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「陽向。強姦じゃなくて、俺とセックスをしようか」
 悠の言い方に陽向は心がときめいた。
そして自分から誘ったはずなのに、緊張したのか肩を震わせる。

「もっと脱いでいいよ」
 しかし陽向は悠の腿に座ってシャツを半開きにしたまま動けない。
悠の目に射抜かれた気がしたのだ。

「脱がないと始まらないって。手がかかる子だな、おいで」
 陽向がおずおずと身をかがめると悠が手を伸ばした。
「こっちにおいで。キスもできない」
 再びせかされて、ようやく陽向は悠の腹の上まで移動し、顔を近づけた。
それを悠はためらいもなく受け止め「目を閉じて」と言って唇を重ねた。
 陽向は触れただけで頬を染めてしまうが、悠は腹を決めたらしく舌を入れてきた。
「ん!」
 歯列をなぞられ体が震えてしまう陽向は唾液を口から零し、銀色の糸を垂れた。
『はあ』
 悠のかすかな声が聞こえた気がして陽向は目を開ける。
すると目に映るのは悠の睫だ。
こんなに近くで悠を見たのは初めてだ、鼻が高くて整った顔立ちだと改めて思う。
「陽向」
 名残惜しそうに唇を離すと悠がまた吹き出した。
「涎を垂らすなよー。雰囲気ぶち壊しだなー」
「あ、ごめん」
 必死になって口元を拭う陽向に、悠は再び手を伸ばす。
しかし今度は顔ではなく、胸元だった。
悠の手がゆっくりと胸を撫でるのを見ながら陽向は胸の鼓動が早まる。
「…一緒にお風呂に入ったことがあったよね」
「うん」
「あのとき、僕は悠に触れたいとは思っていなかったけど、意識したら辛くなったよ」
「ん?どうして」
「触っておいてほしかったなあって」
 悠は陽向の胸を撫でながら乳首を指で擦った。
「んっ!」
「痛い?」
「チクンとした」
「んー。それはこっちじゃないの?」
 悠は陽向の股間を指した。
「敏感な子だなー。触られただけで乳首が立つし、勃起も早い」
「そ、そんなにいじめないでよ」
「あはは。いじめていない、俺も興奮してきただけ」

「えっ」
「綺麗な肌をしているから、俺も起ってきた」

「中途半端な起ちかたは辛い」と言いながら、悠は陽向にシャツを脱がせると今度は腰を撫でた。
「こんなところを触られるのは初めてだ」
 陽向は恥かしそうにベルトを緩めて腰までボトムを下ろした。
下着が見える程度だが、悠は「苦しそうだね」と下着の上から股間を突いた。
「ウッ」
 もはや下着から茎が顔を出している状態だ、わずかな刺激でも苦しさが増す。
我慢のきかない茎は膨れ上がり、陽向の理性では抑えられない様子だ。

「出しな」
 悠は陽向に茎を出せと言うのだが、いまひとつ伝わらなかったようで陽向は悠の腹の上で困惑している。

「それを出せって」
「う、うん」
 なんと勘違いをした陽向は、悠の目の前で茎を扱き始めた。
「く、うううん・んんっ」
 喘ぐ姿が艶かしいが、それは悠の希望ではない。
「ひ、陽向?そうじゃない、俺がしてやるから」
「え・え?なに?聞こえな…あああ、うっ、ううんっ!」
 悠の声は届かずに陽向はあっさりと爆ぜてしまった。
しかし悠の顔に精をかけてしまい、陽向は脱力感を覚えながらも慌てた。
「ごめん、悠!すぐに拭くから」
「いいよ…しかし、人のオナニーを見たのは初めてだ。だけど早いなー」 
 悠がシャツの袖で顔を拭くのを見ながら、陽向はうろたえた。
そして顔を赤らめると俯いた。
「さ、最近、自分でしてばかりだったんだ。親が帰宅する前にと思って、いつも急いでいたから…」
「ふうん」
「悠のことを考えると、すぐに勃起しちゃうし…処理をしないと眠れないんだ」
「そんなに?そんなに俺を?」
「うん、ごめん。僕は想像で悠に抱かれていたんだ」
 こんな恥かしいことまで告白されると、悠は続ける言葉を見失う。
「想像ねー。本人のほうがいいだろうに」
 悠はふっと吹き出すと、心の中でも陽向を受け入れた。
「でもすぐに出しちゃって。僕はもたなくなったんだ」
「早漏になっちゃったのか。気の毒に。あとは俺に任せろって」


8話に続きます
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「キスだけじゃ足りない!一緒に…つながりたいんだ!」
 陽向は悠の胸を叩き「どうして受け入れてくれないの」と、か細い声で聞く。
「受け入れるって…」
 
 悠の頭の中では自分が石原に襲われたときの光景が浮かんでいた。
悠を思うままにしてやろうと企み、その欲望を丸出しにして圧し掛かってきたあの男、
それと同じことを陽向にはできない。
 悠は陽向を欲望の対象にしていないし、ひとつになりたい気持ちもない。
ましてや同性だ、セックスは有り得ないと悠は思っていた。
 
 しかし自分を「好きだ」と言い、離れようとしないその理由がわかった以上は無碍にもできない。
悠は「はあ」とため息をつき額に手を当てた。
自分がどうすべきなのか迷うのだ。
陽向があのときの傷を癒して欲しいと言うのが理解できない。
同じことをすれば、あのときの恐怖がフラッシュバックするに違いないと思うからだ。
辛い思いなんて2度とさせたくない・親友としてそう思うのだが、
逆に陽向の願を聞き入れたら辛い過去から抜け出せるものなのかわからなくなってくる。

「僕のことなら平気だよ」
 陽向が悠の気持ちを読んだかのように言う。
「僕を想ってくれるなら抱いて欲しい」

「抱いたら親友に戻れなくなる」
 悠の心は揺れていた。
「それでもいいのか?」
 すると陽向は首を振った。

「わからないのかな。親友じゃなくて恋人になりたいんだ」
「は」

 悠は思わず陽向を抱き締めた。
どうしていいのかわからないまま、ただ陽向が愛おしくなった。
 こんなに自分を好きだと言ってくる子は今までいなかったせいもある。
同じクラスの女子達が慕っているのはわかるが、好意は感じられない。

「愛情のあるセックスを教えてよ」

 陽向の声に悠は体のどこかが反応した気がした。
そういえば抱き締めている陽向の足の付け根辺りが自分を突いているのがわかる。
まさか・とは思ったが陽向は勃起していたのだ。
「僕には悠しかいないんだ」
 見られたくないのか股間を手で隠す陽向が、悠にはいじらしく思えた。
「わかったよ」
「え、本当に?」
「わかった。だけどここは教室だから」
「誰も来ないよ。だからいいじゃないか」
「はっ」
 悠は陽向に押し倒されて机の上に体を乗せてしまった。
陽向の予想だにしない力に驚き、目を丸くするばかりだ。
「僕だって男だからね、力があるんだよ」
 そして陽向は悠に圧し掛かると、先に自分からシャツを脱ぎ始めた。
「…なにやってんだよ」
「脱がないといけないじゃないか」
「俺を抱く気?」
「そうじゃないよ、でもどう段取りしていいのかわからないんだ」
 素直な陽向の言葉に悠は吹き出した。

7話に続きます

 いつもは窓際を占領している女子達が席につき「暑い~」とぼやきながら、うちわで扇いでいる。
スカートを翻す隙だらけの危ない瞬間を見なくて済むのだが、
無防備に足を組んで座っているのでその姿も男子の好奇心をそそる。
「もう夏だねー」
 声をかけてきた男子にうつろな目を向ける彼女達はクラスメートには興味が無さそうだ。

「だらだらしているなあ」
 悠が思わず声をかけた。
「見ているとこっちもだらだらしそう」
 すると女子達はこぞって足を閉じ「そうー?」と明るい応対をした。
それを見て陽向は悠が女子達に人気があると改めて感じる。

 やんちゃだが男気があり、容姿も優れている悠はクラスの中でひときわ目立っていた。
女子が意識しないはずがない。
 陽向はこの和気あいあいとした雰囲気の中で、早く放課後にならないだろうかと1人で唇を噛んだ。
自分の気持ちを上手に伝える自信はないが、このままでは悠はみんなのものだ。
独占したい陽向は勇気を振り絞るしかなかった。
 そんなことばかり考えているから陽向は落ち着きがない。
常に悠を目で追ってしまう。

 悠はときどきその視線に気付いたが、目を向けないし手を振ることもしなかった。
どう扱っていいのかわからないのだ。
とにかく1人立ちさせようとは思うが、あの視線には意味がある気がしてならない。
面倒なことを相談されないだろうかと一抹の不安がよぎる。
 悠としては陽向は親友のままであってほしいのだ。
できることならずっと、親友でありたい。
しかし勘のいい悠はその思いが壊される予感はしていた。


 放課後になり、皆が帰り支度を始める中、女子が悠の席に集まりなにやら誘いをかけていた。
「合コンは興味がないんだ、ごめん」
 悠は速攻で断るとカバンを持った。
「それに用事があるし」
「なーんだ。つまんないのー」
 そういいながら悠のあとを女子達がついていくので陽向は驚いた。
これでは話ができない、どうしたらいいのかと焦り、思わず「悠!」と叫んでしまった。
 振り返る悠は「わかっているよ」とだけ返事をして、教室を出てしまった。
悠としては女子をまくつもりだったのだが、陽向にはそんな考えは伝わらない。
約束を放棄されたと思い込み、がっくりと肩を落とした。
今日こそは勇気を出すつもりだったので、告るまえに振られた気分だ。
机に俯き、自分は非力だと思い知らされたかのように悲しみがこみ上げてくる。

 諦めた陽向がカバンを持って下駄箱に向かうと、そこに悠が1人で立っていた。
「ゆ、悠!」
「何の用事だった?」
「…できれば教室で話したいんだけど」
「ふうん?」
 悠は首を傾げながらも陽向に従った。

 教室内はもはや人がいなかった。
がらんとした室内は夕方の日差しを受けて床や机がオレンジ色に染まっていた。
「僕、ね」
 陽向が声を出すがそれは震えていた。
「ん?」
「僕、悠が好きなんだ」
「俺も好きだよ?だから親友じゃん」
 これでは空回りをさせられてしまうと気付いた陽向は焦るあまりに悠の手首をつかんだ。
「わ。なに?あまりくっつくなって言っているだろう」
 しかし悠が手を振り払わなかったので、これは言うしかないと陽向は決意をした。

「好き、なんだ!」

「…は」
 悠は面食らってしまって、言葉が続かない。

「僕は悠が好きなんだ。親友だからとかじゃなくて、恋…、そう、恋なんだよ!」
「恋?」
 悠は「まず、落ち着け」と興奮気味の陽向に声をかける。
「俺を好きってこと?友人とか親友だからじゃなくてって、どういう…」
 聞き返しながら悠は自分も取り乱していると気付いた。
「セックスがしたいんだ」
「はあっ?」
「悠は言っていたよね、セックスには愛情ありきみたいなことを。今ならその意味がわかるんだ」
 攻めてくる陽向に悠は二の句が継げない。
「好きなんだ、だから抱いて欲しいんだ」
 そして悠の胸元に陽向は飛び込んだ。
思いの丈を打ち明けてほっとしたのか、陽向は目に涙をにじませた。

「陽向、どうしちゃったんだよ。俺は陽向と同じ男だぞ?」
「わかっているよ、それでも好きなんだ、抱いて欲しいんだ」
「…わからない」
 悠は戸惑いながらも陽向を拒絶しなかった。
自分の胸元から離れない陽向の髪を撫で「おまえは強姦されたことを忘れたのか?」と聞いた。
「同性にやられるなんて屈辱的だろうに」
「愛があれば、いいんだ。僕はそう思っている。それに…」
「それに?」
「あの忌々しいことを忘れたいんだ。だから、悠に抱いて欲しい。あのときの心の傷を消したいんだ」

 悠は返事のしようがなかった。
陽向を欲望の対象で見たことがないからだ。
親友として好きだが、それ以上の感情はあいにく持ち合わせていない。

「悠、お願いだから応えてほしいんだ」
 陽向の願に悠は混乱しそうだ。
正直に言えば逃げ出したい気持ちもあるのだが、この好意に男として応えるべきだろうかと悩む。
混乱したままぐいと陽向の体を離させると、陽向は悠を見上げて涙をにじませる。
「これしかできない」
 悠は陽向の頬にキスをした。

6話に続きます


 一般のエロサイトには女子高生やOLさん、果ては人妻が乱れる動画がUPされている。
普通一般の男なら、これを見ない手はないだろう。
 しかし陽向はこれを見はしたが別の世界のことのようにとらえていた。
むしろゲイサイトのほうが彼にはしっくりときたのだ。
自分の傷をえぐるような動画ばかりだが、ここには愛情があると勝手に思い込んだ。 
 それは悠がセックスには愛情ありき的なことを言ったからだ。
異性同士なら金でセックスができる。
同性ならそこには愛があるんだと、陽向は解釈した。
 ノンケだったはずの陽向はこうして同性愛と悠に惹かれる自分自身を肯定した。

 しかし自分で濡らした指が切ない。
果てた茎もどこかみじめで、やりきれない。
 悠に受け入れて欲しいと陽向は携帯を取り出した。


 その頃、悠はぼんやりと写真を見ていた。
陽向と知り合ったのは1年のときだ。
自分よりも背の低い陽向を見つけ、思わず声をかけたのがきっかけだった。
「なあ。どっちが早く身長が伸びるか、楽しみじゃないか?」
 なんとも明るい誘いに、陽向は新しい友人ができたと喜んだ。
 当時の陽向は自分から行動をとれない・引っ込み思案な性格で、逆に積極的な悠を羨んだことだろう。
 数々の写真にはいつも笑顔の2人がいた。
「どうしてあげればいいんだろう」
 悠は親友の変化に戸惑っていた。
女子ではあるまいし、人前で体を寄せてくるのは勘弁して欲しいのだ。
しかし言葉を選ばないと、傷ついている陽向を更に苦しめてしまうだろう。
「あーあー。もう」
 これ以上は考えても無駄だと諦めたとき、携帯が鳴った。
見ると陽向からだ。
今まで陽向から着信があったことはない。
悠はなにか起きたのかと心配になり出てみると涙声に気付いた。

「どうした?」
『悠に会いたいよ』
「…はあ?さっきまで会っていただろう。もしかして何かあったのか?」
 悠は童顔の陽向を心配した。
まさか石原のような悪党に玩具にされていないかと不安がよぎる。
「今、どこにいるんだ?」
『部屋…。来てくれる?』
「あのさあ。親御さんがいるだろう?何かあったなら先に相談しな」
 悠は呆れて携帯を切ってしまった。
冷たい態度を取るつもりは毛頭ない、しかし甘えられるのは慣れていないので困るのだ。

 ツーツーと機械音だけが聞こえる携帯を持ちながら、陽向は涙をこらえ切れなかった。
どうしたら気持ちが伝わるのか、陽向にはわからなかった。
ただただ、悠に会いたい。
抱きしめてほしい、それだけのことさえ、陽向には言えなかった。


 翌朝、陽向の家のチャイムが鳴った。
「あら、小松くんじゃない!今日も来てくれたのねー」
「えっ!」
 陽向は驚いてすぐに玄関から飛び出した。
「はよー」
 悠が陽向に手を振った。
「行くぞー」
「あ、うん!」
 一緒に登校するのは石原に襲われた後からずっと続いていた。
悠は親友として陽向が大事であり、陽向はこの時間だけ悠を独占できるので嬉しかった。
「そろそろ1人で登校するかー?」
 なにげない悠の一言に陽向は顔を曇らせた。
「もう石原先輩みたいな変な野郎はいないだろうし」
「嫌だよ!一緒に登校しようよ」
「あのなー。元々遠回りなんだよ。そろそろ1人でも登校できるようになってもらわないと」
「冷たいな」
「…冷たい・とかじゃなくてさ」
 悠はあくびをした。
「この遠回りをするために俺が早起きをしていることは知らないだろう?」
「あ、そうか…」
 そう言われてしまうと無理強いができない。
しかし陽向は悠と一緒にいたいのだ。
「僕が迎えに行くっていうのはどう?」
「…逆方向だろう?」
 すがる隙を与えない悠の態度は陽向を悲しませた。

