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「皆藤を愛人にするなんて。このエロ本みたいなことをされるのか、感覚が普通じゃないぞ」
 仲間が一部始終を聞いていたらしく、薄い割りに値段の張るエロ本を手にしながらぼやく。
「グラビアアイドルみたいに大股開きとか、サイズの小さい水着を着せられたらどうするんだ」
「JKじゃあるまいし。そこまでしないだろう。さ、早く終らせよう」
 理仁はぶつぶつと文句を言う仲間の背中を押して、返品作業に集中させた。

「金に目が眩んだのか?」
「うーん。正直に言えば大金だから嬉しい」
 
 理仁は崇の愛人になれば学費を稼ぐ必要はないので、自分の時間を持てると思った。
今までの生活は昼夜逆転していたので大学の講義中に寝てしまうことも多々あったし、
分刻みのスケジュールは元々無理があった。
 ストレスで食が細くなり、肉よりもサラダをつまむ程度に食欲が落ちていた。
そのせいで体つきは華奢になってしまったのだ。
これでは全く力が出ないので、ビール箱を持上げるのも至難の業だ。
 しかし働かないと大学に行けなくなるので、自分の限界を知りつつも夜勤を続けていたのだ。
 それに加えてこの店は人手不足だ。
理仁は『自分がやらなければ』と責任を感じていたのだが、崇にあっさりと否定された。
それが理仁の決断に繋がったのだ。

「後悔しないのか」
 仲間の声に理仁は頷いた。
「うまくいけば生活も立て直せるかもしれないし」
「ああ、そうだな。コンビニの夜勤なんて続けるものじゃないからなー」
 仲間が理解を示したとき、時計が5時を指した。
そろそろ建設現場に向かうお客様が朝食とお弁当を買いに来る頃だ、
理仁たちはお弁当のコーナーを整理して、お客様の来店を待った。


 早朝の慌しさは夕方の比ではない。
建設現場に向かう職人さんたちは気性が荒い。
「早くしろ」「少しだけ温めろ」「箸を余分に入れておけ」など、まるで合戦のように勇ましい。
 その中にOLさんらしい女性も混じって「あんまん1つ」とか言い出すとさらにレジは多忙を極める。
笑顔を絶やさずにレジを打ち続け、ようやく波が引いたと思ったら8時を回っていた。
 この時間になると店長が出勤してくる。
「ごくろーさーん」
 のんびりとした声に「おはようございます」と理仁たちは挨拶をする。
「でもさ、他のコンビニって店長が夜勤をするらしいじゃん」
 仲間がこそこそと耳打ちをしてきた。
「昼間に店長がいてどうするんだよ」
 仲間は不満ありげにぼやくが、理仁はどうでもいい気がしていた。
ここを辞めるからでもあるが、数ヶ月ここで働いてみてわかったことがある。
店長は仕事をするのが嫌いなのだ。
理仁は時給をもらっている立場なので構わずにいたらいいと諦めていた。
「もう9時になるぞ。あがる準備をしようか」
 理仁は店長にレジを離れると伝え、仲間をひっぱってドリンクコーナーの裏手・冷蔵庫に入った。
「さむ!」
「寒いのは当たり前だろう。上着でも着たらいい」
 理仁は中腰になり軍手をはめて売れたドリンクを箱から出して次々に補充していると、
店長の「いらっしゃいませー」と気の抜けた声が聞こえてきた。
「あのひと、本当にやる気がないな。自分の店なのに」
「構わずにいろよ。時給をもらっている立場だぞ」
 理仁は軍手をした手で仲間の肩を叩いた。
「奥に行けよ。ビールも売れたんだから」
「はいはい」
 仲間がビールを補充し始めたとき、いきなり冷蔵庫のドアが開いた。

「皆藤くん、お客様が来ているけど?」
 なんと店長が崇を伴って現われた。
「皆藤くん!こんな寒いところにいたのか。店長さん、これでは大事なバイトくんが体調を崩しますよ」
「あ、はあ…」
「上着を支給するべきですね」
「はあ、もっともです…」
 理仁は店長が崇のいいなりになっていることに驚いた。
知り合いなのだろうかと目を丸くしていると崇が微笑んだ。
「私はこのコンビニの本部の人間だ」
「えっ!名刺にはそんなことは書かれていませんでしたよ。知らない会社名だった」
「そう、詳しく言えば本部の物流センター勤務なんだ。そこにも事務所があるからね、そこの部長」
 理仁は話を聞きながら立ち上がり、崇を見上げた。
崇はいつものように仕立ての良いスーツを着ているし、外周りの営業マンが履くような靴ではなく、
靴底が革張りのスタイリッシュな靴を履いている。
 センターの中で体を動かすのではなく、あくまで内勤なのだろう。
「では店長さん、皆藤くんをもらっていきます。給料は間違うことなく手渡ししてやってくださいよ?」
「は、はい」
 店長が「20日すぎに取りにおいで」とか細い声で理仁に言う。
『今日までありがとう』とかは無い、円満退社ではないからだ。
理仁は「今までお世話になりました。ありがとうございました」と頭を下げて礼を言った。
そして軍手を取ると棚に戻して冷蔵庫から出た。
 なんとも寂しい別れだった。
ひきとめるものは誰1人いない。
思わずうつむいた理仁に崇が「さあ、おいで」と手を伸ばしてきた。
その手をつかむと、崇がぐいっと引っ張って隣に立たせた。
 身長差が15センチはあるだろう、見上げる理仁に崇は満足そうな笑顔を見せた。
「早く着替えなさい。外で待っているから」
「は、はい!」

 理仁は急いでコンビニの制服を脱いで私服に戻ると、駆け足で店を出た。
すると白いワンボックスカーの前で崇が待っていた。
「社用車で悪いけど乗りなさい」
「はい、失礼します」
 理仁は言われるままに後部座席に乗ろうとして「こっち」と助手席に座らされた。
シートベルトをしていると崇が乗り込んできて、エンジンをふかす。
「皆藤くん。下の名前は?」
「理仁です」
「いい名だな」
 車は市道を抜けて国道に進み、さらに北へと向かう。
「どこに行くんですか?」
「物流センター。私の仕事場だ」
「え。俺、今日も大学の講義があるんですけど」
「13時からだろう?午前中は私の側にいなさい」
「…どうして13時からってわかるんですか」
「調べたんだ。惚れた相手のことを調べたらまずいのかな?」
 崇は余裕ありげに理仁に微笑んで見せた。


4話に続きます













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