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歩調を合わせている利玖に気付くと、晴矢は動揺した。

誘ったのはたしかに自分だが、この先どこへ行くかも決めていなかったのだ。
ただ、利玖と話をしたい。
できれば距離を縮めてみたい、それしか頭にはなかった。

深くものごとを考えずに行動するのはちゃらい生き様そのものであり、
晴矢は自らの欠点にいまさら右往左往してしまう。

歩きながら脳内で慌しく『あの店へ行くか?』『コンビニでいいか』と自問自答だ。

しかしそんな気苦労は必要なかった。
利玖が「家に来ない?」と先に言い出したのだ。


「急に黙るからさ。これは行き先を考えていないなと予想した」

「家、いいの?」

「マンキツにつれられていくよりまし。僕は猥雑な雰囲気、苦手なんだ」
「わいざつ?」
「…金のない奴が個室をホテル代わりにしているんだ。これも学校では問題らしいけど」


マンキツの個室をホテルに代用できるとは、晴矢は初耳だ。
驚くと同時に感心したが、しかし学校の情報に精通している利玖に引っ掛かりを覚えた。

利玖は晴矢を見つけた時も同じようなことをつぶやいていたのだ。

冗談で『教師とできてる』と茶化したが、
利玖に対する興味が湧いた今ではそれを疑い始めてしまう。


「あのさあ、せ…」
「ん?」

晴矢は利玖の名を呼ぼうとして口ごもる。
副委員・とは呼んでいるが、名前を呼ぶのは初めてなのだ。
意識すればするほど声にならない。
無駄に力が入り、感情だけが空回りだ。

名前を呼ぶのを諦めた晴矢は「ん」と一呼吸置いた。

「あのさ。教師と仲がいいの?」
「直球だな」

利玖は「その答えは僕の名前を呼んだら教えるよ」と見透かしたように微笑んだ。





利玖が晴矢を連れて行った先は一軒の喫茶店だ。
カフェが数件立ち並ぶ県道沿いで、この店構えは奥まっているが一目を惹く。

小さなボードに白いチョークで書かれた本日のランチメニューの案内の字が丸く、
大人のそれだとわかる。
地味だが堅実な経営をしていると思わせる外観だ。

「ここで待って」

喫茶店に来たのに中へ入れないとはどういうことだろうか、
晴矢が訝っていると室内の声が漏れ聞こえてくる。

「先に帰ってるから」
「あら、今日は手伝ってくれないのー?」

「友達が来てる」
「えっ?珍しい。いつもの人じゃなくて?」

その呼びかけに返事をしなかったらしい利玖が出てきた。
なにか不満なのか無表情なその顔つきに、晴矢は声をかけるのをためらっていると、
急に頬に冷たいものが触れた。

「わ!」
反射的に体をかわして悪戯をしかけた腕を取った。

「氷をつかんできた。冷たい?」
見ると利玖の握った手の中から水が滴り落ちている。

その水滴は手首を伝い、晴矢の指ばかりか、じきに利玖の袖を濡らした。

じんわりと広がる染みにさえ、晴矢は見蕩れた。
まだ自分が触れられないその肌を氷が濡らしていく様は淫靡だった。

「…そろそろ離してくれる?」
「あ、わ、ごめん」

「有明晴矢はちゃらいと思ったけど、意外に奥手?そういうところも新鮮でいい」
利玖は「ふふ」と笑うと晴矢の上着の裾を引っ張った。

「親の前ではなにもできない」
「親?」

「ここ、母親が経営している店」
「あ、そうなんだ…」
「家はこの裏に建つマンション。じゃ、行こう」

晴矢が言われるままについていくと、
喫茶店の裏にまわったと同時に利玖が晴矢の腰をつかんで引き寄せた。

「あの店、8時まで営業してるんだ。それまで家には誰もいないから」

2人はマンションの目隠しである壁面にいた、
そのせいか人目を気にしない利玖は晴矢の腿を制服の上から撫で、付け根まで指を這わせる。

「やめ…!ヤバイって」
「もっとこっちへおいでよ。部屋までもたないんだ、ねえ有明晴矢」

首筋にふっと息をかけられて晴矢が身をすくめる。

「僕の名前を呼んで。きっと、好きになるから」

その言葉を受けてまるで誘導されるかのように晴矢は自然と口を開き、
先ほどまで戸惑った名を呼んだ。

「せん…」

「…苗字なんだ?」

苦笑する利玖だが素直な晴矢の態度が気に入ったのか視線を合わせる。
そして晴矢のボトムのポケットに手を差し入れて敏感な部分をまさぐりながら、
「部屋に入ったら、下・だよ?それしか…呼ばせない・。ね、晴矢?」とささやく。

晴矢はこの相手に勝てない、
そう感じた。
しかし少しも悪い気がしないのだ・むしろこの先へ進みたいと欲情した。



6話へ続きます


拍手をありがとうございました、
いただいていいのかなとすごく恐縮です

なかなか先が書けない状態でしたので「放置?」と思われて当然でした、
すみません

話自体は焦らしてますが、更新を焦らす気はなかったのに…




お時間がありましたらこれからも読んでくださると嬉しいです、
いつもありがとうございます
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