「どうして僕を避けるんだよ」
「避けていないよ。おまえがくっつきすぎるだけ」
「あ」
 陽向は自分が側にいたがっているのは通じていると気付いた。
これは嬉しいことだった。
 少しずつでもいい、自分を理解してくれるように頑張ろうと陽向は決めた。

「わかった、1人で登校するよ」
「お!理解が早いな。ようやく自立したって感じ」
「それは酷いな」
 2人は笑いながら通学路を歩いていった。
陽向は前の自分ならこの友情だけでも満足だったのに、今では愛情が芽生えてしまっている。
この気持ちを昇華できるのだろうか。
 どう見ても悠はその気がない。
しかし陽向も男だ、想いを捨てることはできない。

「放課後…さあ」
「あ?」
「話があるんだ。いいかな?」
「話?別にいいけど?」
 きょとんとしている悠の横顔を見ながら「悠のほうが背は伸びたね」と陽向は笑顔で言った。


5話に続きます

 カウンセリングに行くと白衣をまとった女医さんが出迎えた。
悠はその女医さんの姿に首を傾げる。
ボタンをしめず、胸元を強調したワンピースを着ているからだ。
TPOをわきまえていない・こんな人に相談して大丈夫かとさえ思う。

「きみは外で待っていて。後で呼ぶから」
 そう言われて悠は待合室の長椅子に腰掛けた。
陽向は不安そうに悠を見ながら診察室に入り、ドアを閉めた。

 悠が携帯でも見ようかとカバンを開けたとき、陽向が出てきた。
異常な速さの診察に、いよいよ不安がつのる。

「きみ、入ってきて」
 悠は女医さんに呼ばれて診察室に入ると「杉本陽向くんのお友達ね?」と確認された。
「ええ、親友です」
「それなら話は早いわ」
「どういうことですか」
 女医さんは、強姦されたことは確かに心の傷だろうが、それを苦にしているのならまず学校へは行けないはずだと言う。
「相手が卒業したから来れるんじゃないですか?」
「それも一理あるけど、現場でしょう?それなのに行けるのは支えてくれる友人がいるからね」
「はあ…」
 悠はあいまいな返事しかできなかった。
現に陽向は性格が変わったとしか思えないからだ。
「好きな人がいるらしいわよ?」
「ええっ?」
 悠は寝耳に水だ。
一緒にいるのに、そんなことには少しも気付かなかった。
「だから大丈夫。もうカウンセリングの必要はないから、気をつけて帰りなさいね」
 悠は頭を下げて診察室を出た。

「また僕の家においでよ。そうだ、今日は泊まらない?」
 陽向の誘いに悠は首を振った。
いろいろな事が悠の脳内を占めていて、その根源でもある陽向と陽気に話す気になれないのだ。
「さ、帰ろう」
 文句ありげな陽向を急かして、悠は歩き始めた。
しばらくして隣を歩く陽向が悠を見上げる。
「手、つながない?」
「は?」
「いつもしているじゃないか」
 このくっつきたがる性格が悠を悩ませるのだ。
「ごめん、急用を思い出した」
 悠は突然駆け出して、丁度来たバスに乗り込んだ。
「悠?」
 乗り遅れた陽向は寂しさを感じていた。
遠ざかるバスを見送りながら、自分がどうしたら悠に気持ちを理解されるのかと涙をにじませた。



 陽向は帰宅すると自室にこもった。
母親がまだパート先から帰らないのをいいことに、陽向は下着をボトムごと下ろすと萎縮している自分の茎をつかんだ。
「悠、悠。いつもこうして欲しいのに」
 悠の名を呼びながら茎を扱く。
するとむくむくと茎は頭をもたげて勃起した。
「悠、どうして避けるんだ。僕は…触れたいのに」
 茎を扱くと気持ちも高ぶる。
次第に呼吸が荒くなり、扱く指もスピードに乗る。
「あ・あ・あ…。悠、悠!」
 切ない叫びとともに陽向は爆ぜた。
濡れた手を見つめながら、陽向は頭を振る。
自慰だけでは満たされないのだ。
 触りたいのは悠であり、悠になら抱かれたいとさえ思い始めていた。


4話に続きます
 クラスの女子が腿をむき出しなミニスカ姿で窓際を占領し、楽しそうに会話をしている。
女子は男子よりも成長が早いと言う、その言葉どおりに女子は皆、制服の胸元がきつそうだ。
しかも日差しを背に受けて、髪が輝いている。
 彼女達は自分がどうすれば綺麗に見えるのかを熟知しているようだ。
隙のある襟元、そして生足が男子には眩しい。

 しかしこの姿を見ても陽向は何も感じなかった。
ぼんやりと見ていると「杉本ちゃん、どうかしたの?」と甘い声がかかる。
 陽向は小柄で黒目がちだ。
その容姿から女子には「ちゃん」づけで呼ばれてしまうのだが、陽向は構わなかった。
女子に対して興味が湧かないからだろう。
「なんでもないよ」
「そうなのー?」

 陽向の興味の対象は常に悠だった。
自分よりもやんちゃで、ケンカが強い。
それなのに自分をかばう優しさに惹かれてしまったのだ。
 この気持ちを伝えるべくゲイに関心があるか知りたかったが惨敗だ。
陽向は悠の気持ちを知ろうとして遠回りをしているし、何より悠の不安を煽ったのだ。
 

「心に傷を受けたままだと、何かの拍子でフラッシュバックでもするものですかねー」
 その頃、悠は職員室にいた。
「なんだ、いきなり」
 担任が面食らっても構わずに悠は口を開く。
「と、言うのか、怖いもの見たさなのかなー」
「おい、小松。何が言いたいのかわからんぞ」
「あ、すみません。杉本なんですけどね」
 杉本・と聞いて担任が真顔になり腕組をした。
まだ担任も石原の件を忘れてはいなかったようだ。
「あいつ、どうかしたのか?カウンセリングに行けとは言ってあるんだが」
「様子がおかしいんです。例の件で心に傷を受けたんじゃないかと思って、相談しているんです」
 悠のため息に担任もつられた。
「はー。そうかー。具体的にどうおかしい?」
「ゲイサイトとか見ているみたいで」

「まずいな。それはきっと、自分の受けた行為が別の人間のことだと思い込みたいんじゃないか」
「えっ」
 担任は悠に「強姦されたショックがあまりにも強くて、その記憶から逃げたいんだろう。脳内で別の人格を作って、受けた傷も全部その人格に押し付けようとしているんじゃないか」と続けた。

「そんなことってあるんですか」
「あるらしい。小説で読んだ」
「小説ですかー」 
 悠が信憑性に欠けるなと思ったとき、担任は「悪い意味でやばい」と言う。
「心の病になりかけているぞ。カウンセリングに行かせろ」


 悠は教室に戻る途中、色々と考えてみた。
陽向が女子に興味を持ったのは1年生のとき以来で、それからは彼女がいない。
 元より陽向から女子の話題を振られたことがない。
クラス内には男子と同数の女子がいる、それなのに興味がないのはおかしい。
 やはり心の傷だろう、そう思いつくと丁度教室に着いた。

「悠、どうかした?眉間に皺が寄っているよ」
 駆け寄ってくる陽向におまえのせいだと言いたいところだが、悠はこらえた。
「難問があるんだ。1人にして」
 そう言って陽向を遠ざけようとするが、何故かついてきてしまう。
「あのなー。2度も言わせるなよ。俺なりに悩みがあるんだから」
「僕に聞かせてよ。解決できるかもしれないよ?」
 すがりつくような目に、悠は呆れた。
「最近やたらとくっついてくるなあ。それが悩みの1つでもあるんだけど」
「僕?」
「あー、そうそう。近いうちにカウンセリングに行ったほうがいい。担任もそう言ったし」
「僕には必要ないよ」
「そうかー?」
 悠は腰に手を当てて陽向を見た。

「おまえ最近変わったよ。それがいい方向なら結構なことだけど、俺にはそう思えない」
 陽向は失策したと気付いた。
悠に余計な心配をかけているのだ。

「あらー。仲のいい2人がケンカ?杉本ちゃん、止めておきなよ。小松は強いから」
 女子が茶々を入れてきたが反応したのは悠だけだ。
「ケンカじゃないよ、そんなことはしない」
 笑顔を見せると女子が色めき立つ。
悠は女子に人気があるのだ。
陽向はライバルが多いと知り、どうしたら悠を独占できるのかわからずに頭を抱えた。
「頭痛?」
 悠の声が遠く感じるのは何故だろうか。
「あのさ、付き合ってやるからカウンセリングに行こう。な?」
 悠に肩をぽんと叩かれて、陽向は顔が熱くなった。


3話に続きます







「僕、変なサイトを見たんだ。女子高生が腹の出た中年男とセックスをしている動画なんだけど」
「へえ?」
「あれって援交だよね」
 
 冬を過ぎて桜の花が咲き急いだこの春、小松悠は高校3年生になっていた。
やんちゃな性格が気に入られたのか、生徒会から是非にと勧誘されたがそれを断り、
いつもこうして親友の杉本陽向(ひなた)と昼ごはんを食べて楽しい時間を過ごしていた。

「援交ねー」
 
 陽向は悠とは違っておとなしい性格だ。
とてもアダルトサイトを観るような子ではないと悠は思っていたのだが、
石原に強姦され、悠が石原に一泡吹かせてから陽向は変わった。

「その女子高生は抵抗しないんだよ。お金の力って凄いね。愛情がなくてもセックスができるんだ」
「うーん。援交している子の気持ちはわからないな」
 悠は食事時の話ではないなあと感じている。
しかしこれは今日に始まったことではない、陽向はところ構わずにその手の話題を振ってくる。
さかりでもついたんだろうかと、悠は仕方なく話に付き合うが陽向の気持ちは理解していなかった。

「ゲイサイトもみつけたんだ」
「…それはさすがに聞きたくないな」
 悠はハンバーガーを食べ終えると添えられていたナプキンで手を拭いた。
「聞きたくない?」
「俺は興味がないから」
 すると不服そうに陽向が頬を膨らませた。
「ゲイの存在を否定する?」
「そこまでは言っていないよ。人それぞれだし。だけど俺はあまり聞きたくないんだ」
 悠は「察しろ」とばかりに席を立った。
そして陽向に「散歩でもする」と言って廊下に出た。

「もう忘れたのかな。それならそれでいいんだけど」

 思わず小声で独り言をつぶやいた。
悠が石原涼に引導を渡したのはまだ2ヶ月前だ。
あの頃は親友である陽向を守ろうと動き回ったので、その記憶は鮮明だ。
 男に襲われたなんて、普通の人間ならショックを受けるだろう、
実際に陽向もそうだった。
俯いてばかりの陽向を救うべく悠は立ち上がった。

 それなのに「ゲイサイトを見つけた」などと笑顔で話す陽向の気持ちがわからない。
自分の傷をえぐるようなことではないか?と悠は不安を抱えた。
 強姦されたのを忘れたならいい、しかし興味本位でそんなものを観るなんて、
一体どうしたことだろうと悠はわけがわからなくなっていた。


 一方、陽向はそっけない悠が気にかかる。
陽向は守られた分、悠に惹かれていたのだ。
自分を守ってくれた親友に好意を寄せるのは当然かもしれない。
 しかし気持ちの伝え方がわからない。
たびたび手をつないで下校するとき『今いわなくちゃ』と焦るのだが、
悠はその様子を誤解して「おなかでも痛いのか?」と聞いてくる。
それが陽向には歯がゆいものだった。
 
 そのうえ、最近は手をつなぐというより手首をつかまれて歩いている。
この距離を縮めたいと思うのは自然だろう。
 しかしそのためには告白をしなければならない。
陽向にはその勇気がなく、ゲイサイトの話を振って様子を伺うのが関の山だった。


2話に続きます





いつものエロ話の前に閑話

もうすぐGWですね~
理由あって無職の私は毎日がお休みなのですが(これが辛い)遠出をしないので、
このGWでどこかに行けたらなあと思います

最近話題の高速道路のPAのグルメとか、凄く興味があります
今朝も「スッキリ!」で特集を組まれていたのでしっかり観ました
行けたらいいな~~

でも結局は家で過ごしそうです
のんびりまったり、こればっかです


ではエロ話に戻ります
昨日で終った「偏愛バージョン」を読んでくださった方々、ありがとうございます!
これで次も頑張れます





第723回「ゴールデンウィーク、お休みは何日ありますか?」

「おまえの体を舐めまわして従順にさせてやる。もう俺の茎は限界だからな」
 涼はいとも簡単に悠を粉雪の積もる歩道に投げ飛ばした。
片足をとられていたからとはいえ、悠は歩道に背中を打ちつける羽目になった。
「いてえっ!」
 この痛みと足元からくる凍えるような寒さに悠は体を震わせた。
粉雪は激しい降り方に変わり、容赦なく悠に降り積もる。
おかげで視界も悪くなった、高笑いでもしそうな涼の表情が悠には見えない。
「ちくしょう…」
 握った拳の冷たさに悠はぞっとした。
感覚が無くなる前に涼を打ちたい、そう思うのだが首や頭の痛みにくわえて背中の鈍痛が響く。

「怖いか?強気なおまえでも怖いことがあるんだな」
 涼は勝ち誇ったように豪快に笑うと、悠を見下ろした。
「所詮は子供だ。圧されて当然」
「…あんたも子供だろう」
「まだ話す気力があるのか。たいしたタマだ」
 悠の抵抗はどうやら涼をそそるらしく、この寒さの中で涼は上着を脱いでネクタイを緩めた。

「この茎を見て、まだ俺が子供だと言えるか?」
 
 涼が鼻で笑いながら自慢の茎をさらけ出すと、悠はいまだとばかりに涼の足元を蹴った。
すると見事に涼が転倒して腰を打つ。
その衝撃で眼鏡が落ちた。
「こ…のガキ!」
 勃起した茎を出しながら憎憎しげに悠をにらむ姿は、滑稽なものだ。
「茎自慢なら女相手にやれ。俺はそんなもの、自分ので見慣れている」
 悠は寒さで頬を赤くしながら、ゆっくりと体を起こそうとした。
しかし「いてっ!」と思わず叫んでしまう。
凍てつく風が吹く中では痛みは増幅して感じられるのだ。

「逃がす気はない!」
 涼は悠の体に圧し掛かり、襟元をつかんで引き上げた。
「くるしっ!」
「苦しいか?そうだろうなあ。しかし従順にしていれば楽しくなるぞ?」
「…犯されてなにが楽しいんだ!」
 悠は涼の横腹を殴ろうとしたが腕を取られた。
そしてもう片方の腕も取られ、両手はネクタイで縛られてしまう。

「あとはやんちゃな足だな」
「触るな!」
 悠は足をばたつかせるが肘で押さえられ、ボトムを脱がされた。
そして下着も膝まで下ろされてしまい、下半身は隠せない状態にされてしまった。
「起たないか。しかしおまえにその気がなくても俺は自分の欲望を満たすからな」
 涼は悠のヘアーを撫でながら不敵に笑うと、一気に力をこめた。
「いっ!」
 思わず悠が悲鳴を上げるほど強引に涼は悠の股を割ったのだ。
「滑らかな肌だな。こんなところを触られた経験はないだろう?」
「誰が触るか!」
「これは楽しめる。おまえを調査した時間は無駄ではなかった」
 涼は悠の内側の腿をしつこいくらいに舐めまわし、きわの部分はわざと強く吸って跡をつけた。
「俺を調べたって?」
 悠は犯されている中でも気力は萎えていなかった。
「ストーカーかよ」
「無粋だな。変質者と同類にされたくないね」
「あんたは変態だよ」
「…その減らず口を黙らせてやる」
 そして膝を悠の上半身に折り曲げたので、悠の秘部は丸見えになってしまった。
「なんて格好をさせるんだ、てめえ、絶対に許さない!」
 悠は足を戻そうと懸命になるが、涼が押さえつけているので思うようにならない。
「雪で濡らすか」
 涼は積もる雪を手に取ると、悠の秘部に突っ込んだ。
「つ、つめた!」
 悶える悠を見て、涼は更なる刺激を得た。
「これでいくか。…さあ、大きな声で啼いてみろよ」
 悠の水滴が落ちる秘部に涼の勃起した茎が挿入され始めた。
「いてええっ!」
「暴れるな、進まないじゃないか!」
 まだ先端しか入れていない。
穴が小さすぎるのだ。
いつもなら指で押し広げなくても茎は挿入できたが、この寒さで穴が収縮しているのだ。
「手をかけさせる…」
 忌々しげに涼がぼやくと「愛がないからだよ」と組み敷いたはずの悠の声がした。

