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2009.05.21 RUSH・5
「またエロ動画を見ているのか。会社では止めろって言っただろう」
 翌朝出勤した蓮音を待ち構えていたのは後輩だった。
階段の踊り場で携帯を片手ににやにやと妖しい微笑を浮かべていたので、
蓮音はまたしてもエロ動画を見ていると思い、すれ違いざまに肩を叩いて注意した。
「だって毎日更新されているんですよー。こまめにチェックしないと追いつかないんですよ」
「追いつかなくていい」
 蓮音が呆れながら振り返ると、後輩が「今朝は植田さんがいませんね」と聞く。
「商品を取りに行くらしいから、朝は不在だよ」
「やった!じゃあ、注文は全部大貫さんに頼めばいいんですね!」
「あのさあ。僕だから全部受けるとは限らないよ」
 喜んでいる後輩にちくりと釘をさすと、蓮音は営業部の部署に入って行った。
営業部の部長に呼びだされていたからだ。

「ああ、大貫くん。わざわざ悪いね」
「いえ。どんな用件でしたでしょうか?」
 すると部長が頭をかきながら「本来はきみに言うべきじゃないんだけど」と断りを入れた上で、
「営業部としては困惑しているんだ」と切り出した。
「なんのことでしょう?」
「ここではまずいな。会議室へ行こう」
 どうも雲行きが怪しい。
蓮音がそう感じながら部長の後について会議室に入ると、すぐに椅子をすすめられた。
腰掛けながら部長の様子を伺うが、思い当たるのは櫂のことだ。
 櫂は営業部の注文をすぐに跳ね除ける。
それが問題になっているのではないかと推測した。
「実は植田くんなんだけど、どうしてああも大きな態度を取るのかな」
 やはりそうかと蓮音はため息をついた。
「我々の仕事が円滑に進まないんだ。だからほうぼうから苦情が来ていてね」
「あの、部長。お言葉ですがそれならうちの・商品部の部長に話していただけませんと。
僕では櫂…植田櫂に対して指導することはできません」
「あまりおおごとにしたくないんだ。大貫くんからちらりと話してもらえないかな」
「話すだけでしたら」
 
 蓮音はこれで解放されたが、営業部の重圧を感じた。
おそらく部署内で櫂のことが取りざたされているのだろう、これはもはや自分の手にあまるので部長に相談しようと思いながら歩いていると後輩が駆けてきた。
「さっそく注文なんですけど!」
「部署で預かるよ」
 蓮音がそっけなく言うと後輩が「じゃあ、ついていきます」と言い出した。
階段を並んで下りながら、後輩は蓮音の横顔ばかり見ている。
蓮音はてっきり自分の顔色を伺っていると思い当たり、踊り場で立ち止まった。
「そんなに急ぎの仕事なのか?」
「ええ、まあ…」
 蓮音が仕方なく注文書を受け取ろうとすると、後輩が急に蓮音の腕を取り、引き寄せて抱きしめた。
「は?なにをしているんだ」
「少しだけでいいんです、このままにさせてください」
「嫌だよ、暑い!」
 蓮音は後輩をふり払うと「なんのつもりだ?」とにらみつけた。
「僕はそんな趣味はないよ」
 腕組をして口を閉じると後輩は赤面しながら「あ、あのですね」と言い始めた。
「あのっ。自分は大貫さんが好きで…」
「はあ?」
「憧れているんです」
 そんなことをエロ動画ばかり見ている後輩に言われても嬉しくない。
そればかりか、もしや自分を性欲解消の対象にしているのではないかと鳥肌が立つ。

「聞かなかったことにする。おまえもそうしろ」
「そんな!大貫さん!」
 
 蓮音はスタスタと階段を下り、商品部に戻ると後ろから後輩が追いかけてきた。
「注文書をもらおうか」
 何もなかったかのように振舞う蓮音の前で、後輩は赤面したまま注文書を差し出した。
「…今週は連休を挟んでいるから、納期1週間なんて厳しすぎるな」
「大貫さん、そこをなんとか!」
「むずかし…」
 言いかけた蓮音の手から注文書を誰かの手が取り上げた。

