FC2ブログ
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 翌朝、社内で蒼生は亮輔が「セックスをした」と同僚に話すのではないかと恐れた。
亮輔は新入社員をいじったときのように、思ったことをすぐに口に出す人間だ。
社内で同性を抱いたと吹聴しそうで、蒼生はストレスを感じた。
 セックスは同意のものではなかったと蒼生は思っている。
強引に連れられて抱かれてしまったのだ。
拒みはしたのだが、結局は誰にも見せない秘部をいじられて挿入までされた。
あの感覚は体を熱くさせたが、気持ちがいいとまではいかなかった。
それは同性同士だからだろう、しかも蒼生は亮輔に好意を抱いていない。

 蒼生は営業マンだったころから亮輔を見てはいなかった。
仕事に準じる性格なので、常に仕事に向き合う一直線だ。
 しかし亮輔は蒼生を見ていたという。
それが好意なのか、単なる好奇心なのか蒼生にはわからなかった。
 
「おはようございまーす」
 朝にしては暗い声で亮輔が出社してきた。
「朝なんだから眠そうな声を出すな」
 部長の叱咤に亮輔が「すみません」と軽く頭を下げる。
「あ、部長。お願いがあるんですが」
「なんだ?」
「俺のサポートを戸田にしてほしいんです」
「はあ?戸田は私のサポートだぞ。譲る気はない」
 部長は仕事のできる蒼生を可愛がっていた。
出張すれば必ず蒼生にお土産を渡し、ときにそれはブランドの財布だったりした。
「営業時代も優秀だったが、事務もいけるから戸田は渡さないよ」
 部長は毅然とした態度で亮輔を追い払った。
それを横で聞きながら蒼生は安堵したが、亮輔は子供のように頬を膨らませて煙草を持った。
「戸田ぁ。ちょっと」
「は?」
 怒りの矛先が部長にではなく自分に向いていると悟った蒼生は呆れた。
付き合いきれないとばかりにパソコンを立ち上げて、デスクの引き出しからファイルを取り出す。
 その様子に亮輔は釈然とせず蒼生を睨んだが、蒼生は動揺もしない。
亮輔は何も言わずに靴音を響かせながら喫煙所に向かった。

「浅尾と仲がいいのか?」
 部長が珍しく蒼生のことを聞く。
「同じ営業マンだったころは、浅尾が戸田をライバル視していたように思えたが」
「ライバルじゃありませんよ」
 蒼生は部長に微笑んだ。
「浅尾は眼中にありませんでした」
「ふふ。さすが、できた事務員だ」
 部長は機嫌を良くして蒼生に缶コーヒーを奢った。

 始業時になると亮輔は慌てて部署に戻ってきて、すぐにカバンを持った。
「A社に行ってきます」
 お得意様への営業まわりの開始だ。
「行ってらっしゃい」
 蒼生をはじめ、事務員が送り出すと機嫌よさそうに亮輔が出て行く。
王様の機嫌は直ったらしい。
 しかし10分もしないうちに新入社員のデスクの電話機が鳴りだした。
それを彼女が慌てて取るとすぐに様子がおかしくなった。
「すみません、気をつけます」
 受話器を持ちながら頭を下げる新入社員に、蒼生は電話の相手が亮輔だと勘づいた。
「はい、すみません、二度としませんから」
 また泣きそうな空気だが、親友社員は堪えていた。
「失礼します」
 親友社員は受話器を置くと席を立ち、俯いたままお手洗いに駆け込んでいった。
蒼生は亮輔が彼女に何を言ったのか知らないが、また言いすぎなんだろうと思う。
「あれではフォローもできないか」
 見ていた部長が蒼生に声をかけた。
「戸田。浅尾に連絡をとって、ことの次第を聞いて報告できるか?」
 意外な指示に蒼生が目を丸くしたが「はい」と答える。
「新入社員を毎日いじめているらしいな。早く手を打たないと彼女は辞めると言い出しかねない」
「そうですね」
 蒼生は亮輔の携帯に連絡をとる事にした。


10話に続きます

 
スポンサーサイト
[PR]

FC2公認の男性用高額求人サイトが誕生!
稼ぎたい男子はここで仕事を探せ!
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。