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2009.07.07 視界良好・14
 唯斗のスーツ姿に欲情してしまった涼真は、もはや眠れない。
私服のタンクトップ姿とはギャップが激しいのだが、どちらもよく似合うし色気さえ感じてしまう。
 睡眠欲に打ち勝った涼真は、もう我慢ができなかった。
突然立ち上がると里田に「ごめん、ノートお願いする」と言い残して講義室を出てしまった。

 目指すは事務所、そこに唯斗がいるはずだからだ。
階段を駆け下りて事務所までダッシュした涼真は、事務所に唯斗がいないのを見て力が抜ける。
「どこに行ったんだろう」
 辺りを見回し、ふと玄関から外を見ると1台の車がエンジンをかけている。
これは!と直感した涼真は駆け出して、その車の前に行った。
果たしてそこには唯斗がいた。
「あれー?」
 唯斗は涼真を見て驚きもせずに窓を開けた。

「どーかした?そんなに慌てちゃって」
 いつ見ても涼しげな表情である。
余裕すら感じる空気に、涼真は声を詰まらせる。
「きょ・今日は納品じゃなかったんですか」
「涼真の顔を見に来ただけ。今朝方何も言わずに出て行くからさ、少し気になって」
 唯斗はそう言いながら「ふふ」と吹き出した。
「真っ赤になっちゃって。俺に会いたくてたまんないって顔をしてるよ?わかりやすいなー」
「…そんなつもりは!」
「じゃあ、どうして追いかけてきたのかな?」
「それは」
「うつむくなよ。抱きたくなるでしょう」
 唯斗はハンドルに両手を預けて「わかる?男はわがままな生き物なんだよ。あ、涼真もか」と言う。
「押さえがきかない。だから今は離れていたほうが懸命」
 涼真は胸がチクリと痛くなる。
こうして追いかけてきたのは何かを期待したからだ。
しかし涼真は自分のことだけしか考えておらず、唯斗の立場を忘れていた。
「俺、会社に戻るから」
 離れるように促す唯斗に「今日も会えますか?」とだけ涼真は聞いた。
「昨日みたいに残業がなければ・ね」
「営業マンでも残業があったりするんですか」
「定時を過ぎていても、顧客から急用の連絡が入ったりしたら行くでしょう?普通は」
 涼真は学生なので会社の仕組みがわからない。
首をかしげて「そうなんですか」と答えるのがせいぜいだった。

「定時で帰れたら、またおいで」

「あ、はい」

「素直だなー。そうやって知らない人についていくんじゃないよ?」
「ついていきません!」
 唯斗は「あはは」と笑いながら手を振るので、涼真は焦った。
「あ、あの。唯斗さん!」
「言うことを聞きな。学生は勉強が第一だよ」
 そう言い残して唯斗は車を動かした。
ぐんぐんと遠くなる車を見送りながら、涼真はうずく体を持て余しそうだった。
 しかし初夏の日差しは厳しい。
こうして立っているだけで汗がにじみ、気力は萎えていく。
「これじゃ発情期みたいだ」
 涼真は自分の愚かさを知り、深呼吸をして講義室へ戻った。



「涼真、なにか悩み事なのか?」
 里田が心配するほど涼真は見るからに憔悴していた。
様子のおかしい涼真に、里田はノートのコピーを渡しながら「今日は帰ったら?」と帰宅を勧めた。
「今・帰ってもなあ…」
 口から出るのはため息ばかりである。
 いつもならセックスをしたからと言って相手を意識したり、側にいたいなどと思う事はなかった。
涼真は相手に対して冷めたところがあると自覚していた。
 それなのに唯斗に対しては我慢ができない。
最初は顔を見ながらのセックスで、次にバックを経験したと思い出せば気持ちが落ち着かない。
セックスの最中の唯斗の表情ときたら、いつでも余裕そうで穏やかなくせに、
爆ぜるときだけ一瞬眉間に皺がよるのだ。
その顔が頭から離れない。

「今日は帰れって」
 とうとう里田は涼真にカバンを持たせた。
「早く寝たほうがいい、また明日な」
「ん、ごめん」
 
 涼真はカバンを持つと帰宅の途についた。
ベランダのカーテンを開けるが、向かいの部屋は閉ざされたままだ。
「少し、寝ようかな」
 昼寝のつもりでベッドで横になり瞼を閉じるが、ふと目覚めたら辺りは真っ暗だ。
「えっ?えーっ?」
 慌てて起き上がると照明をつけるために部屋を駆け回り、時計を見たら20時を過ぎていた。
「そんな!」
 焦ってベランダに飛び出すと、唯斗の部屋はカーテンが開けられているうえに明かりがついていた。
唯斗の姿が見えないので涼真は身を乗り出すが、中の様子は伺い知れない。
 涼真は玄関まで走り、急いで靴を履くとドアを開けた。

「お」
「…えっ!」
 なんと、ドアの向こうに唯斗が立っていたのだ。
蝶々の刺青が鮮やかに映えるタンクトップ姿で、流行の先の尖った靴を履いている。
「ゆ・唯斗さん」
「全身を眺めて、どーしたの」
「あ、いえ。その…来てくれるとは思っていなくて」
 言いながら照れてしまい、涼真がうつむくと「さ、ご飯食べに行くぞー」と予想外の誘いを受けた。

「えー?」
「なに・その『期待はずれ』みたいな声は?」
「いっ。いえ、その…」
 図星だった涼真は手に汗をかいてしまう。
「せっかく来てくれたのに、ご飯…なんですか」
「ふーん。言いたい事はわかるけど、俺は腹が減ったの。ほら、行くぞー」
 涼真は唯斗に手首をつかまれて、引きずられるように連れ出されてしまった。
昼間から悶々としていたのに、これではまたしてもおあずけだ。
「唯斗さんっ」
「駄々っ子だなー。顔を上げな」
 涼真が顔を上げると唯斗に頬を突かれた。
「…馬鹿にしてる」
「してないよ?」
 唯斗は涼真のお尻を片手でぐいっと持ち上げてつま先立ちにさせると、そっと唇を重ねた。
「これで少し我慢しなさい。俺は何か食べないとエンジンがかからないの」
 キスは涼真にとって予想外の一撃で、しかも効果は絶大だった。
「は、はい…」
 涼真は素直にうなづくと、先を歩き始めた唯斗の後を追った。

15話に続きます

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