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「杏樹さんのスーツ姿って、独特の色気がありますねー」
「ふざけるなよ」
 杏樹が洗面所の鏡の前で出勤の準備をしていると、凱がコップを片手に歩み寄ってきた。
「元々ある艶を、スーツで隠しているみたいで」
 そう言いながら凱は杏樹の髪に触れる。
「柔らかい髪。素顔は甘えん坊だし、凄くそそられます」
 
 2人が映る鏡を見ると、杏樹の理性が飛びそうだ。
凱の指先が離れたがらずに髪を指に巻きつけている。
そんなことをされたら触れて欲しくなってしまう。
「…こら。朝から口説くなよ」
「ふふ、冗談ですよー」
 凱は案外素直に指を離して「あはは」とくだけて笑って見せた。
杏樹はこういうときは凱は年下だとうなづけるのだが、セックスのときは違うと思う。
ありったけの愛情を注ぎ込むような濃密さを杏樹は感じていたからだ。
 自分を追い込む激しさと、自分の心を解放してくれるセックスだ。
そのおかげなのか、今朝の杏樹の肌は調子が良さそうだ。

「ところでまだ7時半ですよ?もう、出勤なんですか?」
「まだ30分あるけど」
 杏樹が腕時計を見ながら答えると凱が背中に抱きついてきた。
「わ、びっくりさせないでよ!」
「杏樹さん」
 凱は膝を折り、杏樹を見返りさせて唇を重ねた。
「すみません。離れるのが凄く辛いんです」
「でも僕は会社に行かないと」
「わかっています。だから…今日も少しだけ会えませんか?」
「凱の夜勤前に?別にいいけど」
 突っ張ってみせる杏樹だが、内心は落ち着かない。
好きな人と少しでも時間を共有できることは至福なのだから。


 杏樹は部屋の前で凱と別れて出勤した。
合鍵を渡そうとしたのだが、凱は「あなたをここで待っているのも好きなんです」と断った。
「お互いがルーズにならないように、俺なりに理性で線を引いているんですよ」などと、
大人っぽい言い方をしたのだ。
「わかった」
 杏樹は凱のその言い方が気に入った。
思い出すだけで顔がにやけてしまいそうで、杏樹は咳払いをして会社に入った。


「明日は雨だってさ。梅雨って、やだねー」
 なんと杏樹の部署に麻人が入り込んでいた。
「おまえ、癖毛があるだろう?気をつけろよ」
「僕のことに構わないでほしいな」
 杏樹は麻人を片手で「どけ」とばかりに追い返すと椅子に腰掛けた。
「なあ、杏樹。俺くらいおまえのことを想っている奴はいないよ?」
「なんだよ。セックスだけしか考えられない奴に言われたくないね」
「酷い言い方」
 麻人は吹き出すと近くの椅子に勝手に座って足を組んだ。
「部長が来るから出て行けよ」
「杏樹、いいことがあった?」
「うるさいな」
「なんか、今日の肌艶がいい」
「…なんでもいいだろう、早く出て行け」
 杏樹が口を尖らせて怒るので、麻人は「やれやれ」と両手を振った。

「あのさ。今日からクリスマスの包装資材の提案をするんだ。また午後から忙しくなるよ?」
「早いなー。相変わらず」
 取引先に季節やクリスマスなどの行事ものの包装資材を提案するのは営業の仕事だ。
花柄などの定番ではない包装紙はいつも早めに提案し、注文数をまとめると、
業務用の包装紙を扱う業者から注文数を買い取らなければならないのだ。
「で、杏樹のクリスマスの都合は?」
「なんでそんなことを聞くんだよ。関係ないだろう」
「いつもより語気が荒いなー。本当に俺を捨てる気?」
 麻人は杏樹のデスクに両手を乗せて前のめりになった。
「近い!」
 杏樹が体を反らすがそれでも麻人は近寄ろうとする。
「俺、杏樹にしか勃起しなくなったんだぞ。どうしてくれるんだ」
「そんなこと、知るか!」
 もはや麻人は変態としか思えない。
セックスだけが目的の男とは、こんなに露骨な性格なのだろうか。

「おいこら。バルサンでも焚くぞ」
 部長の声に慌てて麻人は立ち上がり「失礼しました」と出て行った。
「おはようございます、部長」
 杏樹が立ち上がって頭を下げると「おはよう。朝から大変だなー」と部長が苦笑いをする。
「うちの会社の女性陣は皆気が強いから、大島くんは太刀打ち出来ないんだろう」
「はあ、そうですね」
 結託した女性陣ほど怖いものは無い。
「だからと言って福永くんに誘いをかけるのはどうかと思うが」
「はい」
 部長はため息をついて煙草をくわえた。
「きみはこの部署の大事な戦力だ。あんな奴に振り回されるなよ」
「はい、もちろんです」
 杏樹は昨日の時点で麻人とは離れた気でいたのだが、彼はなかなかしつこい。
しかし逃げなければならない。
自分を大事に想ってくれる凱のためでもあるのだ。

 お昼を過ぎ、杏樹は気を引き締めてパソコンを操作していた。
麻人が言ったとおりに各営業マンから登録申請書を渡され、データ入力に追われた。
しかし苦しいとは思えない。
この仕事が終われば凱に会えるからだ。
「楽しく仕事をするとは、慣れてきたんだな。いい傾向だ」
 部長も眼鏡をかけてパソコンに向き合いながら杏樹を誉めた。
「辛いと思ったら先に進めないからな」
「はい、おっしゃるとおりで」
 相槌を打ちながら、杏樹は処理のスピードを速めた。
自分でもこんなに早く打てるようになったのかと驚くばかりだ。
しかし冷静を装い、定時であがるために全力を尽くした。
 凱に早く会いたいのだ。
会える時間は限られている、なんとしてもと焦りながら杏樹はパソコンの前から離れなかった。
 こんなに誰かを想うのは初めてかもしれない。
杏樹はこの気持ちを大事にしようと、心密かに決意した。

17話に続きます 
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