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 クラスの連中は「目にもの見せたれ!」と応援してくれる男子や「せいぜい、頑張ってねー」と髪を指で巻く女子で盛り上がり、僕は、これは負けられないと思った。
 期限は一ヶ月。
僕は翌朝、早起きをして親よりも先に新聞を読み始めた。
 テーマは指定されていないから旬の話題を探したのだ。
何が適しているのか、どれならあの先生を倒せるか、目を皿のようにして隈なく読んだ。
 一時間後に父が起きてきて「新聞」と取り上げたので、中途半端ではあるが、二つ引っ掛かるテーマがあった。

 一つ目は食品の産地偽装のニュース。
そして二つ目は、犯罪を未然に防ぐ為にわが子の登下校を探偵に監視の依頼をする親がいるというコラムだ。
僕はノートにそれを書きながら、前者ではありきたりだと感じた。
すると後者を選択せざるを得ない。
しかしこれは探偵業に携る人との接触が不可欠だ。
実際に、そんな依頼があるのかどうかも確かめたい。

先ずは湊にテーマを決めたと連絡し、これで良いかと打診した。
「面白そうだけど、どうやって調べるんだ?まさか探偵の人に聞くわけにいかないし」
「聞かないと始まらないよ」
 
 僕はネットで探偵事務所を検索して、家からほど近い繁華街の雑居ビルに、一社あることを突き止めた。

「未成年が犯罪に巻き込まれる事件が多発する中で、わが子の登下校を見守る為に探偵の依頼が増えていることをレポートにしたい」   
 連絡を取って正直に話してみたが、当然、向こうは自分達の手の内を見せる真似はできないと言う。
しかし僕は怯まない。
「論点はそこではなく、親がそこまでしないと安心できない世情について論文を展開したい」
 これで相手は唸り、僕が事務所で手伝いをするという代価で何とか了承を得た。
勿論、出来上がったレポートは見せてくれ、とも言われたが。
話が決まったので、すぐに湊に連絡をした。

「え! 一人でやらないでよ。俺もやるよ」
 湊はそう言って慌てたが、僕は街中で歩くだけで目立つ湊は探偵の補佐すらもできないだろうと感じて、断った。
 探偵は尾行等の追跡調査が主なので、身なりが地味でなければならない。
人ごみの中にまぎれることができる人が探偵業に就けると事務所で聞いていた。
なので、湊には僕が箇条書きするメモをレポートに清書する役をお願いした。
 
 翌日から僕は放課後になると一目散にその事務所に行き、来客時のお茶出しから掃除に始まって、探偵業のさわりを教わった。
 探偵が依頼者と面会する際は特別応接室を使うのだが、この部屋の防音は病院の診察室よりも遥かに性能が良かった。
 壁は防音パネルを使用して音を遮断。
床も歩く音すらドアの向こうに聞えないように音を吸収する材質を使用していた。
これは全て依頼人のプライバシーを護るためだ。
 実際に僕が働いている夕方にも、若い女性が思いつめた表情で相談に来ていた。
彼氏の浮気調査かなと思ったら、わが子がどうやら学校でいじめに遭っているようだから、相手が誰か突き止めて欲しいという、正に僕が欲しかった相談だった。
 
 僕はこの事務所の正規の職員ではないので、立ち入った話は知らされないし、子供の尾行にも立ち会えなかったが、実際に依頼があることがわかり、その調査で、依頼人が事務所に払う金額も知ることができた。

 それは一週間で五十万円は下らないのだ。
高校生の僕には大金としか思えない。
僕はどうしてその請求額になるのか、聞いてみた。

「朝から夕方まで、その子に気付かれないように尾行するんだ。くわえて最近の子は塾にも行くからね。それが終わるのが二十二時とかなんて、ざらだよ。この額は殆ど人件費。尾行する探偵の神経が参っちゃうからねえ」
「成程……」
 ほぼ二十四時間体制で一週間か。これは心が折れそうだ。
事務所の社長さんは良い人で、常に僕にこう話してくれた。

「こんな裏の商売が繁盛するなんて、あまりよろしくないよ」
 この事務所は浮気調査から失踪した家族の捜索、果ては猫探しまで依頼を受けているが、
最近特に多いのが僕が狙いを定めた、わが子が事故に遭わないよう、学校でいじめにあっていないか等と心配する親御さんからの子供の監視の依頼だそうだ。

「学校に言っても殆どが調査をせずに『いじめはありません』と回答する世の中だからね。
親御さんとしては、やりきれないさ」
 
 僕は格差社会とか物価上昇のニュースよりも、この現実が痛々しく感じた。

「いじめている相手をつきとめたら、どうするのですか?」
「その子の写真を撮って、できれば現場も押さえた証拠写真を依頼人に渡して、終わり。
後は我々が介入することではないから」
 
 僕は大金を払ってでもわが子を守ろうとするのが正しいのかと考えた。
他に何か方法がないのだろうか。
その疑問を前面に出して、レポートを作成すればよいと、道筋が見えた。
 
 忘れないようにすぐにメモをして、家で防犯グッズなるものをネットで検索してプリントアウトした。
 メモ書きしたものを湊に渡すのはいつも翌日の教室内だったが、土日の分は渡せないので、わざわざ外で会うことにした。
 ファミレスでご飯を食べながら、最初はこのレポートの話ばかりだったが、急に湊が呟いた。

「他の話をしない? 悠里」
「……あ、うん」
 突然名前で呼ばれて動揺した。
それまでは互いが苗字で呼び合っていたのに何の前触れもなく、湊が僕を悠里と呼んだ。
 そのお蔭で次第にお互いが心を開いて、家族のことや趣味の話、僕達は色々なことを話した。
ときには腹を抱えて笑ったり、「それは苛立つね」と怒ったり、喜怒哀楽を共にした。
僕達は昔からの友人のように、距離感がなくなった。
 
4話に続きます
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