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「なんか冷たくない? 俺、悪いことをしたー?」
 亮輔は近くにいた女性社員に両手を広げたパフォーマンスをしながら聞いている。
「していないよねー?」
 亮輔の性格に合わせるなら「優秀な営業マンは新入社員を育てられる」とお世辞でも言えばいいのだが、蒼生にはそのつもりは毛頭無い。
「用件は済んだから自分のデスクに戻れよ」
「は。なんだ、それ」
 納得がいかないのだろう、言葉を吐き出すと腕組みをしている。
そしてまっすぐな視線を蒼生にぶつけた。

「俺のことが嫌いなんだろう」
「どうしてそんな話になるんだ。雑談は止めろ、僕も定時であがりたいんだ」
「へっ。真面目だねー」
 亮輔は皮肉の1つでも言いたいような表情でデスクに戻って行く。
その様子を見ていた女性社員が亮輔の元に集まり、
「気にしないで、戸田くん機嫌が悪そうだから」などとご機嫌とりを始めた。
 蒼生は頭にカチンときたが、残業をする気も無い。
関わらずに仕事を進め、17時になるとパソコンを終了させてカバンを持った。
「もう17時になったよ。きみも早く上がりな」
 新入社員に声をかけると、なんと身を乗り出してきた。
「なんか用事?」
 蒼生が目を丸くすると新入社員は顔を赤くしながらメモを渡した。
それには携帯のナンバーとアドレスが書かれてあった。
「あの、迷惑でなければ…お話をしたいのですが」
「うーん。ごめん、携帯、今壊れていて修理中なんだ」
 すると新入社員はうつむいた。
「僕の携帯が直ったら連絡をするよ」
「はい、ありがとうございます!」
 新入社員は嬉しそうに、そして感極まったのか目元を指でぬぐった。

「俺も帰ろーっと」
「あれ、浅尾くんも今日は定時なの?」
 取り巻きの女性達から逃れて、亮輔は蒼生の側に来た。
「たまには一緒に帰ろう」
「…家の方向は逆だろう?」
「じゃあ、駅まで」
 この会社から最寄の駅までは歩いて15分はかかる。
その間、亮輔と話すことなんて何も無い。
帰るのにストレスを感じそうだ。
「待って、私も一緒に」
 女性社員が2人駆け寄ってきたが、亮輔が手を振った。
「同行したくないんで、ついてくるな」
 なんとも冷たい言い方だ。
蒼生は呆れて亮輔を見上げるが、亮輔はなんとも感じていないようだ。
「ひどーい」
 女性社員が亮輔を指差したとき「人を指差すな!」と怒鳴った。
「失礼だろう!」
「す、すみません」
 相手は先輩格なのに誰に対しても亮輔は王様なのだ。
「行こう、戸田」
「僕は承知していないよ」
「えー。いやなのか?そんなに俺が嫌い?」
「嫌いとかの問題じゃない。僕は1人で帰りたいんだ」
 蒼生はそう言うとカバンを提げながら部署を後にした。
しかしカツカツと急ぐ靴音が近づいてくる。
「どうしてそんなに冷たいんだよ!」
「そっちこそ、どうして同行したがるんだ。おかしいぞ」
 蒼生はエレベーターを使いたかったが逃げるように階段を下りた。
だが亮輔もなかなかしぶとく、階段を駆け下りてくる。
 出入り口のドアの前で青生は亮輔につかまり、仕方なく駅まで一緒に歩くことにした。


「携帯のナンバー」
「は?」
「あの新入社員からゲットしたんだろう?俺のナンバーは知らないくせに、さ」
 何を言い出すのかと蒼生は驚いた。
あの光景を見られていたとは気付かなかったのだ。
「もらったけどかけないよ。用は無いし」
「それが冷たくない?俺ばっかり悪者にしてさ、戸田だって悪いじゃん」
「そうか?ちゃんと携帯は壊れているって言ったよ。向こうは納得したから…」
「直ったらかけるって言った」
「あー、そうだった。でも、修理に一ヶ月はかかるらしいからそのころは向こうも忘れているよ」
 すると亮輔は不意に立ち止まった。
「俺、携帯が壊れていることを知らなかったけど?」
「いちいち言うことじゃないだろう。それに僕は浅尾のナンバーを知らないし」
「聞かないだけじゃん。いつでも教えるのに」
「どうしてだよ…」
 蒼生は亮輔の言わんとするところが見えない。
「普通は教えたくないだろう?社内の人間なんだから、社内で会えば用は無い」
 振り切るように蒼生が切り捨てたが、亮輔は蒼生の背中を軽く叩いた。
「なんだよ!」

「ケンカをする気はないんだけど。俺に冷たすぎる」
「はあ?」
「俺、まだ覚えているんだよ?あの桜の木の下で写真を撮ったときのこと」
 それは社内の敷地に植えられた一本の桜の木のことだ。
社内報に載せるために、当時新入社員だった2人が桜の木の下で課長に写真を撮られたのだ。
「戸田の髪に桜の花びらがついて、そのまま写真を撮られたこと」
「ああ、そんなこともあったね」
「すっごく綺麗だった」
「ああ、桜が・ね」
「違う。戸田が」
「…頭がおかしくなったのか?」



4話に続きます
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