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「自分で目覚めないといけないよ。」
佐紀の声がバスルームに響いた。

はっとして、顔を上げた。佐紀はいない。
感じていた冷たい体温もない。

繋いでいた手を、離されてしまった。
途端に聞こえていなかったシャワーの音が激しく耳を打つ。
おかげで、ざわざわした雑音は聞こえない。

背中にかかるぬるめのシャワーが、だんだん現実を感じさせてきた。
わかる。
今・自分がひとりだっていうことが、よくわかる。
薬が抜けてくる時間なのかな。
体がどんどんだるくなってきた。

立っているのもやっと。バスタブの縁に腰掛けた。
汗が出る。
佐紀はいない。
最初から存在してはいけないひとだったのに、俺はここまで引っ張ってきてしまったんだ。


堪えてきた負の感情を一手に引き受けていた、もうひとりの俺の佐紀。
ひとつになりたい、それは・・・認めるということなのかな。

俺は今、眠り続けようとしていることを。


バスタオルで体を拭きながらパソコンを立ち上げた。
医者からのメールが来ていた。
やけに細かい字で書くんだな。
読むのも疲れそう。

<・・・・・・・・・・・傍に誰もいないはずなのに声が聞こえると、先日話してくれましたね。その後。いかがですか。まだ、何か聞こえますか?なんていっていますか?>

キーボードの前に散らばっていた薬。
まとめて飲むと幻覚や幻聴を引き起こすばかりでなく、数時間後に全身の虚脱感を引き起こして無気力になる。
逃げ出したいなんて、どうして思えたんだろう。
俺が死ねば佐紀も死んでしまう。
・・佐紀を殺してしまうところだった・・。

おじいちゃんが迎えに来ていることを気がついたには佐紀。
本当の自分を目覚めさせないと連れて行かれるところだったんだ。

ありがとう、佐紀・
でももう呼べないようにするよ。



「大丈夫です。もう目を覚まさないといけない気がするので。」
返事を打ちながら、軽いめまいがした。
自慰で久しぶりに抜いたから、眠くて仕方ない。
このまま・・・寝たらいけないね。
もう声はしない。




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佐紀がいない。冷たい感触がいきなり消えた。
体を起こすと足の付け根が白く汚れていた。
幻じゃない。
生きる証を受け容れたものが確かにいた。

さっきまで佐紀のなかにいた自身に触れてみた。
すっかり濡れたそれは温かい。
「佐紀?」
名前を呼んでも返事がない。
本当に自分のなかに溶けているのかな。
それなら、もっと満たされてもいいのに。
この空虚な感覚はなんだろう。寂しくてたまらない。

ベッドから降りると足元まで精液が零れてきた。
恥かしくてティッシュであわてて拭く。

佐紀、佐紀?
部屋の中を探して歩いた。

佐紀?

どこにいるの。

シャワーを浴びようとしたら、なんとなく胸が気になった。
佐紀がふれた乳首に触れる。
ずくん。下半身が痺れた。
なんで?今まで自慰をしてもこんな感じ方はしなかった。
どうして・・。
もう一度、ゆっくりなぞってみる。
・・・目覚めた自身が水滴をたらしながら行き先を伺う。
どうして・・。
感じやすい体になってしまっているんだ。


「自分で触ってみて」
耳元で声がした。
「佐紀?」
「こっちを見ないで。さあ、先端を持ち上げてみて。」
「・・苦しい、」
「まだまだ我慢。」
佐紀の声がバスルームに響いている。
「佐紀、お願い。佐紀が触って?・・」

「自分で起こさないと。ゆっくりでいいんだ。感じることを思い出すんだ。」

自分で支えていても、暴発しそうなことはわかる。

「佐紀、いれさせて?」
「だめ。自分でやってみて。」
「気持よくなりたい、ねえ、佐紀。」

「手で擦るんだ。思い出して?薬に負けないで。」

薬・・ああ、ぼんやりするのはやっぱり薬のせいなんだ。
この抜けるような快感は、久しぶり。
でも自慰よりも誰かと一緒になりたいのに。

「千里?」
「佐紀、出てきて。俺を抱いて?」

「それじゃあ、また人格がふたつになってしまう。」
「佐紀が必要なんだ。」

「俺はここにいるから。焦らなくていいんだ。ゆっくり手を伸ばしてごらんよ。」
佐紀のやさしい声が聞こえる。
姿が見えないのに声だけが聞こえる。
「俺のなかに放って、千里。」
言われなくても、もう止められない。
決壊したダムのよう。自分の体が、ぶれるほどにすべてを放ってしまった。
佐紀と結合した部分からじわりと白い精液が流れてくる。
俺の・・。
目を背けてしまった。
「千里。まだ受け容れられない?」
佐紀の呼ぶ声にも答えられないでいた。