「無理!こんなものは工場に相談もできない!」
 そして机に注文書をたたきつけた。
「…櫂」
 乱暴を働いたのは櫂だった。
「連休を挟んでいることくらいカレンダーを見ればわかるだろう?それとも営業部にはカレンダーがないのか?」
「す、すみません!」
 先程まで蓮音に甘えようとしていた後輩がしきりに頭を下げている。
「とにかく無理!検討しなおせ!ついでにカレンダーも持って行け」
 怒鳴る櫂の迫力に押されて、後輩は慌てて階段を上がっていった。

「櫂、言い過ぎ」
 蓮音が小声で言うが、櫂はむすっとしていて注意を聞こうとしない雰囲気だ。
「…朝から疲れているのか?」
「商品を取りに行かされたから」
 その程度でイラつくのかと蓮音は呆れた。
しかしよくよく考えると朝1番でメーカーに行かされるのは気分が悪い。
なぜなら商品の引き取りは元々営業部の仕事だったからだ。
営業部が引き取ってそのままお客様に納品に伺えば済むことだからだ。
 それがいつからか『営業部は人手不足だから』と商品部に丸投げされて今や商品部の仕事の1つで、いきさつを知る櫂は納得できないまま引き受けたのだろう。
「仕事は納得した上で引き受けたいよな」
 蓮音がこぼすと、櫂が「そうそう」としきりにうなずく。
「やっぱり蓮音はわかってくれるなあ。だけど次の引き取りはきっと蓮音だぜ?」
「仕事だから構わないけどさ」
 蓮音にとって頭が痛くなるような問題の続出だ。
商品部も人が多いわけではないので、営業部と話をつけなくてはと蓮音は思う。
「それも何とかしなくては」
 ため息混じりに蓮音がぼやくと、櫂が目を丸くした。
「それも? 『それも』ってなんだよ」
「ああ、後で話すよ。今は仕事中だし」
「ふーん」
 櫂は納得していないようで口を尖らせたが「昼休みはカフェに行こう」と蓮音が誘ったので、すぐに笑顔になった。
「たまには、あいつ抜きで昼ごはんだよなー」
「ああ、あいつね」
 まさか告られるとは思わなかったので、カフェに行くのは後輩からも逃げられるし、なんだか櫂の機嫌もよくなったので蓮音は一石二鳥だなと思った。



 慌しく仕事をこなすとじきに昼休みになり、櫂と蓮音は近場のカフェに行った。
しかしそこは女性客ばかりで社内の休憩室かと思うほどだ。
「場所変える?」
「いいよ、時間がもったいない」
 櫂が先に入り、2人でランチを注文すると「苦情がきたんだ」と蓮音は切り出した。
「営業部から?」
「うん、櫂が断りすぎだって」
「そういうことは部長を通すべきじゃないのか?まったく、営業部は蓮音になんでも任せて」
「まあ、確かにね」
 蓮音はこれ以上言う気はまったくなかった。
ただ伝言をしただけで、まるで子供のおつかいだが立場をわきまえていた。

「その件は部長から聞くよ。あと、俺がいない間になにかあった?」
「いや、別に」
「そう、よかった」
 櫂が楽しげに微笑むので、後輩から告られたことは黙っていようと決めた。
「しかし『俺がいない間に』って、心配しすぎじゃないか?」
「それはだって…」
 櫂は言いかけて口を手で隠した。
「なんだよ?」
「気になるからだよ」
 何故か櫂が照れている。
蓮音はその様子を見ながら昨夜の『俺のものにしたい』とか『付き合おう』の声を思い出した。

「櫂にも可愛いところがあるじゃん」
「なにが?」
 わかっていながら問い返すのはどうかなーと蓮音は吹き出した。
「なにを笑うかな」と櫂は不思議そうだが、相変わらず頬が赤いので蓮音は愛しさが募る。
「櫂。忘れないうちに携帯のアドレス教えてよ。何かあったときにメールができないと困る」
「なにかあった?」
「いちいち聞き返すなよ。ウザイぞ」

6話に続きます




 



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