「男同士でセックスなんておかしいけど、愛があれば俺はいいと思った。だけどあんたは違う」
「まだ口答えをする元気があるのか!」
 涼は苛立ちながらも挿入を続ける。
しかし小穴は思うように開かず、受け入れられない。
「この…」
 涼は自分の茎を進めるべく両手で茎を持った。
その瞬間に悠が両足で涼を蹴り飛ばした。
「ふざけんな!」
 涼は植木に頭をぶつけた程度だが、肝心の茎が今の衝撃で爆ぜてしまった。
自分のボトムに白い精を撒き散らして呆然としている。

「警察行きだな」
 悠は体を起こした。
そして両手首を涼に見せて「外せ」と命令をした。
 観念した涼はネクタイを外し、ただ呆然と悠を見つめた。

「なんだよ、気色悪いな。俺を見るな」
「…こんなに抵抗をされたのは初めてだ。誰もが俺に足を開いたのに、どうしてだ」

「強姦だからだよ!」
 
 悠は「寒い寒い」と騒ぎながら身支度を整えた。
「先輩。あんたは人を好きになったことがないだろう?」
「…そうだろうか」
「あんたのことを聞いているんだ!人を好きになれば相手を思いやるしやさしくなる。
人を襲うことなんて考えもしないはずだ」
 悠は怒鳴りつけながらふと「あ、そうか」とぼやく。
「襲うことで性欲を満たしていたんだったな。あんたは人間じゃない。救いようのないものだ」
 悠は動けない涼を置いて体育館の正面出入り口に向かった。
そして教師に「警察を呼んでください」と言い、涼の元へ急がせた。



「おまえのことが好きだったんじゃないのか?小松」
「有り得ない」
 後日職員室に呼び出された悠は、教師にはっきりと否定した。
「しかし石原の部屋からは小松に関するデータが出てきたそうだぞ?」
「は?」
「警察から聞いたけど、登下校の道順や親友の有無なんて個人的なことまで調べていたらしい」
「…呆れた野郎だ」
 悠はため息をついて職員室を出ようとした。
「おおい、本当に好意はないのか?おかしくないか?」
「有り得ませんって!もう関わりたくもない」
「愛情を表現するのが下手なんじゃないのか」
「はあ?この期におよんでかばいますか?」

「いや、愛されたかったと思うよ。だから自分を尊敬してくれる子を選んで犯した。
やり方は明らかに間違っているけどな」
「俺はあんな奴、最初から尊敬していませんよ」
 悠は教師に手を振って職員室を出た。


「悠!」
 途端に親友に抱きつかれてしまった。
「大丈夫?痛みは消えた?」
 涙目で見られると、弱いものだ。
「首以外はもう治った。首も…そのうち治るんじゃない?」
「よかったー」
 親友が悠の胸に顔を埋めて離れようとしない。
「元はといえば僕がやられたからだよね、巻き込んでごめん」
「謝るなよ。おまえは親友なんだから、できる限りのことはする。それが俺の信念
「…かっこいいなー」
「あはは。惚れるなよ」
 悠は親友と手をつなぎながら教室に戻った。
ようやく平穏な日々が戻るのだ、それが嬉しくて思わずつないでいた手に力をこめた。


終わり

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 涼の脳内にはサイトで見た犯されて泣きわめく子の動画が再生されていた。
その子を悠に置き換えて、ハンドルを握りながら沈黙を保つ。
まるで妄想に酔っているかのようだ。
「どういうことだ」
 悠は自分がいつからつけられたのかわからない。
だが「こんな奴の相手をする時間は無い」とつぶやき、車を無視して立ち去ろうとした。
 すると急に車がバックし始める、これでは悠は轢かれてしまう、焦って駆け出すが傘が邪魔で体勢が崩れそうだ。
 悠は粉雪の舞う中で傘を閉じ、本気で走り始めた。
その行く手を涼が追う。
「しつけー!」
 一方通行の細道に逃げ込んでも涼は構わずに突っ込んできた。
『次の狙いは悠だ』、クラスメートが告げた言葉が頭を駆け巡る。
 閉じた傘が家々の壁に当たってべきっと鈍い音を立てていた。
それでも構わずに、悠は走り続ける。

「やっぱり警察に突き出すべきだったんだ!」

 悠は呼吸を乱しながら親友の家からどんどん遠ざかる。
それは今この瞬間に自分が襲われようとしているのに親友を思う気持ちが強いからだ。
 携帯に連絡を入れたくても、そんな隙は見せられない。
悠はただ走りぬけ、大通りに出ると傘をさしたクラスメートたちが歩いていた。
「危ない!」
 悠の叫びに驚いた子が見返って「車が突っ込んでくる!」と大声を上げた。
皆が一斉に走り出すと、涼は諦めたのかバックを始めた。
そしてキュキュとタイヤを鳴かせながら走り去った。

「おい、悠。なにがあったんだ」
 クラスメートが顔色を失った悠を気遣った。
「どこの誰がおまえを追いかけたんだ?」
 クラスメートが聞いたとき、様子を見ていたらしい女子たちが「石原先輩じゃない?」と言う。
「小松くんを追いかけながら笑っていたよ。なんか、キモかった」
「あの人、今日は卒業式なのになにをやっているんだろうねー。おかしくね?」
「え、石原先輩だって?」
 悠は無言で肩に積もった粉雪を手で払い除けると携帯を取り出した。
親友に「ごめん。むかえにいけないから」と告げると、溜息混じりに携帯をカバンに突っ込んだ。
「おまえ、相当執着されているぞ」
 クラスメートは悠が心配なのだが悠は何もなかったかのように歩き始めた。
「悠?」
「早く行かないと卒業式に遅刻しちゃうぞ」
 悠は見返って笑顔で促した。
「おい、悠!大丈夫なのか?」
 クラスメートが傘をささない悠を不審に思い、自分の傘の中に悠を入れた。
「傘、壊れたのか?」
「え」
 よく見ると骨が曲がっていた。
家々の外壁に傘が当たったせいだろう、悠は嫌な気分になった。
この傘のように自分を犯そうとしている涼の思惑に気付いたが、震えはなく、むしろ怒りを覚えた。

「執着しているなら返り討ちにしてやる」
「悠、血気盛んなところはいいけど無茶をするなよ」

 クラスメートがたしなめても悠はとどめをさすべきだと考えた。
それには教師の協力が要る、だが教師に受けがいい涼を罰することができるのだろうか。



 悠たちが歩いている頃、涼は一足先に学校に着いた。
そして職員室に行くと開口1番に「ご迷惑をおかけしました」と謝罪した。
「石原、おまえは十分に反省しただろう。もうあの件には触れないつもりだ」
「今日は晴れがましい卒業式じゃないか。笑顔で参加しろよ」
 教師たちはこぞって涼を慰めた。
強姦をした男を許すあたり、事情はよく伝わっていないようだ。
涼はこの現実にほくそ笑んだ。
誰も彼もが自分の味方だと判断し、運の強さを実感した。
 なにをしてもとがめられないだろう、これであの勝気な悠を襲うことができる・涼はそう信じた。


 いよいよ体育館で卒業式が始まり、在校生が着席している中を卒業生が入ってくる。
このおごそかな雰囲気の中で、悠は爆睡していた。
ものごとを考えすぎて疲れたのだ、しばしの休息を注意するクラスメートはいなかった。
 式は予定どおりに進み、卒業証書授与が終ったころに悠は目を覚ました。
「卒業生が出て行くから、立つぞ」
 隣にいたクラスメートが悠を促し、拍手をしながら卒業生を見送った。

 これですべてが終るはずだった。
しかし体育館を出たあたりで在校生と卒業生が「おめでとうございます」などと挨拶を交わしたり、
教師もその中に入って「おめでとう」と騒ぎ始めた。
「俺たちは帰るか」
 悠は親友と連れ立って体育館を出ようとした。
だが混雑していてなかなか出られない。
 卒業生の写真撮りがあちこちで始まっていて、その中をかいくぐるのは至難のわざと思えた。

「裏口から出るか」
 悠が閉ざされていた体育館の裏口のドアを開けると、粉雪が舞い込んできた。

「悠、そういえばどうして今日は迎えに来てくれなかったんだ?」
「ごめん、それがさ…」
 上手く誤魔化そうとした悠の目の前に涼が現われた。
「多分、こっちから出てくると思ったよ。予想どおりで退屈をせずに済む」 
 その勝ち誇った表情を、悠はにらみつけた。
「…あんたは一体、なにが目的なんだ!朝から走りまわされて俺は不愉快だ!」
「きみに興味があるからだよ、小松悠。今日こそ付き合ってもらうぞ」
 そして涼は卒業証書の入った筒を振り上げて悠の首筋を殴りつけた。
「…つっ!いてーなー!」
 悠は首筋を抑えながら、頭痛を感じた。
首への衝撃は頭にも伝わるらしい、悠は右に首がまわらなくなった。
しかしこの状況でも、悠は涼の腹を蹴り飛ばした。
「ぐっ」
 涼が体を曲げたとき「先に帰れ!」と悠は親友を外に出した。
「悠!」
「大丈夫、後で追いかけるから」
 悠は親友に笑って見せたが、緊張感は否めなかった。
「…今日でけりをつけてやる」
 悠の言葉に涼は体を曲げながらも鼻で笑う。
「ふっ。それは俺の言葉だ。小松悠。おまえを抱いてやる」
「そんなこと、望んでいない」
 悠は吹雪く粉雪を体に受けながら、まっすぐに涼を見た。
そして足を振り上げ、蹴ろうとしたが、その足を涼に取られてしまった。
「は、離せ!」
「誰が離すものか。小松悠、ここで啼かせてやる」
 体育館の裏口には滅多に人が来ない。
それを知ったうえでの発言だろう。
「啼かせるだと?」
「おまえを抱いて啼かせるんだ」
 涼は再び筒で悠を殴った。
「け、けほっ!けほ」
 むせる悠を見下ろして、涼は口角を上げた。


9話に続きます



「俺は性欲処理目的だけで愛情のあるセックスができないだと?偉そうに言いやがって」
 涼は自室にこもり、パソコンの前で歯ぎしりをしていた。
開いているのはゲイ専用のサイトで、様々な動画がUPされている。
これは一般のエロサイトとは微妙に異なるが、性欲を煽るものとしては同じだ。
 閑な人妻を犯すものや、高校生と思われる恋人同士のセックスの隠し撮り、
果ては女子高生を拉致監禁して輪姦するような犯罪ものは無いのだが、
どこか後ろ暗いのか更衣室の盗撮や、ノンケと呼ばれるゲイではない青年をバックで犯すものが主流だ。
 こんなものを見ていたらセックスに愛情は必要ないと誰でも思ってしまうだろう。
涼もその1人だ、セックスが性欲処理目的にならざるをえないかもしれない。

 しかし涼は自分よりも年下の悠につきつけられた言葉が胸に刺さり不快だ。
愛情のあるセックスができないなんて人ではないといわれたような気さえして、
このプライドの高い男の脳は憎しみに支配され、またしても悠を狙う算段を始めた。
 あの正義感に溢れた悠を組み敷いて、抵抗しても最後まで付き合わせる。
いつも自分をにらむ悠の目に精をかければ、随分と気が晴れることだろう。
「必ず啼かせてやる」
 自宅謹慎を言い渡された涼が復学するのは卒業式の当日だった。



「せんぱーい。写真、いいですかー?」
 女子生徒がスカートを翻しながらお目当ての先輩の元に駆けて行く。
彼女達はこの寒い中でもスカートの中は下着1枚らしい。
見る気もなかったパンチラに、悠は溜息をついた。
「まさに隙だらけ」
「あの子達はそれでいいと思っているんだよ」
 悠の親友が「それを色気と勘違いしている子もいるんじゃない?」と言葉を続ける。
「勘違いかー」
「悠、眠そうな声だねー」
 ここ3日間、ずっと卒業式の予行練習をさせられて悠は眠気が増していた。
午前中は普通に授業があるのだが、昼ご飯を食べた後の午後から練習開始では眠くなるのは当然だ。
 満腹で気分がいいところに、ただ椅子に座って先輩達を見送る練習など退屈で眠気を誘う。
「あーあー」
 約3時間の拘束の後は欠伸か伸びをするだけだ。
「もう終ったから帰れるんだろう?」
「そうだね、早く教室に戻ってカバンを持ってこよう」
 悠と彼の親友は連れ立って教室に戻った。
ふと振り返ると女子生徒が先輩にまだ写真をせがんで騒いでいた。

「平和だねー」
 悠はその光景に吹き出しながら教室に戻った。
 
 まるで何もなかったかのように時間が過ぎていく。
悠自身も忘れかけていたが親友が「ようやく明日が本番だね」と言った瞬間に寒気を感じた。
「あいつ、来るんだよな」
「えっ」
「…どの面さげて復学するつもりか見届けてやる」
「悠、もう関わらないほうがいいよ!」
 親友は悠の腕をつかんで離さない。
「お願いだよ、あんな奴に関わらないで。悠が酷い目にあったら困るんだ」
「うん、ありがとう」
 悠は微笑みながら親友の腕を離させた。
「おまえのいうとおりだ。もう関わらないでおくよ」
「よかった、安心した」
 ふう・と息を吐く親友を見て、悠はそれでも許せない気持ちはあった。
自宅謹慎なんて生ぬるい。
犯罪者として警察に突き出すべきだと、悠は考えていた。

「怖い顔をしてる」
 親友が悠の顔を覗き込んで不安げだ。
「あ、ごめんごめん。考え事をしていたんだ」
 悠は慌てて親友と手をつなぐと一緒に教室を出た。
「恥かしいよ、悠」
「たまにはいいだろう?」
 親友は手をつなぐのが妙に恥かしいようだ。
「女子に見られたら笑われる」
「あいつらはまだ外にいるから平気だよ」
 悠は手を離さずに下駄箱に向かった。



 翌朝は粉雪が舞っていた。
傘をさしていても風に載った粉雪は容赦なく制服について溶けていく。
 悠は親友の家を目指して1人で歩いていた。
親友を呼んで2人で登校するのは、最近決めたことだった。
悠は親友が涼に襲われてから、1人で歩くのは危険だと感じてわざわざ遠回りのだがこうして親友の家に寄るようにしたのだ。
 この登校コースは親友以外は誰も知らないはずだった。
しかし悠が角を曲がろうとしたそのとき、急に車が飛び出してきて急停車した。
「あぶねー!」
 雪の降る中での急停車なんてスリップ事故に発展しそうで、危険このうえない。
そんな無茶をする人間がいるなんてと、悠は思わず運転手を見た。
「…は」
 悠は背筋が寒くなった。
その危ないドライバーは涼だったのだ。
 驚く悠の全身を品定めでもするかのように、涼は眼鏡の奥を光らせていた。
「どうして、だ…」


8話に続きます


「それは和姦ですよ。お互い同意の上でセックスをしましたからね」
 涼は教師の問いかけに対して戸惑いも見せずに答えた。
「俺は同性が好きなわけではありません。ですが応じられたのでその希望を満たしただけです」

 悠のいないところで話は進んでいた。
しかも涼は嘘を並べて教師を納得させていた。

「石原。おまえみたいな器量よしなら仕方がないかもしれないが、ここは学校だ。場所をわきまえろ」
 教師はそれしか言わなかった。
品行方正で優秀な生徒にありえないことだと未だに信じているからだ。
「この件は校長に話されるんですか?」
「いや、教師の間だけで止めておこう。おまえは無事に卒業すればいいんだ」
「ありがとうございます」
 涼は心の中で勝ち誇っていた。
そしてこうして教師に弁解をしなければならなくなったことで、悠に対する執着心が沸き起こった。
必ず抱いて啼かせてやる、そう涼は決意した。



「おとがめなし?」
 教室にいた悠はその知らせに驚いた。
「石原先輩は教師に贔屓されているから…」
 うつむいている親友を見ながら、悠は怒りを覚えた。
「その情報はマジなのかよ」
 悠は親友と同じに犯されたクラスメートに詰め寄るが、彼もうつむくばかりだ。
「和姦だって」
「なにが和姦だよ!強姦じゃないか」

