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「一回セックスをしただけで、自分のものだなんて思うんじゃないぞ」
 蒼生は帰社した亮輔を喫煙所に連れて行き、こう切り出した。
亮輔は目を丸くしたものの、返事もせずに煙草をくわえる。
「僕は亮輔とはコンビを組まないし、付き合う気も無い」
「へーえ?はっきりと言うなあ」
 亮輔は何を考えているのか、ふふと鼻で笑い、煙草に火をつける。
「そう硬く考えるなよ。いいじゃん、普通に付き合うくらい。減るもんじゃなし」
 蒼生の予想どおりの返事だった。
「俺には蒼生が必要なんだ。何度も言わせるなよ」
 煙草の白い煙が天井を目指して昇っていく。
それを見ながら蒼生は二の句が継げない。

 蒼生は亮輔を意識し始めたからだ。
いつもならそんなことを言われたら、亮輔の尻を蹴るなりして抗ったはずだ。
「なんかおとなしいな」
 亮輔は蒼生の変化を敏感に感じ取った。
そして蒼生に一歩近寄ると顔を寄せて膝を折った。
「俺のことを考える余裕があるんだ?」
「違う。魔が差したんだ」
「へえ?ふーん?」
 亮輔はにやにやと笑い、煙草を揉み消した。
「俺、自慢じゃないけど今まで付き合った奴は皆美人だからな」
「自慢かよ」
「だから!蒼生もその中に入るんだ」
「…はあっ?」
「誉めているんだぜ、喜べよ」
 亮輔は見るからに上機嫌で部署に戻っていく。
その後ろ姿を見ながら、蒼生は腕組をすると深い溜息をついた。


 蒼生がデスクに戻ると、目の前で新入社員が血相を変えてパソコンに入力を続けていた。
ちらりと見ると、沢山の発注書を抱えている。
 時計はまもなく16時30分を指す、とても定時で上がれる状態ではない。
 みかねた蒼生は新入社員の仕事を手伝い、定時の10分前に終わらせた。
「いつもすみません!ありがとうございます!」
 新入社員は蒼生に何度も頭を下げ、しかも顔を赤くしていた。
蒼生はそれに気付かないふりで発注書を返すと「帰れる準備をしていいよ」と声をかけた。

「戸田、悪いね。ありがとう」
「は」
 顔を上げると亮輔が隣に立っていた。
「近い!」
「そうか?」
 蒼生は肘で亮輔を退けてカバンを持った。
「こいつ1人じゃ定時までに仕事が終わらなかったと思う、ありがとう」
「やっぱり帰社してから仕事をさせたな?」
「そうだけど?」
「あんなに沢山の発注書を処理できるわけがない、電話でも指示を出せ、そのほうが効率的だ」
「電話だとさー、『わかりません』って言うんだぜ?聞いていて腹が立つ」
「その短気をなんとかしろよ!」
 蒼生はカバンで亮輔の背中を叩いた。
ばすっと軽い音がしただけで亮輔は痛がらないが機嫌は損ねた。
「戸田。定時だぞ、約束どおりに付き合ってもらうからな」
 その声の低さに蒼生は眉をひそめた。
また王様になっているからだ。

 2人揃って定時で会社を出ると、亮輔は表情が急にいきいきとした。
蒼生の腕を取ると満足げにまた歓楽街の方向へ足を進める。
「昨日と同じところじゃマンネリだろう?少し歩こう」
「またホテルに行くつもりだったのか!僕は帰る」
「そんなに嫌?」
 亮輔は蒼生の腕を強く握る。
「い、痛い!」
「そんなに俺が嫌なのかって、聞いているんだ」
 亮輔の真剣なまなざしに蒼生は一瞬戸惑うが「離せ」と腕をふり払った。

「亮輔。何でもかんでも自分の思うようになると思うな」
「強気だなー。そんなところも気に入っているんだけど?」
 そして亮輔はカバンの中から小さな包みを出した。
「昨日抱いたときに耳に穴が開いていたから。ピアスの穴だろう?普段はつけないんだな」
「仕事をするのにピアスは邪魔だ。それに会社でピアスをつけるなんて考えられない」
「これ」
 亮輔は蒼生にそれを開けるように促す。
「なんだよ」
 蒼生は不審に思いながら包みを開けた。
すると小さなダイヤのピアスが出てきたではないか。
「…なんだこれ」
「小さいけど本物だぞ」
「僕は女性じゃないぞ!これで喜ぶとでも思ったのか!」


12話に続きます



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