FC2ブログ
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
「杏樹さんの期待に応えますよ。俺、夜型生活ですから」
 食べ損ねたハーゲンダッツを食べていた杏樹はその一言にむせた。
「け、けほっ」
「あれ、大丈夫ですか?」
「凱がおかしなことを言うから…」
 杏樹はウーロン茶を飲みながら息苦しくて涙目だ。
「僕はそんなにガツガツしていないよ。さっき抱いてもらったから十分」
「セックスのことだけじゃないですよ、お風呂も入らないと」
 目の前でにこにこしている凱に、杏樹はスプーンに取ったアイスを向けた。
「頭、冷やしたほうがいいんじゃない?」
「俺は冷静ですよ」
 凱はそう言うとアイスを舐めた。
バニラで濡れた舌が杏樹には艶めいて見えた。
まるで誘うような気さえする。

「俺、杏樹さんのことをもっと知りたいんです。どんな服が好きなのか・とか」
「ふーん」
 杏樹は平静を装いながら、鼓動が高まるのを感じた。
自分のことを知りたいなんて、早々言われることではない。
 椅子に座りながら足も乗せて両手で組むと、自分を見ている凱に首をかしげて見せた。
「照れるね、なんか」
「そうですか?」
 凱は楽しそうに笑顔を見せている。
「どうしてそんなに笑っていられるの?」
「だって、こうしてずっと一緒にいられるのが嬉しいんですよ」
 凱はテーブルに肘をついて杏樹と同じ方向に首をかしげた。
「なんだよ」
「可愛いなあと思って」
 凱が惜しげもなく誉めるので、杏樹は目のやり場に困ってしまう。

「覚えています?出会ったときのこと」
「忘れないよ。僕は裸だったからね」
 万引きを疑われてコンビニの店長の前で全裸になったのは苦い思い出だ。
しかも襲われかけたのを助けたのが、この凱だ。
「強烈なインパクトでしたけど、まさかあなたに惚れるとは思いませんでした」
「惚れたって、いつから?」
「あなたを守ろうと思ったときからです」
 それでは警察が来たときのことになる。

「僕よりも早いじゃないか」
「そうなんですか?」
 凱は「あはは」と笑い「言っておきますけど裸に惚れたわけじゃないですよ。同じ体なんだし」と言う。
「じゃあ、なんで?」

「1人にしておけない人だと思ったんです。そう思わされたのはあなたが初めてなんです」

 凱が真面目な顔をして告白するので、杏樹はどう答えようかと迷った。
放っておけない感じがすると言われたようで、自分には隙があるのかと思ったのだ。
 だからこそ麻人につけ込まれたのだとしたら納得がいく。
しかし男として、それはどうなのか。
「そんな困った顔をしないでください。俺、迷惑ですか?」
「迷惑じゃないよ。好きなんだから」
「ふふ、なんか嬉しいな」
 凱は前のめりになって「杏樹さん」と呼んだ。
「なに?」
「俺、同性に惚れたのは初めてなんです。だから新鮮な感じがして一時も離れたくないって思うんです」

「…どうしよう。そんなに愛されても僕はちゃんと返せるのかな」
「返すって?」
「同じくらいの愛情を凱に渡せるのかなって」
 杏樹は言いながら照れてしまい、うつむいた。

「ちゃーんと気持ちはいただいています」
 凱はそうつぶやくと椅子から立ち上がった。
「杏樹さん、お風呂に入りましょう?」
「一緒に?」
「はい」
 凱は杏樹の手を取り「甘えん坊さん、抱っこしましょうか」と軽々と杏樹を抱き上げた。
「い、いつも思うけど、重くない?」
「重くないですよ。あなたは細すぎて肘が当たると痛いくらいです」
 
 バスルームまで運ばれた杏樹はためらわずに服を脱いだ。
しゃがみこんでバスタブにお湯を入れ始め、その縁に腕を乗せてぼんやりしていると足音がする。
振り返ると服を脱ぎながら凱が歩み寄ってきていた。
「先にシャワーで洗いましょう」
 凱がシャワー用のコックをひねり、バスルームに蒸気が上がる。
「今日も俺が体を洗っていいんですか?」
「…うん、いいよ」
 そうして欲しいと思っていた杏樹は嬉しさを隠し切れずに笑みを浮かべた。
「やっぱり甘えん坊だ。でも俺はそういう人、好きですけどね」
 凱はスポンジにボディソープを泡立たせて「ふっ」と泡を飛ばした。
シャボン玉のようなそれはすぐに割れて消えたが、杏樹は子供のようにそれを目で追っていた。
「泡だらけにしましょうか」
「悪くないね」
 杏樹は丸椅子に座ると「じゃあ、お願いします」と凱を見たがお互い全裸だ。
思わず凱の股間を見てしまった杏樹はその長さに生唾を飲み、慌てて視線をそらした。

「杏樹さーん?」
「なんでもない」
 顔を赤くしながら杏樹は凱に体を洗ってもらい、バスタブに体を沈めた。
そして凱が自分で体を洗っているのを間近で見ながら興奮しそうな自分を抑えた。

15話に続きます
スポンサーサイト
[PR]

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。