「えー。なんの話ぃ?」
「騒がしいのね、どうかしたの?」
 女子が近寄ってくるが、悠は「なんでもないから」と遠ざけた。

「おとがめなしなら、次の標的は多分おまえだぞ、悠」
「俺?」
「そうだね。石原先輩は復讐をしてくると思うよ…」
 クラスメートの言葉に、悠の親友は「ああ」と頭を抱え込んでしまう。
「おまえに嫌な思いをさせたくないんだ、頼むからもう関わらないでくれ」
「足をつっこんだんだから、逃げない。それより謝らせるんだ」
「悠!」
「俺は負けない。あいつ、意外にチキン野郎なんだから」
 悠は自分も襲われかけたことを親友には言わなかった。
心配をかけたくない、その一心だ。
「絶対に謝らせてやるからな!」
 この熱い友情に親友は涙を零した。


 放課後になり、悠が親友と一緒に下駄箱にいると「小松」と背後から声がした。
振り返ると、涼が立っていた。
「面倒なことをさせてくれたな。ちょっと付き合えよ」
「へー。今は強気なんですね」
 悠の皮肉に涼は眼鏡を直すふりをしながらにらみつける。
「俺は波風たたせず無事にここを卒業したいんだ。それをおまえは…」
「自分がなにを言っているのか、わかります?」
 悠は一歩近寄った。
そして涼を見上げながら「あんたは、さいてーだ」と捨て台詞を吐いた。
「謝れよ、俺の親友に」
「謝る必要は無い。和姦だったからな。そうだろう、きみ」
 しかし親友は首を振る。
「なにが和姦だって?頭がおかしいんですか?」
 悠はまったく負ける気がしない。

「勉強はできても人の痛みがわからないようじゃ、いつまでたっても性欲処理にかまけて強姦しかできない。愛情のあるセックスができないんだ」
「セックスに愛情なんてない」
「それはあんたの理屈だ。校内でセックスをしたのは認めたらしいね、なら謝れるだろう?」
 悠はなにひとつ譲らなかった。
この口論を聞いてしまった生徒たちは足早に出て行く。
それだけでも涼には憎らしい事態だ。

「付き合え」
 そういいながら悠の手を取ろうとするが、なんと彼の親友が悠をかばった。

「悠に同じ思いはさせない!」
「え…」
 悠が驚いて親友を見ると指先がかすかに震えていた。
根性で立ち向かっているのだろう、この姿が悠には誇らしかった。
 丁度そこに教師が3人も駆けつけてきた。
口論を聞いた生徒が教師を呼んだのだろう、「石原!おまえは自宅謹慎だ」と教師の1人が叫んだ。
「後輩を抱いたのは和姦だって?教師を舐めるな。被害者から話を聞いたぞ!」
 その声に涼はぴくりと頬を震わせた。
「…すまなかった」
 悠の耳にはかすかな謝罪が聞こえた。


「悠、ありがとうな」
 親友が頬を紅潮させながら言う。
家までの帰り道がこんなに清清しい気持ちで歩けるとは、悠は嬉しかった。
「うちに寄っていかないか?」
「え、いいのか?」
「そうだ、泊まってくれよ。たまには一緒に風呂でも入ろう」
 親友の誘いに悠は乗った。
そして親友の家に入ると、なんと本当に悠をバスルームに誘い、男2人で風呂に入った。
「…まだ跡が残っているんだな」
 親友の体にはあざのようなものが数箇所ある。
「悠が触れてくれたら消える気がする」
「俺は魔術師じゃないよ」
「いいから、触ってくれよ」
 親友の誘いに、悠は言われるままに触れようとした。
しかしその手を握られた。

「本当にありがとうな、悠」
 親友はぽろぽろと涙を零す。
「救われた気がするよ」
「俺は…何もしていないよ」
「そんなことはないよ、ありがとう」
 親友からのお礼に悠は素直にうなづいた。
ようやく平穏な日々に戻れる、そう思ったがふとなにかがひっかかる。
「…そうか」

 涼はまだ卒業をしていないのだ。

7話に続きます




  悠は同性相手に勃起するものがいると初めて知り、恐怖におののいた。
この学校には男子と同じ人数の女子がいる、しかも彼女達は男子の羨望を知り、わざと隙を見せるような挙動をする。
 その女子達を相手にせず、同性を襲う輩がいたのだ。
しかもまだ触れていないのに興奮している。
悠は抗いたくても手首を縛られているし、開脚させられた股には涼が体を入れている。
逃げる術を失ったと観念するのは当然かもしれない。
しかし悠は両足で涼の体を挟み込むと、片方の膝で涼を蹴った。

「元気だな。その調子がいつまで続くか試してみよう」
 蹴られた涼は平然としている、やはり力が足りなかったと悠は感じた。
不自由な足では抵抗ができない、悠は思わず天井を仰いだ。
「観念したか」
 涼は悠の上着を開き、シャツをまくりあげた。
そしてやや華奢な体に触れると、胸元をゆっくりと撫で回し、陥没していた乳首を指で押した。
すると乳首は隆起する、それを涼は口に含んで吸った。
「!」
 悠が苦しげに体を揺らす。
男に・しかも親友を玩具にした相手に犯されるのは屈辱的だ。
「滑らかな肌だな。まだ大人になりきれていない体はそそる」
 そして涼の手が下半身に伸び、ベルトを外すとボトムを下ろし、下着の中に指を入れた。
「ぐ」
 悠は苦しげな声とともに体を反らす。

「なんだ。まだ勃起していないのか…こんな奴は初めてだ」
 涼は驚いたようで、指で眼鏡を上げた。
「大抵の奴は愛撫だけで勃起するのに」

「ぺっ!」
 悠は舌の力で押し込まれていたハンカチを吐き出すと「離せ!」と大声を上げた。
途端に涼が周りを見渡す。
先程自分から「教師は出払っている」と言ったくせに、悠の声が思いのほか響くので、慌てて悠から離れた。
「なんだ。でかい態度を取るわりに心臓が小さいんだな」
 そして悠は机を蹴り、大きな音を立てた。
「俺の親友に謝れよ」
「親友?」
「おまえは犯した相手くらい覚えているんだろう!」
 悠は感情的になり、また大声を上げる。

「それともいちいち覚えていないのか?手当たり次第かよ」
 悠は自由な足で涼を再び蹴った。
涼はここまで抵抗した相手は初めてなので、一瞬対処に困った。

 しかしこれは据え膳でもあるのだ。
そう考え直すと再び悠を机に押し付け、強引に下着を脱がせてしまう。
「野郎!離せ、近寄るな!」
 悠が騒いでも涼は取り付かれたように悠の茎を握り、ぐいぐいと擦り始めた。
「触んな!」
 涼は手馴れているはずの手こきだが、悠の茎がなかなか起たない。
まるで自分を拒んでいるようだと思い、涼は苛立たしくなる。
しかも悠のそれは自分の茎よりも太いので、男として激しい憎しみすら覚えた。
「触るなって、言っているだろう!」
 強烈な蹴りが涼の体にヒットした。
しかし涼が悠の茎を握ったままだったので、悠は「ぐぐう!」と痛みを感じた。
まるで引きちぎられるような痛みだ。
そのせいか悠の茎は屹立し、涼を微笑ませてしまう。

「ようやくだな」
 そして手こきを再開するが、悠は精を出さない。
「それならこっちが先にいい思いをさせてもらうぞ」
 涼がジッパーを下ろして勃起した茎を取り出した。

「舐めろ」
「はあ?」
 悠が眉間に皺をよせるが、涼は構わずに茎を悠の顔に近づけた。
「早く舐めろよ」
 男特有の匂いが鼻をつく。
悠は逃れようと顔をそむけたが、そのときに先端が当たってしまった。
「ウッ」
 なんと涼が先走り、悠の頬を汚した。
「さいてーだ」
 悠はそれを手で拭うと、ぶらぶらとしている涼の茎を払い除けた。
その衝撃で涼は机に精を出してしまう。

「とんだチキン野郎だ。みっともない」
 悠はあざけると、肩を落とした涼を足で押しのけた。
「…どうして俺のものにならないんだ」
「なりたくもない!」
「魅力を感じないのか?!俺はこの学校で知らないものはいない有名人だぞ」
「知るか!」
 悠は怒鳴ると机から飛び下りた。


「誰かいるのか!」
 バタバタと足音が近づいてくる。
涼は慌てて悠の手首を開放すると職員室から逃げ出した。

「思いのほか、チキンだな。それなら話が早い」
 悠が机から降りると教師が1人駆け込んできた。
「おまえ、ここでなにをしているんだ?授業はどうした!」
 名前も知らない教師だが、悠は乱れた着衣のままで携帯を取り出した。
「なんだ?」
「聞いてくださいよ」

『元気だな。その調子がいつまで続くか試してみよう』
『なんだ。まだ勃起していないのか』

「これは?石原の声に似ているな。そういえばさっき走っていくのを見たぞ」
「俺、襲われたんです。石原先輩に・ね」
 そして悠は自分の乱れた着衣を指し、体も見せた。
唾液で濡れた乳首が妖しく光っている。
「こんなことがあるのか…」
 教師は言葉を失ったが、そこに1人の生徒が入ってきた。
朝方、涼に襲われた子だ。
「僕もやられました。石原先輩に処分をお願いします」


6話につづきます
第721回「大人になって克服した食べ物」



子供の頃は食べられなかったものが、不思議と大人になると食べれるようになるものですね
私は納豆がダメだったんですが、今では好物の1つになりました
栄養があるし安価なので家計は大助かりです

だけど逆に子供の頃はOKだったのに大人になったら「あかん」ものがあります
…牛乳です
飲むとおなかがゴロゴロします
CMで「おなかがゴロゴロしない牛乳」が流れていましたが、
あの白さ・なんとなく漂う香り・いつまでも口の中に残る感じがダメなのでパスだな~
それなのにヨーグルトは食べられるなんておかしいかな?


BLの書き物の途中にトークを挟んですみません
またエロに戻ります
 教室の窓辺にはスカートを翻しながら小鳥のように騒がしい女子が集まっていた。
ブレザーの制服を着ているが、その上からもわかるほど彼女達は大人の体になっている。
 そして隙だらけの言動だ。
スカートの丈は短いし、襟元は開いている。
なにがそんなに楽しいのか笑顔で話す声は男子のそれとは違い、甘さがあった。
彼女達を羨望の眼差しで見る男子は多い。

「どうして女子じゃないんだろう。変な性癖だ」
 ぼやく悠の側には怯えを隠せない彼の親友がいた。
「俺だったらよりどりみどりだと思うけどねー」
 悠がなにげなく視線を窓辺に向けると、気付いた女子が手を振る。
少しはにかみながらのその仕草は好感度が高い。

「悠、どうしよう?あんなことをして大丈夫なのかな」
 親友は視線も落ち着かず、肩を震わせる。
「無事に卒業なんてさせるもんか。罪を償わせてやる」
 彼の体の写真を撮ったのは悠だ。
体を見せるのを嫌がる親友を説得して、その跡が残っているうちに教師に届けたのだ。
「警察沙汰でも俺は負けない」
 頼りがいのある悠の言葉に親友はようやく安堵したようだ。
席に戻ると隣の席の女子と談笑を始めた。

 悠が力になると言っただけでも彼は心の重荷がなくなったようだ。
それを見ながら悠は、涼に必ず謝罪をさせてやると決意を固めた。
 まずは届けた写真の効果を知りたかった。
先程流れた涼を呼び出す校内放送は、写真のせいだろう。
「さて、どうでるかな」
 悠は頬杖をつきながら、そのときを待った。

 しかし悠の希望どおりにことは進んでいなかった。
事実確認で呼び出されると予想していたのに、その知らせは無い。
まさかと思い、2時間目の授業が始まる前に職員室に行くと写真はどこにもなかった。
「どうしてだ?」
 悠が目を丸くしていると背後でシュレッダーの音がした。
「は!」
 振り返るとそこには写真をシュレッダーにかける涼の姿があった。
「…この野郎!」
「とんでもないことをしてくれるなあ、小松悠。俺の遊びを邪魔して楽しいのか」
「遊びだって?」
 悠は怒りのあまりに拳を握り締めて涼に向かっていった。
しかし身長差がある、たやすく腕を絡めとられた悠は怒りが治まらずに涼を蹴り飛ばした。
「ぐっ!」
 悠の足は涼の腰にヒットした。
思わず床に片膝をつく涼に、悠はそれでも飽き足らずに頬を打ったので涼の眼鏡が落ちた。

「おまえのせいで苦しんでいる子がいるんだ。謝罪しろ」
「なにが謝罪だ」
 涼は眼鏡を拾い、すぐに立ち上がると悠に歩み寄り、いきなり頬を打ち返した。
そして体をどんと突き飛ばすと、勢いで悠は散らかった机の上に尻を乗せてしまう。
「2時間目の間は誰も職員室には来ない。教師全員が出払っているからな」
 勝ち誇ったような涼の声に、悠は寒気を感じた。
「早めに潰しておく必要がある。小松悠、楽しませてもらうぞ」
 なんと職員室で悠を犯そうとしているのだ。
眼鏡の奥の目が光を帯びていて、まるで悠を品定めしているようだ。
「こんなところで強姦したらヤバイのはあんただ」
「見つかるものか。声も出させないですれば、な」
 悠は両手首を涼に取られ、しかも口の中にハンカチを押し込まれた。
これでは声が出せないし、自由がない。
唯一動かせる足もバタバタと動かすのがせいぜいで、無力だ。
「そのにらみつける目に、喜びを感じるね」
 涼は得意げに微笑むと悠の両手首を縛りつけて完全に自由を奪った。
「さてと」
 余裕を見せる涼は悠の足を押し開き、その中に入った。
「!!」
 悠は顔色が変わった。
ボトムが触れあい、それで涼が勃起しているとわかったからだ。


5話に続きます

 涼が後輩を強姦まがいに襲い始めたのは年が明けた1月からだった。
この悪事がたとえばれたとしても、1ヶ月もすれば卒業なので痛手を受けない。
そんな計算づくで始めたセックスは快楽を貪るというよりも、相手を屈服させることに意義があった。
 廊下ですれ違ったときに誘った名前も知らない子をはじめ、生徒会や美術部の後輩を手当たり次第に自分の性欲解消に使った。
 このセックスに愛情はない。
ただ傲慢な茎を相手の小さな秘部に挿入して突き上げる、この行為が涼の性癖だ。

 しかし今まで噂1つたたないのは不思議でもある。
だが涼はその噂が流れることはないと確信していた。
誰もが襲われたことを訴えるのは恥かしい行為だからだ。
 口封じはしていないが噂も聞かず、ましてや何も知らずに自分を慕う後輩は減ることがない。
こんな気楽なことはないだろう。
できれば抵抗する子がそそるのだが、今までそんな子は見つけられなかった。

 そんな中に現われたのが悠だ。
見るからに気が強そうな目の光に涼はこれだとほくそ笑んだ。
悠の住所や所属している部活はおろか、教師による内申書まで入手していた涼は、
翌朝いつもどおりに平然と登校した。
 そして教室に入らずに生徒会室に出向くと、事前に呼び出しておいた後輩がいた。
「先輩、どうしたんですか?」
 何も知らない後輩は早く教室に行かないと授業が始まってしまうと思い、焦っていた。
「きみは2年2組だったね」
「はい、そうです」
「小松悠を呼べるか?」
「…小松ですか」
 急に後輩は頬を染めた。
その一瞬を涼は見逃さない。
「同じクラスだろう?」
「クラスメートですが、あまり親交がないので難しいです」
 後輩は嘘をついていると涼は感じた。
恐らく憧れている相手なのだろう、声をかけられないのが本当の理由とみたのだ。
「先輩はどうして小松を?」
「昨日初めて顔を見たんだが、ちゃらちゃらしているので1度注意をしておこうと思ってね」
「小松は…先輩が心配するような悪い奴ではないです」
「へえ?」
「友達思いの、いい奴だと思います」
 後輩はそう言うと視線を床に落とした。
よく見ると耳まで赤く染めている。

「きみは小松が好きなのか?」
「えっ!…そんな、同じ男ですよ?ありえません!」
「同性でも快楽は得られる。証明してやろう」
 予定外だが涼は後輩の腕をとり、机の上に押し倒した。
「せ、先輩っ?!」
 なにが起きようとしているのかわからない後輩はうろたえた。
「離してください、授業が始まっちゃいます!」
「そんなことより、こっちのほうが楽しいぞ?」
 涼は口角をあげて微笑んだ。
そして後輩の上着のボタンを外して開き、シャツの上から胸を撫で回して乳首を指で擦った。
「え、な、なにをしているんですかっ!」
「すぐに気持ちがよくなる」
 抗わないのをいいことに、涼は後輩のボトムを膝までおろし、下着に手をかけた。
しかしそのとき校内放送がかかった。