感じてしまったことが恥かしい。

佐紀が体をずらした。
ずるりと抜いたところから、どくどくと俺の精液が流れていくのが見えた。
「ひとつになろう・?俺を溶かして。」
佐紀の手に捕らわれた。
重ねたはずの唇、感触は花びらのよう。
微かに触れたのが味気ない。
佐紀が悲しそうな顔をした。

「俺を入れて。」

佐紀の静かな声。胸をなぞる指先。

「どうしたらいい・・?」
「力を抜いて。口をすこしあけていて・・。」
佐紀の舌が入り込む。
俺の口腔内を味わうように、ゆっくり舐めている。
唾液が零れて興奮して充血した乳首に滴り、糸をひいた。
恥かしくて指で拭おうとすると佐紀に見つかる。
カリ・軽く歯をたてられた。
ぐっ!とのけぞる背中を佐紀の腕が支えてくれる。

まるで自慰をしているかのような充実感。
自分しかわからないその場所を順番に佐紀が触れていく。

「ここに入れさせて。」
ゆっくり胸を撫でられた。
「千里と共に在りたいんだ。」
俺の右手を掴むと、再び起き上がろうとしている自身にあてがわれた。
「な・?なにを??」
「一緒に擦ろうか。・・さっきよりも気持がいいはず・・。」
佐紀が俺の手を使って、俺の自身を擦り始めた。
「や・・そんな、これじゃマスカキ・。」
「俺が手伝っているんだから、思い出してよ。
ほら・・硬くなる。気持がいいだろう?」
痛い、これじゃ皮膚を剥ぎ取られる。
「千里、もう一回俺の中で動いて。きっと今度は俺を溶かせる。」
そそりたった自身を佐紀は下の口で銜えた。
「ああ・・動いてみせて。」
「佐紀、」
腰を奮わせる。
がくん、と佐紀のからだが折れたよう。
ぷるんと丸みを帯びた乳首を見せ付けるように震えた。

「自分を・・好きになれるな?」
荒い息を吐きながら佐紀が微笑んだ。
「千里。沈むよ。」
そっと倒れこんできた佐紀を受け止めようと両手を伸ばした。

はずなのに。

両手はするんと通り抜けて。
佐紀が見えなくなった。



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「ひとつになりたい。そのために俺は千里に会いに来た。」
佐紀が俺のシャツを脱がせていく。
「ちょっと待って。なんのつもりだよ。」
制しようとする手を、たやすく払いのけた。

佐紀は自分のシャツも脱いで、窓から捨てた。

「・・どうしたんだ?」

佐紀のからだには細かい傷があった。
カッターで切ったかのように細い傷は、手首のあたりではぷくんと膨れていた。
「どうして?」
「これが千里のこころだよ。」

「無数の傷を受けて、それを痛いと感じることすら麻痺していた。千里は感受性が強すぎるから、無害なはずの言葉すら傷つくんだ。
それを面に出さないように隠してきた。それがこの傷。」
佐紀がなにを言い出したのかわからない。
「なんだって・・?」
「千里。もう堪えなくていいんだよ。解放しなさい。」

解放?

佐紀の瞳の奥を見つめていくと耳元でキイイイイイインと金属音がした。
頭がいきなり重くなった。
背中から、急に悪寒が走った。


どうして昼間から部屋にいたのか。

おじいちゃんは入院して戻ってこなかったのにどうして荷物が届くんだ。

知ってた、俺は全部知っていた。


枕もとの紙袋を取り出した。処方箋。中から小指の爪よりも小さな白い薬が出てきた。
「千里。俺が見えるなら、ひとつになろう。」
佐紀が俺の上にまたがった。
ゆっくりと胸を撫でて、そっと下半身に降りていく。
「ここだ。ここを起こしてあげないと、千里は起きれないんだ。」
佐紀が眠り続ける俺の自身を持上げた。
「薬を飲むと起たなくなるんだ。かといって、薬は急にやめれない。」
佐紀がゆっくりと愛撫してくれた。
プールの底に沈んでいくような、ゆったりとした時間をかけた愛撫だった。
おかげで刺激がどんなものか思い出した。
ぐぐっと持ちあがるそれを、佐紀は安心したような穏やかな表情で自分の中に押し込んだ。
「・・佐紀!」
いくらなんでも、それはない。
何日も欲望を忘れていたそれは、ぱんぱんにはじけそうなんだ。
まともにくらったら、佐紀のからだが壊れてしまう。
「佐紀、抜いて!」
「抜けない。・・ひとつになるんだ。そのために・」
「やめて、俺はまだひとつになれないよ。」
「ならなくちゃ。」

