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地下のアングラは、最終電車が発車する午前0時を待たずに一日の営業を終えます。
遅番の真樹と空は店のシャッターを閉めると、慌てて帰宅の途につきます。
星が瞬いています。樹木さえ眠るような静かな夜に、真っ黒い服の2人が早歩きで駅に向います。
途中、キャミソール姿の金髪のお姉さんが近寄りましたが振り切ります。彼女は売春婦です。逆門には風俗の取締りが甘いようで、同じような女性がうろうろしています。たまに若い男性もきょろきょろしています。逆門では男娼も当たり前。なんでもあり。
「捕まって、電車に乗り遅れないでくださいね。」
キャスケットで顔を隠した真樹が空に声をかけます。
「こんな風に。」
真樹がぎゅっと手を握ってきました。互いの細い指が絡み合います。
「・・手は握らないでしょう。あのひとたちは。」
空は絡み合う指を見ながら、真樹の手の暖かさに驚きました。
冷たそうなひとなのに、温かいんだ。
その表情を見て真樹は指に力をゆっくりこめます。離さない様に。
「そうですか?俺なら越屋さんの手を一番に握りたいです。」
「売春婦は、そんなことはしないんじゃないですか・・。」
「おや、もう捕まったことがありますか。」
「ありません・・。」
「それはよかった。あなたが汚れるのは困りますからね。」
駅の改札まで手を繋いだまま早歩きです。
「じゃあ、また明日。お疲れ様です。」
ようやく離された手。
お互いの帰る方向が違うので、改札を抜けたら違うホームへ行くのです。空は急に手が冷たくなったような錯覚を覚えました。



常緑樹が陽にきらめく東の正門とは違う陰鬱な日影で覆われた逆門。
今日も天気がいいはずですが。暗くてわかりません。
今日も遅番でした。空が真っ黒のブーツを履いて逆門へ向うと、昨日よりも駅にいる人が少なく感じました。
いつもなら、個性的な格好をした人々でざわつく時間です。
こんな日もあるのかな。
空が早歩きで地下に降りていくと後ろから声がしました。
「おはようございます。昨日よりも早いんですね。」
真樹でした。今日もキャスケットを被っていますが、履いている靴がロングノーズで、よそいきな感じがしました。
「おはようございます。長押さん、その靴で仕事をするんですか?」
「ええ、今日は仕事帰りに、もうひとつやることがありますから。この靴では立ち仕事はきついのですが仕方ありません。」
もうひとつ。なんのことでしょう。
見つめる空に、また微笑します。
「越屋さん。そろそろ教えて欲しいのですか?」
挑発的な言い方ですが、そんな言い方でもどうせ教えてくれないやと空は予想します。
「なんのことです。」
すこし膨れた顔です。
「おや?かわされましたね。そんなところも好きだなあ。」
真樹は楽しそうです。
ふたりで地下に続く階段を下りていきます。
息苦しい。だんだん酸素が薄くなるのがわかります。「今日は・・何があるのですか。」
「ふふ。やっぱり知りたいですか?」
階段を下りると、地下には人がうようよしていました。奇抜な格好をしているもの。スーツ姿。皆入り乱れています。この人数では酸欠間違いありません。
「なんですか、これは。」
「今日はパーティですからね。」




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