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2009.07.08 視界良好・15
 今日も唯斗の部屋でご飯とセックスかなと期待を寄せる涼真だったが、唯斗は外に連れ出した。
「外でご飯ですかー」
 渋々唯斗の後をついて歩く涼真は不満だった。
いつの間にか手を離されたし、昼寝はしたが盛りがついたのか食欲よりも性欲が勝っている状態だ、
唯斗の部屋なら昨日のようになしくずしにセックスができるとのにと思い、口を尖らせている。

 触りたい腕はすぐ目の前にある。
しかし容易に触れられないオーラを感じるし、なにより人前で唯斗に触れることなんてできない。

「涼真、後を歩くなよ。隣においで」
「はあ」

「気の抜けた声だなー。どうかした?」
 ようやく唯斗が振り返り、手招きをする。
「何が不満?」
「僕は、唯斗さんの部屋がいいです」

「…直球だ」
 唯斗は吹き出して膝を折り、おなかを抱えている。
「なにがおかしいんですか!僕は真剣なのに」
「はー、おかしい。もしかして、昨日のセックスで虜になった?」
 ずばり言い当てられると恥かしいものだ。
涼真は言葉に詰まってただうなづいた。
 体が熱い、本来なら待ったなしの状況なのだが唯斗は微笑むだけだ。
「正直だな。でも俺はまだその気じゃないから少し我慢ね」
「…男は我慢がききません」
「それはそうだけどねー。仕方ない子だなあ、ま・そんなところも悪くないんだけど」
 
 我慢を強いられて苛立つ涼真とは対照的に、唯斗は涼しげな表情だ。
道行く女性が唯斗を見て、通りすがりに思わず振り返っている。
見知らぬ人をも惹きつける魅力があるのだ、涼真は改めて唯斗とはつりあわない気がする。
 この背が伸びれば一緒にいてもおかしくないのだろうか。
早く大人になりたい、涼真はちくりと痛む胸を抑えた。

 

 2人は早早に晩御飯を食べ終えると、夜道を並んで歩いた。
「あんまり食べなかったねー」
 唯斗に言われて「すみません、なんだか胸がいっぱいで」と涼真が頭を下げる。
「大学生は馬のように食べるものだけどなー。ガツガツしないんだ?」
「元々あまり食べません」
 そう言うが、涼真は唯斗とつりあわない自分を卑下して食欲が失せたのだ。
今もこうして一緒に歩いていても、違和感を覚えてしまう。
 それに唯斗への欲望が消えない。
いつになったらセックスができるのかと頭の中で葛藤していた。

「昨日もあまり食べなかったな。だから細いんだよ。少し肉をつけたら?抱いたときに痛くないし」
「そうですか?」
「でも太られても困るな。抱き上げられないし」
「…どっちなんですか!」
「俺の言うことを聞くわけ?面白いなー、なんだろうこの子は」
 大笑いをする唯斗に焦らされていると感じた涼真は「あなたが好きだからですよ」とぼやいた。
「なに?聞こえなかった」
「2度も言いません!」
 憤慨する涼真を見て「落ち着けよ」と唯斗が真面目な顔つきで言う。
「俺はセックス目的でおまえと付き合うつもりじゃないから。たまにはこうして外に連れ出したいと思う」
「え…本当ですか」
 涼真は自分が恥かしくなった。
抱かれたいと思い続けて、肝心の気持ちが置き去りになっていたのだ。
「俺は会社員で涼真は学生だから話は合わないだろうけど、惚れたんだからおざなりにできない」
 その場限りではなく、ちゃんと自分のことを考えてくれていたと知って、涼真は嬉しくなった。
舞い上がってしまって腕に飛びつきたいくらいだが、周りの目が気になり手を伸ばすのを止めた。

「ふうん?ちゃんと場をわきまえているんだ?本当に躾が行き届いた子だねー」
 心を見透かされた涼真は自分の頬に両手を当てた。
熱い頬を感じてますます気恥ずかしくなる。
「暗闇であんまり顔色が見えないけどさ」
「な、なんですか?」
「顔、赤いでしょ?」
「…はい」
 涼真が素直に答えると意外にも唯斗は笑わなかった。
からかわれると思っていた涼真は驚いて唯斗の横顔を見上げた。
すると唯斗が口を開いた。
「俺、マジだから。不安がらなくていいよ、ヤリ捨てなんてしないから安心して」
 涼真はこの言葉に感激してしまい、声が出ない。
ただ口を手で覆って、唯斗を見上げるだけだ。

「さてと。お待たせしたから早く部屋に行かなくちゃねー」
 唯斗は涼真の尻を軽く叩くとマンションの階段を上がり始めた。
「わ、待ってください」
 涼真が慌てて駆け出すと唯斗が振り向いて笑う。
「手がかかるけど、俺の選択に間違いは無いなー」
「僕は手がかかるんですか」
「ま。色々とね」
 言葉を濁して唯斗が再び階段を上がる。
涼真はそれを追うために駆け上がった。

16話に続きます
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