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「今日は静かだなと思ったら、南波湊(なんばみなと)が休んでいるのか!」
 先生の指摘に皆が苦笑いだ。
湊がいないと、授業中に私語をする奴もいないし、メモを回す子もいない。
「珍しいな、あの元気が取り柄の男が欠席か。あいつ、どうした? 森下は知らないか?」
「さあ、知りません」
 どうして僕に振るのかわからない。
僕は湊の保護者じゃないし、家族でもない。
「森下も知らないのかー」
「えっ」
 そこで諦めるなよ、先生。
他の奴に聞けばわかるかも知れないじゃないか。

「もう、すっかりコンビ扱いね」
 隣の席の星野サンが笑っている。
彼女は美人だけど、こういうところで笑うのが僕には癪に障る。
何だか馬鹿にされている気がするんだ。
多分、僕の思い違いだろうけど。
「二人で作ったあのレポート、良く出来ていたものね。森下ちゃんを見直したわ」
「そう? ありがとう」
 でも矢張り、上から目線な感じが拭えない。
 表面上は穏やかにしているけど、僕は星野サンには距離を置こうと決めている。

「あ」
 携帯が鳴ったので見ると、湊からだ。
送付されたメールを読んだら腹の底から笑いがこみ上げてきて堪えるのに必死だ。
 
 何と、あの男は新しい携帯を買う為に今日の授業を捨てたのだ。
土日を待てば『先着一名様ゼロ円!』みたいな広告が入るのに、わざわざ定価で購入したのはそのショップの店員のお姉さんと約束したかららしい。

 お姉さんとは合コンで知り合い、お互い意気投合したと聞いていたが、ここまでするとは男気がある奴だ。
しかし彼女と付き合う気かと、複雑な想いがする。高二だからおかしくはないんだけど。

 
放課後に一人で校門まで歩いていると、また携帯が鳴った。今度は電話だ。
「はい、悠里(ゆうり)です」
『今から<ピストーレ>においでよ』
 湊だ。今度は何だ。
「え。<ピストーレ>って駅前のパン屋だよね? どうして?」
『んー。悠里に紹介したい人がいるんだ。
どうやら俺は学校の伝説に乗っかっちゃったみたいで』
「はあ……。わかった。すぐに行くよ」
 携帯を閉じて駆け足で校門を出た。
ここから駅までは五百メートルくらいだ。
湊は、人を待つのが大嫌いだから走らなくちゃ。
 肩にかけた鞄を押さえながら、下校する人の波をかき分けて走ってパン屋を目指す。  
息がきれても走るつもりだったが、パン屋に着いたときには本当に息が切れて、膝がガクガクだ。
 しかし待たせられない。
深呼吸して息を整えるとパン屋のドアを開けた。「いらっしゃいませ」と細面の店長が出迎えてくれる。 
 この店は一階が売場で二階がカッフェだ。
売店では本場イタリアの天然酵母を使用したパネットーネや、ドルチェ感覚のパンドーロ、平べったいフォカッチャ等、イタリアを代表するパンがテーブルに並び、冷蔵のケーキケースの中にはティラミスやパンナコッタが揃い、見るものの食欲をそそる。
 だがこのお店は原料にこだわり、その経費がパンの価格に載せられてやや高めなのだ。
フォカッチャでさえ、中に具を挟んでいない状態で五百円もする。
百円のジャンクフードに慣れた学生には利用しづらいお店で、僕も数回しかきたことが無い。
 ここを利用するのは洒落た雰囲気を楽しむセレブな女性だろう。
それに合わせてか、イタリアのオペラ作曲家・ロッシーニの音楽が店内に流れている。  
そんな大人の社交的な空気が漂う中、二階のカッフェで湊が待っていた。

「来てくれてありがとう、悠里」
「あはは、びっくりしたよ」
湊は繁華街でよく見かけるギャル男系。
茶色い髪にエアリー感のある盛った髪型で、僕から言わせて貰えばホストみたいだが、小顔の湊にはまっている。   
そして服はムラ染めでスタッズ加工のシャツに、ビンテージデニムを着こなしていて、それが実によく似合う。

「制服より、こっちのほうが似合うね」
「ありがとう。何か、悠里に言われると凄く嬉しい」
 満面の笑顔を見せられると僕も嬉しくなる。

「それで、彼女は何処?」
「そうそう。紹介するよ。んっんん!」
 咳払いが合図か、女性が現れた。
「合コンで出会った、奈々さん。携帯ショップに勤務って……知っているよね」
「うん」
 苦笑して、奈々さんに頭を下げた。
「はじめまして、森下悠里です」
「わあ。聞いた感じよりも可愛い!」
「は?」
 思わず湊を見ると、にんまりとしている。
「悠里のことを聞かれたから、まるで子犬のように、愛くるしいと言ったんだ」
「子犬か。……酷いな」
 吹き出すと、奈々さんも微笑んでいた。
 まるで花が咲き開くようなその微笑には、惹きつけられる魅力があった。
「こんなに可愛い人が湊の彼女? なんて羨ましい」
「可愛いだなんて。お上手ですね」
 ゆるく巻いた髪と、頬の赤みが、穏やかな性格を表しているようで僕は好感を抱いた。
この人と付き合うなら『伝説に乗っかった』と胸を張って言えるだろう。


2話に続きます
前のお話を中断してすみません
あまりにも幼い書き方だったので、これは公開してはいけないなと気付きました
この「彼は…」も幼い感じですが、まだマシかな、と。

またお付き合いしていただけると幸いです。
何か、禁煙していた頃はここまで気が回らなかったのですが、
禁煙に失敗してから頭が冴えます…いけないことですよね…
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