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「振り返らないでくださいね」
杉菜が念を押します。
「振り返ったら、ミドリさんはますます本気になりますよ?」

「本気って」
「あなたにその気が無いのなら、ミドリさんを突き放してください。
もとより、ここは職場ですからね」
手をつないでいるわけでも、引張られているわけでも無いのですが。
枝垂は、微笑している杉菜から離れられないものでつながれた気がしました。
でもそれが束縛ではなくて、むしろ、ほっとするのです。
杉菜ならいいや、と思ってしまいました。

「はい、」
自分が杉菜に惹かれていると自覚したのは、今が初めてです。

しかし背中に突き刺さるようなミドリの声が止みません。
こっちに来ない枝垂を非難しています。
騒いでも戻らないと気づいたときは、遅すぎました。
枝垂の視線は杉菜に向けられているのです。
ミドリは自分の眼で、そんな光景を見てしまいました。

でも追いかけずに、ただ遠くからレジに立つふたりを睨みつけています。
「あ、」
枝垂が気づきましたが
「見ちゃだめですよ。期待してしまうから」
杉菜が小さい声で牽制します。
「あなたの些細な言動で、期待してしまうのですよ?」
さくさくと仕事をこなしながら、枝垂の肘をつつきます。

「ねえ。俺でも期待してしまうんですから」

そんな言葉を言われたら、どう返していいのかわかりません。

「そんな顔をしないで、仕事をしましょう。ほら、」
杉菜が笑顔で作業を続けます。
レジの後方でラッピング作業に没頭しながら、ふと枝垂は思います。
そういえば、いつもこの場所にふたりで立つのです。
平机が3台ならべてあるのに、いつも一番左の机にふたりで並んで作業をしていました。
それも、杉菜の右隣が枝垂の立ち位置と決まっています。
いつからこうだったかな・・と枝垂が記憶を辿りますが・・
ここに立てといわれたこともなさそうで・・
「偶然かな」
「何がですか」
「いつも、ここに居るんだけど」
「俺がそこにあなたを立たせているんです。どこにも行かせないように。
いまさら言わないでください。気づいているかと思っていましたよ」
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