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「それでね、枝垂(しだれ)さんについてきてもらおうと思って。
みんなは棚を変えるなら、作業に慣れているあのひとのほうが適任じゃないかって言ってたけどね。
僕は枝垂さんが好きだから。一緒に仕事がしたくて」
くわえていた煙草を落としそうになりました。
バイト先の休憩室です。
ほかにも人がいるのに告られるとは思いませんでした。
返事をしない枝垂に、
「ねえ、枝垂さん!聞いてる?」
ぐっと近寄ってきました。
「え、ごめんなさい。なんでしたミドリさん?」
「その敬語もやめて。僕はもっと枝垂さんと仲良くしたいんだ」
銀のピアスをつけた唇が、枝垂を非難しています。
「敬語だと距離を感じるんだけど!」
「あの、煙草の煙がかかるから。もっと離れて、ね?」

「今日の作業だけじゃなくてさ。
これから、ずっと枝垂さんと一緒に仕事がしたいんだ。
あのひととのチームを抜けてくれない?」

一方的に責めてこられても困ります。
今日は、たまたま一緒に仕事をしただけで。
いつもは別の部署なのでチームを抜けろも何も、自分の意思で決められることではないのです。
上司が決めた配置です。

それにさっきから、あのひと・あのひとって・・。
「ミドリさん。あのひとって誰ですか」
隠語で通じないのが、気に入らないようです。
ほっぺを膨らませて睨んできました。
「杉菜さんしかいないじゃん!」
最近は顔を見れば杉菜の話題になるので、嫌気がさしていました。
「杉菜さんの話はやめませんか?
俺は杉菜さんのことは特別に思っていないんですから」

「じゃあ、僕のことはどう思う?」
「別に、なんとも」
枝垂の言い方があまりにも冷たくて、同席していた先輩が肘をつつきました。
「枝垂」
「は?」
「ミドリちゃんは店のアイドルなんだから泣かせるなよ?敵を作るぞ」
「はあ・・」
気のない返事をしているとミドリが枝垂の煙草を取り上げました。
そのまま銜えて煙を吸って・・・思いっきりむせています。
「なにしてるんですか・・」
枝垂が背中をさすってあげると、「杉菜さんは煙草を嫌わないんでしょう?」
「もう、聞きたくないです」
枝垂は急にイラついて、休憩室を飛び出しました。

杉菜は枝垂と同じ部署です。
いつも一緒に仕事をしているだけで、お付き合いをしてはいませんが。
このミドリのように、枝垂にしつこく杉菜との仲を聞いてくるものは後を絶ちません。
おかげで何も思わなかったのに、だんだん意識し始めていました。



「もう休憩終わりですか?」
売り場に戻ると、杉菜が待っていました。
切れ長の瞳が、まっすぐに枝垂を捉えています。
「早くないですか?」
「ええ、まあ・・」
腕時計を見て、そのまま棚の作業にかかろうとしたら
「商品は並べておきました」
なんと杉菜が売り場を完成させてくれていたのです。
「あ、すみませんでした」
「いいえ。手が空いていたので。それよりも」
ぱしっと枝垂の手を掴みました。
そのままぎゅっと・・拳骨を作らされます。
「え、」
指に何かが当たりました。
「あとで読んでください。じゃあ、俺も休憩に行きますから」

どきっとして指を開くと、紙くずのようなものを握らされていました。
「なんだ、ごみか・・」
ごみのわけがありませんでした。




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