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 凱が恋しくて眠れず、睡眠不足の体に梅雨入りした独特の風がだるさを倍増させる。
スーツにまとわりつくようなこの湿気にもうんざりだ。
杏樹は出勤してからため息を何度ついたことだろう、朝から覇気のない様子を麻人が見つけた。

「やる気あるの?」
 杏樹は麻人の上からものを言う態度が憎らしい。
「今日1日頑張れば、明日は休みじゃないか。ちゃんと仕事をしろよ」
「言われなくても」
 杏樹がにらむと麻人は笑う。
「なにがおかしいんだ」
「いや、杏樹はすぐにむきになるなあと思ってさ。こんなことを知っているのも俺だけ」
「…なにが言いたい?」
「言っていいの?」
 なにやら含みのある言い方だ。
杏樹はその態度にさえ苛立ちを覚えたが「言えば?」とぼやいた。
自分にはなんの落ち度もないと思うからだ。
仕事は毎日こなしているし、ミスもないと自負している。

「杏樹の部屋から男が出てきたのを見ちゃった」
「…はあ?」

 杏樹はこの麻人が自分の部屋を知っていたことを忘れていた。
こそこそと見に来ていたのも許せないし、プライベートをとやかく言われる筋合いはない。

「あんなちゃらそうな男がいいわけ?」
「僕の勝手だ。関わるな」
「まさか…もうセックスをしているとか?」
「関わるなって言っているだろう!」
 杏樹が拳で机を叩くとようやく麻人は口を閉じた。
「朝から嫌な気分にさせるな。自分こそ部署に戻って仕事をしろ」
 麻人は勝てないと踏んだのか、素直に出て行った。
「はあ」
 杏樹はまたため息をついてコーヒーを1口飲んだ。
仕事でストレスを感じるのはまだしも、麻人のせいで心労を重ねるのは困ると思う。
隙を伺うようなあの態度、まるでハイエナだ。
自分がしっかりとしていないと、取って食われそうな気がするのだ。
 杏樹は麻人に早く相手ができることを願った。
それ以外に逃げ切る道がないとさえ思ったからだ。
幸いにも麻人は男前なので、彼がその気になればすぐに相手はできるだろう。
早くそんな日が来ないか、杏樹はパソコンを開きながらぼんやりとしてしまった。

 そんなときに杏樹の携帯が鳴った。
見ると凱からで『お仕事頑張ってください。おやすみなさい』とある。
 夜勤のために今から寝るのだろう、杏樹はその文字を見ただけで安堵した。
守られているような気さえしたのだ。

 おかげで午後からの仕事は身が入った。
入力をこなしては<済み>の印を打つ杏樹を見て、部長も負けじと入力を進める。
「よくもまあ、毎日新しい商品があるものだな。来月の棚卸しで誤差がなければいいが」
 この会社では2ヶ月に1度、倉庫の棚卸しがある。
これはパソコン上の在庫数と倉庫内の実在庫を照らし合わせる作業なのだが、
最近新商品の登録が多すぎて、この作業の難関さを知らしめている。

「長時間の作業になりそうだ。今から憂鬱すぎる」
 部長はそう言って嘆くが、杏樹も7月の倉庫の暑さを1度体感している。
空調のきかない倉庫は息苦しいサウナだ。
「廃番になった商品を確認してデータから消しておこう。それだけでも当日の作業が減る」
「そうですね」
 杏樹は明日から計画して行おうと決めた。
とにかく今日も定時であがること、それしか頭にはなかった。
 できれば明日の土曜日か日曜日に凱と街に出かけたい。
しかしローテーションが合えばいいのだが、などと考えつつも指はミスタッチもなしに動いている。
杏樹は最後の1枚を入力し終えて印を打った。




 杏樹は定時であがり、部屋まで急ぎ足で帰るとドアの前で今日も凱が待っていてくれた。
「お疲れ様です」
 笑顔で迎えてくれる凱に、今日の疲れが吹き飛ぶ。
杏樹は嬉しくてたまらず、ドアを開けると凱を先に部屋に入れた。
「お邪魔します」
 そして自分も玄関に入り、ドアを閉めようとしたらガツンと音がした。
見ると靴が片方入り込んでいる。
その先の尖った靴に杏樹は見覚えがあった、間違いないと思いながら顔を上げると果たして麻人がいた。
「俺も入れてよ、杏樹ー」
 杏樹はなにも言わずに靴を踏みつけた。
「いてえ!」
 思わずひっこめた麻人を見て杏樹はドアを閉めて鍵もかけた。