<3年1組の石原涼。職員室まで来るように>

「はあ?」
 涼が首をかしげている隙に後輩が腕をふり払った。
その力強さに涼が体勢を崩す。
後輩はボトムを上げるとすばやくベルトをして、駆け足で生徒会室を出ていった。

「しまった」
 未遂のセックスは危ない。
あの後輩が誰かに訴えるのは目に見えていた。
「予定外のことをしたせいだ、抑えられるか…」
 涼は激しく動揺したが、職員室に行かねばならない。
深呼吸をするとなにもなかったかのようにカバンを持ち、職員室に向かった。


「何の用事でしたか」
 涼が担任の元に行くと「これ」と1枚の写真を見せられた。
それを見て涼は不覚にも胸の鼓動が激しくなった。
間違いなく、セックスを強要した後輩の体が映っていたのだ。
「なんですか、これは…誰の体ですか」
「おまえに強姦されたって、言い出した奴がいてな。その体の赤い跡はキスマークだそうだ」
「ありえません」
 涼は平然と写真を返した。
「だろうなあ!ああ、安心したよ。石原が同性を襲うなんてことは考えられないからな」
「当然です」
「石原ならどんなJKでも思いのままだろうし。あ、教師がJKなんていってはいけないな」
 涼はわははと笑う担任を見ながら、これは悠の仕業だと感じた。
早々に一戦交えないといけない相手だと確信した。
嫌がる体を組み敷いてセックスを強要しないと、卒業前に火の粉がふりかかるだろう。
このまま逃げ切れる相手ではない、涼は悠に会いにいくことにした。


4話に続きます


「巷ではJKがもてはやされているけど、セックス目的でしょう?まあ、先輩のしていることと変わりはないですけどねー」
 悠はのらりくらりと話つつも、涼から目を離さない。
「なにが言いたいんだ」
 涼はこの窮地でも胸を張っていた。
それは担任が側にいるからだ。
 教師の受けがいい涼は、担任が自分の味方だと信じて疑わなかった。
その証拠に担任は目を白黒させるだけで、涼を咎めない。
「どちらも強姦まがいだ。ねえ、先輩。あなたを慕うものを玩具にして楽しいですか?」
「玩具か」
 涼は的を得ていると感じた。
しかし本音をいうつもりは毛頭ない。
「なにか勘違いをしているんじゃないか?俺は忙しいんだよ、女をとっかえひっかえしている閑はない」
「女じゃない。2度も言わせますか?同性を泣かせておいて」

「おいおい。つっかかるのは止めておけ」
 ようやく担任が仲裁に入った。
「よくわからないことで石原を責めるな。余程おまえのほうが遊んでいるように見えるぞ」
「見た目で、ですか?俺は普通ですよ」
 悠は吹き出して床を見つめた。
その動作に担任が誤解した。
「後ろ暗いことがあるのか。だから石原にけんかを売るのか」
「いいえ?」
 悠は顔を上げると両手を小さく振って「売る気は無い」と答える。
「先輩。いつか落としてみせますからね」
「はあ?」
「悪い事は表沙汰になるものなんですよ」
 そういうと悠は背中を向けて廊下を歩き出した。
今どきの子のように上靴を引きずらないその歩き方に、涼は不審を抱いた。

「悪ぶってみせたい年頃なんだろうな。災難だったな、石原」
「いいえ」
 涼は悠がちゃら男ではないと確信した。
容姿も話方も今どきとしか言いようがないが、躾は行き届いているようだ。
 そんな男子は涼の好みでもある。
女子と見間違うような可愛い子よりも、やんちゃな子のほうがセックスは楽しい。
なぜならば必ず抵抗するからだ。
それをねじ伏せて自分の茎を舐めさせる。
嫌がるその体に茎を挿入して、自分が果てるまで抜き差しを続ける。
自己満足なセックスは悠の発言どおりに強姦まがいだが、涼をそそるのだ。


 そんな涼だが2度だけ女子を抱いたことがあった。
しかし果てることができなかった。
 成長を続ける大きな胸や、感じると立つ乳首、そして濡れた秘部、すべてが涼を困惑させた。
女子の体が美しいと思ったことがない。
匂うような女子の香りには咽るばかりだ。
 元々同性が好きなせいもあって、涼の性の対象は男子に限られた。
2度の間違ったセックスは、後輩を次々に抱くことで昇華したとさえ思っている。


 涼は帰宅を急いだ。
進学塾に顔を出すためと、自宅のパソコンで悠を調べることに集中したいからだ。
 塾に行くと世話になった講師にお礼を伝え、足早に帰宅するとパソコンを開いた。
「2年2組の小松悠・だったな」
 涼は生徒会にも属していたので教師が管理している生徒のプライベートな資料を手にしている。
本来は門外不出の資料のはずが、涼に対して教師達は甘すぎた。
「ふうん。学校から自宅が遠いんだな」
 恐らくバスか電車通学だろう、そうとわかったとき涼は新しい遊びを覚えた子供のように微笑んだ。
「落とされるのは悠、おまえだ」
 涼はほくそ笑むとパソコンを閉じた。
そしてカバンの中にコンドームを隠した。
 悠を抱く、そしていつもどおりに捨てる。
あのプライドの高そうな悠を思いのままにしてやろうと涼は企んだ。


 その頃、悠は親友に肩を貸しながら歩いていた。
親友は涼にセックスを強要されてからというもの、急に無口になり、俯いてばかりになっていた。
「戻ろうぜ、前みたいな楽しい日々に」
 悠が話しかけると親友は頷いた。
「俺が必ず先輩に謝らせてやる」
「そ、それは無茶だよ、悠」
「どうして?」
 親友は目に涙を滲ませていた。
「どこの誰が信用すると思う?先輩は教師の受けがいいんだよ?」
「だからさ。本人とぶつかる覚悟を決めたんだ」
「悠…」
 悠は自分は間違っていないと確信している。
しかし涼の狙いが自分であるとまで勘づきはしなかった。


3話に続きます

「あ・あ・先輩っ、凄い…。もっとして、もっと!」
 放課後の美術部の部室の窓はカーテンで閉ざされていた。
それでもわずかにオレンジ色の夕陽が差し込む中で、喘ぎ声が続いている。
「ああんっ、先輩、やだ、抜かないで」
 すがる手を払い除けたのは、眼鏡の似合う眉目秀麗の男子だ。
よがっている相手の秘部から自分の茎を抜くと根元を持ち、精を相手の腹にかけた。
「こんなの楽しめない…どうして中に出してくれないの?」
 腹どころかシャツまで濡らした相手が不満げに彼に聞く。
「中に出したら面倒だ」
 そして彼は身支度を整えて、カーテンを開けた。
「わっ!」
 半裸でいた相手が慌てて机の下に潜り込む。
「恥かしい!閉めてよ、先輩!」
「早く服を着ろ。鍵は机の上に置いてあるから施錠しておくように」
 彼は一瞥しただけで部室から出て行ってしまった。
相手はその後ろ姿を見て、かすかに体を震わせた。

 眼鏡をかけているこの男子は石原涼(りょう)、美術部の部長だ。
涼しげな切れ長の目を持つ彼は、校内でもその名を知らないものはいない有名人だ。
それは優れた容姿にくわえて、この高校から初の有名大学に進学が決定しているからだ。
 おかげで教師のうけもいい。
生徒も羨ましげな視線を涼に送る。
 しかし涼には欠点があった。
品行方正とはとても言いがたい性癖を持っていたのだ。

 ここは共学高だが、涼は同性しか愛せない体質だった。
しかも校内で堂々とセックスをするあたり、まともな人間ではない。
 いつ見つかるか・そんなスリルが彼を駆り立てていた。

 涼はセックスの相手に不足しなかった。
誰もが羨む涼の誘いに乗らないものはいない。
 たとえセックスをしたら放り出されるだけだと知っても、相手は開脚した。
そして激しい愛撫やセックスに飲みこまれてしまい、陶酔して涼を求めるが、
涼は自分の気がすんだら終ってしまう。
 これだけのことをしておきながら、校内で彼の性癖の噂はたたない。
皆が口を閉ざし、セックスをしたものは遠くから涼を見てはため息をついていた。


「石原、おまえが登校してくるのはあと数日だな」
 帰ろうとした涼を担任が呼び止めた。
「そうですね、3年間は早かったです」
 
 顔を上げて担任に適当に口を合わせた涼の前を、見知らぬ男子が横切った。
校則違反ともいえる明るいブラウンカラーの髪が制服のブレザーによく似合う。
それに身長が160センチ前後と思われる背の低さが気になる。
涼は、この子が誰かわからなかった。
「ああ、おまえ。2年の小松だな?」
 担任に小松・と呼ばれた男子が振り返った。
「そうですけど?」
「おまえの担任の杉本先生が『遅刻ばかりする』って悩んでいたぞ。まともな高校生活を送れよ」
「はあ」
「この石原のようにな!有名大学に進学だぞ?」
 担任は涼がよほど自慢らしい。

「へーえ?」
 小松は小首をかしげた。
そして口角を上げて「石原先輩みたいに・ねえ?」と蔑むような言い方をした。
 
 この態度が気に食わない涼は眼鏡を指で押し上げながら「名前は?」と小松に聞く。
「小松悠(ゆう)です。2年2組、部活は写真部。これくらいでいいですか?」
 なにげに上からものを言う生意気な態度に、涼は眉をしかめた。
「初めてこんな近くで石原先輩を見たけど、かっこいいですね。これならもてるわけだ?」
 悠の声に担任が「当たり前だろう。石原はちゃらちゃらしたおまえとは格が違うんだ」と言う。
しかし悠はまたしても「へえ?」と笑いを噛み殺すような表情だ。
そして、ひょいとつまさきで立つと涼に視線を合わせた。

「せーんぱい?俺のクラスにあなたに捨てられて泣いた奴がいますよ?」

「それくらいいて当たり前だ。石原は…」
「結構、遊んでいますね、先輩?」
 担任の声を遮って、悠が言葉を続ける。

「そいつ、俺の親友なんですよ」
 
 涼は悠の目が鋭く光った気がした。
もしかしたら自分のセックス行為を聞いたのかもしれない、涼はそう感じたが、
もとより覚悟の上でしているようなものだ。
何故なら無事にここを卒業できるめどがたっているからだ。
粗相をしても数日のことだ、涼は冷静さを失わなかった。

「へえ、親友か」
 涼が返事をすると、悠は大きな目を涼に向けると「相当、軽いんですね」と挑発してくる。
「何人抱いたかさえ覚えていないでしょう?」
 悠は妙に強気だ。
流行の盛った髪型をしているあたり、今どきの高校生そのものだがどこか胆の据わった感じがする。

「それに、男好きですか?」


2話に続きます

 





 

リーマンがスーツを乱しながらセックスをする姿とか、
口げんかする割りにベッドの上では従順なところを書きたくて長い話になりました

今までで1番長い話だけど書いていて楽しかったです
エロも長くてすみません、でもこれも書きたかったので今は満足しています

次の話は学生にしようか・リーマンか迷うところですが、
また楽しいお話になればいいなあと思います
お時間がありましたらお付き合いいただけると幸いです




ところでFC2さん…変わりましたね
これってちゃんと反映されるのかな
かなり不安なんですけど…
 亮輔は蒼生の濡れたヘアーをまさぐり、爆ぜたばかりの茎を撫でた。
「興奮しているなら、そう言えば?」
「…うるさい」
 蒼生は吐息をついて亮輔の胸に顔を埋めた。
「そんな仕草もできるのか。可愛いなあ」
 亮輔の声に蒼生はただ首を振る、それが亮輔には気持ちがいいらしい。
まるで子供をあやすように蒼生の髪を撫でた。

「なあ。俺が部長の管轄だった取引先を引き継ぐってこと・聞いた?」
「は?」 
 蒼生には寝耳に水の話だ。
「部長も年だからなー。遠方の取引先にはなかなか顔を出せないんで苦情が来たらしいんだ」
「ええっ!」
 蒼生は目を丸くして亮輔を見上げた。
「それでフットワークのいい俺が指名されたってわけ。これで蒼生は俺の事務担当だ」
 これは蒼生にとってまさかの展開だ。
部長は人当たりがいいので取引先から苦情が出るなんて信じがたく、ただ亮輔の目を見た。
「き、聞いていない!」
「そう?俺もさっき帰されたときに本人から聞いたばかりだけど」
「眉唾ものじゃないか」
「事実だけど?」
「それに部長は他にも取引先を抱えているから、僕が亮輔の事務担当になるなんてありえない!」
 蒼生は落ち着きを失って亮輔から離れようとした。
しかしまだ挿入されたままで2人はつながっていた。

「り、亮輔、もう」
「あー。仕事をしているときの顔になっている。俺のことはいいのかよ」

「部長に聞かなくては!」

「蒼生!」
 亮輔は怒鳴るとともに腰を大きく動かして抜き差しを始めた。
「あ、あああ!やだ、亮輔、はなれ…ううん!」
「俺だけを見ていろよ、蒼生。このまま帰すもんか」
「や、やだっ!亮輔、お願い」
「俺を見ろって!」
「ぐっ!うううん!…あ・あ・そんなに来ないで、く、ううん…」
 亮輔がぐいぐいと力強く抜き差しをするので、蒼生はもはや抵抗はできないと悟った。
「亮輔、り…」
「ようやく力を抜いたか、締まりもいいけど、俺に委ねろよ」
 蒼生は「ウンウン」と頷くような喘ぎ声を続け、その上気した頬に汗が一滴流れたときに亮輔の茎が蒼生のいいところを突いてしまった。
「あああ!」
 悲鳴を上げた蒼生に、亮輔は満足そうに微笑んだ。
「ここか」
 亮輔は遠慮なしにその角度で蒼生を攻め立てる。
「や、やだ。い、・いい・い…」
「堪えるなよ。イク顔を見せな」
「やだっ、もう、やだ!」
「やだじゃないだろう。ほら、もっと声を聞かせろって」
 亮輔は抜き差しを止めない、しかもスピードに乗ってきた。
「あ・あ・あ・あ…」
 肌のぶつかり合う音も蒼生を攻め立てる。
「や、や…ううん!」
 蒼生が声を振り絞ったとき、亮輔は蒼生の中で爆ぜた。
「は、うん…蒼生…」
 亮輔は蒼生を抱きしめると、そのまま目を閉じた。
熱く火照っていた体は徐々に落ち着いていき、蒼生はそろそろと布団を手繰り寄せて体にかける。
そして様子をみはからって亮輔から体を離してベッドの隅に腰掛けた。

 まだ蒼生の頭は混乱しているが、時間を見ると21時だ。
こんな時間に部長に電話をかけられない、明日会社で聞こうと決めた。

 そして再び亮輔の元に戻ると、亮輔はかすかな寝息をたてていた。
「1回しかさせないって怒ったのは誰だよ、まったく」
 寝ている亮輔の頬にキスをすると、蒼生は亮輔の隣で眠った。


「起きろ、亮輔!」
「んー?」
 亮輔が目を覚ますと身支度を整えた蒼生がいた。
「始発の電車に乗れるぞ。帰宅して着替えなければ」
「そんなの、いい」
 亮輔はまだ眠いらしく、ぼんやりとしている。
体を起こす気配が無い。
「よくない!おまえは三日も同じシャツを着る気か?」
「あ、そうだ!まずい!」
 亮輔は慌てて身支度を整えると、2人揃って駅まで走った。
ここで2人は帰る方向が違うので一時お別れだ。
「じゃあ。また会社で」
「ああ」
 手を振るとすぐに蒼生が別のホームに駆け出していった。
それを見送りながら亮輔は大きなあくびをした。
 今日から亮輔が担当する取引先が増える。
それに伴って、蒼生が亮輔を事務面でサポートすることになるだろう。
これは亮輔の願が叶ったようなものだ。
「いつでも一緒・か。悪くないな」
 亮輔は独り言をつぶやくとホームに入ってきた電車に乗り込んだ。



