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2009.06.05 室内の湿度・6
 鏡を見ると鎖骨や胸に赤い跡が容赦なく残されていた。
嫌がる杏樹を麻人はしゃぶりつくすように体中を舐めては吸い、跡を残したのだ。
消えるまで1日もしくは2日はかかるだろう。
 杏樹はシャツを羽織っただけの姿でベッドに横たわり、「はあ」とため息をついた。
まるで肉食獣のような性欲高ぶる麻人に襲われて、心身ともに疲れ果てていたのだ。
 しかし麻人は杏樹の体が目当てだと、これではっきりした。
麻人の言う『好き』は杏樹の体なのだ。
しかも『具合がいい』と連呼されて、ただの玩具扱いを受けた気がする。

「あの馬鹿野郎」
 
 杏樹は悔しくて涙を零す。
その涙が頬を伝い、シャツの襟首を濡らした。
 こんなことで会社を休むなんて甘いかもしれないが、冷静に業務をこなす自信がなかった。
杏樹は枕に突っ伏すと、しゃくりあげて泣き続けた。



 何時間過ぎたのだろう。
杏樹は携帯のバイブ音で目が覚めて、周りをゆっくりと見渡した。
そして起き上がると携帯を開き、それが凱からだと知ると急に想いがこみ上げてきた。
「もしもし」
『杏樹さん、杉本です』
「あ、はい」
『もしかして寝ていましたか?邪魔してすみません。でもあれっ?会社じゃないんですか?』
 凱の声と同時に街の喧騒が聞こえてくる。
「うん、今日はお休みした」
『…体調がよくないんですね?俺、なにか差し入れしましょうか』
 杏樹はこんなに優しい声をかけてもらったことはなかった。
凱の優しさに杏樹はすがりつきたい気持ちをこらえて「気持ちだけで十分だよ」と言うのが精一杯だ。
『拒まないでください。俺に甘えていいんですよ』
 意外な言葉に杏樹は驚いた。
「甘えるって…」
『他の連中になら、自分のことくらい自分でやれって言うんですけど、あなたは違う。別格なんです。
杏樹さんさえよければ、俺行きますよ?』

 杏樹は凱に会いたい気持ちが溢れてきた。
『甘えていいんですよ』の響きが脳内で反芻する。
 しかしこの姿を見せるわけにはいかない、杏樹は電話で十分だと自分に言い聞かせた。
携帯を持つ指は震え、つま先が冷たく感じられる。
泣きそうになる感情をこらえて、杏樹は声を出せなかった。

『杏樹さん?』
「…ごめん、来なくていいよ。僕は大丈夫だから」
 本当はすがりつきたい。
思い切り凱に甘えてみたいと杏樹は胸を抑えた。
年下の子なのだが言葉から包容力すら感じるのだ。
 だが一時の迷いではないかと杏樹は自分を疑う。
辛いことがあったからと言って、どうして凱にしがみつくことができるだろう。

『俺は会いたいです』
 凱の声に杏樹は心を揺らされた。
『大学の講義が終ったので、バイトに行くまでの時間をあなたと過ごしてはダメですか?』
「ごめん。…僕は今、人に会わせる顔をしていないんだ」
 泣きはらした瞼や赤い跡を見せるわけにはいかない。
『なにかあったんですか』
「いや、僕の不注意…みたいなもので」
 すると凱が押し黙った。
これで話を終えようとする杏樹に『俺、行きます。住所を教えてください!』と凱は切り出した。
『コンビニまでは来れませんよね、お願いです、教えてください』
 杏樹はこみ上げる感情を抑えながら「会わせる顔じゃないんだって」とか細い声を出した。

『俺は一目でもいいから会いたいんです!』

 凱の気持ちに押されて、杏樹は部屋の住所を告げた。
そして携帯を切るとシャツを羽織ながらバスルームに向かうが、
そこで脱ぎ捨てられた麻人の下着を見つけてしまい、先の行為を思い出して鳥肌が立った。
愛情のないセックスはただの欲望の捌け口だ。
「2度とさせるもんか」
 杏樹は麻人の下着をゴミバコに捨てた。
そしてバスルームの扉を開けて、バスタブに湯を張り始めた。
 次第に湯煙が立つバスタブを見ながら、自分の非力さを痛感して頭を抱えた。
こんな自分でも凱は想ってくれるだろうかと自らを卑下すると、もう立ち上がれない気さえした。

7話に続きます
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