佐紀がおじいちゃんの本を片手に持った。
途端にその本が消えた。

「わかる?・・おじいちゃんが千里を呼びに来ているんだ。」
佐紀の頬にするんと涙が零れた。

「行かせるわけにいかない。
千里が生きることを諦めたら俺も死ぬ。
俺は死にたくないんだ。千里と共に生きたいんだ。」

佐紀の腰が激しく波を打つ。
締め上げられて苦しい、ちぎりとられそう。
シーツを掴む手が汗ばむ。
苦しい俺を見つめながら佐紀がどんどん絞っていく。


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俺の中に居たの?俺とは違う黒い髪に深い夜のような黒い瞳の佐紀。
「小さい頃からここに居たのに。なかなか呼ばないんだから。」
佐紀は微笑んだ。


俺はぼうっとした頭で思い出そうとあがいていた。
小さい頃。・・俺には友人がいなかった。
父さんも母さんも働いていて、俺はいつもひとりぼっちで。
夕方の空を見上げながら、もうすぐ母さんが帰ってくるかな、なんて・・・寂しい毎日を過ごしていたなあ・・。



「千里。本を読んでやろう。」

おじいちゃんが本を探していた。手持ち無沙汰の俺が、おじいちゃんの本棚から紐で綴じた本を取り出したんだ。
「それは大事だから。元に戻しなさい。」
はあい。
俺は本棚に戻す前に、ぱらぱらとめくった。
カタカナばかりで読みにくい。
ただ表紙の言葉はおぼえていた。

<キミヲオモフ>

どう読むんだ。フ・を、う・と読むとわかったのは小学6年のとき。
歴史の授業で気がついた。
ああ、<君を思う>なんだ。
長年ひっかかっていた棘はようやく抜けた。
そして、本の中身に対して興味がわいた。
何が書いてあったんだろう。
今でも十分通用しそうなタイトルの本。
おじいちゃんが「大事」と言った本。




・・佐紀が額に手を当ててくれている。
冷たくて気持がいい・・。



「おじいちゃん。あれは何のお花?」
「梅の花だよ。」
白くて小さな花が咲いたのは、まだ春にならない雪の残る2月の終わり。
「もうすぐ桃の花も咲くよ。」
「どんな色?」
「鮮やかなピンク色だよ。
梅の花には負けるけれども、かすかにいい匂いがするお花だよ。」



見た覚えが無い。

「おじいちゃんは入院してしまったからね。」
佐紀が続きを受けて答えてくれた。
「そのお花が咲いていたとしても、千里にはわからないのさ。見たことがないから。」

おじいちゃんが入院。俺は・・そのとき・・。

「ひとりになった千里は、こころのなかに俺を作った。」
佐紀が俺をそっと抱き締めた。
「寂しい毎日を、ひとりで過ごすには辛すぎたんだよね。千里の欲しいお友達が俺だ。俺は千里の友人であり、分身だよ。」



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桃の木の下で、遊んだ記憶もない。
田舎の家に、そんな鮮やかな思い出はない・・。

ベッドに沈んでいくからだのだるさ。
抜け切れないたくさんの布が絡んでいるようなだるさ。
こんなとき、一人暮らしの寂しさを痛感するんだ。
誰も助けてくれない。呼んでも叫んでも。
夢の中で呼び続ける幼馴染の名前すら、夢でしか呼ばない。
実際に、きてもらってことはない・・。

「・・佐紀。助けて。」

口をついて出たのは、夢で何度も呼んだことのある名前。

「ようやく呼んだか。」

声が聞こえる。手を握る感触。なんて冷たくて気持のいい体温なの。
「早く治しなさい。千里に会いたがっているひとがいるんだ。」
俺を待つのは、やはり本を送ってきたおじいちゃんかな。
顔を見せないなんて、冷たい孫だと思っているだろう。

「おじいちゃんはそんなにこころの狭いひとではないよ。」

佐紀。そう呼んだら返事をしたこのひと。
こころを読めるの?それとも今、俺は独り言でもいったかな。

「千里。いい加減に素直になって田舎に帰っておいで。」
「・・あそこには何もないんだ。」
あははは、明るい笑い声が響く。
「・・なんだよ。」
ぼうっとする頭で、考えてみた。
どうして俺が笑われなきゃいけないの。
そもそも、このひとは何者。
「何も無いなんてよく言うよ。ここのほうが何も無いじゃない。
星も見えない隙間のない建物に囲まれて、よくひとりで寂しさ我慢して生きられるね。」
額の汗をぬぐってくれている。
「・・佐紀。で、あってるの?名前。」
「うん。合っているよ。」
「きみは・・俺の田舎のひと?迎えに来たの?」
「違うよ。俺は・・・。」

佐紀は俺の胸を人差し指で、とんとん とつついた。

「ずっとここに住んでいたんだよ。」


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