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2009.05.26 mellow・4
 衣替えが待ちきれない女子が上着を脱ぎ、ブラウスの袖もまくり上げて廊下に並んで涼んでいる。
ブラウスの袖から見える細い手首が目を惹き、しかもチェックのスカートがいつもより大胆にも短くなっている。
この一瞬しか見られないもののように、彼女たちは日影でも存在感を放っていた。
 教室に入らないのは窓辺からの日差しを避けているからだろう、
それにこの光景を見る限りでは教室のエアコンはまだ直っていない。
 健は業者はいつ来るんだと朝から苛立ちを覚えた。
暑いと苛立ちは増すばかりで集中力が欠ける。
またあの無力そうな担任を急かすしかないかとため息をついた。

「おはよー直江ちゃん」
 女子に挨拶されて健も「おはよー」と返した。
「なんか今日はスッキリしているねー」
「そうか?」
「いつもは眠そうなのに、今日は起きている感じ」
「へえ…」
 
 女子は観察力がずば抜けていると健は思った。
たしかにここのところ寝つきが悪く、結果毎朝眠気が抜けずにふらふらと登校していたので、
今日の頭の冴えときたら女子の言うとおりに『起きている』感じなのだ。
 決して昨晩十分に眠れたわけではないのだが、昨日光に『寂しかった』と告ってから少し気が楽になったのだ。
 うっかりキスまでしてしまったが、ノンケで鈍い光がそれを気にしていないだろうと健は思っている。
本音は少しは気にして欲しいのだが、光にそれを期待するのは間違いだと諦めていた。

「ねえねえ直江ちゃん。黙っていないでさ、今度合コンしない?」
「あー。俺はパス」
「なんでー?」
 まだ話したがる女子に手を振って教室に入ると「おはよう、健」と光が歩み寄ってきた。
「おはよー」
 健は普通の態度を装ってカバンを机上に置いて席に座ると、いきなり光が「寂しいってなに?」と直球を投げてきた。
「はあ?」
 教室内には他の男子や廊下から戻ってきた女子もいる。
こんな中でそんな話題を振られたら健は困る。
「なんのこと」
 首をかしげてとぼけようとしたが光は健に目を合わせてくる。
「昨日、そう言ったじゃないか。あれから俺は気にして…」
「…ここでは言うな」
 
 まったく空気すら読めない委員長だと健は光をにらみつけた。
 大体、せっかくの男前なのにホストのような盛った髪をしていること自体が呆れる。
だが、先程の女子のようにシャツの袖をまくっている姿に健はときめいた。
細すぎる体つきからは想像できない、ごつごつとした男らしい指や手首に目を見張ったのだ。
 小学生のころはぷよぷよした子供の体で、健の頭の中ではその姿が今の光に重ならない。
大人に成長しつつある体を目の当たりにして、健は胸の鼓動が高鳴った。

「健、どうして怒るんだよ」
 光はまだ空気を読めないらしい。
「俺は心配しているんだ」
「ありがとう。でも大丈夫だよ、昨日のことは忘れてくれ」
 こう言わないと去らないこともわかっている。
健はわざと笑ってみせ「なんでもないから」とダメ押しをした。
 これで引き下がると思ったのだが、光は「嘘だ」と言う。
「なにかあったら相談してくれって、言っているじゃないか」
「うーん…」
 こんなに粘るとは予想外だった。
「わかった。帰りに話すから、とりあえず席に戻ってくれ」
「うん、帰りだね」
 ようやく光が席に戻ったが、それを眺めていた男子はともかく女子が気になるようで視線を送ってくる。
 いちいち対応できないので健は目を反らし、ため息をつきながらカバンを机の横に掛けた。

 ホームルームで担任がエアコンは今日修理すると言うが、誰もあてにしていなかった。
下敷きやノートを団扇のように仰ぎながら、皆は口をまっすぐに閉じている。
担任は光と同様に皆から信頼を得ていない。
 健は昼休みにでも担任を再度急かそうと決めた。
初夏とはいえ25度を越しており暑くてたまらなく、我慢も限界だった。
いつまでも袖をまくって授業を受けるのは空気が重苦しいし、エロなことばかり考える奴らには女子の姿が格好の餌だとも思うからだ。
他人事ではあるが、いやらしい視線を見ていられないのだ。
「暑苦しい」
 健はぼやきながらノートで扇いだ。


「俺、担任に再確認してくるよ」
 昼休みになり、職員室へ行こうとした健に光が駆け寄ってきて珍しいことを言う。
「エアコンの件、絶対に今日直してもらうんだ」
 光の決意は喜ばしいが、光では無理だと健は思った。
なにしろあの担任は自分の写真を隠し持っていた、それなら自分が確認に行けばことが治まると健は考えている。
「委員長、ここは僕に行かせろ」
 健はそう言って光を教室に残して職員室に向かった。

「直江?」
 健の姿に担任が驚き、持っていたパンを落としそうになった。
しかも座っていた回転椅子を足で回してしまい、なんともおかしな事態だ。
この動揺ぶりからして、健はここに来たのは正解だと確信する。
「先生、本当に今日こそエアコンが直るんですよねー?」
「あ、ああ。間違いない」
「そうかなー?ちゃんと確認してくださいよ?僕たちは今のままでは暑苦しくて授業に集中できないんですから」
 すると担任がすぐに携帯を取り出して業者にかけた。
「今日で間違いないですね?お願いします」
 そのやり取りを見て、これは信じるしかないなと健が思ったとき電話を切った担任が健を見上げながら「一緒にパンを食べないか?」と誘ってきた。
「まだ昼ごはんを食べていないんだろう?よかったら」
 そう言って薦めてきたのはこの界隈でも美味しいと評判のパン屋のものだった。
「お言葉に甘えて、いただきます」
 健は床にしゃがみこみ、サラダが挟んであるロールパンをかじった。
「美味しいか?」
「ええ、美味しいですよ」
 すると担任が健の髪を撫で始めた。
健は正直ぞっとしたが、いいようにさせていた。
それはエアコンの件があるからだ、なんとしても直させないといけないと思う健は自分の言うとおりに再確認した担任にお礼のつもりで触らせていた。
 髪くらいなら安い、そこまで楽観していた。
しかし担任は「柔らかい髪だなー」や「黒髪がよく似合う」などと言い出したので健は間違えたかと思い直した。
「先生、猫でも飼っているんですか?」
「いいや?」
「その割りに、僕を触りすぎですね」
「あ、すまない、ちょっとのつもりが…」
「別に、髪くらいならいいですけど」
 これ以上エスカレートすると困る、その意味をこめたのだが担任は読めなかった。
「直江、変なことを聞いてもいいかな」
「なんですか?」
「好きな人はいる?」
 この問いかけに健は計算間違いをしたと悟った。
そして答えを言えずに押し黙った。
 甘く見すぎていたのだ、相手は大人だ。
「付き合って欲しいんだ」
 担任の小声に健はびくりを体を震わせた。

5話に続きます
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