終わり

読んでくださってありがとうございました

 
 亮輔はしたり顔で蒼生の秘部に指を2本差し込むと、中をかき回した。
「はあっ!やだやだ、んーっ!」
 刺激を受けて蒼生の声が独特の甘さを持ち始めた。
「や、やだっ!亮輔早すぎるっ…」
「早いか?それにしてはこの腰はよく動くなあ?」
 亮輔は蒼生の腰をゆっくりと撫でた。
その体温に蒼生が体をびくりと震わせる。
「つめた…」

「指が冷たい人は心があたたかいんだ」
「…亮輔に限ってはそんなことはない」
「はあ?」
「あたたかいなんて、思ったことがない」

「言うなあー。俺に蒼生の全部を見せながら、まだ意地を張るのか?」
 亮輔は蒼生の中をまた指でかき回すと急にそれを抜いた。
「はっ…ううん」
 抜けた感覚に蒼生は喘いで体を投げ出した。
うまくはまっていたものが取れたような感じがするのだ。
もう少しで快楽を得られたかもしれない、そう思うと焦れてくる。
「はあ、は…」 
 蒼生は不満げに吐息をつく。
そして開脚していた足をおずおずと閉じようとする。

「なに。もっと欲しかった?」
「…指でイクもんか」
「ふふ」
 亮輔は吹き出すと蒼生の足をつかんだ。
そしてまた開脚させると「んっ!」と蒼生が身をよじる。
「また指なら許さない」
「へえ?挑発できるんだ?これは…面白い」
 亮輔は我慢のできない茎を蒼生の秘部に突き立てた。
「アアッ!」
 途端に蒼生が体を反らす。
気丈なことは言えても、この衝撃だけは慣れないようだ。
「や、やだっ。まだ進まないで」
 亮輔が先端だけを挿入していると蒼生からストップがかかる。
「どうして?」
「もっと…撫でろよ。…なにもなしに受け入れられるか」
「ふうん?」
 亮輔は好奇心をそそられたように、挿入は続けながら蒼生と唇を重ねた。
「身長差があると便利なものだな」
「…るさい」
「なにか言った?」
「別に」
 蒼生は亮輔の背中に腕をまわして肌を密着させようとする。
「わ、キツイって。なにがしたいんだ」
「ここがさっきから…うずくんだ。擦ったらいいかなと思って」
 ここ・とは乳首だ。
既に隆起したそれは赤みを帯びていた。
「自分でしても、なにか物足りないんだ…」
 恥かしそうに小声で言う蒼生に、亮輔は駆り立てられた。
「擦るよりも吸うものだよ、ここは」
 そして乳首を指で転がしながら腰を振り、挿入を続ける・
「あ、あ、ううんっ。あ・あ・入ってくる、亮輔!熱い!」
「そうか?もっと入るぞ」
「くっ、ううん!や、やだ、なんか困る!乳首をいじりながらあっちもなんて」
「蒼生がして欲しいって言ったんだぞ」
 亮輔は挿入してしまうと、満足げに腰を動かした。
ぐいぐいと中に茎を押し込まれる感覚と、皮膚のぶつかる音に蒼生は我を忘れそうだ。
「は、なんか、気持ちい・い…あ、もっと、そうして」
「蒼生っ」
「んんっ、あ、ううん、ん、ん」
 蒼生は動かされるたびに喘ぎ、亮輔を更に燃えさせる。
「この声がいいんだよな、んっ、蒼生ー、昨日よりも奥に進めた感じ」

「ん…亮輔。ここ、ここを吸ってよ」
 蒼生は胸を張り、乳首を亮輔の体にこすりつける。
「も、限界なんだ、ここが。早く、早くして?」
「おねだりもできるようになったな。悪くない」
 亮輔は茎を動かさないで乳首に集中した。
舌で舐め、口に含むと蒼生の希望どおりに吸った。
「あああん!」
 蒼生の喘ぎも亮輔には心地いい。
「あ、やだ、もっとしてよ?やめないで」
「あー、うん」
 亮輔は操られているような錯覚を覚えたが、蒼生のぷっくりとした乳首は嫌いではない。
再び口に含んで吸うが、甘噛みをしてみた。
「くっ!うううん!り、亮輔?は、はあ…そんなことはしないっで・・・」
「感じちゃう?」
 蒼生は何度も頷いた。
声が出ず、吐息ばかりが亮輔にかかる。
「なら、いいじゃないか」
 亮輔はもう片方の乳首も舐めて舌で転がし、甘噛みをした。
「いっ!やだやだ!なんか…辛い!」
「辛い?」
 思わず亮輔が蒼生の下半身を見ると、爆ぜていた。
ヘアーが白く濡れていて、それが部屋の照明に輝いていた。


22話に続きます

「蒼生とセックスをすると凄く興奮する。仕事で疲れた体がいい具合なんだ」
 書類を片付けて会社を出た蒼生を亮輔が玄関前で待っていた。
そして開口1番に、これだ。
「体が目的かよ、僕は亮輔をセックスをすると疲労感が漂うんだけど」
「あれ。愛情は無いのか?」
「それは僕が聞きたい」
 蒼生はぶつくさと文句を言いながらも、亮輔と連れ立って歩き出す。
数秒の沈黙の後、亮輔は蒼生の顔を覗き込んだ。
「仕事は片付いた?」
「あと半分ってところだったけど残りは明日やる。それにしても少しは黙れないのか」
「沈黙が怖い」
「話していないと落ち着かないのか?泳いでいないと死んじゃう回遊魚みたいだ」
 蒼生は呆れながら「近いし」と亮輔を跳ね除けた。
「俺たち、付き合うんだろう?」
「ああ…撤回したくなる」
「はあ?それはないだろう?俺をその気にさせておいて。勝手だな」
「勝手はおまえだ」
 疲れた体に自己中な亮輔との会話は疲労を増幅させる。
しかし蒼生は従順に亮輔と一緒に歩き、歓楽街に向かっていた。
連日使用しているホテルに行くのだろう。
「いつもここだとマンネリ?」
「別に構わないよ」
「そうか。女相手だとホテルをいちいち変えないと機嫌を損ねるんだけど、楽でいい」
 亮輔の言葉に蒼生は気分を害した。
「あのな。僕と女を比較するのを止めろ」
「なんで?まずい?」
 王様な亮輔には蒼生の中で芽生えた気持ちがわからないのだろう。
全ての人が自分の思いどおりになると信じている残念な男だ。
少し繊細さがあれば、こんな不用意な言葉は言わないだろう。
「付き合うんだろう?それなら僕にもプライドがあるんだよ」
「あ、そうか。悪い、ごめん」
 蒼生は素直に謝る亮輔に驚いた。
思わず足を止めて亮輔の上着の袖を引く。
「なに?」
「いや、ちゃんとしたところがあるんだなと思った」
「へ?」
「わからないならいいよ」
 蒼生は袖から手を離して歩き出した。
亮輔のことを知っていくと本人に興味がわく。
少しずつだが亮輔に惹かれている、それは自覚した。


 ホテルの部屋に入ると背後から亮輔が蒼生に抱きついてきた。
「ああ、凄く焦らされた感じ」
「焦らしていないよ、どけ。歩けないだろう!」
 蒼生が抗っても亮輔は体を離そうとしない。
ドア付近で2人は段々呼吸が苦しくなっていく。
「も、このままここで…」
 亮輔は抵抗する蒼生の顎をつかんで強引に見返させると、唇を重ねた。
そして蒼生に苦しい体勢を強いながら舌を這わせて唾液を吸う。
この間も亮輔は時間をおろそかにしない、
片手で蒼生の顎をつかみ、空いている手で蒼生の全身をスーツの上から撫で回した。
「いい、凄くいい感じ…」
 ようやく離された唇は唾液でつながっていた。
蒼生はそれを見て頬を紅潮させながら指で唾液の糸を絡め取る。
「は…キツイ体勢にさせやがって」
「でも凄く感じた」
「おまえはな!」
 蒼生は気丈に振舞うが、亮輔は笑顔を見せる。
「蒼生もそうだろう?」
「は」
 たしかに蒼生はキスと軽い愛撫で感じてしまっていた。
亮輔に「ほら」と体を離されると足元がよろける。
「危ないよ?」
「わっ」
 途端に蒼生は床に尻餅をついてしまい、中腰で「いてー」と尻をさすりながら起き上がると亮輔に抱きかかえられてしまった。
「軽いなあ」
「男に言う台詞か?」
「言うよ。誰でも言う」
 そしてベッドに運ばれると「早く脱げよ」と命令された。
「もう、俺だってもたないんだ」
 亮輔はベッドの脇に立ち、スーツを脱ぎ始めた。
何のためらいもなく堂々と勃起した茎を蒼生に見せ付けて、手を腰に当てている。
「でかい」
 蒼生も脱ぎ始めていたが亮輔の茎の大きさに声を失い、手が止まった。
「はーやーく脱げよ」
 もはや待てない亮輔が蒼生の体にのしかかる。
そして「手伝う」と言い、スラックスを脱がせて下着を下ろすと満足げな表情になった。
「蒼生も感じているから早くしないとなー」
 そして勃起していた蒼生の茎と自分の茎をあわせてつかみ、同時に扱き始めた。
「あ、ちょ、ちょっと、こま…ううん!」
 亮輔の扱きは半端な力ではない、同性だからこそわかる強い刺激を与えてくるのだ。
「あ、あ。も…」
 ぐりぐりと扱かれてしまい、蒼生は腰を揺らす。
こうすれば更に感じることができると知ったのだ。
「やだ、もう」
 蒼生は気付いていないが、明らかに今までのセックスよりも感じていた。
亮輔に体を委ね、自らも感じようと思うのか、声を殺すことなく喘いだ。
「あん、亮輔、出ちゃう・出ちゃう!」
「その声っ、いい感じっ。出せよ、全部出しちゃえ」
 荒い息を吐き、うっすらと体に汗を帯びながら亮輔は蒼生の先端を指で押した。
「ぐっ!い、いやだ、そこは…」
「ここは嫌か。じゃあ、こっちは」
 亮輔は茎から手を離すと蒼生の内腿を撫でてそこにキスをした。
まるで皮膚を吸うようなキスに蒼生は焦らされ「んー!」と体を反らし、足を震わせながら先走る。
「あ、もう出ちゃった?」
「ちが…」
「感じやすい体だよなー。凄く好きだ」
 獲物を狙う動物のように目を輝かせて亮輔が蒼生を開脚させた。
そこには濡れたヘアーと、先端を濡らして雫を垂れる茎・そして亮輔を待つ秘部しかない。
「そんなに見るなって」
 蒼生が手を伸ばしてヘアーを隠した。
その初々しさに亮輔は生唾を飲む。
「可愛いなあ、意地張って。体は従順なのに」


21話に続きます



 

 
「出し惜しみをして、1回しかセックスをさせないからだよ。抱きたくてたまらない」
 まるでさかりのついたネコのように、亮輔は蒼生を見つめて目を光らせている。
周りが全く見えていない証拠だ。
「こんなところでなにを言うんだ!ひと晩1回で十分だろう!それにもう好きにさせない」
 蒼生は亮輔の頬を打つと、急いで助手席から逃げ出そうとしたが腕をとられる。
「好きにさせないって、どういうことだよ」
「不毛だからだよ!」
「…俺が蒼生を好きだって言っているのに、か?」
「セックスするだけしか能がないみたいだ」
 すると今度は亮輔が蒼生の腕を引っ張り、無理矢理自分のほうを向かせて頬を叩いた。
「暴力かよ、今度は」
 蒼生は叩かれた頬を手で覆いながら、亮輔を睨み付ける。
「最低だ。本当は好きでもなんでもないんだろう?手短なところで処理したいんだろう」
「違う。どうしたら理解してくれるのかわからなくなった」
「は」
 亮輔は蒼生の腕を離して頭を抱えた。
「どうしてわかってくれないんだ?」
「わかるって、なにが?」
「好きなのに、気持ちを受け入れられないなんて初めてだ」
 蒼生は急に力をなくした亮輔に驚いた。
「同性を好きになったのも初めてなんだ」
「…そうなのか」
「蒼生をどう扱っていいのかわからなくて今まで誰かにしてきたようにプレゼントもしたし、食事もした。それなのに、俺のものにならないなんて」
 肩を落とした亮輔に蒼生は何も言えなかった。
ようやく本気で好かれていると理解したのだ。
蒼生自身もこんなに王様気取りな亮輔が気になりだしていた。
 亮輔は俯いてしまい、肩を震わせる。
「男が泣くなよ」
「泣いていない。ちょっと鼻水が出ただけだ」
「子供だなー…」
 蒼生は亮輔に手を伸ばし、その体を抱き締めた。
「え、蒼生?」
「泣かれるのは困るから」
 蒼生はそう言いながら亮輔の胸に顔を埋めた。
「セックスだけじゃなくて付き合うなら、僕も覚悟を決めてもいい」
「蒼生、マジで?マジでそう言ってくれるのか?」
 亮輔は蒼生の髪を撫でて、ぐいっと顔を起こさせた。
「…この距離で顔を見られるのは恥かしいんだけど。近いし」
「やった!蒼生、付き合ってな!」
 歓声をあげる亮輔をまじまじと見ると泣いたあとがない。
蒼生は雰囲気で騙されたような気がした。
しかしもう引き下がれない。
「俺の部屋で一緒に暮らさない?」
「嫌だ」
「はあ?どうして?」
「プライベートは別にしてほしい。会社で嫌になるくらい顔を見るんだから勘弁して」
「嫌だよ!一緒に住もう!」
「無理を言うな!」
 蒼生は亮輔の背中を叩いて体を離した。
そして車から降りると台車を転がしながら背中を向けて会社に戻った。


 定時になると、皆が帰り支度を始めてぞろぞろと会社を出て行く。
珍しくその波に乗れない蒼生はパソコン入力を進めていた。
「戸田さん、私でもできることなら助けたいのですが」
 声をかけてきた新入社員に蒼生は笑顔を返した。
「部長の指示なんだ。気にせずに帰りな」
「は、はい。ではお先に失礼します」
 事務員が全員帰っていくのを見届けると、室内は蒼生1人になった。
部長が指示した表の作成は時間がかかった。
しかし本来なら定時で上がれたはずが、亮輔と口論をしたせいで時間を取られたのだ。
 部長が帰社するまえにどうしても作成しておかなければ自分の評価が下がってしまう。
蒼生は焦りながら作業を進めていた。
 喉が渇いたがとてもコーヒーを入れている余裕は無い。
溜息をつきながら急いでいると電話が鳴った。
「はい、●●商事です」
『蒼生?まだ社内にいるのかよ』
 亮輔の声だ。
「ああ、まだ仕事が終わらなくて。何か用事?今はもう誰もいないよ?部長の帰社待ちだな」
『手伝おうか?』
 意外な言葉に蒼生は耳を疑う。
王様な亮輔が誰かの仕事を手伝うなんて、有り得ないのだ。
「いいよ、自分でやるから。じゃあな、お疲れ」
 電話を切った10分後、なんと亮輔が部署に戻ってきた。
「はあああ?なんの用事だよ?」
「手伝うって。早く帰ろう」
 亮輔は慌しく資料をつかむと、空いている席のパソコンを起動させた。
「あのさ…亮輔は伝票が切れるのか?」
「やったことがないけどできると思う」
「…いいよ、手伝わなくて。僕1人で十分だ」
 蒼生は資料を返させると、またパソコンに向かう。
それを亮輔はおとなしく待っていた。
「側にいられると集中しづらいんだけど」
「一緒に帰りたいんだ」
「はあ?」
「言うと怒るかもしれないけど、俺はセックスがしたい」
「またか!今日は付き合えない、遅くなるから」
 蒼生が拒むと亮輔はなにを思ったのか椅子ごと近寄ってくる。

「近いって!」
「俺より部長の指示のほうが大事?」
「子供みたいなことを言うな!これは仕事だ」
 蒼生は呆れて亮輔の座っている椅子の足を蹴った。
すると車輪がついているのでくるくると回る。
「おおー。怖い怖い」
 亮輔がデスクにしがみつくと回転が止まった。
それと同時に部長が帰社して「まだいたのか、戸田」と驚いている。
「すみません、まだ表ができていなくて」
「おまえにしたら珍しいな、規定の時間の枠内で仕事が終わらないなんて」
 部長は驚くと共に「なにかあったか?」と勘繰った。
「いえ、浅尾の仕事の補佐をしたものですから時間をそれに取られまして」
「…戸田。おまえは私の部下だ。浅尾の仕事を手伝う理由はないはずだ…浅尾?」
 部長はようやく亮輔の存在に気付いた。
「なにをしているんだ?丁度いい、きちんと言っておくぞ。戸田は私の部下だ、いいように使うな!」
 部長の覇気にさすがの王様な亮輔が頭を下げた。
「さ、帰れ帰れ」
 亮輔は部長に追い出されてしまい、その部長も「続きは明日やれ」と蒼生に声をかけて出て行った。


