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「おいおい、大和。何を苛立っているのだ?営業先で何があったか知らないが、八つ当たりは止しなさい」
 
メタボリックな人が注意をしている。そうか、大和さんの上司だな。

「はい。すみません」
 
え。素直に引き下がるのか。じゃあ本当に八つ当たりなのか? 酷いな、この人。

「犬山くん、おいで」
 
ごめんね、と僕に頭を下げながら呼ぶなんて。
鶴前さんが謝ることは無いのに!

「大和さん。こちらが犬山くんです。僕のサポートをしてくれるので、何かと関わる事が多いと思います。よろしくお願いします」
「あ、うん。よろしく」
 

頬杖をついて僕を見るなんて、いくら何でも大人の態度としておかしい。


「大和さん、この子は背が高いのですよ」
「へえ?」
 
興味を示したのか、がたんと立ち上がって僕を見た。
並ぶと僕よりも少しだけ大和さんの方が背は高い。

「あ、本当だ! 結構、高いね。それに何だか体ががっちりしているなあ」
「高校生の時にバスケをやっていたそうです。体力は勿論、データ入力も速くて正確で助かります」
「そうか。出来の良い奴は歓迎だ。よろしく、犬山くん」
 
いきなり肩を叩かれてしまった。態度の急変に驚いたけど、さりげなく大和さんを椅子から立たせて場の空気を変えた鶴前さんに、気配りの真髄を見た。

「ハル、ところで西店のオーナーが明後日までにコピー機を導入したいそうだ。見積もりはすぐに作れるよね」
 
おいおい、大和さん。
今は夕方だから明後日といっても時間が無いじゃないか。
素人の僕でも、これは難題だと察知した。

「商品部に掛け合いましょう。先方はどの程度の性能をご希望なのでしょうか」
「性能は二の次だ。在庫のある物を適当に、二つくらい見繕って選ばせよう」
「わかりました、即納品可能なものの中から選んでみます」
「頼むよ。俺はもう、くたくたなのだ」
 
何て我侭な人なのだろう。仕事で疲れるのはお互い様じゃないか?
 
鶴前さんは商品部に内線電話を掛けて、依頼をしているようだ。
やけに頭を下げている。
何だか心配だけど、やがて鶴前さんの右手はパソコンのキーを打ち始め、電話を切ったと同時にプリンターが動いた。

「これでいかがでしょうか」
 
その声で大和さんがプリンターに手を伸ばした。

「早いね! ありがとう、ハル」
 
大きな声に、営業担当の人達が顔を上げた。

「大和。いい加減にハルくんを独り占めするのを止めろ。大事な事務だぞ、ハルくんの力を皆が欲しがっているのに」
「ダメです、ハルは俺の相方です。俺の仕事のサポートを最優先にするのだから、俺以外は誰もハルを使わないでください!」
 
独占宣言だ、どこまで勝手な人だろう。

「そんな事を言うのなら、おまえがハルくんの給料を払え」
「無理ですよ。俺の給料は安いのに!」
 
わはははと明るい笑い声が響いた。

「ハル、お茶が欲しい!」

雑談で賑やかになった部署を出て、給湯室に前鶴さんと向う途中、どうしてもいいたくなってしまった。

「大和さんって、もしかして我侭ですか」
「あの人は時々、子供なのだよ」
 

鶴前さんは給湯室の戸棚から細長いカップを取り出してトレーに置いた。

「嫌な思いをさせてごめん。あの人は仕事に対してプライドがあるから時々熱くなるけど、尊敬に値する人だよ」
 
鶴前さんは庇っている。あんな我侭な人をどうして?

「あの人は凄いのだよ。熱意のこもった言動で営業成績が右肩上がり。この会社を支えている優秀な営業担当の一人だよ。だから僕はあの人とコンビが組めて嬉しい」
 
大和さんの話になると鶴前さんの表情が少し変わる。
やけに大人びて見えるのだ。それはやんちゃな大和さんを包む、まるで母親の雰囲気を醸し出す。

「じゃあ、僕は大和さんにお茶を出してくるから。ケン……じゃなくて犬山くんは」
「ケンでいいです。そう呼ばれたいです」
「ど、どうしたの?」
「あの、僕は鶴前さんの事を舐めたりしませんから。呼びたい様に呼んでください」
「あ、うん。ありがとう」
 
可愛いなあと思ってみていたら、鶴前さんが僕の胸にこつんとおでこを当てて、そのまま体を預けてきた。

「やさしいね、ケンちゃん」
 
このまま抱き締めてもいいだろうか。
ドキドキするこの鼓動が聞かれている気がする。
腕を少しずつ上げて鶴前さんの背中にようやく触れたら、体を起されてしまった。

「お茶がぬるくなってしまう!」
 
頬を赤くしたまま鶴前さんが出て行った。
僕は自分の勇気の無さを思い知らされた。

抱き締めても、きっと良かったのだ。


11話に続くのだ。
じれったくてすみません。
本店でもエロが無いので、大弱り。
早くエロを出したいものです。
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