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2009.06.24 視界良好・4
 涼真は迫られるならブラジャーとパンツ姿の美乳なお姉さんがよかったとつくづく思う。
もしくは会社の制服姿だ、まるでコスプレだが涼真は年上の女性に惹かれるタイプらしい。
 しかし引っ越してきて初めて見たのが唯斗の生着替えとは、この先の人生が思いやられる。

「はー」
 
 暇つぶしに見ていた動画サイトを再びクリックして、画像を眺めた。
それが動物であろうと、セックスして喘いでいる女性だろうと、なぜか涼真は気が向かない。
唯斗との会話が涼真に疲労を感じさせているのだ。
ぼんやりと見ているとおなかが鳴った。
「あ、おなかが空いていたんだった…」
 つぶやいても1人・である。
自分で行動しないとご飯を食べられない。
 涼真は引越し前は自炊する気でいたが、1人分ならコンビニの弁当を買ったほうが安いと知った。
500円あれば弁当が買える時代だ。
しかし自炊ならそうはいかない、しかも野菜などは使い切れないだろう。
トータルで考えるとコンビニの弁当で十分だと涼真は思い、弁当を買いに外に出た。

 まだ歩き慣れない道である。
街灯が照らす道を歩きながら近くにコンビニがないかとキョロキョロしていると、
数メートル先の信号を渡ったところに一軒あり、その斜め向かいにもある。
 これはラッキーだ、涼真はさっそく信号を渡るとコンビニに入った。
「いらっしゃいませ」
 レジを見ると可愛らしい女性店員が立っている。
涼真は『これからもここに通うぞ』と心に決めて弁当を物色し始めた。
引っ越したからソバでもいいが、ご飯が無性にたべたくなり唐揚弁当を手にした。
そして食べ損ねたシュークリームも取り、レジに向かおうとしたら弁当の上に野菜ジュースが乗せられた。
「はっ?」
 思わず隣を見ると、なんと唯斗が立っていた。
しかも「野菜も取らないと肌が荒れるよー?」などと言う。
「ひっ!追いかけてきたんですか?」
「まさか。そんな面倒くさいことを俺がすると思う?単純に腹が減ったんだよ」
「…あなたのことなんて、これっぽっちもわかりません」
 涼真は野菜ジュースを棚に戻すと、ため息まじりでレジに向かう。
可愛い女性店員にレジをしてもらい、なんだか得をした気分でいたら背後に気配を感じる。
見返ると隣のレジで唯斗が煙草を買っていた。

(煙草を吸うのかー)

 まるで新発見をしたかのように涼真は胸がときめいた。
涼真の脳内では何も知らない子供のように、煙草を吸う大人はかっこいいのである。
唯斗をまじまじと見ていると、突然見返されて涼真は戸惑った。
そしてコンビニの袋を持つと逃げるようにコンビニを後にした。

 ベランダのカーテンを閉めて1人で弁当を食べていると寂しさを感じる。
昨日までは家族と一緒に食べていたせいだろう、
しかしこの寂しさに耐えなければ1人暮らしは成り立たない。
「はー」
 なんだか食欲も落ちて弁当を半分残してしまい、涼真は床に転がった。
ひんやりとした感触が心地いい。
しかしもっと涼しくなる方法を涼真は知っている。
ベランダを開ければいいのだ、しかし唯斗に気付かれないだろうか。
『俺たち、付き合おうか』
 あのからかいぶりが目に浮かぶ。
だが涼しさには変えられない、涼真はカーテンをつかむと思い切って窓を開けた。
「あれっ」
 唯斗の部屋は明かりが消してあった。
肩透かしをくらった気分だが、これで堂々と風を受けることができる。
涼真はベランダに立つと、ようやく深呼吸をし、これから頑張るぞと誓いを新たにした。




 翌朝涼真が大学に行くと、友人の里田が「1人暮らしはどう?」と聞いてきた。
「楽・と言うか、自分で全部やらないといけないから大変な気がする」
「あれー。涼真が自分で決めたことだろう?頑張れよ」
「そうだな」
 涼真は里田と並んで歩きながら談笑した。
「隣の部屋に綺麗なお姉さんが住んでいない?そういうこと期待するんだけど」
「里田が想像しているようなことは無さそうだよ。かえって向かいのマンションに…」
 涼真は唯斗のことを言いかけて口を閉じた。
「向かいのマンションに・なんだよ?」
「なんでもない、忘れてくれ」
 
 自分でも忘れたい事柄だ。
しかしそんな涼真の前に立ちふさがり「おはよー」と声をかける男がいた。
その男のスーツ姿に魅せられて誰なのかピンとこなかったが、笑顔を見て動悸が激しくなった。
「はあっ!どうしてここにいるんですか!マジでストーカーですか!」
「失礼だなー。俺はこの大学に事務用品を届けているんだよ。もちろん、仕事でね」
 スーツ姿の似合う男は唯斗だった。
そして唯斗は「ほら」と名刺を渡してきた。
そこには営業部と記されている。
「ストーカーならおまえのほうじゃないの。俺が行く先々にいるし」
「ありえません!…だけど本当にサラリーマンだったんだ…」
 涼真が驚いていると里田が「知り合い?」と聞く。
「あ、うん。向かいのマンションの…榎木唯斗さん、昨日知り合ったんだ」
「へえ?向かいの?あ、涼真の友人の里田です」
 里田が軽く頭を下げると唯斗は「かしこまらなくていいよ、俺はただの営業マンだし」と言う。
「だけど、そのうちこの涼真と付き合う予定」

「はあっ?!」

 里田が目を丸くして「涼真?」と肩を揺さ振るが、涼真は顔を赤くして口をぱくぱくとさせるだけだ。
「し、信じられない!こんなところまで来てからかうなんて!」
「だからー営業で来たの。からかっていないよ、ふざけているだけ」
 唯斗はまた大笑いをして「おなかが苦しい」とさえ言う。
「こんなに面白い奴は初めてだ、あーおかしい。からかうのが癖になりそう」
「癖にしないでください!行こう、里田!」
 涼真は里田の手首をつかんで猛然と駆け出した。
「いいのかよ?お向かいさんだろう」
「いいんだって!あの人は僕をからかうのが好きなんだ、ちくしょう、構われたくないのに」
 涼真は唯斗にからかわれたくないのだ。
目が合うと何故か鼓動が激しくなるし、顔どころか体も熱くなる。
それがどうしてこうなるのか、涼真は考えようとしなかった。
「いつもすぐ近くにいるし。もう、嫌だー!」
「はあ?涼真、大丈夫かー?」
 里田の声が届かない涼真は、ただ走り続けた。

5話に続きます
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