20話に続きます
 蒼生は勃起した茎をつかまれただけでなく、亮輔の目に射抜かれた気さえした。
「口でしてやろうか?」
 いつでも亮輔は上から目線なことを言い、追い詰められて苦しい蒼生を翻弄してしまう。
「く、口ぃ?」 
 興奮してしまい、息も絶え絶えの蒼生は体が熱くてたまらない。
苦しげに髪をかきあげながら亮輔の唇を見た。
「蒼生ならしてやるよ」
 亮輔は蒼生の返事を待たずに茎を舐めて口に入れた。
「あっ!」
 蒼生は反射的に股を閉じるが、なんの効果も得られなかった。
それどころか亮輔に再び開脚させられ、汗を帯びたヘアーが覗く。
「ぐ、んっんっ」
 亮輔はわざと音を立ててフェラを続ける。
蒼生の茎には唾液が流れて淫猥な状況だ。
「か、会社に戻らないとっ…」
「戻るためにしてやっているんだぞ」
 亮輔は茎を口から出すと、わざと先端を指で強く押した。
途端に蒼生は爆ぜ、ぐんと体を反らす。
「は、はあ…」
 目に涙を浮かべた蒼生の目に、唇を白く濡らした亮輔の姿が映る。
「かかったのか!ごめん!」
「いーや。これは先走り」
 亮輔は口角を上げると蒼生と唇を重ねた。
「気持ちよかった?」
「あ、まあね…」
 蒼生は今まで付き合ってきたどの女性よりも、亮輔のフェラに興奮した。
同性だからこそ、感じるツボをおさえていたのだろう。
 蒼生はだるい体を起こして身支度を整えると、ゆらりと体を揺らしながら車から降りた。
「そんな状態で仕事ができるのか?」
「…しなくちゃいけないだろう!」
 蒼生は自分の発した大声にさえ、頭が痛くなり足元がぐらついた。
「僕にも仕事はあるんだ」
「そんなことはわかっているよ」
 亮輔は「ほら」と蒼生に手を差し伸べた。
「…大の男が手をつなげるか」
「会社に着くまでだよ。手をつながないとまっすぐ歩けないぞ?」
 たしかにだるい腰を動かすのは至難の業だ、蒼生は亮輔の手を見ながら迷った。
「行くぞ!」
 悩む蒼生の手を強引に取ると、亮輔は蒼生を引きずるようにして会社に向かった。
靴がアスファルトの上を引きずるのを見て、蒼生は手をふり払おうと試みたが無駄だった。
亮輔は蒼生の手を離す気はなく、それどころか強く握り締めていた。

 

 午後からの事務作業は混乱を極めた。
それは亮輔がお得意様のところで新情報を得たからだ。
「この不景気に新店を出せるんだから、あの会社は凄いな~」
 のんきなことを言いつつも、大量の発注書を持ち帰り、それを事務員全員に配ったのだ。
「今日中に済ませておいて」
 この一言で事務員総出で伝票を切る羽目になった。
「ここできっちり納品して、信頼を得たいんだ」
「随分早い納期だな」
 蒼生が聞くと「ライバル社が現われたんだよ」と話し始めた。
「ライバル社に横取りされたくないから、すぐに納品してこっちのものにしたいんだ」
 その気持ちはわかる、と蒼生は頷いた。
力になろうと思った矢先「明日朝1番に納品するから、商品を車に積んでおいて」と亮輔は言う。
「はあ?それは納品担当に言えよ」
 蒼生が目を白黒させると「戸田にやってほしい」と念を押す。
今は部長が外出していていないのをいいことに、亮輔は蒼生を独占しようとしているのだ。
 当然蒼生はそれに勘づいたが、先のフェラを思い出してしまい亮輔の顔をまともに見れない。
「わかったよ」
 蒼生が折れると亮輔は嬉しそうに手を叩いた。


 1時間後には伝票がすべて切れた。
事務員総出の結果だろう。
蒼生は伝票を見ながら倉庫から商品をピッキングして台車に乗せ、駐車場に向かう。
 がたがたと音を立てながら駐車場に着くと、先程フェラをされたことを思い出してしまった。
「まさかこの車に乗せる羽目になるとはね」
 独り言をつぶやいていると、急に後ろから誰かに抱き締められた。
「わっ!だ、誰だよ!」
「俺」
「…亮輔?」
 見返ると亮輔の姿があった。
「ふざけるなよ、僕は亮輔の言うとおりに荷物を積んでいるんだから!」
「うん、ありがとう」
 しかしまだ抱き締められたままだ。
「離せ」
「そんなに冷たくあしらうなよ」
「仕事ができないだろう?」
 蒼生は手をまわして拳を握り、亮輔の尻を叩いた。
しかし何度叩いても亮輔は離れない。
「誰かに見られたらどうする気なんだ!」
 蒼生が叫ぶと今度は抱き上げられた。
そして社用車に押し込められてしまい、ドアが閉まった。
「な、なんのつもりだよ!」
「セックスがしたい」
 運転席に入ってきた亮輔は真面目な顔をして、蒼生の頬を撫でた。


19話に続きます


「そろそろ蒼生から俺を誘ってもいいんじゃないの?好きだろう?俺の体」
 亮輔は相当、自分に自信があるようだ。
蒼生は亮輔が1人暮らしと知っていて、そのせいなのか無駄な肉がついていないと感じた。
聞けば朝食と夜食は取らないらしい。
1人暮らしなんてそんなものかと蒼生はぼんやり考えた。
「腹が割れていたらな。少しは感動する」
「鍛えろってことか?その前に蒼生はちゃんと飯を食え。細すぎる」
 亮輔はコーラを飲み干した。
「肘が当たると痛いんだよ」
「…またその話題か」
 2人で会うとセックスの話題になってしまうようだ。
これではバカップルどころかセフレだ。
蒼生は亮輔と交際する気も、セフレになる気も毛頭無い。
「会社に戻る」
 蒼生が立ち上がると亮輔が「一緒に戻ろう」と言い出した。
「誰かに見られたら困る」
「そんなに俺を意識してくれるわけ?嬉しいねえ」
 店を出ると一緒に歩こうとする亮輔の背中を携帯で軽く殴ると、蒼生は早歩きで会社を目指す。
「おい。送るから」
「いいよ。歩ける距離だから平気だ」
「いくつ横断歩道があると思っているんだ。遅刻するぞ~?」
 蒼生はむっとしながら振り返り、仕方なく車に乗り込んだ。

「今日はどう?」
「なにが」
「わかっているくせに言わせたいか」
 亮輔はご機嫌な様子でハンドルを切る。
「毎日セックスをして楽しいか?」
「楽しいよ。男だからね」
「…女としろよ」
「へえ?」
 亮輔は吹き出した。
「なかなか俺を見ないなあ。意識しすぎじゃないのか」
「意識っ?」
 驚いた蒼生が顔を上げてまじまじと亮輔の顔を見ると「ようやくか」と笑われた。
「蒼生は俺のことを好きになる。それくらいはわかるから、突っ張るな」
「なんだそれ…」
 亮輔は自信がありすぎだと蒼生は感じた。
さすが王様、自己中心的で我侭で、しかも圧力をかけてくる。
「2回目のセックス、凄くよかったよ?」
「はあ?」
「惚れただろう?」
「ふざけんな」
 しかし亮輔は空いている左手で蒼生の膝を撫でた。
「触るな!運転に集中しろよ。亮輔と事故りたくない」
 蒼生は手を払って、足を組んだ。
そして座席にもたれると「はあ」と溜息をついた。
「女じゃないから触られると気色が悪い」
「そこまで言うか?」

「亮輔は僕が女に見えているんじゃないのか?ピアスといい、セックスのときも…」
「セックスのときも?なに?」
「…乳首ばかりいじりやがって。女じゃないぞ、僕は」
「その割りに感じやすいよな。まあ、俺が乳首が好きなのもあるけど」
 蒼生は顔が熱くなってきた。
セックスを思い出してしまい、体のどこかが疼くのだ。
「やばい」
 頭を抱えて冷静さを取り戻そうとするが、そう簡単に治まるものではない。
「どうしたー?」
「声をかけるな」
「はあ?態度がおかしいから聞いたのに、それはないだろう」
 亮輔は無言の蒼生に苛立ったのか、会社の駐車場に車を停めると「降りろ」とあっさり言う。
しかし蒼生は動けない。
不審に思った亮輔が助手席のドアを開けた。
「…おい。どこか具合でも悪いのか?」
「僕をおいて先に会社に戻れよ。ちょっと…落ち着いてから行く」
「落ち着くって。あ。もしかして?」
 勘のいい亮輔が蒼生の足に触れた。
「わ、触るな!」
「セックスを思い出したのか?じゃあ、ここも苦しいよな?」
 亮輔は蒼生の組んでいた足を強引に開かせると、股間をつかんだ。
「わああ!」
「ふーん。わかりやすいね。で、どうするつもり?」
「…落ち着けば治まる」
「そんなにいうことを聞く場所かなあ?」
 亮輔は難なくジッパーを下ろし、手を突っ込んで蒼生の茎を取り出した。
「止めろって!」
「5分で終わらせる」
「は…5分?あ、ああっ」
 亮輔は蒼生の茎をつかむと強引に扱き始めた。
「あ・ああっ」
「声、出すなよ。誰かに見られるぞ」
「んっんー」
 蒼生は両手で自分の口を抑えて声を押し殺す。
しかし体は熱くなる一方で、息が苦しい。
「は…」
 蒼生の茎は亮輔になつくように屹立し、そして亮輔の乱暴な刺激で先走った。
「全部出しちゃえよ」
「出せるかよ、これは社用車だぞっ」
「場所なんてどうでもいい。俺に興奮しているんだろう?なら、出せよ」



18話に続きます










 2度も抱かれた事実から亮輔の体や茎を思い出してしまい、蒼生は仕事に集中できない。
抗いながらも感じてしまった自分が情けないとさえ思う。
 相手は同性、しかも王様気取りの亮輔だ。
「好きだ」なんて言われても、蒼生は素直に受け止められない。

「まだ終わらないのか!俺は早く出かけたいのに!」
 人知れず悩む蒼生の目の前で、またしても亮輔が新入社員を責めていた。
「誰か代わりに伝票を切ってくれよ!待ちくたびれた!」
 亮輔の声に女性社員が手をあげて、いそいそと伝票処理を始める。
こんなことを続けていたら、新入社員のレベルは上がらないだろう。
「浅尾、少しは思いやれよ」
 蒼生はたまらずに声をかけた。
「少しずつだけど彼女は成長しているよ。見守るのも仕事のうちじゃないか?」
「俺は急いでいるんだよ!」
 自分のことしか見えていない亮輔に、蒼生は呆れた。
「貸して」
 蒼生は新入社員から発注書を受け取ると、すぐに伝票を切った。
この速さは女性社員の比ではない。
「ほら。早く行け」
「おっ。ありがとう!」
 亮輔は意気揚々としてお得意様のところに出かけていった。

「甘やかすな」
 部長が蒼生を戒める。
「営業マンが時間厳守で動いているのを知っているからこそ助けたんだろうが、甘いぞ」
「すみません」
 蒼生は席から立ち上がり、ただ頭を下げるしかない。
「新入社員を育てるのもあいつの仕事のうちだ。わかるな?戸田」
「はい」
 蒼生は一気に疲労を感じながらも再びパソコンに向かった。

 昼の休憩時間になり、蒼生が近場のコンビニで弁当を買おうとしていたら携帯が鳴った。
「はい」
『俺。近くまで戻ってきているから、一緒にランチを取ろう』
 あまり聞きたくない亮輔の声だ。
携帯の番号を教えたことすら後悔してしまう。
「近くって、どこまで来ているんだよ」
『んーと。もうすぐコンビニが見える』
 蒼生は驚いて手にしていた弁当を棚に戻した。
「そんな近くまで?僕はコンビニにいるよ?」
『じゃあ、出て来いよ』
 その声に操られたかのように蒼生は何も買わずにコンビニを出た。
しかし亮輔が乗っているはずの社用車は見当たらない。
『店を出たら角を曲がって、美容院の前まで来い』
「はあ?」
 しかし誘導されるまま歩いて行くと美容院の前で見慣れた社用車が停まっていた。

「誰にも見られなかった?」
 変なことを言い出したなと蒼生がシートベルトを着けながら思っていると、亮輔は微笑んでいる。
「内緒だからなー」
「なにが内緒だ。一緒に出かけても後ろめたいことなんて無いだろう」
 蒼生が呆れてそう言うと、亮輔は吹き出した。
「俺と堂々と出かけたいんだ?」
「そうは言っていない」
「部長に見られたら、怒られるんじゃないのか?」
「はあ?」
 これは誰かから事情を聞いたな、と蒼生は勘繰った。
「蒼生は部長のお気に入りだからなー。だけど気持ちは俺を向いている」
「おかしなことを言うな」
 蒼生が足を組むと、ようやく車は発進した。
「どこに行くんだよ。この辺りのカフェは味が薄くて苦手なんだけど」
「マックかモス」
 亮輔の子供のような嗜好が見えた。
「…モスがいい」
 ジャンクフードは苦手だが、選択の余地はなかった。

 
 モスに着くと蒼生は亮輔が目の前でポテトを食べ続けるのを見て、相当好きなんだなと知った。
セックスをした後で相手のことを知るなんて、今までにない順序だ。
今までは互いのことを知ってからその先にセックスがあったので調子が狂う。
「なに?なに見てるんだ?」
 亮輔がポテトを食べながら蒼生を見た。
「美味しそうに食べるなと思って」
「ふうん。なんだか付き合い始めたバカップルみたいなことを言うなあ」
「バカップル?」
「そうそう。初々しいというか。聞いていてこっちが恥かしくなる受け答え」
「はー」
 蒼生はバーガーを頬張り、もくもくと食べ始めた。
「一緒に食べるのって初めてだな」
 亮輔の言葉に蒼生は首を傾げる。
「そうか?以前は営業先の社員食堂で食べなかったか?」
「ああ!そんなこともあったな」

 お互いが営業担当だった頃は、お得意様のところでよくご馳走になったものだった。
蒼生がそれを思い出していると亮輔が前傾姿勢をとる。
「ピアス、してくれないんだ?」
「仕事の邪魔」
「折角買ったのにそんな言い方は無いだろう?」
「…亮輔。口のまわりに塩がついてる」
「あ、悪い」
 ポテトの塩をつけながら文句を言う姿なんて社内では見かけないことだろう。
こんな姿を見たら、新入社員は亮輔を怖がることが無くなるかもしれないが。

「なあ。付き合う気になった?」
「全然」
「2度も抱いたのに」
「セフレみたいだ」
「あー。それもいいかも。だけど俺は蒼生が好きだから、抱くだけじゃ物足りない」
 声を抑えているとはいえ、蒼生は公衆の面前で口説かれた気がした。
「場所をわきまえろよ…」
 こんな男に胸がときめくなんて自分はおかしいとさえ蒼生は思った。


17話に続きます






 ベッドの上で蒼生が目を覚ますと、至近距離で亮輔が全裸で寝ていた。
同性とはいえ、はしたない姿に蒼生は苛立ちを感じて亮輔を突き飛ばした。
見事に亮輔はベッドから落ち、すぐに「いてー」と低い声がする。
「蒼生ー?」
「下着を履けよ!」
「それくらいで突き飛ばすか?普通」
「するだろう、普通」
「…見慣れているくせに、恥かしいか?」
 亮輔は頭をかきながら立ち上がると「腰を打った」と文句を言いながらバスルームに消えた。
その動作を見ながら、蒼生は今更ながらホテルに泊まったと気付く。
「しまった。今日も仕事なのに!」
 蒼生は慌てて身支度を整えると、カバンを持ってホテルを飛び出した。
時刻は6時だ、今から帰宅すれば着替えができる。
 昨日と同じスーツで出社する気にはなれないのだ。
蒼生はタクシーに乗り込み、帰宅を急いだ。


