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「ど、どうしてですかっ?」
「大和さんが歓迎会をするって言っていたから。多分ケンちゃんに都合も聞かないで突っ走っているだろうと思って、聞いた」
「よく、わかっていますね……」
「うん。少しね」
 
少しじゃない。かなり把握している。

「営業担当は妻帯者が殆どだから急な事には参加出来ないよ。人は集まらないと思う。ごめんね、きっと大和さんと僕くらいだ」
「ある意味、凄い面子ですね」
「大和さんの事、苦手かな? お酒を飲ませておけばおとなしいから大丈夫だよ」
「……鶴前さんは飲めるのですか」

「僕はどうかなあ。飲ませてみれば?」
 ええっ! そんな言い方をされたら困る。
 鶴前さんは僕をからかっているなあ。

「そうだ。商品部のお姉様方を呼ぼうか。賑やかになるよ」
「それは……」
 
あの甲高い声とお酒か。
確かに賑やかだろうし、大和さんがいても気が紛れそう。

「でも、あの人達は独身だから気をつけて」
「えっ! 僕は大丈夫ですよ」
「あはは。狙われるよ」
 
狙われているのは鶴前さんだろう。こんなに可愛い顔をして独身、いや独身だよな?

「鶴前さんって独身ですか?」
 あっ。聞いてしまった。

「うん、ほら。指輪をしていないだろう」
 ひらひらと左手を見せてくれた。安心しつつ、蝶々の様に舞うその手を目で追いかけた。
「どうしたの」

「いや、つ、前鶴さんも意外だけど、や、大和さんも男前なのに、結婚していないなんて、びっくりです」
 動揺して噛んでしまった。

「大和さんはお付き合いしている人はいるみたいだけど、僕はよく知らない。仕事とプライベートは分けたいから」
 
まただ。やけに憂いを帯びた表情になる。

「鶴前さん?」
「あ、ごめん。大和さんにお店の手配を頼まれていた」
 

携帯を取り出して検索を始めてしまった。
いつもの店、この言い方でわかるなんて阿吽の呼吸なのか。
 
悔しいな。僕は鶴前さんに今日会ったばかりだけど惹かれているのだ。
可愛い外見に加えて、社会人なのにデスクの上を走った姿とか、妙に大人な表情も気になる。
ランチで話はしたけど満たされない。
鶴前さんをもっと知りたいのだ。だから大和さんに差をつけられている感が拭えない。

「あ、通じないな。珍しい、話中か」
 
壁に寄り掛かりながら鶴前さんを見ていたら背中に振動が伝わる。
慌しい靴音が近づいてきた。これは嫌な予感だ、鳥肌が立つ。
「ハル! 今日は中止だ」
「えっ。どうしましたか?」
「皆に怒られた、急に言い出すなって。予定もあるから一週間後くらいが妥当だってさ」
「そうでしたか。折角大和さんが企画してくださったのに残念ですね」
 
ええ? 大和さんの我侭でしょう?

「違うよ、ハル。延期だから別に良いのだ」
「大和さん、その心配りが素晴らしいです」
 
ええ? 甘やかしすぎ!

「ハルにそういわれると嬉しい。俺は間違っていないよね?」
「ええ、僕は大和さんを尊敬していますよ」
「ありがとう、元気になったよ。お疲れ!」
「お疲れ様です」
 
大手を振って出て行く大和さんにお辞儀をしている。この二人の関係はどうもおかしい。

「鶴前さん、変ですよ?」
「大和さんの事? あの人は誉められて伸びるタイプなのだよ」
「えっ。それにしても……」
「んー。ケンちゃん、今晩空いている?」
「それは中止だって、大和さんが叫んでいたじゃないですか」

「僕と、飲まない?」
 上目遣いをされて心臓が飛び跳ねた。

「えっ。いいのですか?」

「いいって? 何が」
 あははと笑い出した鶴前さんにドキドキが止まらない。まさか、の展開だ。


14話に続くのだ。誤字がありそうでびびりがち。
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