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 誰もいない社内のトイレなのに、隼は声を押し殺して大貴の抜き差しを受け入れていた。
やがて大貴の茎は突き上げ始めて隼を追い立てる。
「声を聞かせろよ、さあ」
「む、無理っ…」
 隼は腰を揺らしながら口元を手で覆った。
これは間も無く果てる合図だ、大貴はそれと知ると力強く突き上げた。
「アアアッ!あ、もうダメ。もちませんっ…」
 隼はがくりと力が抜けて壁に頬を押し付けた。
「は、はあ…」
「こっちを向け」
 肩で大きく呼吸をしている隼を見て、大貴は下着とスラックスを履かせた。
「あ、ありがとうございます…」
 隼はこの期に及んで恥かしそうに頬を赤くした。
そして大貴を見上げて「お疲れ様でした」と言って逃げるように立ち去った。


 隼がミスをしたら体で返すことになったのは、つい2ヶ月前からだ。
今日のように伝票を間違えて発行し、請求書を直してほしいと飛び込んできたとき、
大貴は「この貸しは体で返せ」と言ったのだ。 
 もちろん、働いて業績を上げろと言う意味だったのだが、隼を社内で見かけるたびに大貴の気持ちの中に1つの思惑が生まれた。
<抱いたらどんな感じなのだろう?>
 大貴は父親不在の母子家庭で育ったので、女性の強さや魔力を目の当たりにしている。
その結果、女性には興味を示さないのだ。
 だから女性社員がボタンを外して現われても慌てない、それどころか淫らな姿は社風を乱すとばかりに跳ね除けてしまう。
 自分に女はふさわしくない、そう自覚していた大貴は大学生の頃に家を飛び出した。
そして1人暮らしを始めながら自分を見つめなおすが結論は出ない。
それゆえに眉目秀麗な大貴には女性がよく近寄るが、交際まで発展したことはなかった。
 
 卒業後にこの会社の経理部に配属されてから、大貴は女性との噂がたたないので真面目すぎる男と評価されてきた。
 仕事一辺倒の大貴を揺り動かしたのは、隼だった。


「1つ・お客様の期待を感動に変える」
 今朝の朝礼でも隼が社訓を読み上げる。
隼は社長のお気に入りらしく、朝礼では部署ごとに並ぶはずが常に社長の隣にいるのだ。
「1つ・自らの心身を鍛え、柔軟な発想をこころがける」
 隼は小柄だが腹から声を出すので、部屋によく響く。
その声を聞きながら大貴はふと目を閉じる。
昨日抱いた隼は、自分の手に落ちない子だと感じていたのだ。
体だけの関係は虚しい。
大貴は隼に惹かれつつあった。
 
 その隼は社訓を読み上げて社長から拍手をもらっている。
「瀬田くんの声はいい。今日も頑張ろうと意欲が湧くよ」
 社長に合わせて社員も拍手を惜しまない。
営業の仕事ができ、しかも社長のお気に入りともなれば即出世することだろう。
 隼はそれを見抜いているのか、常に姿勢も正しく頭を下げた。

 朝礼が終ると皆が一斉に部署に戻る。
階段を駆け上がる隼を、大貴は呼び止めた。
「なんでしょうか?」
 隼は昨晩抱かれたことを忘れたのか、恥らうことなく平然と大貴を見上げている。
「請求書は訂正した。これで月末の請求に間に合ったからな」
「ありがとうございます、助かりました」
 隼は先程のように頭を下げると、また階段を駆け上がっていく。

 体だけの関係だからだ、と大貴は一抹の寂しさを覚えた。
自分になびかないだろうか、そんな期待まで生まれてしまった。
女性が苦手だから隼がいいのではなく、隼でなければならないと悟ったのだ。


3話に続きます

 

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