「おはようございます」
 蒼生はなになかったかのように爽やかな笑顔で出社した。
その表情に部長は満足げだ。
「戸田の挨拶を聞くと清清しい気持ちになる。さすがは私の部下だ」
「ありがとうございます」
 恐縮しながらデスクに着くと、パソコンを立ち上げる。
「おはようございます、戸田さん」
 新入社員が頬を染めながら挨拶をしてきた。
「おはよう、今日も頑張ろうね」
「はい!」
 彼女はすっかり蒼生になついたようだ。
 しかしそこに荒々しい靴音が響く。
「おはよーございまーす」
 亮輔だ。
 不機嫌そうにどたんどたんと歩く姿に部長が閉口した。
「朝からなんだ、その態度は!」
「あ、すみません」
「戸田のように爽やかに出社できないものか?」
 部長の叱咤を聞きながら亮輔は蒼生を見た。
「気をつけます」
 そしてどすんとデスクにカバンを置いて、早くも喫煙室に向かう。
「何をしに来ているんだ、あいつは」
 溜息をつく部長に、蒼生はまったく同感だと思う。
だがしかし、あの不機嫌さがもしや自分のせいではないか?と疑問が頭をよぎる。

「コーヒーでも入れましょう」
 部長に声をかけて給湯室に行くと、新入社員がついてきた。
「私が入れます」
「いいよ、仕事を始める準備をしないと」
 蒼生はそう促してデスクに戻させた。
そして部長のマイカップと亮輔のマイカップを取り出し、コーヒーを入れた。
部長はミルクと砂糖、亮輔はブラック、これを覚えたのは事務職になってからだ。
蒼生は自分の分と新入社員の分も入れて、トレーにそれらを乗せると配って歩いた。
「戸田が入れるコーヒーは美味いな」
 部長は機嫌をよくしている。
「しかしお茶請けがないと寂しいな。今日出かけた先でおやつを買ってこよう」
「ありがとうございます」
 蒼生がお礼を言っていると亮輔がデスクに戻ってきた。
そして机上のコーヒーに目を輝かせる。
「戸田?戸田が入れてくれたの?」
「ああ、うん」
「ありがとう!」
 やけに嬉しそうだなあと亮輔を見ていると、部長が「私の分のついでだ」といらぬ一言を発した。
「え」
 亮輔はまた不機嫌になりそうな顔をしたが「それでもいい」と蒼生を見ながら言う。
「俺1人分、特別に入れてもらうわけにはいきませんからね」
 蒼生が(おや?態度が王様じゃないぞ?)と目を丸くしていると、亮輔が笑う。
「なに?俺の顔に何かついている?」
 口角をあげて、蒼生の気持ちを見透かしたような態度だ。
「ついていないよ」
 蒼生はにこやかに応対してデスクに戻った。

「育ちが違うんだろうなー」
 亮輔がカップを持ちながら蒼生のデスクに歩み寄る。
「こいつではこんなことはなかなかできない。そうだろ?」
 失礼なことに、こいつ呼ばわりされたのは新入社員だ。
「おい、浅尾!いじるなよ」
「戸田は仕事ができて気配りもできる、優秀な事務員だ。ちゃんと見習えよ」
「は、はい」
 怯える新入社員を横目で見ると、亮輔は蒼生の側でしゃがみこんだ。

「今日もいい?」
「なにが」
「話がしたいんだよなー」
「あのな。今日は営業で社内会議があるんだろう?忘れたのか」
「あ、そうか」
 痛いところをつかれたとばかりに、亮輔は頬に手を当てた。
「あーあ。今日頑張る意欲をなくした」
 そんな勝手なことを言う亮輔に、女性社員がとりまきを作る。
「頑張ってくださいよ、浅尾さん!」
「そうですよ、営業部のエースなんですから」
「そうだなー!」
 すぐに機嫌をよくした亮輔は女性社員にカップを渡して「洗っておいて」と言う。
なんとも我侭な言動だが、女性社員は「はーい」と言って給湯室に入っていく。
「はーい・じゃない。はい・だろう!」
 亮輔はその後ろ姿に「訂正しろ。ここは会社だぞ」ときつい口調で投げかけた。
「はい、すみません」
 女性社員が顔を出して謝った。
ここでは亮輔が王様なのだ、この態度に部長は呆れ顔だ。
「浅尾、デスクに戻れ」
 部長は亮輔を追い払う。
あまり気に入っていない様子がありありとわかる。

「戸田。浅尾と関わるなよ?」
「は」
「よく見ろ。昨日と同じシャツを着ているぞ。朝帰りか」
 確かにそうなのだが、部長は目ざとい。
「戸田に変な癖がついたら大変だ。大事に育てている事務員なんだからな」
 蒼生が驚いていると部長はたしなめるように続けた。
しかしもう関わってしまった。
体を許してしまったのだ。
 蒼生は部長の信頼をなくさせないように「はい」と答えたが心中は穏やかではない。
冷静さを保とうとパソコンに向かうが、ミスタッチの連続だ。



16話に続きます


「り、亮輔。もっと…刺激が欲しいっ」
 腰をくねらせて息も絶え絶えの蒼生の口から、予想外のおねだりが飛び出した。
「は。そうか」
 亮輔はしたり顔で蒼生の秘部の中に指を3本も突っ込んだ。
「はああっ!」
 途端に蒼生が体を反らし、そして震える手でシーツをつかむと手繰り寄せる。
「や、やだっ。指は…もう…」

「俺のが欲しい?」
「は、はあ、もう…」
「くれって、言えよ」
 
 王様な態度の亮輔は秘部に入れた指で中をかき回した。
「はああっ、あ・あ・あ・も、もうダメ」
 蒼生は絶叫とともに爆ぜている。
その液は亮輔にもかかった。
「わーかった。指でこんなに濡れるなら今日はもっと楽しめる」
 亮輔は自分の茎を秘部の入り口に当てながら、蒼生を眺めた。
「なあ。俺が蒼生が好きだって、本気にしてくれた?」
「好きって…」

「好きなんだよ、出会ったときから!」
「ぐっ!あああっ!」
 亮輔は話し掛けながら秘部に茎を突きたてた。
「可愛い顔だし、俺よりも背が低いくせに営業成績がよくてっ」
「はあっ、うん!」
 蒼生の喘ぎ声を聞きながら、亮輔は腰を揺らして茎をぐいぐいと奥に進ませる。
「俺を抜いていたよな?悔しいけど蒼生だから許せた」
「ど、どうし…あああん!亮輔、亮輔!激しすぎ…」
「どうせ俺のものになると思っていたからだよ!」
「は、はあ?んっ、んーっ!」
 蒼生は胸の鼓動が激しいと感じた。
こんなにドキドキしながらのセックスは初めてだった。
「亮輔、おまえはなにを…んっんーっ!やだ、奥まで来てるっ」
「昨日よりも行けただろ?蒼生が導いたんだぜ?」
「僕が…?」
 額の汗をぬぐいながら蒼生は亮輔を見た。
「この乱れた姿もたまんねえ」
「も、許して。これ以上はキツイ」
「そういわれてもなー。俺は突き立てたいんだよ!もっと俺を見ろ」
「無理、そこで動けよ。僕はもう…そこで十分感じてる」
「蒼生?俺を受け入れたってこと?」
 亮輔は蒼生の腰を持上げて「ふんっ!」と奥まで突き立てて肌を合わせた。
「いっ…」
 痛みを感じた蒼生が目を背けると、亮輔が顎をつかむ。
「俺を見ろって」
「は、はあ…亮輔、もう無理」
「今からだよ、蒼生」
 
 亮輔は昨日よりも強い力で抜き差しを始めた。
辛くてたまらない蒼生は上半身を揺れ動かして抗うが、かえって亮輔を駆り立ててしまった。
両手でシーツを引っ張りながら「あん!あ・あ・あ・んんー!」と喘ぐせいだろう。
「俺のものだ。な、蒼生」
「なにを言って…あ、やだ、そこは!」
 亮輔は勝ち誇った表情で蒼生の睾丸を撫でていた。
「触るなって!あ、あんっ、痛い!痛い!」
「好きだよ~蒼生。全部見せろよ」
 亮輔は蒼生の尻を叩くと、そのまま蒼生の体を横たわらせた。
「は…」
 なにが起こるのかわからない蒼生は亮輔を見上げる。
秘部には亮輔の茎が挿入されたままだ。
「バックも、いいかな」
「はっ?」
 蒼生は突然うつ伏せにされてしまい、咽た。
しかし亮輔は容赦をしない。
「大丈夫ー?」と聞きながらも青生に四つんばいをさせて、挿入していた茎を再び抜き差し始める。
 そのときにパンパンと軽い音が響き、蒼生は恥かしさのあまりに頬を紅潮させた。
「あ、こっちの具合もいいかもっ。思った以上に…感じるな」
「うっ!」
 蒼生は呻くだけしかできない。
茎の抜き差しの感触に溺れて、唇から涎を流すほどだ。
「好きだよ、蒼生」
「そんな。何回も言われると、嘘っぽい…あ、もう、亮輔、早くイって」
「まだまだ…擦りたいんだよ」
 亮輔はぐいぐいと蒼空の腰を揺らしたので液体をかき回すような音が聞こえてくる。
「やだ…」
 とうとう蒼生が腕の力をなくしてシーツに身を投げ出した。
「あ、蒼生?」
 亮輔は慌てて茎を抜き、倒れた蒼生を抱き上げる。
「平気か?」
「も、今日は勘弁して…」
 蒼生は限界を感じたのだ。


15話に続きます
 蒼生は隆起した乳首を惜しむことなく亮輔に見せた。
既に陥落されたと言っても過言ではない、蒼生は昨日のセックスで感じてしまったのだ。
 しかし亮輔に対して愛情があるわけではなく、このままではセフレだ。
だが触れて欲しいと思ってしまう自分の気持ちに嘘はつけない。
揺れる心をどう処理すべきか、それだけは蒼生は理解していた。
抱かれたらいいのだ。
 その気持ちに応えるように亮輔は蒼生の乳首を指先で回した。
薄茶色のそれはうっすら汗をかいているらしく、亮輔の指から離れない。
「ん…」
 亮輔は蒼生の茎を持ちながらも乳首を口に含んだ。
そして舌先で転がしては吸う。
「ん、ん」
 時折漏れる亮輔の興奮した声に、蒼生の茎は反応した。
大きく反ると硬くなっていく。
「あ、蒼生…凄い…」
 亮輔が夢中になって蒼生の乳首を舐めると「くうっ、ん!」と蒼生も応えてしまう。
体は熱くなり、汗を帯びて部屋の照明を受けて輝いた。
「蒼生、蒼生…」
 亮輔は名を呼びながら茎を再び扱く。
「あ、あ・あ…」
 焦れた蒼生が膝を立てると、それを亮輔が開脚させた。
「や、やだっ!」
「ここまで見せて、嫌はないだろう?」
 亮輔は蒼生の秘部を撫でた。
「入れて欲しいくせに。早くイけって」

「…強姦まがいだ」
「は?」
 蒼生のつぶやきに亮輔が反応した。
「僕を辱めて楽しいか?僕は新入社員みたいに泣かないぞ?」
「違う」
 亮輔は蒼生の体に覆いかぶさり体重をかけると、息がかかるほどの至近距離で頬を撫でた。
「好きだって、言っているだろう」
「まさか」
 自嘲気味の蒼生を振り向かせようと、亮輔は自分の茎と蒼生の茎を擦り合わせた。
「あ、あああ!なに、なにを?」
 ごりごりとした感触に蒼生が絶叫した。
「蒼生、好きなんだ」
 亮輔は2つの茎をつかんでたくみに腰を振る。
「あ、あ、嫌だ!」
 蒼生は未知の刺激に頭を振り回されたような感覚を覚える。
そして「ううんっ!」と叫んで爆ぜた。

「いい感じ」
 亮輔は満足そうに蒼生にキスをした。
そして耳や鎖骨にもキスをして、容赦なく跡をつける。
「やだ、やだ…」
 蒼生は愛される喜びよりも犯される恐怖におののいた。
膝を立てた足は小刻みに震えるが、拒めない。
 いつもなら蹴ってしまうのにそれもできない。
「ううっん」
 蒼生は怖さと同時に期待をしている自分に気がついたのだ。
震える足を自ら更に開くと、亮輔が気付いてすっかり体を入れてきた。
「欲しい?」
 亮輔は意地悪な言葉を投げてきた。
「俺が欲しいんだろう?言えよ」
「くっ」
 蒼生も男だ、そんなことは恥かしくて言えない。
股間を手で隠そうとして亮輔に払われた。
「自分でなんてさせないよ?俺が楽しませてやる」
 そして蒼生のヘアーを撫でると、そのまま手を下ろしていき、秘部に指を入れた。
しかし2度めで慣れたのか、蒼生は声を上げなかった。
「よくなってきた?」
「知るか」
「おまえの体だぞ。強情なくせに体は欲しがるなんて。素直になれば?」


14話に続きます

「さっさとはめろよ。その上からキスくらいしてやる」
「は、はあー?」
 亮輔の強引さに蒼生はその包みを投げつけようかとさえ思った。
しかし小さいがダイヤだ、蒼生はためらわれた。
「な。皆には内緒で付き合おう」
「セックスが目当てなのか?」
「確かに具合がよかったからそれもあるけど。俺の気持ちを信じない?」
「信じられるか!」
 拒絶しながらも蒼生は顔が熱かった。
亮輔を意識してしまい、いつものように突き放せない。
「僕は男だぞ」
「そんなことは入社時から知っている。昨日は確認もできたけどね」
 蒼生の胸が高鳴った。
昨晩の乱れを思い出して頭痛さえする。
「なあ、蒼生」
 亮輔は無防備な蒼生の肩に触れた。
途端に蒼生が跳ね除けたが、手は震えていた。
「ふーん」
 亮輔はまじまじと蒼生の顔を見る。
「俺が離れたら寂しそうな顔でもするのかな?」
「何を言って…」
「本当に俺のことを嫌いなら、こうして会話もできないだろう?少しはこっちを向いたかな」
 そして亮輔は蒼生の腕を取ると抱き寄せた。
「おいっ!離せよ」
「…もう一回、セックスをしたい」
 耳元で囁かれて蒼生は思わず耳を手で隠す。
「変なことを言うな」
「抱きたいんだって!」
 亮輔は蒼生の腕を引っ張ると、歓楽街を堂々と歩き進めて昨日のホテルの前に来た。
「…マンネリじゃないのかよ」
「逃げそうだから仕方ない」
 蒼生は腕をふり払えず、亮輔に連れられるままホテルに入ってしまった。


 ホテルの一室に入ると、亮輔は蒼生をベッドに放り投げた。
「くっ!」
 蒼生が体を起こそうとすると亮輔が圧し掛かってくる。
「近い!離れろ」
 しかし亮輔は蒼生の乱れた上着の裾をまくりあげ、ベルトに手をかけた。
「な、なにをするんだっ!」
 拒んでも亮輔は止まらない。
「やめろー!」
 亮輔の背中を拳で殴りながら脱出を試みるが、所詮は背が低く細い体の蒼生に勝ち目は無い。
とうとうスラックスを脱がされて下半身は下着姿にされてしまった。
「…満足かよ」
 蒼生は腿を撫でる亮輔に問いかける。
「はあ?意味がわからない。これで満足するのは童貞くらいだろう」
 そして蒼生の下着を下ろすと、まだ起きない茎を手で扱き始めた。
「くうっ!や、止めろって!」
「早くイけ。俺は入れたくて仕方がないんだ」
「このっ…セックスしか脳がないのかよ!僕は愛の無いセックスはしない!」
「なーにを。女みたいなことを言うねえ。さかりがついて仕方がないくせに」
「はっ?」
「もう勃起しているじゃん」
 亮輔の言葉どおりに蒼生の茎は早くも屹立していた。
「早くイけって」
 ぐいぐいと手で扱かれて、蒼生は思わず両手で口を覆う。
この刺激に喘いでしまいそうだからだ。
 しかし亮輔は容赦をしない、引きちぎろうとするように乱暴な扱きを続けた。
 そのせいか蒼生の体は早くも熱を帯びてきた。
蒼生は自分の茎をいいようにされながらネクタイを外し、上着をはだけてシャツのボタンに手をかける。
「ん?その気になった?」
「…暑いだけだ」
「強情だなー。陥落させるのが楽しみになる」


13話に続きます
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