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「うちの大学は、あっせんもしているのかー」

教授から手渡されたメモ紙の表には彼個人の携帯番号が書かれていたのだが、
それと気付かずに裏をめくった上戸那都(うえと なつ)は目を瞬かせた。

この有名大学に進路を取ったのは教職に就きたいからであり、
夢を実現させるべく張り切って1年間はやたらと講義を受けたのだが、
2年になったこの初夏はどうも気が抜けていた。

卒業まではあと2年、その長さが那都を燃え尽き症候群にさせていたのだ。

その気だるそうな雰囲気を色気と勘違いし、注目する教授が現れた。

携帯番号やアドレス交換をしようにも那都が自分の講義を取らないので接点がない。

思い余って廊下ですれ違いざまにメモを押し付け、足早に去ったのだが、
那都が教授の思いを悟るはずがなかった。

教授の災難は焦るあまりに『気の長い家庭教師を募集。当方、かなりわがまま』と書かれた、
タウン誌の掲示板の裏を使ってしまったことだ。

<教職に進みたいなら家庭教師でも試してみろ・かな? でも俺、気が長いほうだったかな?>

那都は都合よく解釈している。
ふとアッシュブラウンに染めた髪をかきあげ、この伸びた前髪を切ろうと思い立つが、
美容院もお金がかかる。

これは勉強と収入を兼ね備えている・まさに一石二鳥、
手っ取り早い手段かもしれないと閃き、那都はボストンバッグから携帯を取り出した。

<あれ。ところで今すれ違った教授、誰だっけ>





「えっ!N大学の教授の紹介で…!?えっ、嘘!」

那都は話がとおっていると勘違いしているので、すぐに募集先へ連絡を取ったのだが、
母親らしいその人は慌てていた。

「う・うちの子、N大学へ行かせたいんです!ぜひ、お願いします!」

聞けば『わがまま』な子は、市内でも有名なお坊っちゃま高の生徒だ。

しかし、そこからN大学へ進んだ生徒は今まで聞いたことが無い。
お坊ちゃま高はエスカレーター式で大学の付属だからだ、
潤沢な寄付金を納めているのだから、そのまま大学へ進めばいい。
わざわざ受験してまで教職を目指すN大へは進まない。

<だが親がN大へ行かせたいというのなら何か事情があるのだろう>


那都が興味を惹かれて自宅へ向かうと、出迎えたのはブレザーの制服姿の男子だ。

黒い髪に尖った顎、ややつり目でへの字に曲げた口元からして無愛想。
整った顔立ちなのだが態度に問題がありそうだ。
玄関口で腰に手を当てて那都を見下ろす仕草は、第一印象で損をするタイプとしか思えない。

数10秒は那都の容姿を品定めした男子は、ちらりと眉を上げた。

「…上戸サン?新しい家庭教師の」

「そう、上戸那都です」

「あー、いいかも」
男子は急に笑顔を見せ、満足げな表情だ。

「上戸サンはかっこいいから、歓迎する。早く上がってください」
「えっ」
戸惑う那都の声に、男子は不満らしい。

どうも自分の思い通りにことが進まないと苛立つようだ。

「早くあがってって!今日から勉強を教えてくださいよ」
男子が急かすのだが、那都は首を横に振る。

「まだ親御さんに会っていないから、すぐには始められないよ?」
那都が渋ると「どうして」と強い口調で咎めてきた。

「いいんです、僕の先生なんだから、僕が決める。親は関係ない。先生の時給も僕が決めるんだし」
「は?」

「父さんはいつも『真(しん)のいいようにしなさい』って言うから、いいんです」
「はあ?意味がわからない」

「鍋島の家を継ぐのは僕だけだから。なにを言っても許してくれるんです」


那都はこらえたが、今にも『なるほど、これは相当なわがままだ』と噴出しそうだった。

この鍋島真。
手ごわいかもしれない。

しかし燃えつきかけた情熱が蘇る感触があると、那都は思う。

「上戸…じゃなくて、先生。部屋は2階だから、階段を上がってください、こっちこっち」

「真。じゃあ、勉強を始める前に1つ確認させてくれる?」
那都は階段の手摺をつかみながら、前を進む真を呼び止める。

「電話で聞いたんだけどN大学へ進むことは親御さんの条件だと思う。だから進路はN大な」

「はー?無茶言いますねー?N大は難関でしょ、誰が僕をそんなところに…」

「俺が行かせる。そうじゃなきゃ、家庭教師の意味はないよね」

那都の言葉に真は驚いたようで、目を見開いた。

「真は俺と同じN大に通う気にはなれない?」

微笑みながら問いかける那都の前で、真が生唾を飲む。
「先生と同じ…か」

真は那都の全身を再び眺めた。
涼しそうな笑顔と立ち居振る舞い、実にスマートだ。
それに自分を引っ張り上げようとするその心意気、真面目な性格なのだろう。

街にいる学生の1人と思いきや、
目元の小さなほくろ・そして部屋の照明に艶めく唇が実に扇情的に感じてしまう。
このギャップはなんだろうか。

真は急に早くなった胸の鼓動を聞かれないか不安になり、胸を抑えた。


「先生、いきたい…な」

「あ、よかった。やる気になった?」


真は那都の情熱に流されたのではない、
ひと目ぼれし、欲情したのだ。

しかし那都は鈍かった。
頬を赤らめている真の素振りに気付かず、「頑張ったら、いいことがあるよ」と励ました。
もちろん大学合格を指しているのだが、
真が誤解したのは言うまでも無い。

2話へ続きます

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