FC2ブログ
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 大貴が窓辺から外の景色を見ると、女子高生がスカートをひるがえしながら歩いている。
彼女たちは<見られる>ことに慣れているのだろう。
女性は強く、そしてしたたかな生き物だと大貴は知っていた。
「ほー。何を見ているんだ?」
 課長が窓辺に来たので、大貴は仕方なく女子高生を指した。
「年下が好みかー。初めて知ったな」
 満足そうにデスクに戻る課長を見ながら、女子高生ではないが確かに隼は年下だと気付いた。

「月末の請求書発送が終ったから、一息つけそうだな」
 部長がコーヒーを美味しそうにすすって飲んでいる。
大貴のデスクにもコーヒーがいつの間にか置いてあったが、今日もミルクが入っている。
隼が来れば飲ませるのだが、今日は大貴に用事はないだろう。
入れてくれた社員には悪いが、冷めたら捨てようと大貴は思った。
「瀬田くんが来ないとわが部署はこんなに静かなんだねえ」
「ははは、部長。おっしゃるとおりで」
「あの子は出来がいいからな、それにどことなく可愛らしい。知っているかね?
営業部では瀬田くんはおやつまで出してもらっているそうだよ」
「お菓子をあげたくなるような顔をしていますからねー」
 部長たちはのんびりと隼の噂話をしている。
しかし大貴は落ち着かない、隼を自分のものにしたいと言う思いが募っていたのだ。

 経理部として、上手く隼をここに呼び出す方法はないものかと大貴は考えた。
しかし月初めの営業部はお得意様まわりで多忙を極めるらしい、社用車が次々と出かけていくのを大貴は見送った。

 昼休みになり、大貴が営業部に出向くと、そこには事務を任された女性社員しかいなかった。
「あ、経理部の南さんだ」
「南さん、誰かお探しですか?」
 女性の何かを期待する声は大貴には不快に聞こえてしまう。
「ああ、瀬田は外出だよね?」
 瀬田、と聞いて女性たちはがっかりした様子だ。
「瀬田くんなら戻ってきていますよ。今、コンビニにお弁当を買いに行きましたけど」
「そうか、ありがとう」
 大貴が出ようとすると女性たちが「今度、合コンをしませんか?」と誘ってきた。
社内で合コンなんて意味がないだろうと思い、「悪いね」と軽く頭を下げて部署を出た。

 大貴が急いでコンビニに向かうと、隼がサンドイッチを持ちながらレジに並んでいた。
「あ、南さん。お疲れ様です」
 隼のほうから声をかけてきたので、大貴はなんとなく気分がいい。
「それだけしか食べないのか?痩せるぞ」
「これでいいんです。実は社長にケーキを買ってもらっちゃって。食べないといけないから」
「社長…」
 大貴は社長がまるでライバルのような気がしてきた。
「限定のモンブランなんですよ。高島屋にしか入っていないクマのマークのケーキ屋さんで名前はど忘れしましたけど」
「いつも、社長がスイーツを食べさせてくれるのか?」
「あー。そうですね」
 隼が否定をしないので大貴は焦りを感じた。
しかし大貴の心中を察しない隼は手を振って別れた。

 大貴はずっと心にひっかかっていることがある。
初めて隼とセックスをしたとき、隼がまったく抵抗をしなかったのだ。
 しかも自分からスラックスを脱いでみせたので、大貴は動揺したが眼鏡を直すふりをして心を落ち着かせたものだ。
 大貴は初めてのセックスだったが、どう考えても隼は場慣れしていた。
女子高生が<見られる>ことに慣れているように、隼は<男とセックス>をすることに慣れていたのだ。
 深く詮索をしなかったことが今になって悔やまれる。
大貴はレジを済ませた隼を追った。

「瀬田、今日は時間があるか?」
「え?先約がありますけど、何か急用ですか?」
 これがセックスをしている仲の台詞とは思えない。
大貴は隼が冷たいのではないかと思い始めた。
「…聞きたいことがあるんだ」
「どんなことですか」
 見上げる視線は警戒心がない。
 隼は鈍いのだろうかとさえ大貴は思う。
自分の気持ちくらいは伝わっていて欲しいものだからだ。
しかし言葉に出したこともないのに隼に通じるわけがない。
「ここでは言えない。夜ならどうだ」
「伺いたいところですが、すみません。ほら、社長が待っているので」
 隼が駆け出した先を見ると、社長の愛車が停まっていた。
そこに隼は乗り込み、車は会社に向けて走り去った。

 大貴は敗北感に似たものを覚え、昼食を買わずに会社に戻った。
隼は社長とできているのだろうかと、とんでもない考えが頭をかけめぐる。
 隼は逃せない、大貴は思わず拳を握っていた。
部署に戻る前にわざわざ社長室の前を通ったが、閉められたドアの向こうからは話し声は聞こえなかった。
しかしドアに耳を当てると、ソファーが軋むような音とともに「んっ」と声を押し殺す隼の喘ぎが聞こえてしまった。

 大貴は胸にどんと釘を刺されたような痛みが走った。
この部屋で間違いなく隼が抱かれている、自分以外の人に体を投げ出していると思うと息が苦しくなり、よろよろとした足取りでエレベーターに乗った。


4話に続きます

 





スポンサーサイト
FC2公認の男性用高額求人サイトが誕生!
稼ぎたい男子はここで仕事を探せ!
[PR]

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。