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2009.06.26 視界良好・6
「おー。よしよし、昨日よりも早く来れたなー」
 全力で走ってきた涼真は体を折って膝に手を当て、苦しそうに呼吸をしていた。
そんな涼真にタンクトップ姿の唯斗が頭を撫でてやっている。
「忠実な子だなー」
「…僕は、犬や猫じゃないんですけど」
「走って来いとは言わなかったのに全力疾走?そんなに俺の生着替えが見たかった?」
「違います!」
「ここまで来たら否定しなくていいんじゃない?」
 唯斗の言葉に涼真は肩が震えてしまう。
悔しいことに、言当てられた気がするのだ。
自分の気持ちに向き合わない涼真だが本能で全力疾走し、こうして唯斗に会いに来たのだから、
自覚を促す言葉に胸が苦しくなる。

「僕は…」
「ん?」
 唯斗が片膝をついて涼真の顔をのぞきこむ。
「顔、赤いよ?」
「近いし!見ないでくださいよ!」
「こんなところで悩んでいないでさ、ま・あがれよ」
「…お邪魔します」
 涼真が部屋にあがると、唯斗は冷蔵庫からエビアンを出して「飲んだほうがいいよー」と渡した。
「梅雨どきにそんなに汗をかいてさ、脱水状態になったら困るでしょ」
「はあ、いただきます」
 涼真が素直に受け取ると、唯斗はタオルも貸してくれた。
ふかふかのそれは石鹸の香りがして、とても1人暮らしの男が所持しているものとは思えない。
やはり洗濯をしてくれる彼女がいるのだろう、涼真は汗を拭きながら思いつめた表情をする。
見知らぬ誰かに嫉妬している自分にまだ気付かない。

「なにを考えているの?悩みごと?」
 急に唯斗に声をかけられて、涼真は慌てた。
しかも顔を上げたら唯斗の顔が近くにあって「近い・近い!」と連呼した。
「面白いなあ。表情がすぐに変わるから見ていて飽きないなー」
「酷い言い方です」
「そう?俺は誉めているんだけどね」
 唯斗は涼真の側から離れようとしない。
なにを企んでいるのか、涼真には見当がつかない。
 
 ただ、涼真は唯斗の肩に注目してしまう。
蝶々の刺青だ。
唯斗が動くたびにそれは揺れ、まるで羽ばたくかのように見えるのだ。
 すると唯斗が1歩近づき膝を折ると「何を見たいのかなー?」と挑発してくる。

「体に触りたい?」
 不意に唯斗が涼真に直球を投げた。
「は、はあ?」
 涼真は持っていたエビアンを思わず強く握り締めた。
柔らかいペットボトルがクシャッと音を立てて変形する。
「見ているだけじゃ満たされないんだろう?」
 この挑発的な言い方で、涼真はそそのかされたように顔を赤く染めた。
そんなはずは無い・またからかわれているんだと思いたくても、体が熱くなるばかりだ。
「ちがい…」
 首を振って否定するはずが声がかすれて言葉にならない。
「違うかなー?」
 追い込まれて涼真は口をつぐむと首を振った。
「ま、いいや。俺だってタダでは触らせないからねー」
「は!お金を取るんですか!そういう商売もしているんですか?」
 すると唯斗が吹き出して「この子、俺をなんだと思っているんだろう?」と大笑いをする。
「はー。面白い。駅前の立ちんぼじゃあるまいし、体を売っていないよ」
 唯斗は目に涙を浮かべて笑っている。
「あ、立ちんぼってわかる?売春している人のこと」
「わかりますよ。それよりも、じゃあ、なんで『タダでは触らせない』って言うんですか」
 すると唯斗が珍しく真面目な表情を見せた。
いつも笑うかふざけている男のこんな姿に、涼真はときめいてしまう。

「付き合っている相手にしか触らせない。当然でしょう、俺は安くないよ」

 涼真は胸の鼓動が早まるのを感じた。
ただでさえ男前の唯斗の真面目な表情と、そしてこの心意気に魅せられて、
すっかり心を奪われてしまったのだ。
 自分にはないプライドの高さと自由奔放そうな言動もうらやましくなる。

(僕は、この人が好きなのかもしれない)
 
 ようやく涼真は自分の異変に気がついた。
だが、自覚したからと言ってすぐに行動できる性格ではない。
好きだと告るべきなのか、それともこれは胸のうちに秘めて棺おけまで持っていくべきなのか。

「さー。キッチンは釜茹で状態になるぞ。リビングに行ってろよ」
「えっ。えー?」
「何を驚いているの。晩御飯はパスタでもいいだろう?なんか文句ある?」
「作れるんですか!」
 涼真は唯斗のことを1つ知れた喜びに胸をときめかせた。
「凄い」
「茹でるだけじゃん」
 まさにいい加減な男である。
しかし涼真はどうしてこの人は爽やかなんだろうと、恋に落ちたと気付いてから唯斗を見つめてしまう。
 やがてぐらぐらと煮え立つ鍋から熱気がむんむんとしてくるのだが、涼真は動こうとしない。
唯斗を見ていたい、そんな気持ちに駆り立てられているのだ。
 その視線に気付いた唯斗が「目が泳いでいる」と指摘した。
「そんなに腹が減ったの?」
「え」
「俺を見ていてもここでサウナ状態になるだけだよー。さ、行った行った」
 涼真は複雑な想いを抱えながら、唯斗に言われるままリビングで待機することにした。
キッチンに立つ唯斗の背中を見ながら、涼真はこの想いをどうしたものかと悩んでしまった。

7話に続きます
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