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 理仁は電車内で見知らぬ男たちに犯されかけたショックが尾を引いていた。
10代の女の子がその年には似合わない巨乳をむき出しにされるばかりか、
それをわしづかみされて半泣き状態の動画なら見たことがある。
いわゆる強姦だ。
 そのときも性的興奮はまったくなかったのだが、自分が同じ体験をするとは夢にも思わなかった。
公衆の面前で脱がされた事実を思い出すと、自分に隙があった・それしか言いようがない。
 しかし悔しい、隙を認めるのは辛くてたまらない。
どうして自分なんだと思ったとき、あの動画の女の子と自分が重なり吐き気がした。
 性欲を満たしたいだけの連中の餌食にされかけた自分と、食われた女の子。
理仁は立っていられないほどのめまいに襲われた。
 壁に手をついて、呼吸を整えようとしても心臓が激しく鼓動していた。

「理仁、どうかな」
 2度目の崇の声に、理仁はシャワーに打たれながら顔を上げた。
「私はきみを側において守りたいんだ」
 理仁の脳内はその暖かい言葉を受け入れる余裕がなかった。
どうしてもあの場面が頭から離れないのだ。
女の子のように乳首を吸われたときの嫌な感じ、屈辱感がいくらシャワーを浴びても消えなかった。
触られた腿も汚されたかのようで、肌が赤くなるまでボディソープでごしごしと洗った。
 理仁はドアの向こうに崇がいるとはわかっていたが、返事のしようがなかったのだ。

 しばらくして理仁はシャワーを止めると備え付けのタオルを頭からかぶり、裸のままドアを開けた。
「…崇さん」
 なんと、崇はずっと待ってくれていたのだ。
しかも朦朧としている理仁を見て、崇は何も言わずにタオルで髪を拭き始めた。
「泣いたままだと瞼が腫れてしまうから、冷やさないといけないな」
「崇さん」
「それに下着くらいつけないと。見世物になってしまうぞ、理仁」
 崇は理仁が頭からかぶっていたタオルを外して全身にまきつけると中腰になり、理仁を抱き上げた。
「おとなしくしているんだぞ?」
「は、はい」
 理仁はこのセンターの従業員に顔を見られないよう、崇の胸に顔を埋めた。
自分のような子供が所長に抱っこされている図は、崇に迷惑をかけると理解しているからだ。
 不意に理仁の髪から雫が落ちて、崇のスーツを濡らしてしまう。
しかし崇はまったく構わなかった。
「軽いな。ちゃんとご飯を食べているのか?」
「は」
「肉を食べないと大きくなれないぞ」
 崇の言い方は子供扱いだが、理仁はそれに安心した。
その言葉に親しみを感じたのだ。
 こうして崇の体温を感じながら、理仁は恐怖感から脱することができた。
自分には守ってくれる人がいると気付くと、電車内での恐ろしい出来事は記憶の中で薄らいでいく。
「ありがとうございます」
 理仁はお礼の言葉を口にし、崇は気持ちを察したようで「どういたしまして」とさらりと答えた。

 所長室に戻ると崇は理仁に服を貸した。
「早く着なさい。風邪をひいてしまうぞ」
 服を着ろ、ということは今日はセックスをしないのかと理仁は首を傾げた。
「どうかしたのか?」
「あの。今日は…何もしないんですか?」
「してほしいか?」
「いや、その…」
 理仁は慌てて服を着たがサイズが合わずに袖口からは指しか見えない。
ボトムも股下が長く、ロールアップしないといけなかった。
これではダサすぎる。
 しかし自分の服を再び着る気にはなれない。
「今日は18時であがる予定だから、ここにいなさい」
「えっ?」
「私が家まで送るから」
 理仁が驚いて目を丸くしていると、崇が微笑んだ。
「できれば連れて帰りたいが、今日のところは止めておこう」
 崇は「会議がある」と言って部屋を出て行ってしまった。
残された理仁はすることもなく、崇の椅子に腰掛けてぼんやりとした。

 何をしにここへ来たんだろうと理仁は思う。
あんな危険な目に遭ったのに、こうして平然としていられるのは何故だろうか。
 机に頬杖をついていると崇の名刺が置いてあった。
理仁がもらった名刺と同じものだ。
それを眺めながら、崇が自分を労わってくれたから取り乱さずに済んだのかと気付く。
「俺を守るって言ったなあ…」
 そんな大それたことをさらりと言うなんて、崇は本当に自分を愛してくれていると理仁は感じた。
愛される立場を知ったが、同時に自分も崇に惹かれていると自覚をした。
そうでなければ講義をひとつ飛ばして、わざわざ電車に乗って15時にここへは来ない。
 理仁は急に胸の鼓動が高鳴った。
何に対してもろくに興味を持てなかった理仁が、崇のことを特別に思い始めていたのだ。

 
9話に続きます
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