は直江を狙ってる」
「これだけ可愛い顔をしていたら気の迷いもあるかもしれないけどさ、おかしいよ加賀の奴」
 連中が自分を心配してくれるのはありがたいが、健は自分が倒れたことで光に迷惑がかかっていないか不安になった。
「委員長は大丈夫かな」
「ああ、その委員長だけど交代だってさ」
 連中の言葉に健は耳を疑った。
「え、誰がやるんだよ」

「直江だよ。担任が決めた」

 暫くの沈黙が保健室を包み、誰も声を出せなかった。

「直江のほうが適任だって担任が言ったんだよ、俺たちはそこまで聞いて保健室に来たからその後はわからない」
 健は加賀が自分目当てで自己中心的な人選をしたと感じた。
「委員長なんて引き受けられない。光が続投するべきだ」
「あのさー、直江。おまえのフォローあっての委員長だぞ?それでもいいのか?」
 連中も健のフォローに気付いていたのだ。
「僕がフォローしておさまるなら、これからも続ける」
「なんで?」
「光は僕の大事な幼なじみだからだよ!空気が読めないし統率力もないけど、
その分は僕がフォローするんだ」
 健の力強い言葉に、連中は「そうか」とうなづいた。
「じゃあ応援してやるよ。直江もそうだけど委員長を・な!」
「ありがとう」
 健がはにかむと連中が「おお」と低い声を出す。
「なんだよ、気色が悪い」
「直江が女子に人気があるの、わかる気がした」
「うらやましー」
 思わず皆で笑うと、健は気持ちが少し軽くなった。
そして担任と一戦交える気力が沸いてきた。



「直江ちゃん、お帰りー」
 笑顔を浮かべた女子に出迎えられて健は教室に戻った。
「直江ちゃん、とんでもないニュース!直江ちゃんが委員長だって!」
「あ、皆から聞いたよ。その役目はお断りする」
「でも担任が決めたんだよ?大丈夫?」
 女子が不安がるが「委員長は光だから」と微笑んで見せた。
しかしその光が見当たらない。
「あのさ、光は?」
「担任と一緒に職員室に行ったよ?委員長降任だから話があるって言われてさ」

「冗談じゃない!」

 健は職員室を目指して駆け出した。
「おい、直江!病み上がりなんだから無理をすんな!」
「直江ちゃーん!」
 皆の声を背に受けながら、健は走った。
どうせ担任に暴力を振るった身だ、このまま決着をつけてやる・その思いだけで健は廊下を走りぬけた。

10話に続きます
2009.05.27 mellow・8
 目を閉じて唇を突き出した健に、加賀はこの上ない喜びを感じた。
そして健の顎を指でくいと上げ、唇を重ねようとしたそのときに、健が加賀のみぞおちを殴った。
「うっ!」
 体を折り曲げる加賀を見て健は立ち上がり、ドアを開けて駆け出した。
精液のついたボトムを隠すべく、上着を脱いで胸に抱えると歓楽街を駆け抜けていく。
 この夜の街を支配しているキャバ嬢やホストたちはこんな光景を見慣れているのか、
もしくは校則違反で捕まった生徒と思ったのか「早く逃げろよー」と笑顔で手を振っていた。
 健はこの街に来たことがないが、車の中から外の景色を見ていたので、記憶を頼りにして無事に歓楽街を抜けた。


「はあ、はあ、は…」
 横断歩道の前で体を折り、膝に手を当てて荒い息を吐く健を、サラリーマンたちが珍しそうに見ている。
「こんなところに子供が来るもんじゃないよ」
 誰かの声がして、健は『好きで来たんじゃない』と心の中で反論する。
濡れたボトムが気色悪いが、しかし相手を甘く見ていた罰だと健は項垂れた。
 やがて信号が青に変わったので健は身を起こして虚勢を張り、姿勢を正して歩き始めた。
しばらく歩くと駅が見えてきた。
ようやく逃れられたと健は安堵して、ホームに入ってきた電車に乗った。


 健は家に着くと妙に寂しさが募り、1人では辛いと感じた。
こんなときに親がいれば虚勢を張るのだが、まだ親は帰宅していなかった。
時計を見るとまだ19時だ。
 耐え難い寂しさに任せて、健は携帯をつかんだ。
そして携帯を開くと着信が3件もあった。
見れば全部光からだった。
 健は今すぐ光に頼りたくなった。
だがしかし、担任の加賀と性行為をしたことなんて口が裂けても言えやしない。
よりどころのない寂しさと虚しさを感じて、汚されたボトムを洗濯機に入れると部屋着に着替えてベッドに横たわった。
 まったく、自分は何をしているんだろうと自分自身に毒づく。
セックスは愛情あっての行為であり、愛情がなければそれは性欲処理の虚しい行為だ。
「愛している」と加賀は言った、しかし強引にセックスに持ち込んだあたり、愛情はないだろう。
 健はふと加賀が自分の姿を隠し撮りしていたことを思い出した。
あれは単なる変態ではないか。
これ以上関わりたくないと健は背筋に寒気を感じながら思った。



