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2009.05.25 mellow・2
 いくら生意気そうなJKでもチェックのミニスカートを履いていたら可愛く見えるらしい。
そんな中年のおじさんたちが話すようなことをクラスメートは「いひひ」と笑いながら話している。
「なあ、直江。1口乗らないか?」
「まだ寝ぼけているのか?」
 健が目を覚ましたのは授業が終わってからだった。
しっかり約1時間の睡眠をとったわけだが、クラスメートに起こされたので機嫌が悪い。
「なんの話だっけ?」
「聞いていないのか。盗撮に決まっているだろう」
「あ、僕はパス」
「つれないなー」
 クラスメートはそれでも諦めきれずに健の机の周りを囲んでいた。
また誰かに盗撮を依頼するにもお金が必要だからだろう。
1万円なんて高額を、高校生が何枚も持っているはずがなかった。
「見たくないのか?無防備に脱ぐ姿を」
 小声で囁かれてしまい、健はますます気分を害された。
「僕は興味がないしお金もない。他を当たれよ」
 建が「しっしっ」と手を振るので、クラスメートはようやく諦めて教室の隅にたむろした。

 女子の下着姿にそこまで興奮するあたり、奴らは童貞なのかと健は思う。
しかも盗撮に熱意を注ぐなんて、人としてどうなのか。

「健、悪いけど手を貸してくれ」
「ん?」
 健が顔を上げると光が側に来ていた。
「担任が机の移動をするから手伝えって言われているんだ。俺1人じゃ力になれないから」
 意外な誘いに健は「はあ?」と前髪をかきあげた。
理解できず、乗り気のしない仕草だ。
「僕だって力はないよ。…それにしても光」
「ん?」
「担任の手伝いをするなんておかしくない?手伝う前にエアコンの修理だろう」
「でも急いでいるらしいんだ」
「こっちだって急ぎだよ、委員長!」
 健が怒鳴ると教室内がしん・と静かになった。
女子たちが遠巻きに健と光を見て「なに、どうしたの直江ちゃんは」などと話しているのが聞こえる。
 健はおおごとにしたくないので咳払いをした。
「ギブアンドテイクだろう?そうじゃなきゃ手伝わない」
「わかったよ。手伝う条件にエアコンの修理を依頼する」
 光は「じゃあ、行くぞ」と健の腕を引っ張った。
「触るなよ、ただでさえ暑いんだから」
 健は光の腕をはらって椅子から立ち上がると「行きますか」と、光と連れ立って職員室に向かった。


「悪いなあ、ありがとう」
 担任は眼鏡を指で直しながら光と健を出迎えた。
「書類が多すぎてね、1人ではなかなか出来なかったんだ」
 その声を聞きながら、健は『自分で処理ができない書類なんて持っていても意味がない』と心の中で思った。
 どうも最近、健は世の中を舐めてかかっている節があった。
それも睡眠不足のせいだろう、先のように怒鳴るのもうなづける。
 健はため息混じりに机の上に積まれたファイルを箱に入れ、書類はクリップで留め、机の中のものを全部出そうとして、ふと手が止まった。

「なんだ、これ」
 引き出しの奥に1枚の写真があったのだ。
「あれ?」
 よく見れば自分の写真だ、しかも目線が合っていないし、第一こんな写真を撮られた覚えが無い。
これは恐らく隠し撮りだろう。
だがなんのつもりで所持しているのか健には理解ができない。
見なかったことにして箱に入れると、その上に事務用品をぶちまけて蓋をした。

 健と光の活躍のおかげで机の移動はたやすく完了した。
早早に引き上げようとする光を健が呼びとめ、「エアコンの件は?」と聞いた。
「あ、言うのを忘れてた。先生!お願いがあるんですけど」
 
 慌てて担任に駆け寄る光を見ながら、健はため息をついた。
移動したあとでは言い出しにくいし、相手も了解しないだろう。
 しかし健はあることを思い出した。
引き出しの中に入っていた自分の写真だ。
もしかしたらの希望を持ち、健は自ら担任の元に行った。
 すると案の定、光は断られていたが、担任は健の登場に目を奪われてしまう。

「直江、何か用事か?」
 上ずった声に、健は今だとばかりに口を開いた。

「エアコンを直してくださいよ。机の移動を手伝ったじゃないですか」
 健がそう切り出すと担任は何故か慌てて携帯をつかんだ。
そして健と光の前で業者に連絡をし、今日中に修理に来るように手筈を整えた。
 この様子に健は呆れながらも1つ確信を得た。
どうやらこの担任は自分に気があるらしい・と。
しかし健は担任に興味がないし、女子のように担任の気を惹くことはしたくない。
 ましてや大学卒の新人教師だ。
女子には受けるが、男子には舐められるタイプだと健は思う。
「ありがとうございました」
 健が頭を下げると「いやいや」と担任は首を振った。
「これは私の仕事だから」

「ま、そうですけど、なかなか動いてくださらないので困っていましたから」
 健はちくりと刺して職員室を後にした。
すると光が追いかけてくる。

「俺より健のほうが委員長に向いている」
「そんなことはないよ。僕はクラスをまとめられない」
 健は光のことを立てるような位置がいいと思っていた。
副委員長でもなんでもいい、課せられた問題は解決してみせるから、光と距離を感じるのは嫌だと思うのだ。
「これでエアコンが直るよ、よかったじゃない?」
「でも不思議だなー。俺が何度頼んでも無理だって言われたのに」
 光が首をかしげている。
その姿を見上げながら「機嫌がよかったんだよ」と健は言う。
「人のやることだからタイミングをみはからって言えば済むことじゃね?」
「そうだなー」
 同意しながら光が吹き出した。
「どうかした?」
「いや、やっぱり健は凄いなと思って。昔からそうだよ、俺がてこずることをさらりと解決させちゃうんだから」
 そう言われて健は昔を思い出さずにいられない。
幼い頃から健は光のサポートをしてきた。
光は子供の頃から頭がよくて、よく委員長を任されてきた。
しかし人望が厚いわけではない。
クラスをまとめきれずにずるずると日々を過ごす中、痺れを切らした健が皆をまとめるのが常だった。
 それは同じクラスのときだけだ。
しかし他のクラスになっても、健はそれとなく光の評判を気にしたりして落ち着かなかった。
「俺は光に補佐をやってほしいな」
「無理を言うなよ」
 サポートするのはあくまでこっそりと・だ。
面だってしまうと光の立場がないからだ。

「はあ」
 健はため息をついたが光はそれを『まだ眠いのか』と解釈した。
しかし健はこんなに近くにいるのに光に心のうちを話せないのが辛く、ストレスを感じていたのだ。

3話に続きます
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