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またアングラのマネキンは裸です。先ほど着せた黒い服が売れたようです。頭にピンクのストレートのウイッグ。脚にロンドンブーツだけの白いマネキンが、場違いなお客の来店を迎えていました。

「ここでお香を売っていると聞いたんだけど。」
おばあちゃんがお店に紛れ込んできました。
お店の異様さに気がついていないようです。ときどき、間違えているのか・普通の人も来店されるこのアングラ。
途惑うほかの店員をよそに、真樹がやさしい微笑を浮かべて近寄ります。
「いらっしゃいませ。お香はこれしかありませんが、よろしいですか?」
この世でもっとも上質の香り、古から高貴な方々に愛された高価な香である伽羅をレジの隣の保管庫から出します。
それは掌で隠れるほどの小さな伽羅ですが、これをさらに小さなナイフで削った、小指の爪ほどのかけらを量りにかけて販売します。
拭けば飛ぶようなかけら。これだけで数万円してしまう香です。

「まあ。伽羅があるのね。いただくわ。」
「いかほど。」
「10グラムで。」
おばあちゃんは、見かけよりもしっかりしたものの言い方です。
へえ・・と空が見ていると、おばあちゃんは皮の長財布から数万円を出します。
その指。皮膚の張りのよさに驚きます。
皺がないのです。

年齢は皮膚のたるみに現れてしまうものです。
皺、それは人生を刻んできた証でもあるのです。
おばあちゃんにあってしかるべき皺がない。

おかしい、と真樹に伝えようか迷います。
若い子の変装?なんのために?

おばあちゃんは伽羅を買って出て行きます。
その後姿を見送りながら、釈然としない空。
「越屋さん。見すぎですよ。」
真樹が微笑んでいます。
「だって・・長押さん、あのおばあちゃんの手に皺がなくて。」
「そんなひともいるんじゃないですか?」
「え、いないでしょう。ふつう・・静脈が浮いて見えたりとか。」
「そうなんですか。知らなかったなあ。」
真樹はお客に興味がなさそうです。
空の話は、明らかに流しています。
もう・・いいや。
空が諦めた顔をすると、じっと見てきます。
「世の中。まだまだ知らないことがたくさんありますね。俺も知らないことだらけです。」
「長押さんは知らないことなんてなさそうです。何もかも知っていそうです。」
「そんなことはないですよ。今でも、越屋さんが何を考えているのか、量れないでいます。いつでも、そう。一番知りたいことは、わからないんです。いつも遠回りしています。」
真樹が空の瞳の色を覗き込んできました。
「近い・・です。」
「すみません。急に越屋さんの瞳の色を見たくなりました。きれいな茶色。コンタクトみたいにきれいな発色。
もっと近くで見ていられたらなあ・・なんて考えてしまいました。」
ふふ・・・と笑うのはこのひとの癖なのでしょうか。
笑ってごまかしている気がしてきます。









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