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2006.12.18 傾城の微笑。2
西条なる男は絵師の家の跡取り息子。
現在は廃れたものの、
豊臣の以前より絵姿を描くのを生業とした家です。
高尾とは武道の師範宅で知り合いました。
同じ年の少年の中でも高尾の立ち居振る舞いの無駄の無さ。
際立つ育ちの良さに、だんだん惹かれていった西条。
互いの家を行き交う友人の関係から、
一歩踏み出した矢先のことでした。
しばしの別れを告げる高尾の両足の間に割り込むと、
そのまま抱え込んで縁側に押し倒します。
「・・誰か来るだろう?」
「来ない」
「嘘付け」
笑う高尾の唇に舌を押し付けます。
でも人の眼を気にする高尾が「よっと」と西条を横に倒してしまいました。
そしてさらりと豪快に裾を乱して西条の上に乗ります。
「・・高尾?」
「おまえが外を見てろよ。誰か来たら言え。すぐにやめてやる」
西条の股に手を入れるとしごき始めます。
「た、高尾!」
「どうしたい?」
「や、」
圧し掛かる高尾の背中に爪を立てます。
「言ってみろよ。暫く会えないんだ、言うことなんでも聞いてやるよ」
「・・離れたくない!」
吐息と共に高尾の頬にかかったのは、こころからの願でした。

「ごめんね」

西条の全身の力が抜けるまで高尾はぐいぐいと扱きました。
やがて白い精液が高尾の手首まで汚すと。
「西条、おまえに頼みがあるんだ」
「なんだよ・・こんなにしておいて。力仕事はお断りだぞ」
荒い息を吐きながら片足を立てます。
つい、と立とうとしていますが、かなりだるそう。

高尾は着物をはだけて腕を見せました。
傷ひとつ無い、滑らかな肌です。
「ここにおまえの名を彫って欲しいんだ」
「俺の?」
「花魁は惚れた男の名を腕に彫って、操を立てるものと聞いた。
俺もそうしておくよ。
客にいちいち詮索されるのもうっとおしいからね」
西条は高尾の腕をぐい、と掴むと

「消えないんだぞ?いいのか、俺で」
「おまえしかいないだろう」

西条はあらわになった高尾の胸を撫でました。
その仕草を高尾は黙ってみています。
この体を見知らぬ男が抱かぬように刺青を入れるという。
抱かせない?
そんなことが花魁に可能なのか?
西条は花魁が芸と体を売る者と知っています。
しかし、止める手立てがありません。
高尾の家の事情を知らぬ体ではありませんから。
そして護れぬ自分の不甲斐なさ。
まるで非力な己の若さに、悔し涙が零れます。

「泣いてるのか?師匠に告げるぞ」
「これは水だ。見てわからんのか」
握りこぶしにぽたぽた落ちる雫を着物で拭います。
「おまえが大事だ。でもそのまえに、俺は家を護りたい」
西条が抵抗せぬように唇で塞ぐと、そのまま圧し掛かり。
「誰も来ないように祈ってろ」
先刻の行為で濡れた先端を持上げます。



「島原ではないのだね?」
母親は遊廓なるものが島原にしか存在しないと思い込んでいるようでした。
「公家の玩具にされるのは許されません」
「なりませんよ」
お茶を飲みながら、別れの挨拶。
まるで、ちょっとそこまでの雰囲気ですが・・・
ここで再びお茶を飲めるのは数年先になることでしょう。
「では。行ってきます。お元気で」
高尾が外に出ると、入れ替わりに女衒が中に入りました。
すぐに悲鳴があがり、
母親が髪を振り乱して飛び出してきます。
「高尾!おまえは・・」
母親の出てきた足元には小判が零れていました。

「すぐに全部使っちゃだめですよ。
いい医者を探してくださいね。
俺が帰るまでに、あいつの病を治してやって下さい」
軽い1枚の草履を履いて出て行く高尾。
今から向う遊廓では、何枚も重ねた草履を履くことになるのです。
「許しとうせ・・!」
母親の涙。まさか見ることになるとは思いませんでした。
火の車と化した家計。
息子にはわからぬように意地を張り通した母親を助けることができたはず。
しかし晴れ晴れとしないこの気持はなんでしょうか。

「おや。腕に怪我をしたのかい?」
「武道の稽古で当てたのさ」
「傷のある子は値が落ちる。早く治るといいが。
この先、情事で火傷なら花魁としての箔がつくだろうな」
「それいいね女衒さん、そう言う事にしようかな」
まるで他人事のように笑います。
じくじくと痛む腕の刺青の跡。
布を巻きつけてごまかしてはいるものの、
これが売れる前に知れたらとんでもないことになりそうです。

思いの通じた相手を残して出かける世界。
この痛みは代価でしょう。

→3話へ続きます。

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