 翌朝も快晴で日差しが一段と厳しかった。
健が家を出ると、なんと光が門の前で待っていた。
「おはよう、健」
「お、おはよう…どうしたんだ、光?」
「たまには一緒に登校したくてさ」
 今の健には光の笑顔が最大の癒しだ。
「子供の頃みたいだな、いいよ、一緒に行こう」
 建もつられたように笑顔になり、2人並んで歩き始めた。

「昨日、電話したけど」
「あ、ごめん。ちょっと折り返せなくて」
「なにかあった?そういえば今日の健はやつれて見える」
「えっ?」
 光に洞察力があったとは驚きで、健は目を見張った。
健は光を空気も読めない・とんでもない子だと思っていたのだが、どうやら違うらしい。
「鏡を見てみなよ、目が充血しているし頬がこけてる」
「それは言いすぎ」
 健は朝起きたときに自分の顔は確認している。
目が充血しているのは事実だが、頬はこけていないはずだと健は思う。
「僕の心配なんかしないでいい。委員長はクラス全体のことを見ていればいいんだ」
「それがなかなかできないんだよなー」
 光がため息をついた。
「俺、やっぱり委員長に向いていないよ」
「情けないことを言うなよ。頭のいい光が選任されたのは当然だ」
 選んだのはクラスの全員ではなく担任なのだが、健はそこまでは言わない。
「俺、知っているんだよ」
「は。なにが?」
 すると光は前屈みになり真剣な眼差しで健を見た。

「健がフォローしてくれているってこと」
「…は」
 
 知られたくないことだった。
健は光のフォローをすることが光のためだと思い、黙っていたのだ。
それなのに本人が知ったとは、誰かが話したのだろうか。
「僕はなにも…」
「担任から聞いたんだよ、健が気配りしているからこのクラスはまとまるんだって」
「加賀?」
 建は昨日の恐怖を思い出して身震いをしてしまう。
「え、どうした?健?」
「なんでもないよ、平気。で、担任が言ったことなんてあてにならないよ。現に僕は思ったことを口に出すから、そんな奴がクラスをまとめるなんて出来ないだろう?」
「…そうかな」
 光はまんまと健に言いくるめられた。
しかし担任には2度とそんなことを言わないように口止めしなければならない。
 顔を見るのも嫌なのだが、光がらみなので健は担任に直接会うことにした。


「ホームルーム前になんの用事?」
 加賀は不機嫌そうに健を見た。
「謝りに来たのか?」
「そうではありません。光に色々吹き込まないでください」
「光?委員長のことか」
 加賀は興味が湧いたのか、健の目を見た。
「僕がフォローしているとか、2度といわないでくださいよ」
「事実じゃないか。どうしていけない?」
 健が言葉につまると、加賀は健の手首をつかんで手を撫でた。
「えっ?」
「滑らかな肌だなー」
「触らないでください!」
 健は加賀の手を振り切った。
「変態ですか、先生は」
「失礼だな、まっとうな人生を歩んでいるよ」
 健は「わき道にそれています」と断言した。
すると加賀は健をあざけるように鼻で笑う。
自分を見て顔を赤くした担任はもはやただの変態に成り下がっていた。
 こんな態度を取るのは、昨日逃げたせいかと健は不愉快になる。
一瞬でも光と似ていると思ったことが自分でも許せない。
光の代わりなんて存在しないのだ。

「付き合うって言ったくせに。直江はあいつが好きなのか」
 加賀は急に勢いをなくし、顔を曇らせて寂しそうな表情になった。
「はい」
 健は正直に答えた。
「光は大事な幼なじみです。あいつを馬鹿にする奴は、たとえ先生でも許さない」
「私が・いつ馬鹿にした」
 のらりくらり話す加賀に健の怒りは沸点に達した。
加賀のデスクを拳でガツンと叩き、加賀をにらみつけた。
「僕がフォローしていると本人に言ったじゃないですか!失礼ですよ!」
「しかし真実だ」
「知らなくていい真実はあります」
 そして加賀の頬を打つと「昨日の分です」と言い放つ。
何も言わない加賀の前で「失礼しました」と頭を下げて健は職員室を後にした。
教師を殴るのは許されない。
恐らく自宅謹慎を言いつけられるだろう、それを覚悟の上で健は行動をしたのだ。

 何があろうと自分がいる間は光をフォローする。
それが健の決めたことだ。
 恋人になれなくてもいい、今のこの状態でいい、健はそう思いながら教室を目指して歩いたが、
頬に何かが流れていく。
「直江ちゃん!」
 廊下にいた女子たちが健の異常に気付いて駆け寄ってくる。
「どうしたの、直江ちゃん」
 その騒ぎに光が気付いて廊下に出てきた。
「健!」
 光がハンカチを取り出して頬を拭った。
「女子は教室に入ってくれ、こんな姿を見せたくないんだ」
 珍しく指示をだした光に圧倒されて、女子はわらわらと教室に入っていく。

「どうした、何があった?」
 聞かれても健は首を振るばかりだ。
とても言えやしない、それでも光は健の気持ちを読めずに「なんでも話してくれ」と言う。
「手が赤いじゃないか!どうしたんだよ、健!」
 親身になって聞く光に、健は「いろんなことがありすぎて疲れた」と答えると、そのまま光に体を預けるように倒れてしまった。


9話に続きます
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。