「どうしたんですか」
 凱が驚いて目を丸くしている。
「大丈夫ですか、杏樹さん?誰か…知り合い、ですか?」
 杏樹は知らぬうちに肩で息をしていたのだ。
それほど麻人の執着ぶりが恐ろしく、また苛立ちも感じた。
「あんな奴は気にしないで。凱、おなかがすいたよ」
 杏樹は冷静さを取り戻したかのように振舞うが、声が震えてしまった。

「もしかして、あなたを辱めた奴なんですか?」
 凱は杏樹が体中に赤い跡をつけられていた日を忘れていなかった。
「辱めたなんて…店長じゃあるまいし。ねえ、凱、おなかが…」
「なら、元彼なんですか…?」
「そんなものじゃなくて、あのさ…」
 杏樹の返事を待たずに凱はドアを開けようとする。
「待って!なにをするつもりなんだ!」
「2度と来ないように話をつけます」
「…凱が言って、言うことを聞くような奴じゃないんだよ!」
 叫ぶ杏樹に凱は振り向いて口角を上げた。

「あなたを守るって、言ったでしょう」

 そして凱はドアを開けて通路に立って煙草をふかしていた麻人と対峙した。
「なんだよ?おまえには用事がない。杏樹を出せよ」
 麻人は凱をにらみながら白煙を吹き出した。
「すごんでも無駄です。2度とここに来ないでください」
「偉そうな言い方をするじゃないか」
 癪に障ったらしい麻人は煙草を通路に捨てると靴で揉み消した。
「おまえが杏樹の彼氏ってわけ?こんなちゃらい男のどこが…」

「うるさい!」

 杏樹は部屋から飛び出して麻人の頬を叩いた。
「麻人には関係ないと言っただろう!しつこくここに来るな、僕は相手にしない」
「あーき。隙だらけなんだよ」
 麻人は杏樹を抱き寄せると尻を揉んだ。
「わっ!」
「いいものだろう?俺の指から逃げられないくせに」
 そして麻人は挑発的に凱を見て笑う。
「こいつは俺とのセックスに溺れているんだよ。ここから立ち去るのはおまえだよ、学生さん?」
 麻人は楽しそうに杏樹の上着をまくり上げて腰の隙間から手を入れた。
「やだっ!触るな!」
「こういうシチュエーションが好きなんだよな?誰かに見られそうな場所でセックスするのが」
 杏樹は身をよじって逃れようとするが麻人の腕の力が半端では無い。
それに悔しいことに腰を撫でられて感じてしまった。

「杏樹さん、顔を伏せて」

 凱の声がしたかと思うと、ガツンと鈍い音がした。
見上げると麻人の頬が赤く腫れている。
「俺は杏樹さんをいいようにしない。こんな恥かしい真似をさせるなんて許せない」
「いてえな!このガキ!」
 麻人は凱に殴りかかろうとして杏樹を手放した。
それを見て凱は麻人から身をかわすと杏樹の腕を取り、部屋に押し込んだ。
「守るって、言うこと?」
 麻人はかわされて不満そうだ。
「杏樹さんを玩具扱いして楽しいんですか?」
「聞いているのは俺だ!」
 忌々しげに麻人が通路を蹴り靴を鳴らした。
「怒鳴ったら言うことを聞くと思うんですか。甘いな」
「…このガキ」


 ドアの向こうから麻人の怒鳴り声と、凱の落ち着いた声が聞こえてくる。
杏樹はタイミングを見計らって飛び出して、麻人をまた殴ろうと決めた。
しかし「帰ってください」と、凱の声がした。
「殴りあうのも悪くはないんですが、大人でしょう?振られたなら引くのが賢明です」
 凱は麻人や杏樹よりも大人びていたのだ。
「あまりしつこいとストーカー被害届を警察に出しますよ」
「…ちっ」
 ゴツゴツと憤慨して歩き去る靴音が聞こえた。

19話に続きます
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