FC2ブログ
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
 煌の脳裏で明るい笑顔と、昨日の胸元を暴かれたうえにスカートをめくられてしまったときの「止めて!」の表情が重なる。
 追いかけて謝ろうと思ったが、声がかけられなかった。
側に匠がいるからだ。
 匠はただのクラスメートなのに煌はこのことを知られたくなかった。
自分の犯した過ちのせいで、匠の笑顔が曇るのは見たくないのだ。
軽蔑されたくない、その気持ちで体が動かなかった。
 それに自分が出て行った後のことが気にかかる。
まさか3Pに持ち込んではいないかと思うと背筋に冷たいものが走った。

 煌が教室に行くと、仲間が窓際に並んでいた。
「上原ー。土壇場で逃げるなんて卑怯な奴ー」
「なんとでも言えよ。俺はもう関わりたくないからな」
 煌はそう言い返すと席についた。
この行動は仲間には予想外だったらしく、慌てて仲間が煌の側に寄ってきた。
「なあ。黙っていてくれるよな?」
 仲間が小声で話しかけてきた。
「3Pはしなかったんだろうな」
 一応、念を押すと仲間はしきりにうなづく。
「当たり前だろう?おまえが抜けてから興ざめだ。だから黙っていてくれよ」
「無理。俺は彼女に謝ろうと思う」
「そんなことをしたら大問題にされるぞ?」
「そういうことをしたんだよ、俺たちは!」
 煌が怒鳴るので教室内が水を打ったように静かになった。

「なに?どうしたの、上原の奴」
「怒鳴るようなタイプじゃないよね?」
 女子がこそこそと話をしているが煌にはしっかりと聞こえていた。
「大声を出してごめん」
 煌が謝ると「へんなやつー。やばくね?」とミニスカートをひるがえしながら女子が笑った。

 そこに「おはよー」と匠が入ってきた。
首にタオルをまいているあたり、相当汗をかいたのだろう。
しかし明るい笑顔で、見るものを惹き付ける魅力があると煌は感じた。
この年の男子なら汗の臭いが気になるのだが、きちんと処理しているらしく爽やかな雰囲気だ。
「なるちゃん、おはよう」
 匠は女子に人気があった。
容姿が可愛いだけでなく、植物を愛するあたりが「無害」と理解され、可愛がられているのだ。
「なるちゃん。うちのクラスのポトスだけが元気いいって、先生が言ってたよ」
「だから私たちが『なるちゃんのおかげ』って言ったら納得してやんの」
 女子の明るい笑い声は煌を動揺させる。
いまや女子の存在だけでも煌は苦手になっていた。
それはすべて昨日の自分の愚かな行動のせいだが。

「煌、体調はどう?」
「えっ」
 煌は声をかけられて驚いた。
しかも匠は煌に歩み寄り「まだ顔色が悪いね」と首を傾げてみせる。
「無理しないで、保健室に行ったら?」
 そして前かがみになると煌のおでこに手を当てて「熱はないなー」とつぶやいた。

「あれ、なるちゃん?上原と仲がいいの?」
 来て欲しくもない女子が煌の周囲に集まってくる。
「めずらしー」
「クラスメートだから、気になるだろう?」
 匠はきょとんとしながら女子を見た。
「ふーん。上原となるちゃんは接点がないと思ったけどね」
「そうそう。バスケの上原と植物を愛するなるちゃんだもん、共通する話題でもあるの?」
 女子はなかなかしつこい面がある。
自分たちのアイドルでもある匠が相当気になるのだろう。
「話題はないけど、別にいいじゃないか?」
 匠はその容姿にはそぐわない男気があった。
植物のように風に吹飛ばされそうな細い体でもあるが、芯がとおっているらしい。
「僕は煌と友達になりたいし」
「へえっ?」
 女子は腕組をしながら驚いている。
煌も机に肘をつき、口が半開きだ。
「もういいだろう?席につけよー」
「はいはい、なるちゃんには敵わないわねー」
 女子はともかく匠まで離れていくので、煌は焦って思わず匠の手首をつかんだ。
「わ。なに?」
「い、いや、友達になりたいってマジで?」
「いけないのかな?僕はそう思っているけど」
 匠は煌の目を見ながらつぶやいた。
「別に植物の世話をしようって誘っているわけじゃないし。気楽にしてよ、煌」
 匠は「ね?」と言いながら手首を放させた。
「クラスメートだろう?」
「そうだけど」
「ん?なんか煮え切らないんだね。面白いな、もっと煌のことを知りたいな」
 匠は笑いながら席についた。
煌はいよいよ昨日の件を言い出しにくくなり、窮地に追い込まれた気がした。
 
 匠は煌に興味を持ったようだ、煌はそれがなんとなく嬉しい。
しかし昨日の件を知ったらどう思うだろうか?
それに彼女が匠に話していないとは限らない、もしも知られたらどうしたらいいのか。
 悩む煌の耳に授業開始のチャイムが鳴った。





3話に続きます
スポンサーサイト
FC2公認の男性用高額求人サイトが誕生!
稼ぎたい男子はここで仕事を探せ!
[PR]

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。