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透き通る炭酸水。ここから果実のような甘い香りがします。
味は甘くはありません。飲めば後味が口に苦く残ります。
まるでアルコールのようですが、これは薬に近いもの。
アングラで販売している・おはじきと同じ成分です。
飲めば記憶が飛びます。
体がだるくなります。
瞳が潤んで、ガードは甘くなるのです。
気分が上昇する中での行為は、いかがでしょうか。

大きな硝子のテーブルの上には銀の蜀台。蝋燭の明りが、笑いあう人の顔を照らし続けます。
目当てが見つからなければ、新しいひとを出会えばいい。
ひとりで退屈な時間を過ごすよりも、はるかに有意義。
磨き上げた爪が、快楽を探してうろうろしています。
アングラの店員が、ひとり、またひとりとお客に見つかり、おはじきを受け取る場面が見られます。
顎に髭を生やした青年が、まだ10代らしい女の子からおはじきを貰いました。「あと5年たったら飲みますよ。」青年は、やり過ごします。
「なーんだ。」
女の子のぶうたれた声を聞いた、通りすがりの少年が教えてあげました。
「あのひとはアングラの店長だよ。とんでもないものに声をかけたんだね。」

脚をだらりと伸ばしたまま床に座り込んでいました。
空は力が入らない体を、冷たい壁に押し当てて目覚めさせようとしています。「・・無茶。」
真樹が隣で呟きます。
「暫くは動かないほうがいいですよ。」
「そんなことを言ったって。俺はもう帰りたいですよ!」
空は汗をかいたからだが気持ち悪いと思いました。
おはじきの効力なのか、やたらに汗をかいてしまいましたので・・。
「パーティに行かないと。」
真樹が空の髪を撫でます。
「きっとあなたを一目見たいと思っているひとが沢山います。」
「俺は見たくないです・・。もう帰る。」
拒絶を繰り返す空に、真樹は堪えきれずに笑い出しました。
「なんですか?」
不審な目つきで問いました。

「このまま離れたくないなあ、なんて思ってしまったんです。あなたが面白すぎて。」
「・・明日もお店で会うでしょう。」
「そうなんですけどね。何故だろう?俺は、自分が思っていたよりも・・空が好きみたいです。」
言いながら肩を抱き締めました。
真樹から、自分の匂いがしてきて頬が赤くなります。

「ずっとこのまま、傍にいてくださいね。」
真樹が絡めた指にキスをしました。
「気が向いたら、名前で呼んでください。待っていますから。」



「似合わないねえ、アングラの連中にこんな明るい場所は。」
店長が炭酸水を飲みながら呟きました。
「地下のモグラは、眩しい場所にあこがれるけれども、もっと身分相応な生き方をしないといけないねえ。」
アングラの店員のひとりが、上の階を指差して店長に教えます。
「真樹と空なら・・。」
「いいんじゃないの、おはじきのおかげで記憶に残らない行為だし。そこから恋でも生まれたら、祝福してあげようか。」


二酸化炭素があふれ出す地下の街。陽の光をもらえない日影の町の下に繁栄している地下の街。
何もかもを隠す闇の中。蝋燭を消せば、すべてを隠す闇の中。
隠せる思いがありますか。
乱したいひとがいますか。

媚薬で記憶が飛んでもいい。目覚めたときには傍にいたい。
その気持を知るものだけが販売を許された、アングラのおはじき。
代金は、お気持をいただきます。


  おわり。




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